【解剖学から考える】骨盤を立てるために本当に必要なストレッチを紹介!
公開日:2024.05.29 更新日:2024.05.30
文:服部 恵実(理学療法士・ピラティスインストラクター)
あなたは「骨盤を立てましょう」という言葉を聞いたことがありますか。普段から運動をしていたり、体について学んでいる方であれば、一度は聞いたことがあるのではないでしょうか。ただ骨盤を立てる動きを正確に理解できていなかったり、やろうとしても逆に腰を反って痛めてしまったりする方がいるのも事実です。当記事では、「骨盤を立てる」ということは解剖学的にどういうことなのか、そしてどのようにすれば立てることができるのか解説していきます。ぜひ一緒に取り組みながら読み進めてみてください。
【今更聞けない】骨盤を立てるとはどういうこと?
結論からお伝えすると、骨盤を立てるとは骨盤を正常な位置に戻すことを指します。
骨盤の正しい位置は、ニュートラルポジションという言い方があります。骨盤全体が前に傾いて(前傾して)いたり、後ろに傾いて(後傾して)いたりしない、中間のポジションのことを指します。
骨盤の位置を見る際に、ポイントとなる部位は以下の通りです。
⒈腰の前側で触れられる飛び出ている骨(上前腸骨棘)
⒉へそから下がった時に触れることができる骨(恥骨)
左右の上前腸骨棘と恥骨を結んだ3点を骨盤の前の三角形とし、その傾きで骨盤の位置を判断します。
骨盤の正しい位置は、三角形の向きを元にすると以下の通りです。
・仰向け姿勢では、骨盤の前の三角形が床に平行
・立ち姿勢では、骨盤の前の三角形が床に垂直
多くの方は骨盤全体が後ろに傾いているため、骨盤を立てる(前に傾ける)ことで正常な位置に戻るケースが多いのです。また反り腰の場合は、骨盤全体が前に傾いているため、後ろに傾けることで正常な位置に戻ります。
骨盤が立てられない原因について解説!
それではなぜ骨盤は立てられない方が多いのでしょうか。原因を知ることで根本的な解決に繋がりますので、ぜひ理解していただけると良いでしょう。
正しいポジションが理解できていない
意外と多いケースとして、そもそもどの位置が正しいか理解できていないということが挙げられます。ゴールがわからないのに、目的地にたどり着くことはできないですよね。
骨盤の正しい位置は、先ほど紹介したように以下の通りです。
・仰向け姿勢では、骨盤の前の三角形が床に平行
・立ち姿勢では、骨盤の前の三角形が床に垂直
ただし人によって骨の形などは異なりますので、あくまでも一般的な状態であることを理解しておきましょう。
腸腰筋が弱いor使い方がわらない
骨盤を立てるために必要な筋肉の一つが、腸腰筋と呼ばれる筋肉です。腰の背骨(腰椎)と腸骨から太ももの骨にかけて走っている筋肉で、骨盤を前に傾ける働きがあります。
そのためこの筋肉が弱かったり使えていないと、骨盤が後ろに倒れてしまうのです。
座っている時間が長かったり、歩く機会が少ない方は、弱くなったり硬くなることが多いため、現代人の多くが当てはまります。
ハムストリングス・大殿筋が硬い
骨盤の動きに関係する筋肉で、ハムストリングスという腿裏の筋肉や大殿筋と呼ばれるお尻の筋肉があります。これらの筋肉は、骨盤を後ろに傾ける働きがあります。
そのため筋肉が硬くなり緊張が高まると、骨盤を後ろに傾け倒れてしまうのです。
これも腸腰筋が弱い方と同様に、長時間に渡り座っていたり、運動不足の方はハムストリングスや大殿筋が硬くなっているケースを散見します。
骨盤を立てると得られる効果3選
骨盤の正しい位置や倒れてしまう原因がわかりましたね。しかしなぜ骨盤は立てた方が良いのでしょうか。倒れたままではいけないのでしょうか。それでは次に骨盤を立てることで得られるメリットについて解説します。
姿勢がよくなる
姿勢に大きく関係する背骨は、骨盤の上に積み木のように積み重なっています。そのため背骨の土台となる骨盤の傾きが整うことで、背骨の湾曲を正常に保つことができ、姿勢の改善に繋がります。
また姿勢は骨盤と胸郭の位置関係で決まると言っても過言ではないため、骨盤の位置を整えることで姿勢を改善することができます。
太ももやふくらはぎが細くなる
骨盤の傾きが乱れると重心も本来の位置からずれます。その結果、体が倒れないように保つため、脚の筋肉が過剰に働き支えているのです。
そのため太ももやふくらはぎなどの筋肉が発達し、肥大するため太くなってしまう可能性があるのです。
よって骨盤の傾きを整えることで、太ももやふくらはぎ痩せにも繋がります。
ぽっこりお腹が改善する
骨盤の傾きが乱れると内臓の位置が下がったり骨盤周りの筋肉を使いにくくなるため、ぽっこりお腹を引き起こしている可能性があります。
そのため、骨盤の位置を整えることでぽっこりお腹の改善にも繋がるでしょう。
■関連記事
【簡単にできる】内臓の位置を戻してぽっこりお腹を解消するトレーニング!
誰でも簡単!骨盤を立てるストレッチ
骨盤を立てるためには、関節を動かすことができることと筋肉を使い支えることができることが重要です。
それでは実際に骨盤を立てるために必要なストレッチを紹介します。
【まずは骨盤を動かそう】キャットアンドカウ
普段から姿勢が悪い方は、骨盤の位置が乱れたまま固定しており、骨盤を動かすという感覚がわからない場合が多いです。そのためまずは骨盤を前や後ろに傾ける動きを獲得しましょう。
⒈四つ這いになります。この時、手首は肩の下に、膝は股関節の下にくるようにします。
⒉背骨を丸め、お尻の尻尾を床に向けるように動かします。意識できる方は、息を吐きながら行いましょう。
⒊次に背骨を反らし、胸を前の壁に向けていきましょう。この時、できる方は息を吸いながら行います。
【次に座ってチャレンジ】腸腰筋エクササイズ
腸腰筋は骨盤を立てる筋肉で、デスクワーカーの方など座っている時間が長い方は弱くなっている部位です。骨盤を立てる動きに重要な筋肉なので、しっかり鍛えていきましょう。
⒈長座の姿勢で座ります。腿裏が突っ張る方はまずは軽く膝を曲げた状態から始めましょう。
⒉お尻の下でマットに触れる骨(坐骨)に圧を感じるまで、骨盤を起こしましょう。
⒊後ろに傾ける動きと前に傾ける動き(2)を繰り返し行います。
【ここまでできればバッチリ】ハムストリングスストレッチ
⒈足幅を拳1個分保ち、空気椅子のような状態になります。鼠径部で割り箸を挟みこむようなイメージです。
⒉椅子に手を当てて、背骨を伸ばします。頭が落ちないように注意しましょう。
⒊鼠径部を引き込んだまま、膝をゆっくりと伸ばします。
まとめ
今回は、二の腕が太くなる原因や関係する筋肉など体の仕組みについて解説しました。また誰でも簡単にできる二の腕痩せのトレーニングも合わせて紹介しました。
二の腕が太くなる原因は様々ですが、主に姿勢の悪さから上腕三頭筋が使えていないことがほとんどです。なぜ使えていないのか解剖学的に理解しながら、根本的に解決するトレーニングを行うことで、最短ルートで痩せることができますので、ぜひ当記事を参考にしていただけたら幸いです。
また二の腕痩せだけでなく肩の痛み予防などにも繋がりますので、一生健康的な身体を維持したい方もぜひ取り組んでみてください。
![服部恵実](https://co-medical.mynavi.jp/contents/therapistplus/wp-content/uploads/sites/2/2024/03/DSCF1730-2.jpg)
服部 恵実
大学卒業後、理学療法士として大学病院に勤務。集中治療室や救命救急病棟にて手術後や集中的な全身管理が必要な方などを始め、計33診療科でのリハビリテーションを担当。その中で予防医療の重要性を痛感したため心臓リハビリクリニックへ移り、生活習慣病の再発予防を運動や食事など多方面からアプローチを行う。さらに本質的な予防医学を伝えていくには病院外で活動していく必要性があると感じ、ピラティスインストラクターへ転向。現在は、インストラクターや医療従事者向けの講師やオンラインサロン運営を行なっている。
Instagram:@_emiitreat_
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