理学療法士の初任給はいくら?就職先での違いと年収アップのポイント
公開日:2021.05.26 更新日:2021.05.28
文:rana(理学療法士)
理学療法士が就職先を検討する際、「給料はいくらもらえるのだろう」、「将来的に基本給が増えるのだろうか」といった疑問を持つ人も多いかもしれません。
今回は新卒理学療法士の初任給事情について詳しく解説するとともに、将来性や収入アップのポイントについてお伝えします。
理学療法士の初任給の平均は約23万円
理学療法士の初任給の相場は、一般の社会人と比べてどのくらいになるのでしょうか。
厚生労働省が発表する「賃金構造基本統計調査(令和元年)」を参考に、理学療法士と一般社会人の給与を比較してみましょう。
20~24歳の 所定内給与額※1 |
20~24歳の 平均年収※2 |
|
---|---|---|
理学療法士(男)※3 | 22.98万円 | 279万6500円 |
理学療法士(女)※3 | 22.79万円 | 276万1700円 |
一般 高校卒 | 19.41万円 | 236万100円 |
一般 大学・院卒 | 22.32万円 | 270万6000円 |
※1:経験年数0年目
※2:経験年数0年目かつ20~24歳の「所定内給与額」12カ月分を乗算し、「年間賞与その他の特別給与額」と合算したもの
※3:理学療法士と作業療法士の合算項目
このデータによると20~24歳の理学療法士が初年度に受け取る平均年収は約280万円、初任給は約23万円となります。同資料における一般社会人の学歴別のデータと比較すると、優遇されているといえるでしょう。
理学療法士の初任給は施設形態で変わる
理学療法士の勤務先には、病院や介護施設、クリニックなどがあり、初任給の設定は職場によって異なります。同じような規模の病院を比較しても、条件によって異なるため、それぞれ比較して確認すると良いでしょう。
全体の傾向として、病院と比べて整形クリニックの方が基本給を高めに設定している職場が多いです。ただし、福利厚生の面では、病院の方が充実している傾向にあります。また、歩合制を導入している訪問リハビリ事業所では、がんばり次第で収入アップが期待できます。しかし、その分、初任給は低めに設定されている傾向にあります。
給料は勤務地によっても差が出る
厚生労働省が発表した「労働統計年報(平成29年)」を見ると、医療・福祉従事者の平均給与額は、地域によって差があることがわかります。
就職先や転職先を探す際に、収入を重視したい場合は広い範囲で給料の比較をしてみましょう。
給料の高い職場を見極める方法として、次の3つのポイントを参考にしてください。
1.基本給だけでなく、賞与や手当もチェック
職場を選ぶ際には、まず基本給に目が向けることが多いかもしれません。確かに、基本給は収入のベースとなるものであり、しっかりチェックしておくことが大切です。
残業代などは基本給をベースに計算されるため、高いほど収入アップが見込めるでしょう。ただし、基本給だけを比較して職場を選ぶのはおすすめできません。
というのもたとえ基本給が高く設定されていても、賞与が少なかったり、手当がつかなかったりすると、他の職場より年収が低くなってしまう可能性があるからです。
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2.加入保険の種類を確認する
加入保険の種類によって税金の差引額が異なるため、手取り額が変わります。例えば、クリニックに多い医師国保は、扶養家族が増えるごとに税金が増えてしまう設定になっています。
そのため、結婚や出産を機に手取り額が減ってしまう可能性があるでしょう。事前に確認するのが難しい部分ではありますが、給与として提示されたものは手取り額とは異なるため、その違いをしっかり理解しておくことが大切です。
3.最低限チェックしておきたい項目リスト
より良い条件の就職先を選ぶためには、基本給や賞与といった収入だけでなく、加入保険や昇給率など、他の条件面にも目を向けることが重要です。チェックしておきたいポイントをまとめました。
②昇給率(過去の実績)
③各種手当(家族手当・通勤手当・住宅手当など)
④残業の有無
⑤退職金
⑥加入保険の種類
就職先を探す際には、求人票でこれらのポイントを確認してみてください。
理学療法士が年収アップするための3つのポイント
社会人として働き始めたばかりの頃は、経験も浅く、スキルのないままに年収を増やそうとしても難しいものです。しかし、新卒の頃からキャリアップを目指せば、生涯年収を増やせる可能性が高まります。
新卒の段階から考えておきたい、年収アップにつながるポイントとして3つを紹介します。
1.スキルアップを図る
まずは、理学療法士としてのスキルを高めながら、役職を目指すキャリアパスを考えてみましょう。認定理学療法士の資格を取得して、専門性を高めるのも一案です。
また、心臓リハビリテーション指導士や認知症ケア専門士など、特定の分野に特化した資格を目指すのも良いでしょう。すぐに年収に反映されるとは限りませんが、施設によっては手当が支給される可能性があります。身につけたスキルは、転職を考える際にも有利に働くでしょう。
2.副業をする
最近は副業をする理学療法士が増えています。休日を利用して非常勤での勤務をすることで収入アップにつながります。副業を通して幅広い経験ができる可能性があるため、新卒の時こそ、チャレンジしてみる価値はあるでしょう。
ただし、施設によっては副業を禁止しているところもあるため、安易にスタートするのは禁物です。まずは勤務先の条件を確認しておきましょう。また、プライベートの時間が取りにくいため、疲労がたまりやすいのものです。本業に影響を与えない範囲で働くことが大切です。
【関連記事】
理学療法士におすすめの副業8選!収入とやりがいがアップする働き方とは?
3.転職をする
もし就職先で昇給の見込みが薄い場合には、転職も視野に入れるのも一案です。その際には勤務形態や待遇など、しっかりと情報収集したうえで転職活動を行うと良いでしょう。
ただし、働きながら転職活動を行うのは、意外と大変です。できるだけ効率よく転職をすすめたい場合には、転職エージェントを活用するのもおすすめです。自分に合った職場探しをサポートしてもらえます。
理学療法士としてのキャリアを考えた職場探しを
理学療法士としての最初の就職先は、今後のキャリアの土台となるものであり、将来を考えるうえで重要な意味を持ちます。給料が高くても、やりがいを感じられなかったり、自分がやりたい治療ができなかったりすれば、仕事を続けるモチベーションが保てなくなるかもしれません。
とはいえ、生活を考えるうえでも、収入は大切な条件のひとつです。手当の有無や、昇給・賞与、副業は可能かなどの条件を確認するとともに、今後のキャリア形成を考えながら、広い視野を持って、慎重に就職先を選びましょう。
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【決定版】理学療法士の給料・年収の実情|高収入を狙うためにできること
参考
賃金構造基本統計調査(令和元年)
労働統計年報(平成29年)
理学療法士として総合病院やクリニックを中心に患者さんのリハビリに携わる。現在は整形外科に加え、訪問看護ステーションでも勤務。 腰痛や肩痛、歩行障害などを有する患者さんのリハビリに日々奮闘中。 業務をこなす傍らライターとしても活動し、健康、医療分野を中心に執筆実績多数。
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