【必見】手根骨の覚え方!理学療法士が知っておくべき解剖学的特徴についても解説
公開日:2023.05.15
文:rana(理学療法士)
理学療法士を目指すなら、必ず知っておくべき解剖学知識の1つに「手根骨」があります。手根骨は手関節にある骨の総称で、8つの種類から構成され、それぞれ異なる特徴を持っています。
手根骨それぞれの配置は暗記で覚えるしかないため、苦渋している養成校生も多いのではないでしょうか。
今回は、手根骨の覚え方について、よくある語呂合わせやそれぞれの解剖学的特徴について解説します。テストや国家試験対策としてお役立てください。
手根骨とは?
手根骨とは、手関節にある靭帯で結合された8つの骨の総称をいいます。末梢側にある4つの骨を「遠位手根骨列」といい、有鈎骨・有頭骨・小菱形骨・大菱形骨から構成されます。遠位手根骨より近位にある4つの骨を「近位手根骨列」といい、豆状骨・三角骨・月状骨・舟状骨から構成されます。
手根骨は国家試験において、それぞれの配置や関節を構成されている骨について問われる傾向があります。そのため、手根骨の位置を頭でイメージして覚えておく必要があり、多くの学生が丸暗記していることでしょう。
暗記には、さまざまな方法がありますが、語呂合わせで覚えておくと試験には有効です。具体的にどのような語呂合わせがあるのか、筆者の経験を基に紹介しましょう。
手根骨の配置の覚え方
筆者が実際に今でも使用している語呂合わせを紹介します。
近位手根骨を尺側からみて、「父(豆状骨)さん(三角骨)月(月状骨)収(舟状骨)」
遠位手根骨を尺側からみて、「こ(有鈎骨)と(有頭骨)し(小菱形骨)だ(大菱形骨)」
になります。
意味のない文章ですが、短文なので、復唱しやすいのがメリットです。養成校時代にこの語呂合わせで覚えてから、現在まで10年以上にわたり活用しています。
覚えにくい方のために、他の語呂合わせも紹介しましょう。
近位手根骨を橈側からみて、「船に乗って(舟状骨)月をみれば(月状骨)三角の(三角骨)豆(豆状骨)」
遠位手根骨を橈側からみて、「大小(大菱形骨)(小菱形骨)頭に(有頭骨)鈎かけた(有鈎骨)」
「父さん月収、大小ありがとう。有効に使うよ」
近位手根骨を尺側からみて、「父(豆状骨)さん(三角骨)月(月状骨)収(舟状骨)」
遠位手根骨を橈側からみて、「大(大菱形骨)小(小菱形骨)、ありがとう。(有頭骨)有効(有鈎骨)に使うよ」
どの語呂合わせが覚えやすいかは人によって違うかと思います。上記を参考に、使いやすいものを選んでみましょう。
手根骨の解剖学的特徴と臨床との接点
国家試験において、手根骨はそれぞれの配置と相互的な関連性が問われます。また、実際の臨床では、各手根骨の解剖学的特徴を理解しておくことが重要です。それぞれの解剖学的特徴と臨床との接点について解説します。
豆状骨(とうじょうこつ)
豆状骨は、三角骨の掌側に位置し、尺側手根屈筋が停止部、小指外転筋の起始部として機能します。他の7つの手根骨とは違い、手関節の運動には直接的に関与しません。
三角骨(さんかくこつ)
三角骨は、豆状骨の背側にあります。三角骨に起始停止する筋肉はありませんが、手関節の背屈、掌屈、橈屈、尺屈の際に関節副運動が生じます。
月状骨(げつじょうこつ)
月状骨は、舟状骨と三角骨に挟まれる位置にあり、筋肉の起始停止はありません。
手関節の運動の際、月状骨自身での運動開始はできず、必ず舟状骨と三角骨の動きが先に生じてから動くのが特徴です。
舟状骨(しゅうじょうこつ)
舟状骨は、橈骨手根関節を構成する骨で、短母指外転筋が起始します。
舟状骨骨折は、手根骨骨折のなかでも頻度の高い骨折といわれています。
手関節の背屈、掌屈、橈屈、尺屈の際に関節副運動が生じ、手関節運動を司るkey boneとされているのが特徴です。
有鈎骨(ゆうこうこつ)
有鈎骨は、近位で三角骨と手根中央関節の一部を形成し、遠位では環指、小指中手骨と手根中手関節を形成します。
有頭骨(ゆうとうこつ)
有頭骨は、遠位手根骨を構成する骨で、橈側では小菱形骨と、尺側では有鈎骨と接します。
有頭骨単独の骨折は稀であり、一般的に舟状骨骨折や月状骨骨折と合併することが多いとされています。
小菱形骨(しょうりょうけいこつ)
小菱形骨は、遠位手根骨を構成する骨で、橈側の大菱形骨と尺側の有頭骨によって挟まれます。
小菱形骨骨折になると解剖学的に徒手整復はほとんど不可能とされ、観血的整復が行われることが多いとされています。
大菱形骨(だいりょうけいこつ)
大菱形骨は、遠位手根骨を構成する骨で、最も橈側に位置します。大菱形骨と第一中手骨から鞍関節が形成され、屈曲と伸展、内転と外転が可能となっています。
手根骨は配置だけでなく、解剖学的特徴も捉えて覚えよう
国家試験において手根骨は、配置と相互的な関連性が問われることがほとんどです。紹介したように、語呂合わせで覚えるのと、実際の骨のイメージを頭に入れておくことが大切です。
また、実際の臨床においては、手関節骨折後のリハビリで手根骨の解剖学的知識が求められることが多いでしょう。
その際には配置だけでなく、運動学的特徴や疾患との関連を知っておくことが重要です。理学療法士を目指すなら、語呂で覚えるだけではなく解剖学的・運動学的に捉えられるようにしておきましょう。
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rana(理学療法士)
総合病院やクリニックを中心に患者さんのリハビリに携わる。現在は整形外科に加え、訪問看護ステーションでも勤務。 腰痛や肩痛、歩行障害などを有する患者さんのリハビリに日々奮闘中。 業務をこなす傍らライターとしても活動し、健康、医療分野を中心に執筆実績多数。
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