理学療法士の実習生に対するパワーハラスメント事件と自殺の責任は?
公開日:2019.08.26 更新日:2021.10.29
こんにちは。
弁護士の中沢信介です。「何から書いたらいいのかな。一年前のあの時、やらなかった事。結局一年前と同じところに戻ってきた。一年間ずっと忘れられなかった、 周囲に助けられて生きてきたけど、 最後はやっぱりこうなるって思っていた。本当にもう無理。情けない自分とこれ以上向き合えません。もう終らせたい。本当に自分勝手ですい(原文ママ)ません。」
これは、理学療法士の実習生がパワーハラスメントに耐えきれず自殺した際に残した遺書です。
昨今、パワハラが社会問題として世間を騒がせていることから、今回の講義では、理学療法士の実習生に対するパワハラ判例を取り上げたいと思います。以下で取り上げる裁判例は大阪地方裁判所で下された判決ですが、その後高等裁判所で和解となっています。また現在では、理学療法士の実習も見直されてきています。それでも、どのような場合にパワハラが認められるのかを勉強するのは有益だと思いますので、今回取り上げることにしました。それでは、中身を見ていくことにしましょう。
弁護士の中沢信介です。「何から書いたらいいのかな。一年前のあの時、やらなかった事。結局一年前と同じところに戻ってきた。一年間ずっと忘れられなかった、 周囲に助けられて生きてきたけど、 最後はやっぱりこうなるって思っていた。本当にもう無理。情けない自分とこれ以上向き合えません。もう終らせたい。本当に自分勝手ですい(原文ママ)ません。」
これは、理学療法士の実習生がパワーハラスメントに耐えきれず自殺した際に残した遺書です。
昨今、パワハラが社会問題として世間を騒がせていることから、今回の講義では、理学療法士の実習生に対するパワハラ判例を取り上げたいと思います。以下で取り上げる裁判例は大阪地方裁判所で下された判決ですが、その後高等裁判所で和解となっています。また現在では、理学療法士の実習も見直されてきています。それでも、どのような場合にパワハラが認められるのかを勉強するのは有益だと思いますので、今回取り上げることにしました。それでは、中身を見ていくことにしましょう。
質問 「理学療法士が職場でどのような指導をするとパワハラになるのでしょうか?」
- A次郎さん
- 私も理学療法士として働き始め10 年目で実習生の指導を行うことが出てきました。実習生とか、あと、後輩を指導するにあたって、どのような指導をするとパワハラになってしまうのでしょうか。
- 中沢弁護士
- 非常に重要なことですね。昨今の働き方改革を見てもわかる通り、働きやすい職場環境は重要です。自分がパワハラをしないよう、また、パワハラの被害に遭わないよう、しっかりと勉強していきましょう。
ところで、パワハラの定義はわかりますか? - A次郎さん
- パワーハラスメントなんで、上司が部下に対し権力を用いて圧力をかけることとかですかね……。
- 中沢弁護士
- 同僚・部下からのパワハラもありますが、だいたいそのようなイメージでいいと思います。厚生労働省は、パワーハラスメントを、「同じ職場で働く者に対して、職務上の地位や人間関係などの職場内での優位性を背景に、業務の適正な範囲を超えて、精神的・身体的苦痛を与える又は職場環境を悪化させる行為」と定義づけています。これを参考にして以下の事案を見ていきましょう。
判例の事案
- 中沢弁護士
- 今回紹介する裁判例は平成30年6月28日、大阪地方裁判所で下された判決です。
当時39歳の男性Xさんが、理学療法士の養成校の3年生の時に実習に行きました。 - A次郎さん
- 懐かしいです。私も実習に行きました。
- 中沢弁護士
- その実習先が比較的厳しい指導をするところだったということもあり、実習の折り返し地点くらいになって、Xさんが自殺してしまったという事件です。
- A次郎さん
- Xさんはどのような学生だったのですか。
- 中沢弁護士
- Xさんは社会人経験があり、奥様もいらっしゃいました。1、2年生のころは勉強熱心で成績も優秀でしたが、3年生の実習Ⅲ(実習)で単位を落としてしまいました。
- A次郎さん
- なにかあったのですか。
- 中沢弁護士
- この実習は、Xさんが自殺する1年前の実習です。実習中、スーパーバイザー(指導担当)から担当患者についてのレポートやレジュメに改善すべき点があることを指摘されたのですが、改善できず、夜も仮眠程度でレポートの修正を行っていましたが、それでも改善できなかったようです。
- A次郎さん
- なかなか書けないとき、たまにありますよね。
- 中沢弁護士
- Xさんは、結局改善できないまま、朝方、自宅を出たのですが、公園で立ち止まり、上記の経緯を考えていたら実習の開始時間を過ぎてしまい、そのころから記憶があいまいとなり、3日程度失踪してしまったというわけです。これが1度目の実習です。
- A次郎さん
- まじめで責任感が強く、社会人経験があって、既に家庭を持っていたこともあり、失敗したらあとがないと追い込まれていたのでしょうね。
- 中沢弁護士
- Xさんは、この後、義父とともに上記経緯を養成校に謝罪しました。そして、留年をした上で、次年度に再度実習を受け卒業を目指すことになりました。これが2度目の実習です。
そして、翌年11月5日に実習が始まりました。実習の具体的な事情については、主に判断の項で述べますね。
争点
- 中沢弁護士
- さて、裁判では、Xさんのご遺族が、スーパーバイザーYさんの勤務する実習先を訴えました。
- A次郎さん
- どのようなことが問題となるのですか。
- 中沢弁護士
- 今回も安全配慮義務違反の有無が重要な問題となりました。
- A次郎さん
- 施設利用者との関係で問題となっていた争点が、今回の場合も問題となるのですか。
- 中沢弁護士
- Xさんは実習生です。実習先は、Xさんが、安全に実習を行えるよう配慮する法的な義務があると今回の裁判では判断されています。
- A次郎さん
- 実習生を受け入れるわけですから、しっかりと実習を受けさせてあげる必要がありますね。
- 中沢弁護士
- 裁判では、色々なことが争いとなったのですが、指導を行う立場のA次郎さんにとって重要となる点を見ていくことにしましょう。
具体的には、次に述べるYさんのそれぞれの行為及び長時間に亘る実習時間が安全配慮義務に違反するのか(1から6)、違反するとして、自殺という結果の責任をYさんが負うのか(7)という点に絞って見ていきたいと思います。
そして、1から5の争点は法的な厳密性を捨象して、分かりやすく言うと、Yさんの行為がパワハラにあたるのかという点を判断したと思ってもらえばいいと思います。1 11月12日の実習生に痛覚検査を中止させた行為
2 11月13日の症例日誌の不記載を実習生に問い質した行為
3 11月15日のスーパーバイザーが「帰れ。」などと言った行為
4 11月27日のスーパーバイザーが他院への謝罪を指示した行為
5 11月28日の実習生の症例発表資料の不備をスーパーバイザーが指摘した行為
6 実習時間(残業時間)
7 実習生死亡の責任
判断
- A次郎さん
- 安全配慮義務に違反するかどうかというのはどのように判断されるのですか。
- 中沢弁護士
- 争点の1から5で安全配慮義務違反かを判断するにあたって重要な要素となるのは、Yさんの行為が、Xさんに対し、一方的に威圧感や恐怖心、屈辱感、不安感等の過度に心理的負荷を与えるものかどうかという点です。この観点から、以下の判断を見ていきましょう。
1.11月12日の実習生に痛覚検査を中止させた行為
- 中沢弁護士
- Xさんは、年度初めから、比較的厳しい実習先に割り振られたことを不安に思っていました。11月5日に実習が開始し、その数日後には、同級生に実習が楽しくないなどとメールを送っていました。
- A次郎さん
- Xさんは、昨年、1度目の実習で失踪し単位を落とし、更に今回厳しい実習先だったことなどから緊張していたのでしょうね。
- 中沢弁護士
- そんな中、実習開始7日後の11月12日、XさんはYさんから担当患者に痛覚検査を実施するよう指示されました。Xさんは、まず左右への感覚の入力の有無をみて、その後左右の強弱を調べていたところ、Yさんから、「何をしているのか。」と尋ねられました。Xさんがその旨の説明を始めたところ、Yさんはその説明を途中で遮り、「意味がないから中止。」と述べて、検査を中止させました。
- A次郎さん
- 患者さんを前にしているのに、その場で中止させてしまったのですか。
- 中沢弁護士
- そうですね。このあとYさんは、Xさんに再度説明を求めました。Xさんが、最終的に左右の強弱を比較することを伝えたところ、Yさんは、「それならそうと言えばいい。要点を伝えないと分からない。」と言いました。
- A次郎さん
- Yさんも、最後まで話を聞いてあげればよかったのに…… 。
- 中沢弁護士
- 裁判所も、この点は、安全配慮義務違反があると認定しました。
Yさんの行為は、Xさんに、一方的に不安感や屈辱感を与えるものであって、過度に心理的負荷を与える行為だと認定しました。 - A次郎さん
- ところで、Xさんは検査方法を間違えていたのではないですか。
- 中沢弁護士
- 裁判所は検査方法を実際に間違えていたかを問題としていません。間違えていたとしても、一方的に不安感や屈辱感を与える行為をしたのであれば、それは安全配慮義務に違反していると認定しています。
- A次郎さん
- やはり大勢の前でむやみにしかりつけるのは問題なんですね。
- 中沢弁護士
- 程度問題もあると思いますが、原則としてはよくないでしょう。
2.11月13日の症例日誌の不記載を実習生に問い質した行為
- 中沢弁護士
- 痛覚検査を中止された翌日、Xさんは、検査が中止になったので、症例日誌の担当患者の考察欄に何も記載をしませんでした。
- A次郎さん
- そうなんですか。自分が実習生だったらどうしたかな…。
- 中沢弁護士
- これに対し、 Yさんは、「これはボイコットしているのと一緒。今日はもう診せたくない。帰るか。」と実習先からの退出を促してしまいました。
- A次郎さん
- 指導するYさんの立場としては、中止からも学べることはあるので、何も記載していないのは気になるかもしれません。ただ、Yさんのボイコットとか、帰るかというのは少しきつい気がしますね。
- 中沢弁護士
- Xさんは、そのあと、Yさんに謝罪しました。Yさんは、「次やったら終了。」とXさんに伝えました。
- A次郎さん
- やはりYさんの言葉は少しきつい感じがします。Xさんは一回留年していて、今回は背水の陣で臨んでいることでしょうから、実習終了をちらつかせられると精神的にはきついでしょうね。
- 中沢弁護士
- 裁判所も、Yさんのこの行為は、Xさんに対し、一方的に威圧感や恐怖心、屈辱感、不安感等の過度に心理的負荷を与えるものであるとし、安全配慮義務に違反していると認定しています。
3.11月15日のスーパーバイザーが「帰れ。」などといった行為
- 中沢弁護士
- 11月14日なのですが、Xさんの担当の患者が来ませんでした。
- A次郎さん
- そうすると症例日誌の記載が心配ですね。
- 中沢弁護士
- やはりXさんはその日の該当欄には何も記載をしなかったようです。それでYさんはまた「診ていなければ出さなくていいのか。」とXさんを叱責しました。これに対し、Xさんが返答に窮していると、「無視するのか。」とさらにXさんを責めてしまいました。
- A次郎さん
- また、少し言い過ぎの感じがでてきましたね。
- 中沢弁護士
- Xさんは、謝罪をしたのですが、Yさんは今回謝罪を受け入れず、帰れと強い口調でXさんに言いました。これを受け、Xさんは、実習用の白衣を着たまま実習先を飛び出してしまいました。
- A次郎さん
- Xさんは、もうかなり追い詰められていそうですね。
- 中沢弁護士
- Yさんも冷静さを欠いているのかもしれませんね。
Yさんは、Xさんに対し、無視するのかと問い詰めていますが、叱責しているスーパーバイザーを無視する実習生などいるわけないのに、無視するのかなどと詰め寄るのは、やりすぎだと裁判所は判断しています。 - A次郎さん
- ごもっともですね。実習としての指導の域を出ている感じがします。
- 中沢弁護士
- 裁判所は、この点も、Xさんを無意味に困惑させ、Xさんに一方的かつ執拗に威圧感や恐怖心、屈辱感、不安感を与え、過度に心理的負荷を与えるものであって、本件実習における指導の範囲とは評価し得ないとして、安全配慮義務違反を認定しています。
4.11月27日のスーパーバイザーが他院への謝罪を指示した行為
- 中沢弁護士
- Xさんは、11月27日、Yさんから、10分後に実習先に隣接する接骨院で受診予定のある担当患者について、6分間歩行検査を行うよう指示されました。
- A次郎さん
- ああ、私もやりました、歩行検査。
- 中沢弁護士
- ただ、戻ってくるまでに15分程度かかってしまい、接骨院のスタッフを含め辺りを探しまわる事態になってしまいました。
- A次郎さん
- それは結構な騒動ですね。
- 中沢弁護士
- 時間がかかっただけで、何か大きな事故などはなかったのですが、これを受け、Yさんは、Xさんに「何してたんや?みんな探してたんやで。」「接骨院のスタッフも探し回ってくれてたから、一言謝っとき。」と伝えました。
- A次郎さん
- 実際に騒動になってしまい迷惑をかけた以上は、一言謝っておくことは必要だと思いますね。
- 中沢弁護士
- そうですね。Xさんの遺族はこの点も安全配慮義務に違反するとの主張をしましたが、裁判所はこの点は、義務違反はないと認定しました。
5.11月28日の症例発表資料の不備をスーパーバイザーが指摘した行為
- 中沢弁護士
- Xさんは、延期となっていた症例発表日の当日、Yさんから資料ができたかどうか尋ねられたところ、資料はできたもののその修正用データ等を忘れてしまいましたと伝えました。これに対し、Yさんは、Xさんが持参した資料を確認し、検査内容や評価内容を多めに書くこと、歩行の重要性の記載が不足していることなどを指摘しました。
- A次郎さん
- これも通常の指摘ですね。
- 中沢弁護士
- Xさんの遺族はこの点も安全配慮義務に違反しているとして争いましたが、やはり、裁判所は、通常の指導の範囲であると認定しました。
- A次郎さん
- 私の感覚とも合致する気がします。自分がやりすぎかなって思ったときは安全配慮義務違反と判断されていますね。
- 中沢弁護士
- だんだん法律の感覚というのが身についてきているのだと思います。この出来事自体は、安全配慮義務に違反しているわけではないと認定されましたが、この後Xさんは、実習先を出て、自殺しました。
6.実習時間(残業時間)
- 中沢弁護士
- また、少しこの点だけ毛色が違うのですが、Xさんの実習時間も問題となりました。
- A次郎さん
- 厚生労働省が臨床実習における学習時間を制限している話ですかね。
- 中沢弁護士
- そうです。「1単位を45時間の実習をもって構成することとし、実習時間の3分の2以上は病院又は診療所において行うこと。」と指導要領で定めています。
- A次郎さん
- 厳密に守っているところは、あまりない気がします。
- 中沢弁護士
- 今回は、少しオーバーというのではなく、大幅に守られていませんでした。実習時間が月曜日から土曜日で42時間、それ以外に、Xさんは、日曜日を含め、1日平均4時間(週28時間)の症例日誌等のデータファイル作成を行っていました。
- A次郎さん
- 週70時間…。土日含めて、一日平均10時間ですか。確かに結構なボリュームですね。
- 中沢弁護士
- こういった指導要領が存在するのは、実習生の負担、疲労感を考慮し、健康を損なうことがないよう配慮するためです。
- A次郎さん
- 単なる守らなければならない数字というわけではなく、それを守ることで、実習生の健康という一番大事なものを守ろうとしているのですね。
- 中沢弁護士
- 結果として、指導要領をを大幅に超える実習を行わせてしまっていた指導は、安全配慮義務に違反すると認められました。
7.実習生死亡の責任
- A次郎さん
- Yさんによるきつい指導などがあったことは認識できたのですが、みんなが自殺したりするわけではないですよね。
- 中沢弁護士
- その通りです。そこで、検討しなければいけないのが、Yさんの指導や実習時間が多かったことが自殺の原因と認定でき、さらにYさんが責任を負うのかという点です。
- A次郎さん
- Yさんの指導で安全配慮義務違反と認定された点は、Xさんにとって色々と精神的にしんどかったでしょうね。
- 中沢弁護士
- Xさんの奥様は、日に日に憔悴するXさんを見ていたそうです。時にはXさんに話しかけてもなかなか話ができなかったりするほどでした。また、Xさんは、ストレスから背中の痛みを訴えることもあったようです。
そんな中、また、症例発表の資料の作成がうまくいきませんでした。1年前と似た状況になってしまいました。一度は延期してもらえましたが、再設定してもらった発表日当日になっても、未完成のままで、さらに当日にも症例発表の資料の再検討を指示されてしまったことが、自殺の原因だと裁判所は認定しました。 - A次郎さん
- 色々なことの蓄積が大きかったのでしょう。
- 中沢弁護士
- 自殺の原因がYさんの行為の蓄積にあるとしても、今回は、直接暴力をふるって、人を死亡させた場合と異なるため、結果の責任をYさんに負わせてよいのかという点がさらに問題となりました。その際、検討されるのが、Xさんが死亡する予見可能性があったかという点ですね。
- A次郎さん
- 前回も予見可能性の議論はありましたね。
- 中沢弁護士
- その通りです。Yさんが、Yさん自身の行為や長時間にわたる実習によって、自殺することを予見できないようであれば、Xさんの自殺の結果をYさんの責任にはできません。
- A次郎さん
- 前回までと同様であれば、事件前の重要な行動を確認するんですよね。
- 中沢弁護士
- そうですね。今回、重要なのは2つです。さてどのポイントでしょうか。
- A次郎さん
- 直前という意味では、11月28日ですかね。
白衣のまま勢いよく実習先を出ていくというのは結構異常事態が発生したなと感じます。Xさんにとって、色々なプレッシャーとかが積み重なっていき、いよいよ耐えきれなくなったのかなと。 - 中沢弁護士
- その点は正解です。もう一つはどこでしょうか。
- A次郎さん
- もう一つは…。
- 中沢弁護士
- 去年の実習での失踪です。その事実があると、11月28日のXさんの飛び出しが自殺の結果を予見するということにつながります。そのような事実がない人物がただ研修先を飛び出したというだけだと、怒ってとか、不貞腐れてと取れなくもないと思います。その場合、飛び出したことだけでは、Xさんが自殺することを予見しづらいことになります。
- A次郎さん
- なるほど。その二つが合わさるとあんまり追い込みすぎるとXさんが自殺してしまう危険性があるなというのがわかってきますね。
- 中沢弁護士
- そうです。だから、裁判所としても、YさんにXさんの自殺の法的責任を認め、6100万円の支払いを命じました。この件は、最初に伝えましたが、その後高等裁判所に控訴され、和解になっています。
- A次郎さん
- 今回の判例から学べることはありますか。
- 中沢弁護士
- 指導を担当する場合には、行き過ぎた指導をしないようにというのは、この裁判例を見ても明らかです。また、実習生自身もこの裁判例のような状況になったら、養成校の指導担当または他の人を通じて助けを求めることが重要だと思います。
- A次郎さん
- わかりました。ありがとうございました。
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中沢信介 弁護士
弁護士。1984年生まれ。2013年弁護士登録。
明治大学経営学部会計学科卒業後に弁護士になることを決意。明治大学法科大学院修了。法教育にも力を入れており年間十数件程度の小・中学校や高校を訪問している。
多数の医療関係の法人の顧問も務め、病院の第三者委員会の委員としての経験も有している。
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