「理学療法士をやめてよかった」と思う理由とは?やめる前にやっておきたいこと
公開日:2023.04.10 更新日:2024.10.02

文:rana(理学療法士)
「理学療法士をやめてよかった」そんな声を聞いたことはありませんか?理学療法士は身体機能の回復を支援するスペシャリストとして、やりがいや魅力も多い仕事です。しかし、思っていた仕事とは違うと感じて、やめてしまう人も少なからずいます。
実際に理学療法士をやめてよかったと感じる理由には、どのような点が挙げられるのでしょうか。この記事では、「理学療法士をやめてよかった」といわれる理由ややめる前にできることなどについて、現役理学療法士が解説します。
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目次
理学療法士をやめたいと感じる場面

理学療法士をやめたいと感じるのはどんな場面が多いのでしょうか。まずは筆者の経験や周りの理学療法士の声から、具体的な場面をまとめました。
給料が上がりにくい
理学療法士は給料が上がりにくい仕事といわれています。要因として挙げられるのは、理学療法士の提供するリハビリが診療報酬に左右されている点です。年齢や経験によってもリハビリ点数は変わらないため、年数を重ねても理学療法士の給料は大きく増えることはあまりありません。このような給料面の問題から将来を不安に感じてしまうことも理学療法士をやめたくなる要因に挙げられるでしょう。
リハビリの結果が出ないことがある
理学療法士としてリハビリを提供しても、毎回よい結果が出るとは限りません。リハビリのほとんどは辛抱強く長い時間をかけて、積み重ねることで結果が伴ってきます。症状によっては障害が残り、思ったように回復しないケースもあるでしょう。リハビリの結果が思わしくないことが続いたことで、自分のやっていることに意味があるのだろうか、と理学療法士として自信を無くして辞めたくなってしまう人もいるかもしれません。
仕事がマンネリ化してしまう
最新の知見や治療法を書籍やセミナーなどで学んでいてたとしても、実際のリハビリは、計画書に従って行われることが多く、患者さんに対していつも似たようなアプローチを取らなければならないこともあるかもしれません。このような繰り返しが続くと、仕事がマンネリ化してしまいモチベーションが下がってしまいます。こうした仕事のマンネリ化も理学療法士をやめたくなってしまう理由のひとつです。
人間関係が悪化してしまう
人間関係の悪化も理学療法士をやめたいと思ってしまう要因になります。理学療法士は作業療法士や看護師など、他職種と関わって仕事をします。特に回復期病院では、50人以上リハビリスタッフがいる場合もあり、人柄や考え方はさまざまです。なかには意見が合わなかったり、衝突してしまったりすることもあるでしょう。人間関係が良好に築けない場合に、理学療法士の仕事自体をやめたくなることがあります。
心身に支障をきたしてしまう
職場にもよりますが、理学療法士の仕事は心身に負担がかかりやすい傾向があります。患者さんの基本動作の介助で腰痛を発症したり、徒手療法で手を痛めたりすることも少なくありません。また、仕事やプライベートで悩みを抱えて精神的に弱ってしまう場合もあるでしょう。仕事自体は楽しいのに、心身に支障をきたしてしまうがゆえにやめたくなってしまうこともあります。
理学療法士をやめてよかったと思う理由

「理学療法士をやめてよかった」と思う人は、それぞれに理由があるはずです。まずは、その理由について、筆者の経験や周りからの声からまとめてみました。
給料がアップした
職場にもよりますが、一般的に理学療法士は大幅な昇給が難しい職種です。そのため、将来的な不安を抱えて他の分野での就職や転職を検討する人もいるのではないでしょうか。
収入面で悩みを抱えていた理学療法士が、仕事を変えたことで給料アップに成功すれば「やめてよかった」と感じるようです。
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人間関係が良好になった
理学療法士に限らず、職場の人間関係で悩む人は大勢います。特に理学療法士は、患者さんをはじめ、看護師や作業療法士など、他の医療職と関わることが多い職種です。
人間関係がうまくいかないと、仕事をスムーズに進められず、やめてしまいたいと思うこともあるでしょう。そうした理由から、人と関わることが少ない職に転職したり、医療関係以外の仕事に変えたりして、働きやすい環境になったときに、「理学療法士をやめてよかった」という声が聞かれます。
希望の休みが取りやすい、休みが増えた
近年では、365日、年中無休でリハビリを行う施設が増えており、理学療法士も週末や祝日が勤務日になることがあります。
そのため、プライベートな時間が充実しづらいと感じたり、自分の希望通りに休めなかったりと不満を持つことも少なくありません。理学療法士をやめ、休みが取りやすい環境になったとき、ストレスが解消できたとして、良い結果に感じている人も多いのではないでしょうか。
仕事とプライベートの境界が明確になった
理学療法士の仕事は、業務以外の時間にも自己研鑽が求められます。休日を返上して研修会に参加したり、夜遅くまで実技練習をしたりする人も少なくありません。
そうなると仕事とプライベートの境界線が不明瞭になり、疲弊してしまいがちです。理学療法士をやめてよかったと思う人は、仕事とプライベートを明確に分けられる職に変えた場合に多いかもしれません。
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本当に理学療法士をやめたいのか?

ここまでお伝えしてきたように、理学療法士をやめてよかったと思う理由は、人によって異なります。
ですが、結果的に「やめてよかった」と思えたとしても、本当は、理学療法士の仕事自体は好きだった、できれば続けたかったと思う人もいるかもしれません。もともと高い志を持ち、資格取得のために努力してきた人であれば、よりその思いは強いはずです。
もし今、理学療法士をやめたいと思って、「やめる理由」を探しているのであれば、もう一度、自分自身が感じている悩みや不満を考えみてください。ひょっとすると、今の環境が問題なだけであって、理学療法士自体をやめる理由にはならないかもしれません。何か解決策を見つけて、このまま理学療法士を続けていくことも選択肢のひとつです。今後のキャリアを考えながら、より良い選択ができるよう検討してみましょう。
理学療法士をやめる前にすべきこと

では、理学療法士をやめてしまう前に、何ができるのでしょうか。また、すべきことはあるのでしょうか。できる対策について具体的にまとめました。
上司に相談する
人間関係や職場環境で悩んでいるのなら、まずは上司に相談してみましょう。担当分野を変えてもらったり、仕事内容を見直してもらったりすることで、自分が働きやすい環境に身を置ける場合もあります。筆者の周りにも、上司に相談して担当病棟を変更したり、外来から訪問へ部署を変えたりして、環境が改善した人がいました。
転職をする
給料や職場環境の悩みを解決したいのなら、転職するのもひとつの選択肢です。理学療法士は専門的な国家資格であり、一般職と比べても転職しやすい傾向にあります。自分が希望する条件や仕事内容を満たしてくれる職場に転職できれば、多くの悩みを解決できるでしょう。筆者は複数回の転職経験がありますが、いずれも給料アップに成功しています。
副業をする
給料面での不安を抱えているのなら、副業を始めてみるのもよいのではないでしょうか。近年は理学療法士に限らず、副業する人が増えており、仕事先の選択肢も広がっています。理学療法士の副業として、非常勤で訪問リハビリやデイサービスに勤めている人も多く見られます。こうした副業は一般的な時給よりも高い傾向にあり、収入アップが見込めます。
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理学療法士をやめて後悔しないために押さえておきたいポイント

やめたい理由は人によってさまざまですが、一時的な感情で理学療法士をやめてしまうと後悔する可能性があります。理学療法士をやめて後悔しないために押さえておきたいポイントを紹介します。
他の仕事も全てが満足いくとは限らない
理学療法士として仕事が上手くいってないと、他の仕事が楽しそうに見えたり、働きやすそうに感じたりすることがあるかもしれません。しかし、どんな仕事でも苦労はあり、全てが自分の満足できる内容になるとは限らないものです。今の自分と違う環境が羨ましく感じているだけの場合もあるでしょう。一歩引いて自分の働き方を考え直し、理学療法士が本当に嫌になってしまったのか、また他の仕事が本当に自分の希望を叶え、不満を払拭するものなのかを自分に問いかけてみましょう。
理学療法士として人の手助けをすることができない
理学療法士はリハビリを通じて患者さんの機能回復や社会復帰の手助けができる仕事です。一人ひとりと関わる時間も長く、一緒に回復の喜びも分かち合えます。そのため、人と関わることが好きな方にとっては魅力的な仕事といえるでしょう。理学療法士をやめて、事務作業や工場勤務などに異業種で働く場合には、人との関わりが減ってしまうことに対して後悔するかもしれません。やめる前にもう一度、自分の性格や好きな仕事を見直して冷静になって考えてからでも遅くはないでしょう。
苦労して取得した国家資格が活用できない
理学療法士は養成校で3〜4年間学び、高い学費を払ってやっと取得できる資格です。理学療法士を志した時は高いモチベーションで学業に励んでいた方がほとんどではないでしょうか。理学療法士をやめてしまうと、せっかく苦労して取得した国家資格を活用することができません。もう一度理学療法士を目指した自分を思い出し、手放してもよいのか自問自答をしてみることも大切です。
医療以外の業界に適応するのが難しいことがある
理学療法士が働いている医療現場は、一般企業の環境とは少々状況が異なります。一般企業は、基本的に利益を上げることが最終目的であり、商品やサービスを売るための営業やプレゼンなどが欠かせません。医療施設も営利の面は必要ですが、最終目標は患者さんの回復や健康維持にあります。異業種で働く場合、働くうえでの考え方や、意識の持ち方が大きく異なることを理解しておく必要があるでしょう。
理学療法士は医療という大きな後ろ盾に守られながら、その専門スキルを発揮できる環境にあります。他の業界とは重視するものが異なる場合もあり、適応するのが難しいと感じることもあるでしょう。本当に医療分野を離れても大丈夫なのか、もう一度よく考えた方がよいかもしれません。
理学療法士以外の仕事もひとつの選択肢
いろいろ検討した結果、やっぱり理学療法士をやめたいという気持ちが変わらない、というのであれば、もちろん違う職に就くこともひとつの選択です。筆者の周りにも、理学療法士からアパレル業界や建築業界に転職した仲間がおり、転職して後悔はしていないという話を耳にします。
また、自身で整体院を開業したり、スポーツトレーナーとして活躍したりしている例もあります。全く違う分野に変更するのではなく、理学療法士のスキルを生かした仕事を探すのもよいかもしれません。
理学療法士をやめる前に環境を変えてみよう
自分の人生を充実させるために、理学療法士の資格に縛られず、他の職を模索することも選択肢のひとつかもしれません。ですが、やめてしまえば、これまで学んできたことが生かせなくなったり、キャリアを失ったりすることもあります。新しい仕事を始めても、また違う悩みが出る可能性もあるでしょう。苦労して取得した国家資格なので、簡単にやめてしまうのではなく、まずは何か対策をとって、環境をかえることから試してはいかがでしょうか。

rana(理学療法士)
総合病院やクリニックを中心に患者さんのリハビリに携わる。現在は整形外科に加え、訪問看護ステーションでも勤務。 腰痛や肩痛、歩行障害などを有する患者さんのリハビリに日々奮闘中。 業務をこなす傍らライターとしても活動し、健康、医療分野を中心に執筆実績多数。
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