理学療法士に必要とされる技術|スキル向上のためのポイントも

更新日 2023年04月19日 公開日 2023年04月19日

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少子高齢化が進む日本において、理学療法士の需要は年々高まっています。また近年は、病気やけがによって身体に障害がある人だけでなく、障害の予防やスポーツのパフォーマンス向上に理学療法の知識・技術を用いるケースも増え、理学療法士の仕事の幅も広がりを見せています。

当記事では、理学療法士が持つべき技術・スキルや、理学療法士として活躍する方が、より専門的な技術を身に付けるための方法について紹介します。ぜひチェックしてみてください。

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理学療法士に必要とされる技術|スキル向上のためのポイントも

理学療法士が持つべき基本的な技術・スキルは?

理学療法士は、作業療法士や言語聴覚士などと並び、幅広い技術・スキルが要求されるリハビリテーションの専門職です。理学療法士が現場に立つにあたって、最低限持つべき能力水準や修得技術は、日本理学療法士協会によって定められています。

(出典:公益社団法人 日本理学療法士協会「理学療法学教育モデル・コア・カリキュラム」/https://www.japanpt.or.jp/assets/pdf/activity/books/modelcorecurriculum_2019.pdf

ここでは、日本理学療法士協会が策定した「理学療法学教育モデル・コア・カリキュラム」をもとに、理学療法士に求められる基本的な技術・スキルについて解説していきます。これから理学療法士を目指す方はもちろん、すでに理学療法士として活躍されている方も、以下に紹介する内容をあらためて確認し、日々の学習や業務にお役立てください。

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課題解決能力

患者さま1人ひとりの状態・生活環境によって、抱えている課題や必要とされる理学療法は異なります。そのため、理学療法士は「この症例におけるベストのアプローチは何か?」「この現場で求められているのはどんな対応か?」といったことを常に考え、適切な理学療法を提供することで、課題の解決に努める必要があります。

課題解決能力を磨くためには、患者さまを理解する目を養うことが大切です。相手の言葉や動作などからも情報を収集・分析し、患者さまの課題を正しく理解するように心がけましょう。

コミュニケーション能力

理学療法士は患者さまと1対1で関わり、信頼関係を築きながらリハビリを進める必要があります。また、リハビリをスムーズに進めるためには、他の医療スタッフやご家族とも情報を共有し、協力し合うことが重要です。そのため、患者さまやスタッフ、ご家族の話に耳を傾け、適切な対応につなげるためのコミュニケーション能力は、理学療法士に欠かせないスキルと言えるでしょう。

ちなみに、ここで言うコミュニケーション能力とは、相手の気持ちに配慮した対応ができることや、大事な情報を正確に伝えることを指します。日頃から、そうした点を意識しながら現場に立ち、コミュニケーション能力を磨いていきましょう。

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学習し続ける力

理学療法士は、医療技術者として高い専門性を求められる職業です。そして、日々進化する医療技術に対応するためには、国家資格を取得した後も、生涯にわたって学習し続ける姿勢が必要となります。

理学療法士としての専門性をより高めていく方法として、生涯学習制度があります。生涯学習制度は日本理学療法士協会によって創設された制度で、2022年4月から始まりました。主な目的は「理学療法士の方に継続的な学習を求め、理学療法士の質を担保すること」で、一定の研修を履修することで、登録理学療法士の認定を受けられます。認定は5年ごとの更新が必要となっており、認定理学療法士・専門理学療法士といった上位資格も取得できるため、一度認定を受けても継続的な学習が必要です。

(出典:公益社団法人 日本理学療法士協会「生涯学習」/https://www.japanpt.or.jp/pt/lifelonglearning/

理学療法評価技術

近年、リハビリの現場では「科学的根拠のある治療」が重視されており、定量的評価が用いられる傾向にあります。定量的評価では、経験や慣習に頼らず、数字をベースに評価を行うため、理学療法のアプローチに個人差が出にくいのが特徴です。また、科学的根拠に基づいて、評価を「見える化(数値化)」することで、患者さまもリハビリの成果を実感しやすくなります。

なお、「理学療法学教育モデル・コア・カリキュラム」には、理学療法の基本的評価技術と 理学療法の実施に関係する画像評価の項目も記載されているので、興味のある方はぜひチェックしてみてください。

(参考:公益社団法人 日本理学療法士協会「理学療法学教育モデル・コア・カリキュラム」/https://www.japanpt.or.jp/assets/pdf/activity/books/modelcorecurriculum_2019.pdf

【関連リンク】理学療法士(PT)の就職先について

基本的な理学療法治療技術

安全で効果的な理学療法を提供するには、確かな知識と技術をもってリハビリを行う必要があります。患者さまが抱える疾患や障害に関わらず、共通して適用する基本的な技術についても学びを深めておきましょう。

ただし、身につけるべき技術は広範囲にわたるため、特に知識や技術が不十分だと感じるポイントから、重点的に技術の向上を図るのも1つの方法です。

障害別の理学療法技術

理学療法では、患者さまに対して障害の種類ごとの対応を行う必要があります。理学療法の対象となる障害は、主に次の5種類です。

・中枢神経疾患:脳卒中・脊髄損傷など
・整形外科疾患:骨折・腰痛・四肢の切断など運動器の障害
・呼吸器疾患:肺炎などの肺に関わる疾患
・心疾患:心筋梗塞・狭心症など
・内科的疾患、体力低下:高齢者の運動機能低下・メタボリックシンドロームなどを含む

(出典:公益社団法人 日本理学療法士協会「理学療法とは」/https://www.japanpt.or.jp/about_pt/therapy/

障害別の理学療法は、国家試験にも出題される項目となっています。障害の種類は多岐にわたるため、国家試験対策テキストなどを使って、体系立てて学び直すのも良いでしょう。

地域理学療法学

日本では2025年をめどに、医療・介護・地域が連携して高齢者、障害者の暮らしを守る「地域包括ケアシステム」が構築されています。そして、高齢者や障害者が住み慣れた地域で継続して生活できるようにするには、病院や施設だけでなく「自宅での生活」を対象にしたリハビリが必要となります。

そうしたなかで、身に付けておきたいのが地域理学療法学の知識です。日本地域理学療法学会によると「地域理学療法学とは、動作や活動への多面的な働きかけにより人々が地域でのくらしを主体的につくりあげられるよう探究する学問」のことで、その領域は高齢者や障害者にやさしい暮らしづくりから、街づくり、地域づくりにまで及びます。

なお、地域理学療法については、地域理学療法学会が発行する機関紙や学会・研修会などを通じて学びを深めるのがおすすめです。

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理学療法士として働く方がスキルアップを図る方法

理学療法士の方が身に付けるべき知識や技術は多岐にわたるため、働きながら知識・技術を向上させ続けることも必要です。ここでは、理学療法士として働いている方が、スキルアップを図るための方法について解説します。

勉強会・講習会に参加する

全国の各地域で、日本理学療法士協会主催の勉強会や講習会が行われています。こうした場で、講師や他の理学療法士の方と交流を持ち、専門知識、技術を共有することは、自身の学びを広げることにつながるでしょう。

また、各都道府県の理学療法士協会でも、地域に根ざした講習を実施しているため、随時協会のWebサイトを確認しておくと良いでしょう。

(参考:公益社団法人 日本理学療法士協会「講習・研修・学会」/https://www.japanpt.or.jp/pt/seminar/

(参考:公益社団法人 東京都理学療法士協会「講習会・研修会・学会のお知らせ」/http://www.pttokyo.net/kaiin/kensyu

資格取得を目指す

理学療法士の資格合格者は毎年1万人ほどおり、着実に資格保有者が増えている状況です。

(出典:公益社団法人 日本理学療法士協会「統計情報」/https://www.japanpt.or.jp/activity/data/

そうしたなかで、理学療法士資格以外の関連資格を取得することは、新しい専門性を身に付けるだけでなく、活躍の場を広げることにもつながるでしょう。職場によっては資格手当が用意されているケースもあるので、そうした場合は給料アップも期待できます。

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【理学療法士向け】資格の例

・心臓リハビリテーション指導士
日本心臓リハビリテーション学会の認定資格で、従来の運動療法に加えて食事療法、禁煙指導を含めた、包括的な心臓リハビリを提供できる人材の育成を目指しています。理学療法士の方は、日本心臓リハビリテーション学会に2年以上継続して所属することで、受験が可能です。

資格取得後は心臓リハビリを通じて、循環器疾患の治療ならびに再発予防とQOL向上に貢献できます。

(出典:日本心臓リハビリテーション学会「心リハ指導士とは?」/https://www.jacr.jp/jacrreha/system/about2/

(出典:日本心臓リハビリテーション学会「新規受験に必須の条件」/https://www.jacr.jp/jacrreha/beginner/requirement/

・3学会合同呼吸療法認定士
日本胸部外科学会・日本呼吸器学会・日本麻酔学会の3学会が合同で認定する資格で、呼吸管理を行える人材のレベル向上と維持を目的としています。実務経験が2年以上の理学療法士の方は、認定講習会で一定の成果を収めた後に認定試験を受験できます。

呼吸理学療法や吸入療法、酸素療法などの実施とその機器の管理が主な役割となり、理学療法士として活躍の場を広げることが可能です。

(出典:公益財団法人 医療機器センター「第27回3学会合同呼吸療法認定士認定講習会及び認定試験」/https://www.jaame.or.jp/iryo/kokyu/apply/apply.html

・認知症ケア専門士
日本認知症ケア学会が主催する認定資格で、認知症の患者さまに対する高いケア技術と倫理観を備えた専門家の養成、および認知症ケア技術の向上や保健・福祉への貢献を目的としています。

職務内容は問わず、認知症ケアに関する施設・団体・機関で、業務として3年以上の認知症ケアの実務経験があれば受験が可能です。また、受験にあたって介護職の資格は必要ありません。

認知症ケア専門士のカリキュラムでは、リハビリだけでなく認知症の患者さまへの接し方なども学べます。そのため、認知症の患者さまにより良い理学療法を提供することはもちろん、患者さまやご家族との信頼関係を築く際にも役立つでしょう。

(出典:一般社団法人日本認知症ケア学会「専門士制度」/https://www.dcq-ex.net/senmonsi_seido.htm

(出典:一般社団法人日本認知症ケア学会「試験概要:受験資格」/https://www.dcq-ex.net/shiken.htm

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まとめ

理学療法士が現場に立つにあたって、最低限持つべき能力水準や修得技術は、日本理学療法士協会によってある程度明確に定められています。理学療法士を目指している方や、理学療法の知識・スキルを学び直したいと考えている方は、一度「理学療法学教育モデル・コア・カリキュラム」を確認してみると良いでしょう。

なお、理学療法士としてより深い知識・技術を身に付けたい場合は、転職して新しい経験を積むのも1つの手段です。マイナビコメディカルでは、業界に精通したキャリアアドバイザーが理学療法士の転職をサポートしておりますので、転職を検討している方は、ぜひお気軽にご相談ください。

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※当記事は2022年10月時点の情報をもとに作成しています

監修者プロフィール

マイナビコメディカル編集部

 

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