認定理学療法士とはどんな資格?取得方法とメリットも解説
日本理学療法士協会が、理学療法士の生涯学習のために設けた資格の1つに、認定理学療法士があります。認定理学療法士は一般の理学療法士よりも専門性が高い資格で、いまのところ取得者は、理学療法士全体の一部に限られています。そのため、認定理学療法士という資格についてよく知らない方も多いのではないでしょうか。
当記事では、認定理学療法士の資格内容や専門分野について詳しく解説します。認定理学療法士になる方法や資格の更新方法、認定理学療法士を取得するメリットなども紹介するため、興味のある方はぜひご覧ください。
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目次
認定理学療法士とは?
認定理学療法士とは、理学療法士としての専門性を高め、質の高い理学療法を提供することを目的とした資格です。また認定理学療法士には、臨床技術や知識の高さだけでなく、理学療法の発展に貢献できる研究能力が必要とされます。
ここでは、認定理学療法士の資格について詳しく紹介します。
認定理学療法士の分野
認定理学療法士は、より専門性を高めるために、用意されたさまざまな分野のなかから1つ以上を選び、そのスペシャリストとなることが求められます。
例えば、脳卒中分野について重点的に学び、資格を取得した認定理学療法士は「脳卒中認定理学療法士」と表記されます。認定理学療法士の認定分野は、以下の一覧の通りです。なお、基礎理学療法専門分野は2022年4月をもって廃止されています(専門理学療法士へ移行)。
神経理学療法専門分野 | ・脳卒中 ・神経筋障害 ・脊髄障害 ・発達障害 |
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運動器理学療法専門分野 | ・運動器 ・切断 ・スポーツ理学療法 ・徒手理学療法 |
内部障害理学療法専門分野 | ・循環 ・呼吸 ・代謝 |
生活環境支援理学療法専門分野 | ・地域理学療法 ・健康増進・参加 ・介護の予防 ・補装具 |
物理療法専門分野 | ・物理療法 ・褥瘡(じょくそう)と創傷ケア ・痛みの管理 |
教育管理理学療法専門分野 | ・臨床教育 ・管理と運営 ・学校教育 |
(出典:公益社団法人 日本理学療法士協会「認定理学療法士制度 専門理学療法士制度」/https://www.japanpt.or.jp/pt/lifelonglearning/asset/pdf/18ecade1111774b9d1faf1d27a27a4ab.pdf)
認定理学療法士になるのは難しい?
認定理学療法士の取得率は、2022年6月時点で、日本理学療法士協会の総会員のうちの1割強です。認定理学療法士の資格を取得するには、専門知識やスキルを身に付ける必要があるため、難易度が高い傾向にあります。
(出典:公益社団法人 日本理学療法士協会「各資格の取得状況」/https://www.japanpt.or.jp/pt/lifelonglearning/statistics.html)
認定理学療法士になるためには、前提となる登録理学療法士の資格を取得した上で、さまざまな申請要件を満たさなければなりません。要件を満たした後、認定試験に合格することも必要です。また、認定理学療法士の資格は5年ごとの更新制となっているため、常に自己研鑽し、認定理学療法士としての知識やスキルを高めていく必要があります。
認定理学療法士は2022年度から認定制度が変わり、変更後の認定試験はまだ行われていません。そのため正確な難易度は分かっておらず、合格率も読めない状況です。ただし、試験を受けるまでに何年もかかる資格のため、ハードルは高いと言えるでしょう。
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認定理学療法士になるには?
認定理学療法士の資格を取得するには、先に登録理学療法士の資格を取る必要があります。認定理学療法士は2022年度から認定制度が変更になっているため、資格取得を考えている方は、取得方法をきちんと確認しておきましょう。
ここからは、登録理学療法士と認定理学療法士それぞれの取得方法を説明します。
登録理学療法士の取得方法
理学療法士が登録理学療法士を取得するには、研修を受ける必要があります。研修は前期と後期に分かれており、前期研修で最短2年、後期研修で最短3年かかります。つまり、前期・後期合わせて最低5年の研修期間を経て、初めて登録理学療法士になることが可能となるわけです。
登録理学療法士の研修では、カリキュラムに沿って座学や実地研修を受けることになります。前期研修の目標は、基礎的な理学療法を実践できるレベルに到達することです。その後、後期研修を通してさまざまな領域の理学療法を臨床実践することで、学生や後輩に指導できるレベルに到達することを目指します。
登録理学療法士は、理学療法士のための生涯学習制度の基盤となる資格です。そのため、登録理学療法士の資格は5年ごとの更新制となっており、登録理学療法士を取得した後も、専門家としての知識やスキルを磨き続ける必要があります。
(出典:公益社団法人 日本理学療法士協会「登録理学療法士制度について」/https://www.japanpt.or.jp/pt/lifelonglearning/new/registered/)
就職先について
制度と取得方法について解説
認定理学療法士の取得方法
認定理学療法士の資格を取得するためには、必要なカリキュラムを受講し、日本理学療法学術研修大会に参加したうえで、認定試験に合格する必要があります。
認定理学療法士取得に必要なカリキュラムは、指定研修カリキュラム、臨床認定カリキュラム(必須)、臨床認定カリキュラム(選択)の3種類です。指定研修カリキュラムはeラーニングでおこなわれ、臨床認定カリキュラムは主催する教育機関によってオンラインか対面に分かれます。
(出典:公益社団法人 日本理学療法士協会「認定理学療法士制度」/https://www.japanpt.or.jp/pt/lifelonglearning/asset/pdf/12fe508951cf249e85f4757073309a4b.pdf)
認定理学療法士の取得後は?資格の更新方法
認定理学療法士を取得した後は、5年ごとに資格を更新する必要があります。併せて、登録理学療法士の更新も必要です。ここからは、認定理学療法士の資格の更新方法を紹介します。
認定理学療法士の資格更新のためには、以下の3つの要件をすべて満たすことが必須条件です。
要件1:以下のいずれかの活動を1つ行うこと |
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・都道府県理学療法士会が発行する学術雑誌への投稿(筆頭著者に限る) ・ブロック主催学会での一般発表(筆頭演者に限る) ・都道府県理学療法士学会での一般発表(筆頭演者に限る) なお、要件1の活動で、要件2のポイントを得ることはできません。ただし、更新までの5年間で上記の活動を2回以上おこなった場合、2回目以降は要件2のポイントに加算することができます。 |
要件2:スキルや知識の維持・研鑽のための活動において100点を取得すること |
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認定理学療法士の資格更新においては、学会参加や講習会・研修会の受講、学会発表など、さまざまな活動に対して履修ポイントが定められています。認定理学療法士の資格更新のためには、5年間で合計100点以上の履修ポイントを取得することが必要です。
なお、ポイントの内訳や、活動内容が資格の取得分野に関連しているかどうかは問われません。 |
要件3:更新時研修を受講すること |
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更新時研修は、認定理学療法士の資格更新の対象年度に受講する必要があるため注意しましょう。更新時研修はeラーニングでおこなわれます。研修の内訳は以下の通りです。
・医療安全学:医療倫理 上記4コマに加えて、分野別研修を受講する必要があります。 |
(出典:公益社団法人 日本理学療法士協会「生涯学習制度 認定・専門理学療法士更新申請マニュアル」/https://www.japanpt.or.jp/pt/lifelonglearning/asset/pdf/ninteisenmonkoushin20220614.pdf)
高収入を狙うためにできること
認定理学療法士を取得するメリットは?
認定理学療法士は取得するのに時間がかかる資格であり、取得難易度も高くなっています。しかし、認定理学療法士を取得するメリットも存在します。ここでは、認定理学療法士の資格を取得することによる代表的なメリットを紹介します。
- ・自分のスキルを確認できる
認定理学療法士を取得すれば、自分自身が理学療法士としてどの程度のスキルを持っているのか、研修などを通して明確に確認できます。それが、日々仕事をするモチベーションにつながる点もメリットの1つです。
- ・学会や講習会で新しい知識を学べる
認定理学療法士の資格を取得する際には、学会や講習会に出席する必要があります。学会や講習会への出席を通して、理学療法士としての新しい知識を学べる点も大きなメリットです。知識や技術を実践で磨くことも大切ですが、学会や講習会では、実践では学べない体系的な知識を身に付けられます。学会や講習会で学んだ知識は日々の業務でも役立つため、決して無駄にはなりません。
- ・今後、重要度が高まる可能性がある
現状、「認定理学療法士」に限られた仕事は多くありません。しかし、日本理学療法士協会は認定理学療法士の資格を持つことに対する価値を高めようとしています。その取り組みの一環として、2022年度に認定理学療法士を含めた生涯学習制度が大幅に改定されました。新しい制度では、「認定理学療法士が何名従事しています」というように、医療広告などに認定理学療法士の資格について記載できることを目指しています。今後、認定理学療法士の資格を持っていることがプラスに働く可能性は高いでしょう。
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まとめ
認定理学療法士とは、特定の臨床実践分野で優れた知識やスキルを持った理学療法士のことです。養成校を卒業したばかりの方が認定理学療法士の資格を取得するには、まず最短5年の研修を経て、登録理学療法士の資格を取得する必要があります。さらに選択した分野について深く学び、認定試験の合格者となって初めて認定理学療法士の資格を得られます。
認定理学療法士は取得難易度が高い資格ですが、今後重要度が高まる可能性があるため、スキル向上のためにチャレンジしてみてはいかがでしょうか。
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※当記事は2022年7月時点の情報をもとに作成しています