登録理学療法士とは?制度と取得方法について解説

更新日 2022年11月11日 公開日 2022年10月26日

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2022年度から、理学療法士の生涯学習制度として「登録理学療法士制度」が始まりました。始まったばかりの制度ということもあり、みなさんのなかには「まだ制度の内容を把握していない」という方も多いでしょう。また、「すでに新人教育プログラムを修了しているから、自分には必要ない」と考えている方もいらっしゃるかもしれません。

当記事では、登録理学療法士制度の概要や登録理学療法士になる方法、資格を取得するメリットを解説します。理学療法士としてのスキルアップ、キャリアアップを考えている方は必見です。

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登録理学療法士とは?

「登録理学療法士制度」は、日本理学療法士協会に所属する理学療法士が生涯学習を進める上で、基盤となる制度です。資格の維持に5年ごとの更新を定めるなど、理学療法士の方に継続的な学習を求め、理学療法士の質を担保することを目的として設立されました。

登録理学療法士制度は2022年度から始まった新しい制度なので、今後、運用する中で更新方法などが変わる可能性もあります。ここでは、2022年7月時点の情報をもとに、登録理学療法士の制度について解説します。

(出典:公益社団法人 日本理学療法士協会「生涯学習制度について」/https://www.japanpt.or.jp/pt/lifelonglearning/new/

登録理学療法士制度と新人教育プログラムの違い

これまで日本理学療法士協会は、養成校を卒業した理学療法士向けの教育制度として、1年間の「新人教育プログラム」を用意していました。しかし、この制度は2022年度の登録理学療法士の制度開始と入れ替わりに、2021年度で終了しています。

登録理学療法士制度は、これまでの新人教育プログラムと大きく異なり、全体的に学習内容のボリュームが大幅に増えているのが特徴です。登録理学療法士制度には、新人教育プログラムにはなかった5年ごとの更新があり、長期間の学習を求められる制度となっています。

また、新人教育プログラムでは、最短の終了日が日本理学療法士協会に入会した年度末であったのに対し、登録理学療法士となるための履修期間は最低5年と長くなりました。研修時間やコマ数も、新人教育プログラムの13単位もしくは15単位から大幅に増えています。つまり、登録理学療法士制度は、新人教育プログラムよりも腰を据えて学べる制度というわけです。

以上のことから、じっくり学習できる制度を整え、より多様な障害に対応できる「ジェネラリスト」の育成を目指している点が、登録理学療法士制度の大きな特徴と言えるでしょう。

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登録理学療法士になるには?

登録理学療法士になるには、規定の研修を受けるなど、一定の要件を満たす必要があります。また、登録理学療法士になった後も、資格を維持するために5年ごとの更新が必須です。

ここでは、登録理学療法士になるための要件と更新方法についてご紹介します。

登録理学療法士になる方法

登録理学療法士の資格取得には、前期・後期に分かれた研修の受講が必要です。前期の履修には2年、後期は3年の実務経験が求められるので、すべて履修するためには最低でも5年かかります。

前期研修・後期研修を修了するには、次の要件をすべて満たす必要があります。

前期研修 ・座学22コマ(33時間)
・実地研修32コマ(48時間)
後期研修 ・座学51コマ(76.5時間)
・3年間の実務経験
・日本理学療法士協会の在会会員として勤務先を登録

(出典:公益社団法人 日本理学療法士協会「登録理学療法士制度について」/https://www.japanpt.or.jp/pt/lifelonglearning/new/registered/

前期研修は計54コマ、時間にして81時間の受講が求められます。

また、2022年以前から理学療法士として活躍している方は、新人教育プログラムの進捗度によって資格の取得要件が異なります。

新人教育プログラム未修了の場合、前期研修から受講が必要です。すでに取得した単位に応じて、前期の必要コマ数は次のように変動します。

取得単位数 前期の必要コマ数
0単位 54コマ
1~10単位 48コマ
11単位以上 42コマ

新人教育プログラムを修了済みの場合、2012年以前に協会へ入会した方は、研修なしで登録理学療法士になれます。2013年以降に入会した方も、前期・後期のカリキュラムを並行しての受講が可能です。前期は32コマのみ、後期の必要コマ数はすでに取得した生涯学習ポイント数に応じて変動します。

取得済みの生涯学習ポイント数 後期の必要コマ数
50ポイント未満 47コマ
50ポイント以上80ポイント未満 43コマ
80ポイント以上110ポイント未満 37コマ
110~220ポイント未満 18コマ
220ポイント以上 登録理学療法士を取得済みのため不要

(出典:公益社団法人 日本理学療法士協会「生涯学習制度について」/https://www.japanpt.or.jp/pt/lifelonglearning/new/

また、後期研修で求められる実地経験の期間は、入会年度に応じて変化します。登録理学療法士を目指す前に、必ず新人教育プログラムの履修状況と入会年度、生涯学習ポイントの取得状況を確認しましょう。

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登録理学療法士の更新方法

登録理学療法士の資格を維持するには、5年ごとの更新が必要です。更新の要件を満たすためには、活動に応じて取得できるポイントを50集めた上で、5年目に更新時研修を受けることになります。ただし、6回目以降の更新では必要ポイントが10に減り、研修受講も任意となります。

取得できるポイントは、1回で1ポイント得られる場合と、学習時間に応じたポイントが得られる場合に分かれています。学習時間に応じたポイントの場合、30分ごとに0.5ポイントの取得が可能です。

雑誌への投稿以外の各活動のポイントは、学習領域ごとに割り振られたカリキュラムコードで管理されます。例えば、カリキュラムコード72は「四肢のしびれ」です。同じコードでは最初に付与されたポイントのみが有効となり、更新ポイント取得方法には、次のような活動があります。

「JPTA NEWS」の問題への解答
「JPTA NEWS」は、日本理学療法士協会の会員限定コンテンツです。2022年6月号から毎号5問ずつ出題され、すべての問題に解答・正解すると1ポイント取得できます。
日本理学療法士協会のeラーニングの受講
ポイントの取得には、eラーニングを視聴のうえ、確認テストに合格する必要があります。学習時間に応じたポイントの取得が可能です。
研修会・講演会・ワークショップなどの受講
ポイントが得られる研修会・講演会・ワークショップなどには、日本理学療法士協会や各地の士会・ブロック協議会が主催するものと、士会が承認した会員所属施設が主催するものがあります。いずれも学習時間に応じたポイントを取得できます。
学会参加
士会、ブロック協議会、日本理学療法学会連合の会員団体が主催する学会の参加者は、学会開始から終了までの時間に応じたポイントが付与されます。学会発表もポイントの対象です。
広報誌などへの投稿・執筆
規定の広報誌などに投稿することでも、ポイントの取得が可能です。日本理学療法士協会や士会が発行する広報誌などから、あらかじめ定められた発行物が対象となります。1回につき1ポイント得られますが、投稿・執筆で得られたポイントは、年に5ポイントまでしか更新に利用できないので注意しましょう。

なお、投稿・執筆にはカリキュラムコードは設定されません。

(出典:公益社団法人 日本理学療法士協会「登録理学療法士更新について」/https://www.japanpt.or.jp/pt/lifelonglearning/asset/pdf/827ca958c109328e18e59623d7991681_5.pdf

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登録理学療法士を目指すメリット2つ

登録理学療法士の取得には最低でも5年かかり、資格を維持するためには更新の手間も必要です。また、現状では登録理学療法士に限定された仕事などもありません。

一方で、以下のようなメリットもあるため、理学療法士としてのキャリアアップを視野に入れている方は、登録理学療法士を目指してみるのも良いでしょう。

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実践的な知識が増える

登録理学療法士は、理学療法士の質の担保と知識のアップデートを目的に導入された制度です。研修プログラムは、OJTや症例検討会などを取り入れ、臨床現場での実践を重視した内容となっています。

また、後期研修では後輩の指導を求められます。自身の経験や学びを後輩に対してアウトプットしていくなかで理解度を深め、さらなるスキルアップに結びつけることも可能です。

加えて、登録理学療法士を更新するためには、業務と並行しながら学習を続けることが求められます。自己研鑽が習慣づけされ、身についた知識を現場で効果的に深められるでしょう。

認定・専門理学療法士を目指せるようになる

登録理学療法士の上位資格として、認定理学療法士と専門理学療法士があります。いずれも登録理学療法士を取得した後に目指せる資格となっています。

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認定理学療法士と専門理学療法士は、それぞれ異なる分野に強みを持つ資格です。研究志向か臨床志向かといった、自身のキャリアパスに応じて選べます。登録理学療法士は、専門性の高い資格を取得するための入口といえます。登録理学療法士の取得は、今後のキャリアアップの第一歩として有効な方法の1つです。

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まとめ

登録理学療法士とは、理学療法士の質を担保するための資格です。更新制を取り入れるなど、従来の新人教育プログラムよりも長期にわたる学習を視野に入れており、理学療法士の生涯学習を支える制度となっています。認定・専門理学療法士など、専門性の高い資格の前提条件にもなっており、理学療法士のキャリアアップに役立つ資格です。

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※当記事は2022年7月時点の情報をもとに作成しています

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