緩和ケアにどう活かす? 補完代替療法の意義とは
公開日:2015.10.12 更新日:2015.10.21
がん治療に伴う身体的、精神的な苦痛を和らげる緩和ケアにおいて、補完代替療法は治療を補完するものとして認知されています。実際の治療に加えて、リラクゼーション効果のある療法を取り入れることで、患者さんのQOLを高めるのが目的です。有効性が証明できるエビデンスは少ないものの、心のケアとして実際に取り入れている病院も少なくありません。今回は、緩和ケアで取り入れやすい補完代替療法について紹介します。
緩和ケアとして代替医療を取り入れる意義
代替医療とは、現代西洋医学の領域において検証や臨床に用いられていない、健康法や医療体系の総称です。治療を補完する効果が期待できるため、補完代替療法とも呼ばれています。通常、一般の病院が行うことはほとんどありませんが、近年では患者さんが代替療法を求めるケースが増えているようです。
実際に行われている代替医療を例に挙げてみましょう。たとえば、アロマテラピーやカラーセラピーは、病気や治療に対する患者さんの不安を軽減し、気持ちを楽にできるものとして取り入れやすい療法です。趣味やリラクゼーションとしてもポピュラーなもので、患者さんが抵抗なく受け入れられるメリットもあります。そのほか、足裏をマッサージするようなリフレクソロジーやアニマルセラピーなど、さまざまな療法が注目されています。患者さんに安らぎを与えることができるのであれば、エビデンスの有無にかかわらず、大きな意味があるのではないでしょうか。
音楽療法
緩和ケアを行う病院で多く取り入れられているのが、音楽療法です。実際に音楽を聴くだけでなく、楽器を演奏したり、音に合わせてリズムをとったりして楽しむものです。音楽を通してリラックスしたり、練習にやりがいを感じたりと、音楽が患者さんの心の糧となることに重きが置かれます。また、楽器を扱うことで作業療法の一部としても取り入れやすく、脳への刺激にもなるため、さまざまな効果が期待されるものです。
患者さんが楽しめる音楽療法の取り入れ方とは?
音楽療法では、患者さんの嗜好(しこう)や能力に応じた楽曲を提供することが大切です。患者さんの年齢や好みに合わせた楽曲を用意することで、より興味や目的を持てるようになるでしょう。グループで行えば、音楽を通してコミュニケーションを行う機会も増えてきます。治療によって不安を感じていた患者さんが、コミュニケーションを通して孤独感を緩和させ、笑顔になるきっかけを作れるのです。患者さんにやりがいや生きがいを感じてもらえるよう、状況に応じて難易度を調整し、無理のない治療を提供するのがポイントです。発表会の場を持つことができれば、それに向けて練習にも熱が入り、患者さんの意欲はさらに高まるでしょう。
タッピング・タッチ
震災以降、各地で広がったタッピング・タッチは、年齢やスキルなどを問わず、誰でもできる健康法です。指先の腹を使い、かるく弾ませるように他者の身体にタッチする技法で、不安を解消し、リラクゼーションをもたらす効果が期待されます。施術を行う資格も発行されていますが、深く学ばなくても簡単にできるため、取り入れやすいと感じるセラピストが多いようです。患者さん同士の親密度を高めたいときにもおすすめです。心理的効果だけでなく、血行促進やセロトニン神経の活性化などの身体的効果、コミュニケーション促進効果が得られるといわれています。
タッピング・タッチの効果的な取り入れ方とは?
タッピング・タッチは、患者さんと初めて対面するときにも効果的に活用できます。タッピングによって患者さんの緊張をほぐすきっかけになり、リラクゼーション効果でスムーズに治療を進められます。グループワークのアイスブレーキングとしてもよく使われています。一対一でも、グループでも取り入れやすい手法です。
患者さんに合わせた方法を取り入れよう
世間からもじわじわと注目を集め、その効果を実感する声が多い補完代替療法。緩和ケアとして使えるさまざまな方法を学び、患者さんの症状やニーズに合ったものを選びたいものです。患者さんの気持ちに寄り添いながら上手に活用していきましょう。
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