「作業療法士はやめとけ」という理由とは?向いていない人の特徴と転職の選択肢・成功事例を紹介
公開日:2022.01.14 更新日:2025.09.05

文:かな(作業療法士)
作業療法士として働くなかで、「もう限界」「辞めたい」と感じたことはありませんか。理想と現実のギャップ、人間関係などに悩む人は少なくありません。
本記事では、現役作業療法士として「やめとけ」といわれる理由や向いていない人の特徴、転職を考える際のポイント、実際に転職した人の例まで紹介します。
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目次
作業療法士は「やめとけ」と言われる理由

作業療法士として働くなかで、「辞めたい」と感じる背景には、さまざまな要因があります。ここでは代表的な理由を紹介します。
人間関係や職場環境の悩み
医療・介護の現場では、多職種連携が求められる分、コミュニケーションにストレスを感じやすい環境でもあります。上司や看護師、他職種との意見の違いや連携の難しさに悩み、「向いていない」と感じる人も少なくありません。
特に医療・介護現場は緊急対応や突発的な業務変更が多く、予定通りに業務が進まないことも日常茶飯事です。これにより業務量が増え、同僚同士の協力体制が不十分な場合は一層ストレスを感じやすくなるでしょう。
給与・待遇への不満
厚生労働省の「令和6年賃金構造基本統計調査」によると、作業療法士の平均年収は約444万円とされていますが、実際にはこれを下回るケースもあります。
(※職種(小分類)別きまって支給する現金給与額、所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額(産業計)|企業規模10人以上)
(※理学療法士・言語聴覚士・視能訓練士を含むデータとなります)
また、リハビリ職は診療報酬により収入を得ており、なおかつ1日で取得できる単位数にも上限があるため、収入が伸びにくいのも仕方ないといえるでしょう。
このように勤務年数が増えても昇給がわずかだったり、昇進ポストが少なかったりすると、経済的な面で将来に不安を覚えるケースもあります。
また、地域や施設の運営方針によっても給与水準や賞与額は大きく異なります。
都待遇改善のために資格取得や役職を目指す選択肢もありますが、職場環境によっては昇給に直結しないことも多く、モチベーションの維持が難しくなります。
理想と現実のギャップ
「患者さんの生活を支える仕事」というやりがいを持って入職しても、実際は記録業務や報告書作成に追われる毎日だったり、思うようなアプローチができず制度や時間の制限に悩まされたりします。
理想との乖離が続くと、仕事そのものへの疑念が生まれやすくなるでしょう。
キャリアの伸び悩みや体力面の不安
作業療法士として経験を積んでも、次のステップが見えにくいと感じる人もいます。管理職や教育職、研究職などへのルートは限られており、キャリアの選択肢が狭いことに息苦しさを覚えることもあるでしょう。
また、職場によっては肉体労働が多い場合もあり、体力面で年齢を重ねたときに不安を覚える人もいるかもしれません。
作業療法士に向いていない人の特徴

誰にでも向き不向きはあるものです。作業療法士の仕事に適性があるかどうかを見極めることも、将来を考えるうえで重要な視点になります。
コミュニケーションや協調性に自信がない
作業療法士の仕事は、コミュニケーションなしには成立しません。患者さんとの関わりはもちろん、その家族とも適切に関わる必要があります。
また、リハビリに協力的な患者さんばかりではなく、うまく進められずストレスに感じる人もいます。さらに、他にもチーム医療の一員として他職種と連携することも大切です。
いずれにしても、自分の考えを整理して相手に伝える力や相手の意図を汲み取る力が求められるため、協調性に欠けるとストレスを感じやすくなります。
身体的・精神的な負担に弱い
訓練やADLの介助において、身体を使う場面も多く、腰や膝などに負担がかかることも少なくありません。職場によっては立ちっぱなしとなる場合もあるでしょう。
また、患者さんの回復が思わしくないときには精神的に負担を感じることもあります。体力やメンタルのタフさが必要です。
感情を引きずりやすい
作業療法士として働くうえで、感情のコントロールは非常に重要なスキルです。患者さんの容体が急変したり、リハビリが予定通り進まなかったりすることは往々としてあります。
患者さんからの厳しい言葉や拒否、同僚との意見の食い違いなどで強いストレスを感じることもあります。こうした場面で気持ちの切り替えができないと、精神的に疲弊しやすく、仕事を続けるのが難しくなる場合もあるでしょう。
短期的な成果を求めがち
リハビリは、明確な成果がすぐに現れる仕事ではなく、少しずつ積み重ねるなかで変化が生まれる仕事です。
そのため、すぐに達成感を求める、目に見える結果ばかりを重視する人は、やりがいを感じにくいかもしれません。
作業療法士を辞めたいとき考えること

「もう限界かも」と感じたとき、感情のままに辞めてしまうと後悔する可能性があります。まずは自分の現状や気持ちを客観的に整理し、冷静に次のステップを考えることが大切です。
悩みの本質を整理する
「本当に作業療法士の仕事が向いていないのか」「職場環境の問題なのか」など、自分のなかにあるモヤモヤの正体を掘り下げてみましょう。
環境を変えれば続けられそうなら別の職場を探す、職種自体に限界を感じているなら別業種へ転職するか独立する、といったように選ぶべき道は変わってきます。
自分の好きなことや得意なことを振り返る
これまでの経験を振り返り、「どんな業務が好きだったか」「どんなことが得意だったか」を書き出してみましょう。作業療法士としての経験は、医療・福祉以外でも活かせる可能性があります。
業界内でのキャリアチェンジを検討する
医療・福祉業界のなかで別の職種にチャレンジするのも1つです。
介護支援専門員(ケアマネジャー)や福祉用具専門相談員、心理職、訪問看護や教育現場など、関連職種への転職も可能です。現場を離れても、作業療法士としての経験は強みになるでしょう。
異業種への転職のポイントを押さえる
医療・福祉以外の異業種への転職では「なぜ転職したいのか」「これまでの経験がどう活かせるか」を言語化することが重要です。
自分では難しい場合、転職支援サービスを利用するのもおすすめです。キャリアの整理や適職診断にもつながるでしょう。
人材業界、IT、営業、教育分野などで活躍する元作業療法士も存在します。自分の経験が活きる求人を探してみましょう。
副業やパラレルキャリアも選択肢に入れる
すぐに退職するのではなく、副業や資格取得など「動きながら次を考える」という方法もあります。精神的な余裕や選択肢が広がり、自分のペースでキャリアを築ける可能性があります。
作業療法士から転職した人の事例3選

作業療法士から他職種へと転職する人は、少なくありません。ここでは作業療法士から別の道へ進んだ人のケースを紹介します。
【事例1】学校現場へ転職
養護教諭に転職した作業療法士もいます。
大卒の作業療法士であれば、大学の通信過程に入学して必要単位を取得する方法で養護教諭になることは可能です。座学は通信で受けられるため、働きながら学べます。
実習期間は仕事を休まざるを得ませんが、収入を維持しながら目指せることがメリットです。
ただし、通信課程は単位の取得ペースや課題提出など、スケジュールやタスク管理が欠かせません。そのため、計画的にコツコツ進められる能力が求められます。
また、養護教諭免許を取得できても、その後の採用試験をパスする必要があるため、計画性が必要です。
【事例2】パーソナルトレーナーへ転職
病院勤務からパーソナルトレーナーに転職した作業療法士もいます。
お客さん一人一人の身体と向き合うのは作業療法士と同じですが、診療報酬のような制限がないのが魅力的です。特に、スポーツが好きな人におすすめです。
【事例3】ライターやWEB系職種で独立
作業療法士として副業でライターの仕事をしながら、本業にして独立した人もいます。
作業療法士としての仕事が嫌いではないけれど、在宅での仕事や自由度の高い働き方を求める人もいるでしょう。
そのため、ライターに限らず他のWEB系の職種でフリーランスとして仕事をしている人も増えています。他にも、作業療法士としての経験を活かし、最初は副業としてSNSで発信し続けた結果、本業にした人もいます。
作業療法士ならではのエピソードや役に立つ情報などをうまく発信できる人に向いているでしょう。
作業療法士を辞めるか迷ったときの相談先
1人で悩みを抱え込むと、視野が狭まり、極端な選択に走りやすくなります。冷静な判断をするためには、信頼できる相談先を確保しましょう。
職場外の信頼できる人
上司や同僚に打ち明けるのが難しい場合は、同期や他施設で働く知人など、少し距離のある関係性の人の方が話しやすいこともあります。
転職を視野に入れているなら、職場の外の人、職場のOB・OGに相談するのも1つです。自分の話を遮らず、気持ちに寄り添ってくれる相手を選びましょう。
キャリアカウンセラーや転職エージェント
医療職専門のキャリア支援サービスを利用すれば、現場を理解したアドバイザーに相談できます。転職ありきではなく、「今後の働き方を一緒に考える」スタンスで相談に乗ってもらえるため、情報収集としての活用もおすすめです。
筆者も相談したことがありますが、今の職場で希望の働き方ができないか提案していただき、助かった経験があります。エージェントにもよりますが、無理に転職を勧められるわけではないので、今後も働き方に迷っているならひとまず相談してみるのもよいでしょう。
医療機関や産業医の相談窓口
疲れやすい、不眠が続く、気力が湧かないなどの不調が続いている場合、心療内科や産業医の相談窓口など、専門家のサポートを受けましょう。
複数の相談窓口を持っておくことで、精神的な支えが増え、冷静な判断をしやすくなるでしょう。
まとめ|働き方を見直すきっかけにしよう
「作業療法士を辞めたい」と感じる背景には、働くなかでのさまざまな葛藤や疲弊があります。それは決して弱さではなく、真剣に向き合ってきた証です。
今の職場に留まる選択も、転職して新しい道を歩む選択も、どちらも間違いではありません。
大切なのは、「自分がどう生きたいか」「どんな働き方が合っているか」を自分なりに見つめ直すことです。
もし作業療法士を辞める決断をしたとしても、そこで得た経験は次のステージに活かせます。無理をしたり焦ったりせず、自分の人生を大切にできる道を選びましょう。
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参考
e-stat|賃金構造基本統計調査
姫路大学|通信教育について

かな(作業療法士)
作業療法士/呼吸療法認定士・福祉住環境コーディネーター2級・がんのリハビリテーション研修修了
身体障害領域で15年以上勤務。特に維持期の患者さんの作業療法、退院支援に携わってきました。家では3人の子ども達に振り回されながら慌ただしい日々を送っています。趣味は読書とお菓子作り。

監修:酒井 康輔
作業療法士
作業療法士として2016年より勤務開始。訪問看護ステーション・急性期病院を経験。現在も病院で勤務しており、高齢者から小児まで幅広い年齢層のクライエントに対して作業療法を実践している。臨床業務の傍ら、自身の得た知識を一般の方に届けたいという想いから2021年よりWebライターとして活動を開始。ブログも運営している。
作業療法士という専門職は、人の生活を支えるやりがいが大きい一方で、現場特有のストレスや経済的な制約も存在します。
「辞めたい」と感じるのは決して珍しいことではなく、むしろ自分のキャリアを真剣に見つめ直している証です。
転職や副業も含め、いまの働き方を見直すことは決して後ろ向きではありません。大切なのは、自分の健康と生活を守りながら、納得できる道を選ぶことです。焦らず、相談できる人や機関を活用しながら、一歩ずつ進んでください。
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