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第46回持久力トレーニングの運動強度の目安とは?室内向けメニューも紹介

公開日:2021.03.16

持久力トレーニングの運動強度の指標について

運動トレーニングプログラムは、対象者それぞれの健康や体力の目標に合わせて構成する必要があります。体力の要素には、呼吸循環機能が関係する有酸素能力、主に筋や関節が関係する筋力、柔軟性があり、その他に平衡機能・バランスや敏捷性などの運動制御能力を高める運動も行われます。

多くの運動は有酸素運動と無酸素運動の両方の要素があります。運動中に酸素を消費させない運動を無酸素運動といいます。

一方で身体にある程度の負荷をかけながら、ある程度長い時間継続して行う運動が有酸素運動です。持久力トレーニングともいわれ、筋収縮のエネルギーを得るために体内の酸素、糖質、脂肪などが消費されます。

有酸素運動は、多くの健康増進の効果が期待できるため、健常者だけではなく、高齢者、呼吸器・循環器・糖尿病などの疾患を有する患者さんに対してもリスクに配慮しながら、積極的に実施されます。

有酸素運動によって、呼吸・循環機能に関わる呼吸筋や心筋が発達し、換気量が増加し、血液の循環が効率的になり、安静時の心拍数を減少させることができるのです。

加えて血圧の調節や高脂血症の改善も期待できます。また、多くのがんの予防効果も報告されています。心理面にも効果があり、不安や抑うつが軽減することが期待され、さらに、脳活動の活性化による認知症の予防効果も報告されています。

効果的に運動を行うためには、「FITTの原則」を考慮する必要があります。

FITTとは次の4つです。
・運動の頻度(F: frequency)
・運動強度(I: intensity)
・持続時間(T: time)
・タイプ(T: type)

対象者に合わせて、個別にFITTを設定しなくてはなりません。普通の体力の、健康な成人に対する有酸素運動では、週に3〜5日、最大能力の60〜80%強度の運動を、30〜90分間実施することが推奨されています。

有酸素運動の種類には、多くの種類があり、対象者の好みや熟練度、使用できる場所や器具等を考慮して選択することになります。

<有酸素運動の例>
ウォーキング、サイクリング、ジョギング、ランニング、エアロビクス、水泳、ラケットスポーツ、サッカーなど

 

過去問題【理学療法士】

第54回 午後 40問
全身持久力トレーニング中の自覚的運動強度の指標で最も適切なのはどれか。

  1. 1.Karvonen法
  2. 2.修正Borg指数
  3. 3.Hugh-Jones分類
  4. 4.%最大酸素摂取量
  5. 5.Modified medical research council (mMRC)息切れスケール

解答

正解:2.修正Borg指数

■解説
有酸素運動中の運動強度の指標には様々な方法があります。心拍数を用いた%心拍数予備能(%heart rate reserve: %HRR)、%最大心拍数(%heart rate maximum: %HRmax)のほか、酸素摂取量を用いた%VO2 max、自覚的運動強度(ratings of perceived exertion: RPE)、METs(metabolic equivalents)、トークテストなどです。

問題の選択肢を中心に解説します。

【Karvonen法(カルボーネン法)】
Karvonen法とは、運動時の目標心拍数(target heart rate: THR)を割り出す方法で、運動強度の目安のひとつです。

安静時心拍数(HRrest)と、最大心拍数(HRmax)を用いて、以下の式によって目標心拍数が求められます。

目標心拍数=運動強度×(HRmax-HRrest)+HRrest

最大心拍数(HRmax)は以下の式で求めます。

HRmax=220-年齢(※より精度の高い計算式もあります)

例えば、60歳で安静時心拍数(HRrest)60の人が、60%の運動強度で運動を行いたい場合を考えてみましょう。

最大心拍数(HRmax)は「220-60=160」ですので、

目標心拍数=0.6×(160-60)+60=120

この式で求められたように、心拍数が120となるように運動を行います。

この簡易式で用いられた(HRmax-HRrest)が心拍数予備能(HRR)です。

そのため、この方法は「HRR法」あるいは「%HRR」としても知られています。

【修正Borg指数】
運動をどのくらいきついと感じているかを測定する指標(自覚的運動強度)が、BorgのRPE(rate of perceived exertion)です。原法のBorg指数と、修正版Borg指数の2種類が広く使用されています。原法は、運動強度を6から20に区分したカテゴリースケールで、点数の10倍が心拍数に近似します。

修正版は、カテゴリー比スケール(category ratio scale: CR)と呼ばれ、0から10に区分する指標です。段階区分には日本語の表現もあり、原法は「非常に楽である」から「非常にきつい」まで、修正版は「何も感じない」から「非常にきつい」までです。

【Hugh-Jones分類またはFletcher, Hush-Jones分類】
日本で最も一般的に使用されている息切れの評価法です。息切れ・呼吸困難感を覚えずに実施できる日常的な動作について、次の5段階に分類します。

Ⅰ度 同年齢の健常者とほとんど同様の労作ができ、歩行階段昇降も健常者並みにできる
Ⅱ度 同年齢の健常者とほとんど同様の労作ができるが、坂、階段昇降は健常者並みにできない
Ⅲ度 平地でさえ健常者並みには歩けないが、自分のペースでなら1.6km(1マイル)以上歩ける
Ⅳ度 休まなければ50ヤード(46m)以上歩けない
Ⅴ度 会話、衣服の着脱にも息切れがする、息切れのため外出ができない

【%最大酸素摂取量(% VO2 max)】
トレッドミルや自転車エルゴメーターなどを使用した運動負荷試験(心肺運動負荷試験:cardiorespiratory exercise test: CPX)で最大酸素摂取量(VO2 max)を計測し、それに対する割合で示した運動強度です。

CPXには最大、最大下、症候限界性などの種類があり、それぞれ対象者への負担が変わります。CPXの実施により心筋梗塞や重度の不整脈などのリスクがあるため、医師の監視下で、禁忌事項や中止事項を遵守し、運動負荷中のモニタリングを行うことが必要です。

【Modified medical research council (mMRC)息切れスケール】
諸外国において一般的に使用されている息切れの評価法です。息切れを感じる日常生活の活動能力を、原法では6段階でしたが、修正版であるmMRC息切れスケールは、次の5段階で評価します。

Grade0 激しい運動をしたときだけ息切れがある
Grade1 平坦な道を早足で歩く、あるいはゆるやかな上り坂を歩くときに息切れがある
Grade2 息切れがあるので、同年代の人よりの平坦な道を歩くのが遅い、あるいは平坦な道を自分のペースで歩いているとき、息切れのために立ち止まることがある
Grade3 平坦な道を約100m、あるいは数分歩くと息切れのため立ち止まる
Grade4 息切れがひどく家から出られない、あるいは衣服の着替えをするときにも息切れがある

【METs】
安静座位での酸素摂取量を1メッツとし、運動強度がその何倍かを示す指標です。1メッツは、単位時間当たり・体重1kg当たり、3.5 ml/kg/分の酸素摂取量とされています。

厚生労働省からも様々な身体活動のMETsが公開されていますが、これらは大まかな運動強度の指標であり、実際には各活動を実行中の心拍数やRPEの確認が必要です。

【トークテスト】
簡単に大まかな運動強度を測る方法です。運動中に会話が可能なレベルなら適度な運動強度であり、数語発するのがやっとであれば、運動強度が高すぎます。酸素摂取量との関連などの妥当性も報告されています。

■実務での活かし方
運動トレーニングのセッションは表1の要素で構成されます。

一般に準備運動としてストレッチングから開始することがありますが、準備運動として有酸素運動を行うことが大切です。体温を上昇させることで、ストレッチングが行いやすくなり、運動後の筋痛や筋が硬くなることを予防できます。

(表1)
表1 運動トレーニングのセッションを構成する要素

続いて、厚生労働省で報告している「健康づくりのための身体活動基準」を紹介します。

18〜64歳においては、日常生活で身体を動かす身体活動量の基準と、スポーツや体力づくり運動で身体を動かす運動量の基準が推奨されています。

身体活動量の基準では、3メッツ以上の身体活動を23メッツ・時/週を行うことが示されています。

<3メッツ以上の身体活動の例>
・普通歩行(3メッツ)
・犬の散歩(3メッツ)
・そうじ(3.3メッツ)
・自転車(3.5〜6.8メッツ)など

運動量の基準では、3メッツ以上の運動を4メッツ・時/週を行うことが示されています。

<3メッツ以上の運動の例>
・自体重を使った軽い筋力トレーニング(3.5メッツ)
・ゴルフ(3.5~4.3メッツ)
・卓球(4.0メッツ)
・ゆっくりした平泳ぎ(5.3メッツ)など

日常生活での身体活動も運動も、適切な運動強度の活動を取り入れることが大切です。

(表2)
表2 入院患者と外来患者の有酸素運動の推奨レベル

リハビリテーションの対象となることが多い脳卒中の患者も、表2に示したように、健常者と概ね同程度の有酸素運動が推奨されています。

実施する運動としては歩行、自転車エルゴメーターなどです。運動による循環機能などへのリスクもあるため、運動前の評価を行い、運動を行うことが安全であることを確認し、運動中の状態もモニタリングすることが必要です。

適切に運動を行うことで、健康増進、脳卒中の再発リスクの減少が期待されます。

リハビリテーションにおける有酸素運動としては、屋外を歩行することや、室内で自転車エルゴメーターを使用することなどが一般的です。

感染予防や天候の問題などで、屋外に出ることができず、特殊な器具もない場合には、椅子に座った状態の運動でも、有酸素運動が可能です。

<屋内で行える有酸素運動>
1)足を交互に前後にステップ
2)足を交互に左右にステップ
3)足踏み
4)左右交互に足を挙げる(膝を伸ばす)

運動強度は低めですが、これらの運動をリズミカルに2分程度ずつ繰り返して行い、全体で20分程度の運動を行うと、効果的です。

ぜひリハビリテーションの一環として、取り入れてみてください。

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[出典・参照]
第54回理学療法士国家試験、第54回作業療法士国家試験の問題および正答について|厚生労働省
厚生労働省「運動基準・運動指針の改定に関する検討会 報告書」

臼田 滋

臼田 滋

群馬大学医学部保健学科理学療法学専攻 教授
群馬県理学療法士協会理事
理学療法士免許を取得後、大学病院で勤務し、理学療法養成校の教員となる。
小児から高齢者までの神経系理学療法が専門。


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