地域医療連携室とは?部署の役割や仕事内容を紹介
公開日:2022.09.15 更新日:2024.01.11

医療技術の高度化・細分化が進む昨今。医療現場では、患者さんが自分の状態に合った治療を適切に受けられるような体制づくりが求められています。
「地域医療連携室」は、医療機関が情報共有したり、診療協力したりしながら、患者さんが適切な医療を受けられるようにサポートする部署です。
なかには、医師や看護師・医療ソーシャルワーカーに加え、理学療法士・作業療法士などの専門職を地域医療連携室に配置している病院もあります。
今回は、医療現場で地域医療連携室が求められる理由を解説するとともに、地域医療連携室の役割や仕事内容についてお伝えします。
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地域医療連携室とは?
地域の医療機関が連携すると、患者さんとしては自分の状態に合った適切な医療が受けやすくなります。そうした効率的な医療提供体制づくりのための専門部署が、「地域医療連携室」です。まずは、地域医療連携室の役割や仕事内容を紹介します。
地域医療連携室の2つの役割
地域医療連携室の役割は、大きく「前方連携」と「後方連携」の2つに分けられます。「前方連携」とは、患者さんが医療機関に受診・入院する際におこなう連携のこと。「後方連携」とは、患者さんの退院後の生活を過ごしやすくするためにおこなう連携のことです。いずれにしても、患者さんが適切な医療を受けるために病院間・病院診療所間の連携を促すのが、地域医療連携室の役割です。
入院支援から講演活動まで多岐にわたる仕事内容
地域医療連携室の仕事は、入院支援から地域における広報活動までさまざまです。代表的な仕事には、以下のようなものがあります。
・紹介、逆紹介
より専門的な治療がおこなえる医療機関を紹介する、病状が安定した患者さんをかかりつけ医や地域の医療機関に逆紹介する
・各種社会福祉制度の紹介・調整
介護保険制度・高額療養費制度などに関する相談、医療機器の共同利用の調整(他院の病床や高額医療機器を共同利用するための連絡調整)
・共同診療の調整
自院・他院の医師が共同で診療するための連絡調整
・医療従事者や地域住民に向けた講習会
地域医療連携室が求められる理由

近年、医療機関では地域医療連携が重要視されています。その理由として、以下のような点が挙げられます。
患者さんの情報を共有し、状態に合った医療を受けやすくする
病院間・病院診療所間で、患者さんの情報を共有することで、連携や紹介がスムーズになります。
一口に「医療機関」と言ってもいろいろな機能を持つ病院・診療所がありますが、患者さんとしては、どのような医療機関を受診すべきかわからないケースも少なくありません。もしも特定の医療機関に患者さんが集中すると、医療崩壊(本来あるべき医療が提供できない状態)になってしまう可能性もあるでしょう。そうした事態を防ぐために、患者さんの情報を共有して、適切な医療機関にガイドできる地域医療連携室が求められているのです。
医療機器を共同利用しやすくする
医療機関同士で、高額医療機器を共同利用するには、全体を統括できる窓口が必要です。日本の場合、海外と比べて人口あたりのCT・MRI設置台数が多い傾向にありますが、1台あたりの検査数は少ない傾向にあります。地域によっては、1ヵ月あたりの検査数が0件の医療機関も見られます。そうした現状を踏まえて、国は、CT・MRIなどの高額医療機器の共同利用を推進しています。地域医療連携室は、医療機関同士で積極的に医療機器を共同利用できるように、連絡調整を行う窓口にもなっています。
地域医療連携室における理学療法士・作業療法士の役割

病院のなかには、地域医療連携室に理学療法士・作業療法士を配置しているところもあります。地域医療連携室で働く理学療法士・作業療法士は、どのような業務を担当しているのでしょうか。その役割として代表的なものを紹介します。
入院前の状態チェック・生活状況の確認
地域医療連携室に所属する理学療法士・作業療法士は、紹介元病院や患者さんの自宅を訪問し、転院・入院予定の患者さんの状態を評価したり、生活状況を確認したりします。専門的な判断によって、転院・入院後に必要となるリハビリや生活環境を見極め、スムーズに入院生活をスタートできるようにサポートを行います。
退院時の動作・介助指導
退院日が近づくと、理学療法士・作業療法士は患者さんの自宅を訪問し、本人の自宅内での動作を確認したり、家族に介助指導をしたりします。その際、ケアマネジャーや介護職員などが同席することも多く、他職種に介助方法や日常生活の注意点を伝えるのも、地域医療連携室の理学療法士・作業療法士の役割です。
住宅改修・福祉用具の相談対応
患者さんのなかには、自宅退院に伴い、住宅改修や福祉用具が必要になる人もいます。住宅改修や福祉用具は、本人や家族が同席したうえでケアマネジャーに具体的な内容を提案することがほとんどです。また、時には、工務店と工事の可否を話し合ったり、福祉用具貸与事業者と福祉用具の種類を相談したりすることもあります。
地域医療連携を意識した切れ目のない支援を
地域の医療機関が協力体制を築き、積極的に情報共有や診療協力などをおこなえれば、患者さんとしてはより適切な医療を受けやすくなるでしょう。それを実現するための部署が地域医療連携室です。入院前から退院後まで患者さんが安心して医療を受けられるように、医療従事者として地域医療連携を意識し、切れ目のない支援を進めたいものです。
関連記事
多職種連携とは?リハビリセラピストがチーム医療で意識したい役割
参考
日医ニュース 第925号|日本医師会
地域医療連携推進事業の実施について|厚生労働省
総合相談・地域連携室|兵庫県立リハビリテーション西播磨病院
医師不足問題と地域医療連携の必要性の高まり|厚生労働省
医療機器の効率的かつ有効・安全な利用について|中央社会保険医療協議会
地域医療支援病院の見直しについて|厚生労働省

田口 昇平
作業療法士/福祉住環境コーディネーター2級
2008年に作業療法士免許取得後、東京都内のリハビリ専門病院や特別養護老人ホームなどの施設で医療や介護業務に従事。2018年より、フリーライターに転身。医療介護職の働き方や働きやすい労働環境づくりなど、幅広いテーマで執筆。心理学・脳科学分野の書籍を愛読し、学んだ内容をブログやSNSで情報発信している。
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