理学療法士は産婦人科で働ける?産後リハビリの概要から注意点まで
理学療法士の仕事というと、多くの方は病気や加齢によって障害を抱えた患者さまへのリハビリを思い浮かべるでしょう。しかし最近では、女性特有の健康問題を扱う「ウィメンズヘルス」の分野でも、理学療法の有効性に注目が集まっています。また、そうした流れのなかで、産婦人科スタッフとして働く理学療法士も存在します。
当記事では、産婦人科における理学療法士の必要性やウィメンズヘルスの概要、産婦人科で理学療法士が行う代表的なリハビリである「産後リハビリ」について詳しく解説します。産婦人科で働くことを検討している理学療法士の方は、ぜひお役立てください!
職場探しをお手伝いします♪(完全無料)
目次
理学療法士は産婦人科でも需要がある?
産前産後の女性の多くは、腰痛や尿漏れ、肩こりなど、さまざまなトラブルに悩まされます。特に産後のトラブルは、育児に追われてケアがおろそかになり、症状の悪化を招く恐れもあります。妊娠・出産による身体への負担は想像以上に大きいため、できるだけ早く専門家による正しいケアを受けることが重要となるでしょう。
そうした理由を踏まえて、産婦人科のなかには産前産後のケア専用の外来を設け、理学療法士によるリハビリを提供しているところがあります。
産婦人科領域での理学療法士の役割は、リハビリテーションを通して正しい姿勢や身体の使い方を指導し、患者さまの不調を軽減することです。特に、妊産婦の場合は骨盤に関するトラブルが多いため、理学療法士による姿勢矯正や骨盤ケアが非常に重要だとされています。
そのため、産婦人科で働く理学療法士には、妊産婦1人ひとりの体調に合わせた安全かつ効果的なリハビリ内容を提案するスキルが求められるでしょう。
病院勤務の理学療法士求人を探す
産婦人科で働く理学療法士は知っておきたい「ウィメンズヘルス」
産婦人科への勤務を考えている理学療法士の方は、ウィメンズヘルスについて理解しておくと良いでしょう。
ウィメンズヘルスは、その名の通り「女性特有の問題のケアや、健康をサポートしていくこと」ですが、理学療法の分野では「女性の生涯にわたっての健康を理学療法士のリハビリによって支える取り組み」を指します。具体的には、産前産後の女性を中心に、理学療法士が身体の正しい使い方や筋肉の再トレーニングなどを指導し、出産後に起こる身体機能の低下を予防していきます。
社会で活躍する女性が増加し、女性の健康をサポートしていくことがより重要になるなか、ウィメンズヘルス分野の理学療法は、今後さらに発展することが予想されています。
(出典:文京学院大学「女性の健康をサポートするウィメンズヘルスケアの大切さ」/https://info.bgu.ac.jp/library/professor-interview/professor-interview-03)
日本のウィメンズヘルス分野の理学療法とは?
ウィメンズヘルスは世界規模で見ると歴史が長く、産前産後の理学療法の有効性についての研究も進んでいます。一方、まだ歴史が浅い日本では、ウィメンズヘルスが理学療法における「新しい分野」であると認識されています。
日本のウィメンズヘルス分野に関する理学療法士の団体には、「日本ウィメンズヘルス・メンズヘルス理学療法研究会」があります。これは、性差医療の視点から考える理学療法の教育・普及を目的とした団体であり、主な活動は研修会の開催やエビデンス構築のための研究などです。
今後は、産婦人科をはじめとする日本の医療機関においても、ウィメンズヘルスへの取り組みの増加が期待されているため、ウィメンズヘルスを学ぶことで、理学療法士としてのスキルアップ、キャリアアップにつながる可能性もあるでしょう。
(出典:国立研究開発法人科学技術振興機構 J-STAGE「ウィメンズヘルス理学療法─グローバルスタンダードを目指して─」/https://www.jstage.jst.go.jp/article/rigaku/40/8/40_KJ00009392300/_pdf)
(参考:日本理学療法学会連合「日本ウィメンズヘルス・メンズヘルス理学療法研究会」/https://www.jspt.or.jp/jsptwmh/)
働く場所・就職先を紹介!
理学療法士による「産後リハビリ」の概要
産後リハビリは、産後の女性を対象とした個人治療であり、産婦人科領域で理学療法士が行う代表的なリハビリの1つです。
産後の女性が抱えるトラブルには、腰痛、骨盤痛、尿漏れなどのさまざまな症状があります。そのため産後リハビリでは、理学療法士が専門知識に基づいた施術・トレーニングを行うことで、症状の予防や緩和を目指します。
産後リハビリの重要性・内容
産後トラブルは、「誰もが経験すること」「仕方のないこと」として、諦められているのが現状です。気になる症状が続く場合は、早期に医療機関を受診すべきですが、育児に追われて後回しになってしまうケースも多く見られます。
しかし、産後トラブルのなかには時間が経っても改善しないものもあり、放置することで別の症状が現れる可能性があります。例えば、腰痛・骨盤痛は適切な治療を行わないと姿勢が崩れる原因になりかねません。また、骨盤底筋のダメージは、放っておくと尿漏れや子宮脱を招く可能性があるとされています。
産後のダメージを長期にわたって引きずらないためにも、理学療法士による適切な治療が不可欠であり、産後リハビリには、こうした症状の予防・改善が期待されています。
なお、産後リハビリは産婦人科などのほか、自治体が進める産後ケア事業の一環としても行われています。一般的なサービス内容は以下の通りです。
- ●産後の健康チェック
- ●運動習慣の見直し・体重管理
- ●正しい姿勢の指導
- ●骨盤矯正
- ●体調に合わせたエクササイズ
- ●身体の悩みに対するアドバイス
高収入を狙うためにできること
理学療法士が産婦人科で働く場合の注意点
産前産後の女性の身体は、非常にデリケートです。特に妊婦向けのリハビリには、出血・痛みなどのリスクを伴う可能性もあるため、医師や看護師、助産師と連携しながら内容を決定することがポイントとなります。
産婦人科で理学療法を実施する場合は、リハビリ開始前の問診で丁寧な情報収集を行いましょう。体重や年齢、出産経験に加え、職業・生活環境なども重要な聞き取り項目です。また、リスク管理を徹底し、安全にリハビリできる環境を整えることも大切です。
(出典:国立研究開発法人科学技術振興機構 J-STAGE「妊産婦に対するウィメンズヘルス理学療法」/https://www.jstage.jst.go.jp/article/jptpr/27/0/27_15/_pdf/-char/ja)
求人探しは理学療法士専門の求人サイトを活用しよう!
理学療法による産前産後ケアは、日本ではまだ歴史が浅い分野です。産婦人科の理学療法士求人は数が少ないため、転職先を探す際には業界に精通したサイトを利用するのが良いでしょう。
マイナビコメディカルでは、理学療法士の方が活躍できる介護福祉施設やクリニックの求人を豊富にご紹介しています。
理学療法士の介護福祉施設求人を探す
理学療法士のクリニック求人を探す
会員登録された方には非公開求人のご案内も行っており、サイト上には公開されていない産婦人科の求人をご紹介することが可能です。
求人情報をお探しの際は、ぜひマイナビコメディカルをご利用ください。
メリット・デメリット
まとめ
産前産後の健康トラブルには、理学療法による産後リハビリが効果的だとされており、産婦人科によっては「産後ケア外来」などを設けているケースもあります。
産後トラブルの代表的な症状として挙げられるのは、腰痛や骨盤痛、尿漏れなどです。理学療法士による産後リハビリでは、そうした症状の悪化を防ぐために、専門知識に基づいた施術・トレーニングを行います。女性の社会進出が進むなか、日本においても産後リハビリやウィメンズケアの重要度は増しており、理学療法士の活躍の場は、今後ますます広がっていくでしょう。
マイナビコメディカルでは、理学療法士の方向けの求人情報を多数ご紹介しています。会員登録していただいた方はキャリアアドバイザーの転職サポートを受けられるほか、サイトには掲載されていない非公開求人のご案内も可能です。転職を検討されている方、産婦人科の求人を探している理学療法士の方は、ぜひマイナビコメディカルにご相談ください!
キャリアアドバイザーに転職相談する(完全無料)
職場探しをお手伝いします♪マイナビに相談する
※当記事は2022年7月時点の情報をもとに作成しています
監修者プロフィール
マイナビコメディカル編集部
リハ職・医療技術職・栄養士のみなさまの転職に役立つ情報を発信中!
履歴書や職務経歴書の書き方から、マイナビコメディカルサイト内での求人の探し方のコツや、転職時期ごとのアドバイス記事などを掲載。
転職前の情報収集から入職後のアフターフォローまで、転職活動の流れに添ってきめ細やかなフォローができる転職支援サービスを目指しています。