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「理学療法士はやめとけ」に対して現役PTが知ってほしいこと

公開日:2021.09.29 更新日:2023.09.08

「理学療法士はやめとけ」と言われる理由と将来性

文:rana(理学療法士)

理学療法士をインターネットで検索すると「やめとけ」「やめたい」というワードが後に続くのを目にすることがあるかもしれません。実際に責任が求められる医療現場で働くかぎり、理学療法士の仕事はポジティブな面ばかりとはいえません。

しかしリアルな状況を知らないまま、ネガティブな言葉に将来の可能性が惑わされるのは残念です。今回は「理学療法士として13年の経験を持つ筆者」が、理学療法士の実態について自身の経験や周囲の声を元に、実際の理学療法士の現状について解説しましょう。

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理学療法士を目指すのを「やめとけ」と言われる理由

理学療法士は医療系の国家資格でありますが、将来性や待遇面でネガティブな意見があることは確かです。その要因として考えられる点は次の3つ。

①有資格数が増え、飽和状態になることが予測されている
②昇給が少ないため、大幅な給料アップが見込みにくい
③経験値や努力が収入に反映されにくい

それぞれを詳しく解説していきましょう。

①有資格数が増え、飽和状態になることが予測される

2019年に公表された厚生労働省の資料「理学療法士・作業療法士の需要推計を踏まえた今後の方向性について」によると、理学療法士は現段階で供給数が需要数を上回っており、2040年ごろには供給数が需要数の1.5倍になるといわれています。

毎年1万人前後の理学療法士が誕生している現状で、需要と供給のバランスが崩れるとこれまでと比べて就職の難易度が高まるのではないかと懸念されています。

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②昇給が少ないため、大幅な給料アップが見込みにくい

施設にもよりますが理学療法士は昇給が少なく、年齢を重ねても大幅な収入アップは見込みにくい傾向にあります。次の表は厚生労働省の「2019年賃金構造基本統計調査」を参考に、理学療法士の年齢別平均年収を並べたものです。

30~34歳 35~39歳 40~44歳 45~49歳 50~54歳
PT・OT全体 405.25万円 441.3万円 471.2万円 495.5万円 536.1万円
PT・OT(男性) 423.4万円 468.3万円 489.0万円 510.9万円 582.1万円
PT・OT(女性) 387.1万円 414.3万円 453.4万円 480.1万円 490.0万円

※理学療法士・作業療法士全体は、男女の平均値
※決まって支給する現金×12+年間賞与その他特別給与額
※作業療法士を含めた平均年収
参照:職種別第2表 職種・性、年齢階級別きまって支給する現金給与額、所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額|令和元年賃金構造基本統計調査|厚生労働省

比較して、民間企業に勤める一般の人の平均年収を見てみましょう。こちらも厚生労働省の「2019年賃金構造基本統計調査」を参考に記載しています。

30~34歳 35~39歳 40~44歳 45~49歳 50~54歳
一般全体 442.9万円 478.0万円 512.9万円 541.0万円 570.0万円
一般男性 498.6万円 557.3万円 606.3万円 654.9万円 708.8万円
一般女性 387.2万円 398.7万円 419.5万円 427.2万円 430.4万円

※一般全体は、男女の平均値
※企業規模計(10人以上)
※学歴計
※決まって支給する現金×12+年間賞与その他特別給与額
※100円単位を四捨五入
参照:第1表 年齢階級別きまって支給する現金給与額、所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額|令和元年賃金構造基本統計調査|厚生労働省

上記の表を比べてみると、特に男性理学療法士は一般男性と比べて、年齢を重ねていった時の平均年収に差が開いていることがわかります。

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③昇給が少ないため、大幅な給料アップが見込みにくい

理学療法士はリハビリで得られる「診療報酬」に基づいた点数によって、施設に収益をもたらします。その診療報酬は一律で点数が決まっており、経験年数やスキルの違いによって差が生じることはありません。

つまり、リハビリ1回あたりの利益は誰が行っても変わらないのが現状です。

1年目の新人と20年目を超えるベテラン理学療法士がリハビリをしても、患者さんから支払われる金額が同じのため、苦労して研鑽を積んだとしてもリハビリの点数が変わらないかぎり、収入には反映されにくいのです。

「やめとけ」は本当?理学療法士の仕事の実際

「理学療法士はやめとけ」と言われる理由と将来性

確かに理学療法士は、将来性や待遇面でネガティブな要素が見られます。ですが、全てがネガティブなことばかりではありません。筆者は13年目の理学療法士ですが、自身の経験や周囲の声などから、理学療法士の仕事の実際についてお伝えしましょう。

分野や施設によるが、理学療法士の需要は今後も高まる

日本理学療法士協会の統計情報によると、約13万人の会員中、8万5000人程度の人が病院やクリニックといった医療施設で働いています(2021年3月現在)。 約7割近くが医療施設で働いていることになりますが、今後、高齢化が進んでいく我が国では介護分野の需要が高まってくることが予想されます。

特に近年では訪問リハビリの求人数が多く見られ、新規オープンする事業所も増えています。今後は在宅サービスでのリハビリ需要が高まってくることでしょう。

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転職やインセンティブで給料・収入アップは可能

理学療法士が年収を上げる方法は、一つの職場で長く働いて、役職を得たり、手当を増やしたりして地道に昇給していくことばかりではありません。収入アップを目的に、転職をすることも一つの手段です。

実際、私も収入アップを目指して転職し、年収100万円近くアップしました。

また、訪問リハビリではインセンティブを設けている施設もあります。件数を多く回った分だけ給料に反映されるので、収入アップを期待して訪問分野で働くといった選択肢もあるのです。

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副業の幅が増えている

近年、副業によって収入アップを図っている理学療法士が多く見られます。

<理学療法士の主な副業>
・セミナー講師
・WEBライター
・パーソナルトレーナー
・週末整体院など

いずれも理学療法士の知識やスキルが生かせる仕事です。

収入アップにつながると同時に、自分の仕事の幅を広げることができるでしょう。ただし勤務先によっては副業を禁止している場合もあるので、副業を考える場合は事前に確認が必要です。

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理学療法士としての未来は、自分でつかみとるもの

理学療法士の数は年々増えており、飽和が予測されることや昇給しにくいといったネガティブな要素があるのは事実です。

しかし、今後高齢化が進めば、身体や健康に関するニーズが多様化していくことも十分に考えられます。そうしたなかで、理学療法士が担う役割はまだまだ数多くあるでしょう。

理学療法士にかぎらず、他の仕事でもポジティブな要素だけではないもの。「理学療法士として仕事をしたい」という気持ちを大切に、自分の道を切り開いていきましょう。

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rana(理学療法士)

総合病院やクリニックを中心に患者さんのリハビリに携わる。現在は整形外科に加え、訪問看護ステーションでも勤務。 腰痛や肩痛、歩行障害などを有する患者さんのリハビリに日々奮闘中。 業務をこなす傍らライターとしても活動し、健康、医療分野を中心に執筆実績多数。

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