理学療法士が老人ホームで働くときの仕事内容は?働く魅力も解説

更新日 2023年01月10日 公開日 2023年01月10日

#年収・給料 #情報収集 #転職検討/準備

理学療法士の職場の内訳を見ると、病院・クリニックなどの医療施設が大半を占めており、老人ホームで働く理学療法士は少数しかいません。

(出典:公益社団法人 日本理学療法士協会「会員の分布」/https://www.japanpt.or.jp/activity/data/

しかし、近年はリハビリを重視する老人ホームなども増えており、介護福祉施設での理学療法士の需要が高まっていることも事実です。そのため、老人ホームでの理学療法士の仕事内容を知っておけば、転職時の選択肢も広がるでしょう。

そこで当記事では、老人ホームで働く理学療法士の仕事内容や病院との違い、介護福祉士との業務の違いを解説します。併せて求人状況や平均給与についても紹介しますので、老人ホームで働くことに興味がある理学療法士の方は、ぜひご一読ください。

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理学療法士が老人ホームで働くときの仕事内容は?働く魅力も解説

老人ホームで働く理学療法士の仕事は?

理学療法士が働く場所というと、真っ先に病院やクリニックが思い浮かびますが、老人ホームなどの老人福祉施設で働いている理学療法士の方もいます。

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また最近では、利用者さまの健康寿命を延ばす目的でリハビリに力を入れる老人福祉施設が増えているため、今後は理学療法士の需要が増えていくと予想されます。

ここからは、理学療法士が老人ホームでどのような仕事をするのかを見ていきましょう。

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老人ホームの種類

老人ホームは、運営主体によって大きく2つに分けられ、国や地方自治体が運営している「公的施設」と、民間企業が運営している「民間施設」があります。

公的施設は公的機関が運営主体のため、民間施設に比べ利用料金が安く、介護度の高い利用者さまの受け入れを重視しています。一方、民間施設は料金が高めですが、各種サービスが充実している施設が多い傾向にあります。

理学療法士が働く老人ホームは、主に以下の施設です。

  • ・介護付き有料老人ホーム
  • ・住宅型有料老人ホーム
  • ・サービス付き高齢者向け住宅
  • ・グループホーム
  • ・特別養護老人ホーム
  • ・介護老人保健施設
  • ・介護療養型医療施設

それぞれの運営主体や、利用者さまの介護度、提供するサービスをまとめると以下のようになります。

施設 運営主体 介護度 提供するサービス
介護付き有料老人ホーム 民間 「介護専用型」要介護1~5
「混合型」自立~要支援2
・介護からレクリエーションまでサービスが充実している
・施設数が多く、待ち時間が短い
住宅型有料老人ホーム 民間 自立~要介護5 ・介護度が低い高齢者向け
・介護サービスは外部施設と契約する必要がある
サービス付き高齢者向け住宅 民間 自立~要介護5 ・介護度が低い高齢者向け
・スタッフ常駐の「介護型」もある
グループホーム 民間 要支援2~5 ・認知症専門
・介護サービスは外部施設と契約する必要がある
特別養護老人ホーム 公的 要介護3~5 ・寝たきりなど介護度が高い高齢者向け
・人気が高く入居待ちの施設が多い
介護老人保健施設 公的 要介護1~5 ・病院と自宅の間で医療ケアやリハビリを受けるための施設
・入所期間は原則3~6か月
介護療養型医療施設 公的 要介護1~5 ・自宅での生活が困難な高齢者向け
・医療ケアが充実している

住宅型有料老人ホームとサービス付き高齢者向け住宅、グループホームは、「自宅にいるような感覚で生活する施設」であるため、介護や医療は基本的に外部のサービスを利用します。そのため理学療法士は、住宅型有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅、グループホームの入居者さまに対して、訪問リハビリの形で関わるケースが多いでしょう。

老人ホームで働く理学療法士の仕事内容

老人ホームの種別によって、理学療法士の仕事内容は変わります。医師の指示でリハビリを行う場合は理学療法士として、医師の指示がない場合は「機能訓練指導員」として利用者さまと関わることになります。

老人ホームで働く理学療法士の仕事内容を、2つのパターンに分けて見ていきましょう。

 

・医師の指示のもとでリハビリを行う場合(介護老人保健施設など)

介護老人保健施設や介護療養型医療施設など、医療的な側面が強い施設では、理学療法士は医師の指示のもとでリハビリを行います。

介護老人保健施設でのリハビリは、在宅復帰ができるようにADL(日常生活動作)を向上させることや、ご家族の介護負担を軽減することが主な目的です。具体的には、トイレ内での衣類の着脱動作など、生活する上で欠かせない動作のリハビリを行います。

理学療法士のその他の仕事内容は、以下の通りです。

  • ・ご家族への介助方法の指導
  • ・介護用品の選定
  • ・住宅改修や家具の配置への助言 など

介護老人保健施設ではさまざまな職種のスタッフが働いているため、立場の違うスタッフと協力しながら支援することも、理学療法士の重要な役割です。

 

・機能訓練指導員として機能訓練を行う場合(特別養護老人ホームなど)

特別養護老人ホームや介護付き有料老人ホームの場合、理学療法士は機能訓練指導員として業務に当たります。なお、機能訓練指導員は理学療法士だけでなく、作業療法士、言語聴覚士といったリハビリ職や看護師、柔道整復師などの資格を持っていればなれる職種です。

機能訓練指導員は、医師の指示ではなく、介護支援専門員(ケアマネジャー)の作成するケアプランに基づいて機能訓練を行います。

(出典:公益社団法人 日本柔道整復師会「日本機能訓練指導員協会」/https://www.shadan-nissei.or.jp/services/rehabilitation/

機能訓練指導員としての主な仕事内容は、以下の通りです。

  • ・機能訓練計画書の作成
  • ・個別リハビリ
  • ・集団リハビリ など

機能訓練は、医師の指示のもとで行われるリハビリとは異なり、日常生活を変わらずに送れるようにする「機能維持」が目的となります。

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病院で働く理学療法士との違いは?

病院と老人ホームではリハビリの目的が異なるため、理学療法士の仕事内容も違います。

病院は、けがや病気で損なわれた機能を改善させるためにリハビリを行う一方、老人ホームでは、自宅復帰や日常生活で必要な身体機能の維持を目的としてリハビリを行います。老人ホームを利用する高齢者の場合、病院の患者さまと違って機能改善が望めないケースも多いため、身体機能の維持が主な目的となる点に留意しましょう。

介護福祉士との役割の違いは?

老人ホームで働く介護福祉士は、利用者さまの食事介助や入浴介助、排せつ介助などの生活支援を行いますが、理学療法士がそうした介護業務を担うことはほとんどありません。

老人ホームにおける理学療法士は、リハビリ業務に特化した専門職であり、身体機能の維持や回復に貢献するのが主な役割です。

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老人ホームで働く理学療法士の求人状況

マイナビコメディカルでは、理学療法士の求人のうち約40%が介護福祉施設となっている一方、病院やクリニックの求人は25%程度にとどまっています。この点からも、介護福祉施設での理学療法士のニーズは高まっていると言えるでしょう。

勤務先の施設形態は、特別養護老人ホームや介護老人保健施設、デイサービスなどさまざまです。雇用形態は正社員が多くを占めますが、週1日からでもOKなパートの求人もあるので、ご自身の生活スタイルに合った働き方を選べるでしょう。

求人を出している事業所は全国各地にあり、なかには実務経験が不問の求人もあるので、介護福祉施設での勤務経験がない理学療法士の方でも、チャレンジすることができます。

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老人ホームで働く理学療法士の給与状況

理学療法士の給与状況を、理学療法士全体と老人ホームで働く理学療法士で比較すると以下のようになります。なお、理学療法士全体の平均年収データは作業療法士、言語聴覚士、視能訓練士を含む平均値です。

理学療法士の給与状況
理学療法士全体の平均年収(※1) 約427万円
老人ホームで働く理学療法士(※2) 約350万~400万円

(※1 出典:厚生労働省「令和3年賃金構造基本統計調査 結果の概況」/https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/chingin/kouzou/z2021/index.html

(※2 出典:マイナビコメディカル/https://co-medical.mynavi.jp/search/30300140/ar/st/1006/

老人ホームで働く理学療法士の月収の相場は約22万~24万円で、諸手当を入れて年収にすると約350万~400万円が相場です。

多くの施設では社会保険が完備されているほか、通勤手当や資格手当、住宅手当などが支給されるケースが多く、家族がいる方には家族手当が出る場合もあります。また、賞与実績は年2回(2~3か月分)、昇給は年1回とする施設が多い傾向です。

休日休暇は「月9休」や「週休2日制」などで、出産・育児休暇、介護休暇が取得できる施設もあります。

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理学療法士が老人ホームで働く魅力

理学療法士が老人ホームで担当する患者さまには、維持期(在宅で生活できている時期)の方が多いという特徴があります。

維持期のリハビリでは、日常生活を自分らしく送ってもらえるようにサポートすることがポイントです。維持期の患者さまを担当することが多い老人ホームの理学療法士には、以下のようなやりがいがあります。

  • ・1人ひとりの生活に寄り添える

    介護福祉施設では病院よりも長いスパンで利用者さまと向き合い、1人ひとりの日常生活に密着するため、利用者さまの生活に長く寄り添うことができます。高齢の方の改善速度はゆっくりですが、その半面、利用者さまの生活の質が少しずつ良くなっていくのを実感できる喜びがあります。

  • ・スキルアップできる

    維持期の患者さまは、身体機能が劇的に改善することが稀であるため、リハビリの効果をなかなか実感できない難しい時期でもあります。

    維持期にどのような支援をするかは、プロとしての腕が問われるところです。理学療法士としてスキルアップを目指すなら、維持期の患者さまと関わることができる老人ホームは魅力的な職場と言えるでしょう。

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まとめ

リハビリに力を入れる介護福祉施設の増加とともに、老人ホームで活躍する理学療法士の方が増えています。老人ホームにはさまざまな種類がありますが、理学療法士の働き方は、医師の指示のもとリハビリを行うか、機能訓練指導員として働くかの2つに大別できます。

マイナビコメディカルでは介護の現場で働きたい理学療法士の方に向けて、非公開求人のご案内も行っております。老人ホームへの転職・就職をお考えの理学療法士の方は、ぜひ一度マイナビコメディカルにご相談ください。

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※当記事は2022年7月時点の情報をもとに作成しています

監修者プロフィール

マイナビコメディカル編集部

 

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履歴書や職務経歴書の書き方から、マイナビコメディカルサイト内での求人の探し方のコツや、転職時期ごとのアドバイス記事などを掲載。
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