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作業療法士の仕事の本音は?給料・人間関係・職場環境など

公開日:2021.10.13 更新日:2023.06.15

現役作業療法士に聞く「仕事の本音」

文:田口 昇平
(作業療法士、福祉住環境コーディネーター2級)

就職や転職した際に「こんなはずではなかった」と後悔しないためにも、現場の実態を把握しておくことが大切です。とはいえ、身近に作業療法士の知り合いがいなければ、仕事の本音を聞くのは難しいもの。反対に職場の同僚には聞きづらい質問もあるでしょう。

そこで今回は現役の作業療法士2名に仕事の本音を聞かせてもらうインタビューを行いました。

前半は「仕事編」、後半は「プライベート編」の2部に分けて、作業療法士の仕事のやりがいや大変な点・職場の人間関係など、作業療法士としての生の声をお伝えします。

回答者:現役OT女性2名の詳細プロフィール

①I.Sさん 30代前半 女性 作業療法士9年目
【仕事】大学を卒業してから、リハビリ専門病院に就職したI.Sさん。その後、訪問看護ステーション、通所リハビリ施設で勤務した後、現在は訪問看護ステーションと児童発達支援センターを兼務。
【プライベート】仕事で知り合った方と結婚をし、夫婦2人で生活中。
②T.Hさん 27歳 女性 作業療法士6年目
【仕事】大学を卒業後、地元を離れ都市部にあるリハビリ専門病院に就職。入職してから2年が経つ頃に、訪問リハビリ部門に配属される。現在は地元の訪問看護ステーションに勤務。
【プライベート】就職当時は病院の寮で生活をしていたが、現在は地元で一人暮らし。20代後半、独身の作業療法士。

作業療法士としてやりがいを感じるときは?

現役作業療法士に聞く「仕事の本音」

患者さんの表情や生活の変化が喜び<I.Sさん(30代前半)>

私が作業療法士の仕事にやりがいを感じるのは、患者さんの表情や生活の変化が見られるところです。

病気や障がいを持つと、日常生活が不自由になったり、楽しんでいたことができなくなったりするため、気持ちが塞ぎ込んでしまう患者さんが多く見られます。

だからこそリハビリをおこなうなかで、患者さんのできること・楽しめることが増え、徐々に明るい表情が見られるようになったときに、私は「作業療法士をやっていてよかったな」と思います。

自分の存在が、患者さんの生活の一部に<T.Hさん(27歳)>

私がやりがいを感じているのは「患者さんが自分の存在を求めてくれたり、受けいれてくれたりしてくれるところ」です。

先日も訪問リハビリでご自宅に伺った際に、ご家族の方が私にお茶を出してくれました。訪問リハビリを利用しているご本人は80代の男性で寡黙な方ではあるのですが、ご家族によれば「(私が来ると)娘に会えるような感じがして、嬉しいんだよね。お茶の時間もいいリハビリだ」と言っているのだそうです。

そのような言葉を聞くと、「私も頑張ろう」「もっといろいろなリハビリをしよう」と、仕事のモチベーションにつながりますし、私の励みになっています。

作業療法士の仕事で大変なことや辛いと感じることは?

「正解」がないから、学び続けなければならない<I.Sさん(30代前半)>

リハビリには「これをすれば良い」という正解がないと考えています。

同じ病気や障がいを持っていても、人それぞれでからだのつくりや生活習慣、趣味・嗜好といったことが違いますし、体調も日によって変わってきます。そのため、効果的なリハビリをおこなえても、翌日以降に同じ方法で同じ成果が出せるとはかぎりません。

患者さんの状況に合わせてオーダーメイドのリハビリを提供できるというのが、作業療法士の醍醐味ではありますが、学ぶ努力を続けなければならないところは大変に感じています。

患者さんの生活全般をサポートする大きな責任<T.Hさん(27歳)>

作業療法士の仕事は、患者さんの病状やリスクに注意を払わなければならないため、精神的な負担が大きいと思います。

例えば、担当の患者さんが転倒したという話を聞くと、「防ぎようはなかったか」「もっとリハビリでできることがあったんじゃないか」といったように、自分の力不足を感じる時も多いです。

また、作業療法士は身体的な病気・障がいを持つ方だけではなく、精神疾患・障がい、認知症などを持つ方のリハビリもおこないます。日常生活に何らかの不自由さがあれば、「作業療法士さん、リハビリお願い」といったように、何でもかんでも任されがちなところも、この仕事の大変さだと思います。

人間関係でストレスや悩みを抱えたことは?

上司への不満が転職のきっかけに<I.Sさん(30代前半)>

事業所によっては、人間関係が大変な職場もありました。ある職場では売り上げアップを優先しすぎる上司がいて、希望しない患者さんにも無理にリハビリをおこなわなければならない、ということがあったんです。私は上司の「患者さんの意に添わないリハビリをおこなおうとする」方針が嫌になり、それが転職するきっかけにもなりました。

一方で、私にとって大きかったのが同僚の存在です。作業療法士をはじめ、まわりの医療・介護従事者は、患者さんの急変時にサポートしてくれたり、食事をしながら悩みを聞いたりしてくれました。常に自分を支えてくれる同僚がいたので、その点はとても助かっています。

先輩や同僚がいたから頑張れた<T.Hさん(27歳)>

驚かれるかもしれませんが、私は職場の人間関係で悩んだことがありません。

リハビリの方法で疑問点や困ったことがあれば、まわりの人がサポートしてくれましたし、年が近い先輩や同僚とは食事や遊びに行ったり、愚痴を聞いてもらったりして、いろいろな人に可愛がってもらってきたと思います。無理だとわかっていますが、私の場合できればずっと後輩でいたいです(笑)

──作業療法士は、責任が大きかったり、日々の自己研鑽が必要であったりと大変な点もあります。しかし、患者さんと一緒に、目標の達成や生活の変化を楽しめる、やりがいのある仕事と言えるでしょう。

後編では、給料や休日・残業の状況から職場の出会いなど、作業療法士のプライベートに関する本音をお伝えします。

作業療法士の給料(年収・昇給・残業代)についての本音

現役作業療法士に聞く「仕事の本音」

努力しても昇給につながらない<I.Sさん(30代前半)>

作業療法士は給料が低いと思います。その理由は「担当患者さんの人数やリハビリの回数が増えても、作業療法士として、自分の給料がアップしているわけではないからです。

そのため自分の努力が給料にしっかり還元されていないような印象があり、私の場合「給料が低いな」と感じてしまうんです。ただ、特別贅沢な暮らしがしたいということでなければ、共働きで十分に生活できると思います。

例えば、研修に行ったり専門書を購入したり、希望通りに自己投資できていますし、買い物や外食・旅行といったプライベートも楽しめています。子どもを生んだら働き方を変えるかもしれませんが、いまのところ、不自由なく生活できているので、この職場で働き続きたいと考えています。

結婚・出産を考えるとお金の心配がある<T.Hさん(27歳)>

給料は、仕事の負担を考えれば少ないと思います。

作業療法士の仕事は、患者さんによっては急変の可能性が高く、緊張感あるなかでリハビリをおこなうことが求められます。また、限られた時間内で患者さんの状態を正確に評価し、治療で結果を出さなければなりません。

さらに言えば、かがんだり、患者さんを支えたりすることも必要な仕事なので、年を重ねるにつれて、肉体的にこたえるところが増えます。このような心身の負担を考えると、「仕事の負担に見合った給料が欲しい」ということもあります。

でも、私は独身ですし、自己研鑽をしたり、友人と遊びに行ったりする分には、いままで金銭的に困ることがありませんでした。もちろん、将来的に結婚や出産を考えると、自分一人の給料では心配があるので、安定した仕事に就いている相手を見つけたいと思っています。

いまは訪問リハビリに慣れてきたうえ、仕事がおもしろいので転職の予定はありません。もし本格的に、結婚や出産を考えるようになったら、働き方を考えるかもしれません。

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残業や労働条件など、職場環境やワークライフバランスはどうか?

残業が少なく、落ち着いて生活できる<I.Sさん(30代前半)>

作業療法士は日をまたいで残業することがないため、他の業種に比べれば忙しくないと思います。私は、いままで4カ所の事業所で勤務しましたが、残業が少ないところだと1カ月に10時間くらい、多いところでも1カ月に20時間くらいでした。

業務時間内にしっかり自分の仕事ができれば、「作業療法士はプライベートも充実させやすい職種」と言えるのではないでしょうか。

労働条件はしっかりリサーチを<T.Hさん(27歳)>

作業療法士は、職場によって労働条件が大きく違うと思います。

例えば、私の職場であれば、残業すると残業代のかわりに『残業した分の時間を「時間休」として別日に取得できる』という制度があります。独身の私からすれば残業代が出ないことを不満に思いますが、子育て中の職員からすれば、保育園の行事や小学校のPTAなどに参加しやすくなり、とても助かるそうです。

私が就職する時は、作業療法士の残業や休日の状況といった労働条件について、養成校の先生も採用面接の面接官も、詳しく教えてくれませんでした。

これから作業療法士を目指す人には、将来の生活を思い描きながら、自分の理想に合う労働条件の職場かどうか、就職する前にしっかりリサーチすることをおすすめしたいです。

作業療法士の恋愛・結婚事情は?

現役作業療法士に聞く「仕事の本音」

人数が多い職場なら、社内恋愛も<I.Sさん(30代前半)>

作業療法士をはじめ、医療・介護従事者の多い職場であれば、男女比が同じくらいであったり、年齢層が若かったりするため、出会いの機会が多いと思います。

私がリハビリ専門病院に勤務していた頃は、秘密の社内恋愛から結婚にいたるカップルが何人もいました。また、医療・介護業界では勉強会や研修会が多いので、そのような場所で他の事業所の方と交流が深まることもあります。

ちなみに、私は研修会で出会った介護従事者と結婚しました(笑)

出会いが少ないから、自分から動かないと<T.Hさん(27歳)>

リハビリ専門病院であれば、若手の医療従事者が多いので職場の出会いがあると思います。一方で、介護分野は私と同じ20代の職員が圧倒的に少なく既婚者ばかりです。

そのため、私自身、出会いを求めて自分から動かなければいけないと思っています。子どもを育てる家庭に憧れているので(笑)

まとめ:理想の働き方ができる職場を見つけよう

今回は、現役の作業療法士の2人に、給料やプライベート事情をお話いただきました。作業療法士は必ずしも給料が高い仕事というわけではありませんが、休みがとりやすかったり、残業が少なかったりと、安定した生活が送りやすい仕事と言えます。

とはいえ、環境によって条件は大きく違います。これから作業療法士として理想の働き方を目指すなら、自身のキャリアプランを明確にすることが大切です。自分の将来をしっかりと見据えながら、理想の働き方ができる職場を見つけましょう。

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田口 昇平

田口 昇平

作業療法士/福祉住環境コーディネーター2級
2008年に作業療法士免許取得後、東京都内のリハビリ専門病院や特別養護老人ホームなどの施設で医療や介護業務に従事。2018年より、フリーライターに転身。医療介護職の働き方や働きやすい労働環境づくりなど、幅広いテーマで執筆。心理学・脳科学分野の書籍を愛読し、学んだ内容をブログやSNSで情報発信している。

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