理学療法士が開業するには?起業や独立のリスクと新しい働き方
公開日:2018.04.27 更新日:2021.06.07
理学療法士が転職を考え始めたとき、同じような臨床現場で転職先を考えるのか、それとも別の働き方を考えるのかで大きく道が異なります。
もし「今までの経験を生かして開業(独立)や起業という挑戦をしてみたい」と思うのであれば、どんな働き方が可能なのでしょうか? リスクや困難を伴いながらも起業家に転身し、新たな活躍の場を築いていく理学療法士の開業についてまとめました。
その1:施術サロンを開業する
臨床家として運動療法や徒手療法を駆使してきた理学療法士が、自身のサロンや施設を開業するケースを考えてみましょう。
はじめに、理学療法は「医師の指示のもと」という大原則があり、そのためリハビリの内容で開業することはできません。
しかし「医療」ではなく、整体やリラクゼーション、ボディコンディショニング、エステ、インソールといった、健康・スポーツ・美容といった分野での開業は可能です。
医療現場で担当してきた「脳血管障害後遺症」「整形疾患」といったケースの患者さんではなく、幅広い方々を対象とした施術内容になるでしょう。
<対象となる悩みの例>
・腰痛
・肩こり
・疲労回復
・むくみや姿勢改善
・産前産後ケアなど
来店される方には、「病院に行っても治らなかった」というケースも多く、理学療法士としての専門知識と技術を存分に発揮しながら、自身の経験から評価と施術を行うことになります。また保険診療ではなく、自身で決めた料金を設定することから、技術勝負をしたい臨床家タイプの理学療法士向けの起業と言っていいでしょう。
その2:店舗を持たないフリーランスとして働く
独立はしたいけれど店舗を持たず自由に働きたいと考えるのであれば、個人事業主として活動してみるのはいかがでしょうか。
理学療法士という国家資格に加えて、ヨガやピラティスのインストラクター資格を取り、ヘルスケアやボディケア、マインドフルネスといった分野で活躍するという働き方です。
近年、マタニティヨガや産前産後ケアの分野で活動する理学療法士も増えています。近年のヨガブームから、多くのヨガインストラクターが競合するなかで、理学療法士という資格を持ち、解剖学や運動学、生理学といった専門的な知識を得ていることは、大きな強みとなります。他のインストラクターと差別化できるツールとして、有利に働くことでしょう。
また、アスレティックトレーナー資格をとり、スポーツチームに所属してトレーナーとして活躍することも可能です。スポーツ業界は狭き門と言われていますが、スポーツ分野に深く関わりたくて転身した理学療法士もいます。ほかに障害者スポーツのトレーナーもいます。
その3:デイサービス・訪問看護ステーションを開設する
高齢化の進展に伴って、デイサービスや訪問看護ステーションへのニーズも高まっています。麻痺などの障害を持っていたり、加齢により歩行が難しくなったりすることから、リハビリを重視する利用者やご家族も増えてきています。
そんな中、理学療法士ならではの視点で、運動特化型のデイサービスを立ち上げ、実績を重ねたケースもあります。あくまでも経営者としての立場であり、設立・経営等、新たに学ばなければいけないことも多くあります。
職員を抱えるといった面でも苦労は多いものの、自身の臨床経験を活かせる現場となることでしょう。経営者という新たな挑戦によって、理学療法の必要性を広めるきっかけにもなるのではないでしょうか。
その4:セミナー主催会社の設立
理学療法士を続けるうえで、技術や知識のアップデートのために参加することの多い研修会やセミナー。
臨床経験があり、臨床家がどんな情報を求めていて、どんな内容に興味を持っているのか、といったニーズを的確に把握できるのも、やはり理学療法士ならではのこと。
こんな研修があったらいいのに、といった想いを形にすべく、医療・介護分野を中心とした魅力ある研修会やセミナーを企画・運営し、医療の発展をサポートする立場になった理学療法士もいます。これも臨床での経験を存分に生かせる起業です。
このように理学療法士にもさまざまな起業の仕方がありますが、一足飛びに独立するのではなく、似た業務内容の職場や、小規模で会社全体の仕事が把握できるような職場に転職して学び、それから起業するというやりかたもあります。
いずれにせよ、十分な準備と下調べ、そして自分が働きたい分野への情熱が必要です。
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