理学療法士と義肢装具士のダブルライセンスを取得するメリットは?

更新日 2023年11月29日 公開日 2023年11月29日

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義肢・装具の専門家である義肢装具士は、理学療法士の業務と関わりの深い職種です。そのため、義肢装具士のスキルや知識を身に付けることは、理学療法士としての活動に大いに役立つでしょう。

当記事では、義肢装具士の仕事内容やなり方について解説します。あわせて、理学療法士と義肢装具士のダブルライセンスを取得するメリットも紹介しますので、義肢装具士の仕事に興味のある理学療法士の方は必見です。

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理学療法士と義肢装具士のダブルライセンスを取得するメリットは?

義肢装具士とは?

理学療法士として患者さまのリハビリに関わる場合、義肢や装具に触れる機会はけっして少なくないでしょう。そうした義肢や装具に関する専門職が義肢装具士であり、義肢装具士は理学療法士とは異なるアプローチで、手足の機能を失った患者さまなどをサポートします。

以下では、義肢装具士について詳しく解説します。

義肢装具とは?

義肢と装具は、患者さまの体に装着することで日常生活や治療をサポートし、患者さまのQOL(Quality of Life=生活の質)を高める役割を持った器具です。義肢と装具では、装着する対象や部位、求められる役割に違いがあります。

義肢とは、病気やけがなどで手足を失った方のための器具です。義肢は失った手足の機能や形を復元する役割を担っており、手の代わりになる義手と、足の代わりになる義足があります。

人によって切断部位や義肢に求める機能が異なるため、それぞれのニーズに応じた義肢を提供することが、義肢装具士の大事な役目となります。

一方の装具は、主に病気やけがなどで体に痛みや損傷などを負っている方が使う器具です。義肢が失った手足の代わりとなるのに対して、装具は残存している機能を補助するために使用され、患部に装着することで変形の予防・矯正、痛みの軽減などを目指します。

装具は、装着する部位によって「上肢装具」「体幹装具」「下肢装具」の3種類に分類でき、肘や膝などに装着するサポーターやコルセット、義眼、鼻骨骨折時に使うフェイスガードなども装具に含まれます。

(出典:公益社団法人 日本義肢装具士協会「義肢装具士とは」/https://www.japo.jp/about-prosthetist/prosthetic-brace.html

義肢装具士の仕事内容

患者さまが医師から受けた処方をもとに、義肢装具を設計・製作するのが義肢装具士の基本的な仕事内容です。

義肢装具が完成するまでの流れは次の通りです。

1 採寸・採型
採寸はサイズを測る工程で、採型は対象となる部位の型をとる工程です。医師からの処方をもとに、義肢装具士が患者さまの体を直接採寸・採型します。患者さまの体に合った義肢装具を作るために重要な工程です。

2 設計・製作
採寸・採型で作った型や患者さまから得た情報をもとに義肢装具を設計・製作します。義肢はオーダーメイドで製作するのが一般的ですが、装具は既製品を使用したり、加工したりするケースもあります。

3 適合
できあがった義肢装具を患者さまに合わせる工程です。装着時に違和感や痛みがある場合は調整を行います。

(出典:公益社団法人 日本義肢装具士協会「義肢装具士とは」/https://www.japo.jp/about-prosthetist/aim-prosthetist.html

採寸・採型や適合は、患者さまと直接やりとりしながら行います。実際の製作作業と採寸・採型や適合を分業するケースもありますが、すべての流れを義肢装具士が一貫して担当するケースも少なくありません。つまり、義肢装具士はもの作りのプロである一方で、患者さまと直接向き合う仕事でもあるわけです。

義肢装具士になるには?

義肢装具士は国家資格であり、受験資格を満たした上で国家試験に合格することで取得できます。受験資格を得るためには、義肢装具士法が示すいずれかの要件を満たす必要があります。

●義肢装具士国家試験の受験資格

①大学に入学可能で、文部科学大臣が指定した大学または厚生労働大臣が指定した養成所で、3年以上義肢装具士としての知識・技術を学んだもの
②大学、高等専門学校、養成所で1年以上修業し(高専は4年)、かつ指定された科目を修め、さらに養成所で2年以上義肢装具士としての知識・技能を修得したもの
③職業能力開発促進法の規定に基づく技能検定に合格した後、養成所で1年以上義肢装具士としての知識・技能を修得したもの
④外国の義肢装具の製作適合等に関する学校、養成所を卒業するか、外国で義肢装具士の免許に相当する免許を受けたものであって、厚生労働大臣が①〜③と同等以上の知識・技能を有すると認定したもの
⑤義肢装具士法施行の前に義肢装具士として必要な知識・技能の修得を終えているもの

2023年4月に行われた第36回義肢装具士国家試験の合格率は81.0%です。ただし、2022年が68.5%、2021年は72.7%となっているほか、過去にさかのぼると100%の年もあるなど、年度によってかなりの差があります。

(出典:厚生労働省「義肢装具士国家試験の施行」/ https://www.mhlw.go.jp/kouseiroudoushou/shikaku_shiken/gishisougushi/

(出典:公益財団法人 テクノエイド協会「義肢装具士情報」/http://www.techno-aids.or.jp/senmon/

【関連リンク】理学療法士(PT)とは?
仕事内容や作業療法士との違いについて

理学療法士は義肢装具にどう関わる?

義肢装具が必要な患者さまに対するケアは、医師や看護師などさまざまな職種が協力するチーム医療によって進められます。そのなかで、理学療法士は患者さまへのリハビリを通した支援を担当します。

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特に義肢は、患者さまの手足の代わりになるものであるため、使いこなせるようにしっかりとサポートすることが大切です。ここでは、義肢をつけることになった方に対して、理学療法士がどのように関わっていくのかを解説します。

理学療法士は義肢が必要な方に対して、義肢の装着前と装着後の訓練をサポートします。

義肢の装着前訓練
・筋力強化
・関節運動
・断端管理および訓練
・立位でのバランスを保つ訓練
・起居動作練習
・杖歩行練習
・車椅子操作練習(義足の場合)
・日常生活動作訓練
・利き手交換訓練(義手の場合)

義肢の装着前訓練では、主に身体機能の強化など、義肢を使える体作りを行います。義足の場合は立位バランスを保つ訓練、義手であれば利き手を切断した方向けの利き手交換訓練なども行います。この段階では義肢の利用を前提とした訓練だけでなく、義肢がない状態で日常生活を送る訓練も重要です。そのため、つえや車椅子などの自助具を活用する訓練を行うこともあります。

また、義肢のソケット(体と義肢をつなぐ部分)は硬く作られているため、装着する断端(切断部)に負担がかかったり、傷や痛みが発生したりする場合があります。そうしたトラブルを防ぐには、装着前から断端をマッサージするなどのケアを行い、義肢の装着に備えることが大切です。

義肢の装着後訓練は、実際に義肢を装着した状態でのさまざまな動作が対象です。装着後訓練には基礎訓練・応用訓練があり、最終的にはさまざまなシチュエーションを想定して、以下のような幅広い訓練を行います。

義肢の装着後訓練(基礎)
・平行棒内の歩行
・歩行器やつえを使った歩行
・立ち上がり動作(義足)
・装着・取り外し訓練
・物をつかんで運ぶ訓練(義手)
・両手動作訓練(義手)
義肢の装着前訓練(応用)
・階段昇降、坂道や凹凸路面の歩行、公共交通機関の利用
・リハビリテーション体育(義足)
・日常生活の動作訓練
・趣味や職業に関連した動作訓練
・スポーツを通じた訓練
・自動車運転訓練(義手)

訓練中、義肢に不具合が生じる場合もありますが、不具合の調整を行うのは理学療法士ではなく義肢装具士の役割です。義肢装具の専門資格を持たない理学療法士は、不具合が生じた場合、すみやかに義肢装具士に連絡する必要があります。

(出典:国立障害者リハビリテーションセンター「はじめての義足」/http://www.rehab.go.jp/application/files/6115/2057/5129/guide-lower.pdf

(出典:国立障害者リハビリテーションセンター「はじめての義手」/http://www.rehab.go.jp/application/files/7915/2047/7857/guide-upper_full.pdf

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理学療法士と義肢装具士のダブルライセンスを取得するメリット

理学療法士と義肢装具士は、義肢装具を扱うリハビリを通じて密接な関わりを持つ職種です。理学療法士が両方の資格を取得することで仕事の幅はぐんと広がるでしょう。

ここでは、理学療法士と義肢装具士のダブルライセンスによって得られるメリットを解説します。

より患者さまに寄り添ったサポートができる

理学療法士は義肢の調整を行えません。しかし、義肢装具士の資格を取得すれば、リハビリの現場で自ら義肢の調整を行えるようになります。義肢装具士としての観点から、リハビリの質を高めることも可能でしょう。

また、理学療法士はリハビリを通じて普段から患者さまと接する機会が多いため、患者さまに合った快適な義肢装具を作りやすい立場にいるとも言えます。

理学療法士としてキャリアアップできる

義肢装具の知識を身に付けることで、義肢装具が必要な患者さまに対して、より専門性の高いリハビリを実施できます。そうした人材の需要は、高齢者人口の増加とともに高まっていく可能性があるため、ダブルライセンスの取得は理学療法士としてのキャリアアップにもつながるでしょう。

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まとめ

理学療法士と義肢装具士は、義肢や装具を必要とする患者さまのリハビリにおいて深く関わり合う仕事です。ダブルライセンスを取得し、理学療法士と義肢装具士の視点をあわせ持つことで、より専門性の高いサポートが可能になるでしょう。また、義肢装具に関するリハビリの専門家として、キャリアアップも期待できます。

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※当記事は2023年5月時点の情報をもとに作成しています

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