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「作業療法士はやめとけ」に対して現役OTが伝えたいこと

公開日:2022.01.14 更新日:2022.07.22

「作業療法士はやめとけ」に対して現役OTが伝えたいこと

文:宮木 美智香
(作業療法士、福祉住環境コーディネーター)

みなさんは、「作業療法士」と聞いてどんな仕事をイメージしますか?

私が高校生だったころ、医療系進路のガイドブックには「作業療法士は”手工芸を通して体の不自由な方のリハビリをします”」と書かれていました。私は「楽しみながら体をよくするなんておもしろそう!」と思った記憶があります。

一方で「作業療法士協会」の統計によると、2021年9月1日現在、全国には104,286人の作業療法士の有資格者がいるようです。
参考:機関誌『日本作業療法士協会誌』|日本作業療法士協会

作業療法士も理学療法士と同様に飽和状態といわれていますが、現場では「リハビリをしたくてもできない“リハビリ難民”」が増えています。2018年の時点でその数はおよそ200万人以上といわれており、まだまだ作業療法士の需要はありそうです。

このような状況でも、果たして作業療法士にならないほうがよいのでしょうか、あるいはやめたほうがよいのでしょうか──。

この記事では現役作業療法士の筆者が「作業療法士をやめる人がいる理由」や「作業療法士の仕事の魅力」について解説します。

なぜ「やめとけ」?作業療法士をやめる人たちの理由

せっかく苦労して勉強して作業療法士になっても、作業療法士をやめてしまう人たちもいます。その理由はさまざまですが、主に次のような理由があると思います。

①給料や年収が低いと感じたため

2020年9月に発表された厚生労働省の『賃金構造基本統計調査』によると、理学療法士・作業療法士の平均月収は28万7,500円※、平均年収は409万6,400円(平均年齢33.3歳、平均勤続年数6.2年)です。
※:企業規模計(10人以上)/理学療法士、作業療法士の区分を参照/平均年齢33.3歳

年収 平均年齢 平均勤続年数
409.6万円 33.3歳 6.2年

※理学療法士・作業療法士全体は、男女の平均値
※決まって支給する現金給与額×12+年間賞与その他特別給与額
※作業療法士を含めた平均年収
参照:職種別第1表 職種別きまって支給する現金給与額、所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額(産業計)|令和元年賃金構造基本統計調査|厚生労働省

ちなみに同調査によると全産業の平均年収は487万円となっています。給料は働いている地域や経験年数などによって違いが出るため、上を見ればきりがありませんが、平均と比べた場合に少ないと感じることがやめる原因の1つかもしれません。

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②仕事量の多さとハードさ

もう1つ、仕事量も関係しているかもしれません。作業療法士の仕事には、対象者へのリハビリはもちろん、書類作成や新人教育、カンファレンスなどもあります。

病院で働く作業療法士の1日のスケジュール例をあげてみると、下記のような流れになります。

業務内容
8:30 出勤
8:45 朝礼
9:00 リハビリ業務
12:00 休憩 食事場面評価もあり
13:00 ミーティング、カンファレンス
13:30 リハビリ業務
17:00 終業

上記のスケジュールのなかでも、カルテ入力、転院サマリー作成、計画書作成、新人指導、学生指導、家族指導といった業務もあり、残業が多くなってしまうこともしばしばです。

また、勤務先によっては、委員会や課内での係などもあります。

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③理想と現実のギャップ

学生のころ、私は「作業療法士はリハビリをすればいい」と思っていましたし、「誰にでもスムーズにリハビリを行える」と思っていました。しかし、現実はそう甘くはありませんでした。

精神科や脳卒中の後遺症、認知症などの方々の症状は、心や頭の中の問題で生じる障害・症状のため、対象者自身がリハビリの必要性がわからないことも。そのため、リハビリをしたくてもリハビリがスムーズに行えないこともあります。

また、障害を受け入れられずに抑うつ傾向となり、リハビリが進まない方もいるのです。

④職場での人間関係の難しさ

作業療法士は、チームとなって対象者を支援していきます。そのため、看護師、医師、MSW(医療ソーシャルワーカー)などさまざまな職種の方とかかわりをもちます。

職種が多ければ多いほど刺激があり勉強になりますが、人によってはそれが精神的な負担となりストレスになることもあります。

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改めて考えたい作業療法士に向いている人、向いていない人とは?

「作業療法士はやめとけ」に対して現役OTが伝えたいこと
作業療法士は「対人援助職」といわれ、積極的に対象者の情報収集を行ったり、対象者支援のために情報を発信したりする必要があります。老人ホームなどの介護施設では、介護士に介助方法を指導することも多いです。

そのため、作業療法士は「どんな人とも分け隔てなくコミュニケーションをとれる人」が向いているといえるでしょう。逆に人と話すことが苦手な方、自分の考えや情報をシェアできない方はあまり向いていないかもしれません。

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作業療法士として働くことに悩んだら?14年目OTが仕事を続ける理由

私は作業療法士になって14年ほどたちます。14年間でさまざまな分野でたくさんの方々のリハビリを行ってきました。対象者の方にリハビリを拒否されたり、担当変更をお願いされたり、なかなかうまくいかないことも数多くありました。

それでもやはり、私は作業療法が大好きでとても楽しいです。その理由を考えてみると、大きく3つの理由が思い浮かびます。

①作業療法士は「働く場所」の選択肢が多い

作業療法士は病院、老健、訪問リハ、精神科、デイと働く場所の選択肢が多いのが特徴です。そして作業療法の定義は、次のとおりとなります。

作業療法は、人々の健康と幸福を促進するために、医療、保健、福祉、教育、職業などの領域で行われる、作業に焦点を当てた治療、指導、援助である。作業とは、対象となる人々にとって目的や価値を持つ生活行為を指す。

引用元:日本作業療法士協会 作業療法の定義|日本作業療法士協会

つまり、人の生活そのものが作業療法であって、作業療法士が活躍できる場所はたくさんあるのです。

たとえば、作業療法士は次のようなところで働くことができます。

病院 急性期、回復期、療養型、クリニックなど
高齢者施設 介護老人保健施設、特別養護老人ホーム、グループホームなど
地域 訪問看護、訪問リハビリ、デイサービス、デイケアなど
行政系 保健所、市町村保健センター、 地域包括支援センターなど
教育・研究 教育養成施設、研究施設、特別支援学校など
その他 補装具作成施設、一般企業、職業センターなど

私は作業療法士の免許取得後、療養型病院で勤務していました(後に、回復期を併設し、系列の急性期病院でも働きました)。その後、総合病院で経験を積み、さらに訪問リハビリやクリニック、有料老人ホームでの勤務も経験しています。

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②作業療法をとおして、その人らしさを知ることができる

作業療法士の仕事の魅力の2つ目は「対象者のその人らしさを知ることができる点」にあると思います。

施設や地域での作業療法では、対象者の実際の生活の場でリハビリをするため、生活リハビリや機能訓練のほか、余暇活動を行うこともあります。

余暇活動とは、散歩をしたり料理をしたり手芸をしたりと、人生の活力源となる活動のことです。そのため、一見遊んでいるように思われがちですが、余暇活動を一緒に行うことで、「こういうことに生きがいを感じるんだ」と知ることができ、その人らしさを知ることができるのです。

③元気になった姿を見るのがうれしい

3つ目は、なんといっても、対象者が元気になった姿を見たときのうれしさにあると思います。

今まで普通の生活をしていた人が突然、体が動かなくなり、頭も機能しなくなります。対象者はつらく悲しい日々の連続です。

それでも少しずつ回復し、意欲を取り戻し、数か月、数年後には、また元の生活に近い状態に戻っています。そんな姿を見ることができたときには、なんとも言えない、うれしい気持ちになるのです。

対象者の人生に寄り添ってリアルに人生を見ることができる喜び

作業療法士は、リハビリだけでなく、その他の業務もたくさんあり大変な仕事であることに間違いありません。それでも、多くの職種の方々から学ぶこともたくさんあり、自分にはない視点を数多くもつことができます。

これまでの経験を活かして対象者の回復、喜びを共有でき、さらに対象者の姿をリアルに見たり感じたり、人生に寄り添うことができる仕事でもあるのです。

筆者は作業療法士になってすでに14年経ちますが、そんな作業療法の仕事が今も大好きで仕方ありません。

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宮木 美智香

宮木 美智香

作業療法士/福祉住環境コーディネーター
2006年、一度作業療法士の国試に落ちるも、2007年には合格。一般病院を経て、訪問リハビリやデイサービス、有料老人ホームなどで勤務している。

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