理学療法士がピラティス関連の資格を取るメリット|代表的な資格4選

文:内藤 かいせい(理学療法士)
理学療法士の方がピラティスに関する資格を取得すると、どのようなメリットがあるのか知りたい方はいませんか?ピラティスは海外発祥のエクササイズのことで、リハビリとの関連性が高いのが特徴です。理学療法士がピラティスの資格を取得することで、リハビリの幅が広がる、給料アップするなどのメリットが期待できます。
この記事では、理学療法士がピラティスの資格を取得するメリットや資格の種類をご紹介します。ピラティスを臨床に取り入れることで、理学療法士としての活躍の幅が広がるきっかけとなるでしょう。
目次
ピラティスとは?
ピラティスとはどのようなエクササイズなのでしょうか?ここでは、ピラティスの具体的な仕事内容を解説します。
独自に開発されたエクササイズのこと
ピラティスとは、リハビリを目的に独自開発されたエクササイズです。この運動法は、ドイツ人看護師のピラティス氏によって戦争中に生み出されたメソッドとされています。戦争で負傷した兵士の身体機能回復を目的に考案されたため、医学的な根拠に基づいたアプローチをすることが特徴です。
ピラティスはインナーマッスルを鍛えることに焦点を当てており、それによって全身のバランスを整えます。医療現場での実践から生まれた背景があるため、ピラティスは理学療法士の専門知識と非常に親和性が高いエクササイズといえるでしょう。
ピラティスとヨガの違い
ピラティスと類似したエクササイズとしてあげられるのが、ヨガです。ピラティスとヨガは混同されがちですが、起源や目的において明確な違いがあります。先述したように、ピラティスは戦争中にリハビリを目的として開発されたエクササイズで、身体機能の改善に特化しています。
一方で、ヨガはインドで修行の一環としてはじまった瞑想法で、精神的な安定を重視する点が大きな特徴です。呼吸法においても両者には違いがあり、ピラティスでは胸式呼吸を用いて交感神経を活性化させます。対してヨガでは腹式呼吸を基本とし、副交感神経を優位にしてリラックス効果を促進します。
理学療法士がピラティスの資格を取得する4つのメリット

理学療法士がピラティスの資格を取得するメリットには、おもに以下の4つがあげられます。
・転職時に有利になる可能性がある
・給料が上がる可能性がある
・新しいキャリアを作るきっかけになる
ここでは、それぞれのメリットを詳しく解説します。
1. リハビリのバリエーションが広がる
1つ目は、リハビリのバリエーションが広がる点です。ピラティスはもともとリハビリ目的で開発されたエクササイズであり、理学療法士の専門性と相性がよいのが特徴です。以下のような、理学療法士にとっても重要なアプローチを行うきっかけとなります。
・姿勢改善
・バランス機能
ピラティスと理学療法を組み合わせた指導により、患者さんの身体機能をより効果的に改善できるでしょう。
2. 転職時に有利になる可能性がある
2つ目は、転職時に有利になる可能性がある点です。高齢化が進む今、医療や介護領域では予防医療への関心が高まっており、ピラティスのニーズも高まっています。そのため、ピラティスの専門知識を持つ理学療法士は、医療機関や介護施設にとって求められる存在といえるでしょう。
ピラティスの資格を保有すれば専門性の高さをアピールでき、採用担当者に好印象を与えられます。
3. 給料が上がる可能性がある
3つ目は、給料が上がる可能性がある点です。職場によっては、リハビリに関係する資格の取得によって手当が支給されるケースがあります。どのくらい手当を受けられるかは職場によりますが、場合によっては大きく年収が上がる可能性もあるでしょう。
また、ピラティスの指導ができる理学療法士として院内での評価が高まれば、昇進の可能性も高まります。ピラティスの資格を活かした副業も可能となり、本業以外の収入源を確保するきっかけにもなります。
4. 新しいキャリアを作るきっかけになる
4つ目は、新しいキャリアを作るきっかけになる点です。ピラティスの資格を取得すれば、病院や介護施設での勤務以外にも、多様な分野での活躍が可能になります。たとえば、予防医療の分野で健康な方に運動指導を行ったり、企業の健康経営をサポートする領域で活動したりできるでしょう。スポーツ分野においても、アスリートのコンディショニングやパフォーマンス向上の専門家として活躍する道も考えられます。
このように、ピラティスの資格は理学療法士としての専門性を活かしながら、より自由度の高いキャリアを築くきっかけとなるのです。
ピラティス資格の種類
ピラティスの資格は、おもに「マットピラティス」と「マシンピラティス」の2種類に分類されます。マットピラティスとは、マット上で行うエクササイズ方法を学ぶピラティスの資格です。特別な器具を必要とせず、ボールなどの小道具を使った基本的な動作を中心に習得できます。
一方、マシンピラティスでは専用の機械や器具を使用するエクササイズ方法を学びます。負荷をかけた効果的な運動が可能ですが、高額な機械や特定のスペースが必要になる点に注意しましょう。
おすすめのピラティスの資格

ピラティスにはさまざまな資格があり、それぞれの取得方法が異なります。ここでは、おすすめのピラティスの資格をご紹介します。
BASI
BASIとは世界的に認知度が高く、ピラティス業界でも大きい団体が認定する資格です。全国各地にスタジオがあり、対面とオンラインの両方で学習できます。取得できる資格としては、以下のとおりです。
・マシンピラティス指導者資格
・コンプリヘンシブ(マット+マシン)資格
取得期間は半年から1年ほどですが、マット・マシンどちらかの資格の場合はさらに早い期間で取得可能です。
balanced body
balanced bodyは、アメリカで生まれた教育プログラムを提供している団体です。ピラティスマシンのトップシェアを誇るメーカーが運営しているため、最新の機器を使った質の高い指導技術を学べます。
このスクールではマットピラティスからマシンピラティス、さらにその両方を取得でき、そのほかにも多様な資格コースが用意されています。対面だけでなくオンラインにも対応しており、さらにマットピラティスに関しては夜間でのスクールも開催されているのが特徴です。
FTP Pilates
FTP Pilatesはイギリス発祥のPMA加盟団体で、マットピラティスを中心とした段階的な学習プログラムが特徴となっています。FTP Pilatesでは、以下のようなさまざまな専門コースが用意されています。
シニアピラティス(シニアや制限のある方のためのピラティス)
スタンディングピラティス(立位でのエクササイズを中心としたピラティス)
高齢者のリハビリや産前産後ケアに携わる機会が多い方にとって、これらの専門知識は臨床現場で直接活用できるスキルといえるでしょう。基礎コースから上級コースまで体系的に学べるため、ピラティス初心者でも安心して受講できます。
PHI Pilates
PHI Pilatesでは、姿勢の改善に特化したピラティスメソッドを学べます。PHI Pilatesで受講する際は、マットピラティスの資格取得からはじまり、そこから以下のようなさまざまな資格を目指せます。
・バレルコース
・チェアコース
・リフォーマーコース
・タワーコース
スクールは全国にあり、開催地に限らず好きな場所で受講でき、コースによってはオンラインにも対応しています。
ピラティスの資格を取得して理学療法士のキャリアを広げよう
ピラティスはインナーマッスルを中心としたエクササイズであり、リハビリにも活かしやすい特徴があります。理学療法士がピラティスの資格を取得することで、リハビリの幅が広がる、新しいキャリアが生まれるなどのメリットがあります。
ピラティスにはさまざまな資格の種類があるので、自分にあったものを選択することが大切です。ぜひ今回の記事を参考にして、ピラティスの資格取得を目指してみましょう。
ピラティスはリハビリと非常に親和性が高いため、資格を取ることで臨床の幅が大きく広がります。臨床の場面で新しい視点を増やしたいという方にとって、ピラティスの考え方やアプローチは大きな力となるでしょう。あなたも、ピラティスの資格を取得してみませんか?
キャリアアドバイザーに転職相談する(完全無料)
職場探しをお手伝いします♪マイナビに相談する
著者プロフィール

内藤 かいせい
理学療法士
理学療法士として回復期病院と訪問看護サービスに従事し、脳血管疾患や運動器疾患などの幅広い症例を経験する。リハビリで患者をサポートするとともに、全国規模の学会発表にも参加。 新しい業界にチャレンジしたいと決意し、2021年に独立する。現在はWebライターとして活動中。これまでの理学療法士の経験を活かして、医療や健康分野で多くの執筆・監修に携わっている。
監修者プロフィール

寺澤 慶大
理学療法士
2007年に長野医療技術専門学校(現在の長野医療大学)を卒業。
長野県松本市にある一之瀬脳神経外科で10年、長野県松本市にある武内整形外科クリニックで4年勤務。
また、介護分野領域でも4年程度の経験あり。
その他、自費診療での施術やスポーツトレーナー等もおこなう。
現在は整体院を開業し、整体りびるど院長として様々なクライアントの悩みに寄り添う施術をおこなう。












