理学療法士・作業療法士・言語聴覚士に退職金はある?
理学療法士・作業療法士・言語聴覚士は、何らかのリハビリを行う患者さんにとって欠かせない存在です。働く施設によっては高い収入を得られることもあり、今後も需要が高まる職業と言われています。
理学療法士・作業療法士・言語聴覚士で働こうと考えたとき、特に気になるポイントに給料が挙げられるでしょう。しかし、退職後や老後のことを考えると、「退職金」も重要な要素となります。
そこで今回は、理学療法士・作業療法士・言語聴覚士における退職金の相場や、退職金が高い傾向にある職場の特徴などについて徹底的に解説します。金銭的な余裕を持ちながら働きたいという方は、ぜひ参考にしてください。

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目次
1.理学療法士・作業療法士・言語聴覚士には退職金はある?
理学療法士・作業療法士・言語聴覚士などの医療業界は、一般的な民間企業と比較して退職金が支給される施設の割合は少ない傾向です。
また、勤務する施設により給与が異なることと同様、退職金が支給される場合でも、その額は施設により大きく異なります。なぜなら、施設により退職金の計算方法がそもそも異なるためです。
そこでまずは、理学療法士・作業療法士・言語聴覚士における退職金の相場と基本的な計算方法を解説します。
1-1.退職金の相場
下記の表は、一般的な施設に5年間勤務した理学療法士・作業療法士・言語聴覚士の基本給から算出した退職金の相場です。
退職金 | 基本給(※) | |
---|---|---|
理学療法士・作業療法士・言語聴覚士 | 約102万円 | 約29万円 |
(※出典:厚生労働省「令和2年賃金構造基本統計調査 結果の概況」/https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/chingin/kouzou/z2020/index.html)
なお、基本給は、厚生労働省が公表した令和2年度における賃金構造基本統計調査の平均給与データを抜粋しています。
1-2.退職金の計算方法
一般的な施設に5年間、基本給29万円で働き続けた理学療法士・言語聴覚士・作業療法士の退職金は約102万円と前述しました。では、この退職金はどのようにして算出された金額なのでしょうか。
退職金の基本的な計算方法は、業種を問わず「基本給」「勤続年数」「給付率」で決定されます。給付率は、退職理由(自己都合退職・会社都合退職)や運営法人によって大きく異なり、主に60〜100%の間が一般的です。
退職金の基本的な計算方法 |
---|
基本給 × 勤続年数 × 給付率 = 退職金 |
下記では、基本給・勤続年数・給付率の異なるいくつかのケース別に、退職金の例を紹介します。
○Aさんの場合(基本給30万円/勤続15年/給付率60%)
理学療法士のAさんは、訪問介護ステーションで15年間勤務していました。退職時の基本給は30万円で、給付率は60%です。Aさんの退職金は、下記のように算出されます。
300,000(基本給)×15(勤続年数)×0.6(給付率)=2,700,000
上記の計算式で算出すると、退職金は270万円です。
○Bさんの場合(基本給23万円/勤続7年/給付率70%)
作業療法士のBさんは、介護老人保健施設で7年間勤務していました。退職時の基本給は23万円で、給付率は70%です。Bさんの退職金は、下記のように算出されます。
230,000(基本給)×7(勤続年数)×0.7(給付率)=1,127,000
上記の計算式で算出すると、退職金は112万7千円です。
○Cさんの場合(基本給30万円/勤続20年/給付率80%)
言語聴覚士のCさんは、訪問・通所の総合リハビリテーションで20年間勤務していました。退職時の基本給は30万円で、給付率は80%です。Bさんの退職金は、下記のように算出されます。
300,000(基本給)×20(勤続年数)×0.8(給付率)=4,800,000
上記の計算式で算出すると、退職金は480万円です。
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2.理学療法士・作業療法士・言語聴覚士の退職金が高い職場の特徴
理学療法士・作業療法士・言語聴覚士の退職金を高める要素には、基本給・勤続年数・給付率があります。特に、勤続年数の長さは退職金をより多く受け取るために重要ですが、何らかの理由で10年もせず退職を選択する方も珍しくありません。
そのため、勤続年数の長さにかかわらず、なるべく退職金を多く受け取りたいという方は、退職金が高い職場を狙うことがおすすめです。
下記は、理学療法士・作業療法士・言語聴覚士の退職金が高い職場の特徴です。
- (1)基本給が高い職場
- (2)規模の大きい施設
- (3)国立・公立の病院
ここからは、各職場の特徴を、それぞれ詳しく解説します。
2-1.基本給が高い職場
退職金は、基本給を一つの基準として算出されるため、基本給が高い職場は全体的に退職金も比例して高くなる傾向です。東京や大阪など、人の多く集まる大きな都市では、基本給が高く設定されている職場が多くあります。
また、業務に役立つ資格を保有していれば、資格手当も支給されるため、高い退職金を受け取りたいなら「都市部にある施設」あるいは「自身の持つ資格・経験を活かせる施設」がおすすめです。
2-2.規模の大きい施設
全国に系列の病院があるような大手総合病院や、母体の大きい介護施設・福祉施設は、基本給が高まる傾向にあります。
これらの施設は経営状態が良好なケースが多いため、基本給も高く設定されやすく、かつ退職金の給付率も高いことも珍しくありません。自身のスキルや経験によっても基本給が大きく異なることも特徴です。
2-3.国立・公立の病院
国立・公立病院は、一般的な民間病院などと比較してはるかに年収が高い傾向にあります。ボーナスも出やすく、勤続年数が長ければ長いほど昇給も大いに期待できるでしょう。
そもそもの基本給が高い傾向にあるため、10年以下の勤続年数で退職しても、大きな退職金を受け取ることが期待できます。20〜30年勤続すれば、1,000万円近い退職金を得ることも可能でしょう。
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3.理学療法士・作業療法士・言語聴覚士の退職金に関するQ&A
最後に、「なるべく高い額での退職金を受け取りたい」と考えている理学療法士・作業療法士・言語聴覚士の方に向けて、退職金に関するよくある質問を、Q&A形式で紹介します。
納得できる退職金を受け取って、働き続けた職場を気持ち良く退職したいという方は、ぜひ参考にしてください。
3-1.老後が不安な場合は?
「老後2,000万円問題」が取り沙汰されてから、老後が不安と感じる方も多いでしょう。多くの退職金を受け取れる見込みがなく、老後が不安だと感じている理学療法士・作業療法士・言語聴覚士の方は、「確定拠出年金」の利用がおすすめです。
確定拠出年金とは、いわゆる個人で行う年金制度で、毎月一定額を積み立てるシステムです。運用商品や方針は自身に決定権があり、資産運用も行えます。確定拠出年金で積み立てたお金は60歳以降にならなければ受け取ることはできません。しかし、支給されるであろう退職金と同等、もしくはそれ以上の金額を受け取れる可能性がある点が大きな魅力です。
さらに、確定拠出年金で積み立てたお金は所得控除の対象となり、節税にもつながります。少しでも退職金に不安を抱えている方は、確定拠出年金を始めることがおすすめです。
3-2.退職金を増やす方法は?
基本給は、退職金の金額に大きな影響を与えます。退職金を増やすためには、まず基本給を上げることが大切です。転職を考えていない場合は、新たな資格の取得やキャリアアップで昇給を目指しましょう。
今以上の昇給が見込まれない場合は、思い切って転職することも一つの手段です。これまで培ってきた経験を武器に、より自身のスキルが求められる職場を探してみてはいかがでしょうか?
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まとめ
理学療法士・作業療法士・言語聴覚士の退職金は、「基本給」「勤続年数」「給付率」で計算されます。なるべく多くの退職金を受け取りたいと考える方は、基本給の高い傾向にある規模の大きな病院や国立・公立の病院を選ぶことがおすすめです。また、現在の職場では基本給のアップが見込めないという場合は、思い切って転職を検討してみることも一つの手段です。
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