理学療法士はブランクがあっても働ける?復職しやすい理由とおすすめの職場を解説
公開日:2024.11.20
文:内藤 かいせい(理学療法士)
理学療法士として職場復帰する際に、ブランクがあってもしっかり働けるのか心配になる方もいるのではないでしょうか。理学療法士は、ブランクがある方でも働きやすい待遇や制度があるため、復職しやすい職種といえます。
この記事では、理学療法士としてブランクがあっても働きやすい理由や、おすすめの職場についてご紹介します。具体的な理由を知ることで、安心して職場復帰ができるでしょう。
理学療法士はブランクがあっても働きやすい3つの理由
結論からいうと、理学療法士はブランクがあっても働きやすい職種といえます。その理由として、おもに以下の3つがあげられます。
1. 復職支援が設けられている
2. 理学療法士の需要が高い
3. ブランクOKの職場が多い傾向にある
ここでは、それぞれの理由を詳しく解説します。
1.復職支援が設けられている
1つ目は、理学療法士には復職支援が設けられている点です。これは、各地域の理学療法士協会が提供する復職支援制度によるものです。この制度は、結婚や出産などでキャリアにブランクが生じている方を対象としています。ブランクのある理学療法士が、少しでも自信を持って職場復帰できるように、さまざまな支援を行っています。
支援内容は地域によっても異なるので、詳しく知りたい方はお住まいの理学療法士協会のホームページを確認してみてください。職場復帰に不安を感じている方は、ぜひ地域の理学療法士協会の復職支援を活用してみましょう。
2.理学療法士の需要が高い
2つ目は、今後も理学療法士の需要が高くなると予想されるため、復職に困りにくい点です。この背景には、日本の急速な高齢化があります。政府の統計によると、65歳以上の高齢者の割合(高齢率)が年々増加しており、2030年には総人口の30%を超えると予測されています。昭和から平成にかけての高齢率が約10%であったことを考えると、いかに高齢者が増加しているのかがわかるでしょう。
このような高齢化の影響によって、医療・介護分野での理学療法士の需要が高まるとされています。そのため、たとえブランクがあったとしても、復職しやすい職場は多いでしょう。
3.ブランクOKの職場が多い傾向にある
3つ目は、ブランクOKの職場が多い傾向にある点です。理学療法士の求人サイトを見ると、「ブランクOK」という表記を記載している職場も少なくありません。この傾向にある理由としては、以下が考えられます。
1. 理学療法士の需要が高く、人材不足だから
2. 経験者として即戦力だから
3. 柔軟な勤務形態を提供できる職場が増えたから
このように、ブランクがあっても受け入れてくれる職場は多く存在します。職探しの場合は、ブランクOKの表記も参考にしてみてください。
ブランク明けの理学療法士の不安点と解決策
ブランクがあっても働きやすい理学療法士ですが、それでも復帰の際に不安に感じる方もいるでしょう。ここでは、ブランク明けで考えられる不安点とその解決策について解説します。
知識・技術面での不安
臨床から離れると、知識や技術面で不安を感じる方は多いでしょう。しかし、理学療法の根幹となる解剖学や運動学などの基礎知識は、時代が変わっても大きく変化することはありません。
たしかに、最新の治療法や医療機器の使用方法など、新しい知識を習得する必要はあるかもしれません。そのような新しい知識は、職場に復帰してから少しずつ学べばよいのです。雇用側も、その点を踏まえたうえで採用しているので、決して焦らないでください。じっくりと時間をかけて、以前の感覚を取り戻すことが大切です。
体力的な不安
理学療法士の仕事には、患者さんの介助や移動補助など、体力を使う場面が多くあります。ブランクが長くなると、体力面での不安を感じる方も少なくありません。
しかし、ブランク明けの理学療法士に対しては、多くの職場で配慮がなされています。たとえば、体力的に負担の少ない患者さんの担当を優先させる、1日のリハビリ回数を調整するなどの対応がとられます。このような配慮があるため、無理なく仕事に復帰が可能です。
それでも体力に自信がないと思う方は、まずはパートやアルバイトからはじめるという選択肢もあります。体力が戻ってきたら、徐々に勤務日数や時間を増やしてみましょう。
ライフスタイルでの不安
ブランク明けの復職では、仕事と家庭生活の両立に不安を感じる方も多いでしょう。とくに子育てや介護などの家庭の事情がある場合は、フルタイムでの勤務が難しいと感じるかもしれません。
しかし、前述したように、多くの職場ではパートやアルバイトなどの非常勤での雇用も採用されています。これらの勤務形態であれば、自分のライフスタイルにあわせて勤務時間や日数を調整可能です。たとえば、子どもの保育園の送迎にあわせて9時〜15時の勤務にしたり、週3日だけの勤務にしたりできます。復職の際は、仕事と家庭生活の両立ができるような職場を探してみましょう。
ブランク明けの理学療法士におすすめの職場
ブランク明けでは、どのような環境の職場がよいのでしょうか。ここでは、ブランク明けの理学療法士におすすめの職場について深掘りしてみましょう。
非常勤のある職場
前述したように、ブランク明けの理学療法士にとって、非常勤での復職もおすすめです。非常勤であれば勤務時間や日数を自分のペースにあわせて調整できるため、無理なく仕事を続けられます。
非常勤として働きつつ、最新の医療情報や技術を学ぶ時間も確保できます。そのため、ブランク期間中に不安に感じていた知識や技術の遅れを取り戻せるでしょう。体力的な不安や家庭の関係で、いきなり正社員として働くことが難しい場合は、非常勤からの復帰を検討しましょう。
子育てがしやすい環境の職場
子どもがいる理学療法士は、子育てしやすい環境の職場もおすすめです。子育てがしやすい職場の特徴としては、以下のとおりです。
● 院内保育所や託児所が設置されている
● 育児休暇や短時間勤務などの制度が充実している
● 子どもの急な病気などに対する理解がある
このような特徴のある職場では、仕事と家庭の両立がしやすく、ブランク明けの不安を軽減できます。また子育てがしやすい職場を探す際は、求人情報だけでなく、実際に働いている方の口コミや評判も参考にするとよいでしょう。
体力的に余裕が生まれやすい職場
体力的に余裕が生まれやすい職場を選ぶことで、スムーズに復帰できます。そのような条件に当てはまる職場としては、以下のとおりです。
● 通所リハビリテーション(デイケア)
● デイサービス
● 訪問リハビリテーション
このような維持期に該当する職場は、患者さんの生活機能の維持や向上に焦点を当てたリハビリが中心となります。そのため、急性期・回復期病院と比べて、身体的な介助が必要な場面が少ない傾向にあるでしょう。
もちろんすべての職場に当てはまるわけではないので、実際に見学をして雰囲気を確認してみてください。自分の体力や技術にあった職場を選ぶことで、ブランク明けでも安心して働けます。
理学療法士はブランクがあっても復職しやすい
理学療法士は需要が高く、復職支援も充実しているため、ブランクがあっても職場復帰しやすいといえます。復職にあたって、体力面や技術面などの不安を持つ方もいるでしょう。
しかし、職場側もその点を考慮してくれたり、自分にあった雇用形態で働いたりすることで、ある程度の不安を解消可能です。ぜひ今回の記事を参考にして、理学療法士としてスムーズな復帰を目指してみてください。
内藤 かいせい
理学療法士として回復期病院と訪問看護サービスに従事し、脳血管疾患や運動器疾患などの幅広い症例を経験する。リハビリで患者をサポートするとともに、全国規模の学会発表にも参加。 新しい業界にチャレンジしたいと決意し、2021年に独立する。現在はWebライターとして活動中。これまでの理学療法士の経験を活かして、医療や健康分野で多くの執筆・監修に携わっている。
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