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義足の理学療法士福辺節子さんの笑顔義足の理学療法士福辺節子さんの笑顔

第18回介助者の仕事に対する意欲とプライドを引き出す
~福辺流介助術~

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前回は「被介助者の能力や意欲を維持することができる」についてのお話をしました。今回は、「介助者の仕事に対する意欲とプライドを引き出す」をテーマにした介助術をご紹介します。評価に基づいた理学療法をお伝えしていきます。
 

奇跡の介助?

今年の2月に、『生きる力を引き出す 福辺流 奇跡の介助』を出版しました。
私や、私とチームを組んで日々の介助に当たってくれている介護スタッフのケアは、多くの人からすると奇跡に見えるのかもしれません。
評価(アセスメント)に基づいての理学療法ですから、当然、奇跡はありえません。
 

当たり前の反応

寝たきりや、言葉がわからないと思われている患者さんや利用者であっても、こちらがお願いした動きができることは不思議なことではありません。
なぜそれが奇跡のように見えるのかというと、患者さんや利用者に対して、一般の評価が不適切だからです。
一般に見られる、適切ではない(多くの場合、低すぎる)評価からすれば、奇跡のように見える対象者の動きや反応も、その人の持っている能力を出し切ったというだけで、特別なことではありません。その人の能力としては当たり前のことができただけといえます。
 

評価の重要性

次の3枚の写真は、グループホームに入所している、若年性のアルツハイマー認知症の利用者の端坐位です。
通常は、全介助で仰臥位から端坐位、そして車イス移乗という介助ですが、仰臥位から寝返りで側臥位、側臥位から起き上がりの介助で端坐位になっていただいたところです。
体重心線は支持基底面の後方を通過しているので、バーを持たなければ後方に転倒してしまいます。(写真A-1)
次第に後方にあった重心線が前方に移動し、足底にも荷重されるようになってきました。体幹も安定し、右上肢にも余裕が見られます。(写真A-2)
座位バランスも安定し、上肢で介助バーを保持しなくても端坐位が可能になっています。(写真A-3)
 

A-1

A-2

A-3

 
これは10分間ほどのケア中の変化で、適切な介助をすれば介護スタッフでも家族でもできることです。
しかし、介助バーを持って端坐位を保持している利用者を、上肢の支持なしで端坐位保持が可能なまで改善することは、卒業したてのセラピストではすぐにはできないかもしれません。

原因は2つあります。
・この3枚の写真を的確に評価できるかということ
・評価に対してのアプローチができるかということ
きちんとした評価ができなければ、当然セラピストとしてのアプローチは不可能です。
 

やりがいやプライドを引き出すもの

私のセミナーでは、セラピストだけではなく看護師や介護士、その他のコメディカルに対しても、評価(アセスメント)の重要性を伝えています。
自分のおこなった介助やケアに対して自信やプライドが生まれるかどうかは、「この3枚の写真の違いを認識できるか」というところにかかっている、と私は考えています。

介助者は、自分の介助で対象者が変化することによって「仕事に対するプライド」「達成感」「やりがい」を感じることができます。

適切な介助がおこなわれて変化が起こったとき、介助される側とする側の双方でその感覚を共有することができます。ケアの醍醐味はここに尽きるといってもよいかもしれません。反対に、前任者のやり方に疑問を持たない介助や、ケアマネや責任者から指導されたままの介助、対象者の意欲のなさや機能低下にできない原因を探す介助からは、それは生まれません。

適切な介助ができたときに、介助者が被介助者から受け取るものは計り知れません。たとえどんなに小さな変化でも、自分の働きかけで相手が変わってくれた、そして、その瞬間を相手と共有できたという喜びはなにものにも替え難いはずです。
介助者は、被介助者と自分の仕事と世界への感謝を感じることができます。だからこそ、やりがいや意欲を持ち続けることができるのです。

介助という言葉を使いましたが、それはセラピーでも同様です。
この自覚があれば、介護は単に世話をする仕事ではなく、より高い専門性と精神性を求められる、魅力のある楽しい仕事へと変化を遂げることができます。
また、家族にとっても、介護はただ単にしんどくつらい作業ではなくなるはずです。
 

福辺流介助術セミナーの受講生の声

私のセミナーを受講した、セミナー受講生のレポートからの抜粋を紹介します。
・利用者様の力ってすごいなと実感している。毎日毎日変化を感じ、「介護って楽しい」というワクワクした気持ちを利用者様にいただいた。もっともっといろんな利用者様の姿を見たい。
・認知症で拒否の強い利用者さんの歩行介助を一人でできた。ご本人のがんばりに胸がつまった。
・力を入れていないのに、利用者さんの動きと一体になったような不思議な感覚だった。
・生活や表情までも変えることができたことに喜びを感じる。
・それまで一度も見たことがない笑顔で笑ってくれた。涙が出るほどうれしかった。
・利用者さんとの関わりが楽しくなった。
・仕事に対しての充実感が変わった。初めて介護に対してうれしい気持ち・喜びの気持ちを味わった。
・生活や表情までも変えることができたこと、安心されるとできることが増えてくることに喜びを感じる。
・この人の生活にとって、生命にとって、重要なことをしているんだと思うようになった。
・学んだことで景色が変わった。
・利用者さんが笑顔で一言。「あんた上手や」
・利用者さんたちの、やればできること、また、やろうとすることの意欲が強いことに驚いた。
・利用者から「あんたは優しいなぁ」と思いがけずうれしい言葉をかけてもらった。本当に良かったと思った。

セミナーをしていて良かったと感じる一瞬です。受講生は利用者さんから、私は受講生から力をもらいます。
 

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福辺 節子

福辺 節子 (ふくべ せつこ)

理学療法士・医科学修士・介護支援専門員
一般社会法人白新会 Natural being代表理事
新潟医療福祉大学 非常勤講師
八尾市立障害者総合福祉センター 理事
厚生労働省老健局 参与(介護ロボット開発・普及担当)
一般社団法人 ヘルスケア人材教育協会 理事

大学在学中に事故により左下肢を切断、義足となる。その後、理学療法士の資格を取り、92年よりフリーの理学療法士として地域リハ活動をスタート。「障がいのために訓練や介助がやりにくいと思ったことは一度もない。介護に力は必要ない」が持論。現在、看護・介護・医療職などの専門職に加え、家族など一般の人も対象とした「もう一歩踏み出すための介助セミナー」を各地で開催。講習会・講演会のほか、施設や家庭での介助・リハビリテーション指導も行っている。

<著書>
イラスト・写真でよくわかる 力の要らない介助術/ナツメ社(2020)
生きる力を引き出す!福辺流 奇跡の介助/海竜社(2020)
マンガでわかる 無理をしない介護/誠文堂新光社(2019)
福辺流力と意欲を引き出す介助術/中央法規出版(2017)


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