「理学療法士をやめてよかった」と思う理由とは?やめる前にやっておきたいこと
公開日:2023.04.10 更新日:2023.06.12
文:rana(理学療法士)
「理学療法士をやめてよかった」そんな声を聞いたことはありませんか?理学療法士は身体機能の回復を支援するスペシャリストとして、やりがいや魅力も多い仕事です。しかし、思っていた仕事とは違うと感じて、やめてしまう人も少なからずいます。
実際に理学療法士をやめてよかったと感じる理由には、どのような点が挙げられるのでしょうか。
この記事では、「理学療法士をやめてよかった」といわれる理由ややめる前にできることなどについて、現役理学療法士が解説します。
なぜ理学療法士をやめてよかったと思うのか?
「理学療法士をやめてよかった」と思う人は、それぞれに理由があるはずです。まずは、その理由について、筆者の経験や周りからの声からまとめてみました。
給料がアップした
職場にもよりますが、一般的に理学療法士は大幅な昇給が難しい職種です。そのため、将来的な不安を抱えて他の分野での就職や転職を検討する人もいるのではないでしょうか。
収入面で悩みを抱えていた理学療法士が、仕事を変えたことで給料アップに成功すれば「やめてよかった」と感じるようです。
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人間関係が良好になった
理学療法士に限らず、職場の人間関係で悩む人は大勢います。特に理学療法士は、患者さんをはじめ、看護師や作業療法士など、他の医療職と関わることが多い職種です。
人間関係がうまくいかないと、仕事をスムーズに進められず、やめてしまいたいと思うこともあるでしょう。そうした理由から、人と関わることが少ない職に転職したり、医療関係以外の仕事に変えたりして、働きやすい環境になったときに、「理学療法士をやめてよかった」という声が聞かれます。
希望の休みが取りやすい、休みが増えた
近年では、365日、年中無休でリハビリを行う施設が増えており、理学療法士も週末や祝日が勤務日になることがあります。
そのため、プライベートな時間が充実しづらいと感じたり、自分の希望通りに休めなかったりと不満を持つことも少なくありません。理学療法士をやめ、休みが取りやすい環境になったとき、ストレスが解消できたとして、良い結果に感じている人も多いのではないでしょうか。
仕事とプライベートの境界が明確になった
理学療法士の仕事は、業務以外の時間にも自己研鑽が求められます。休日を返上して研修会に参加したり、夜遅くまで実技練習をしたりする人も少なくありません。
そうなると仕事とプライベートの境界線が不明瞭になり、疲弊してしまいがちです。理学療法士をやめてよかったと思う人は、仕事とプライベートを明確に分けられる職に変えた場合に多いかもしれません。
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本当に理学療法士をやめたいのか?
ここまでお伝えしてきたように、理学療法士をやめてよかったと思う理由は、人によって異なります。
ですが、結果的に「やめてよかった」と思えたとしても、本当は、理学療法士の仕事自体は好きだった、できれば続けたかったと思う人もいるかもしれません。もともと高い志を持ち、資格取得のために努力してきた人であれば、よりその思いは強いはずです。
もし今、理学療法士をやめたいと思って、「やめる理由」を探しているのであれば、もう一度、自分自身が感じている悩みや不満を考えみてください。ひょっとすると、今の環境が問題なだけであって、理学療法士自体をやめる理由にはならないかもしれません。何か解決策を見つけて、このまま理学療法士を続けていくことも選択肢のひとつです。今後のキャリアを考えながら、より良い選択ができるよう検討してみましょう。
理学療法士をやめる前にすべきこと
では、理学療法士をやめてしまう前に、何ができるのでしょうか。また、すべきことはあるのでしょうか。できる対策について具体的にまとめました。
上司に相談する
人間関係や職場環境で悩んでいるのなら、まずは上司に相談してみましょう。担当分野を変えてもらったり、仕事内容を見直してもらったりすることで、自分が働きやすい環境に身を置ける場合もあります。筆者の周りにも、上司に相談して担当病棟を変更したり、外来から訪問へ部署を変えたりして、環境が改善した人がいました。
転職をする
給料や職場環境の悩みを解決したいのなら、転職するのもひとつの選択肢です。理学療法士は専門的な国家資格であり、一般職と比べても転職しやすい傾向にあります。自分が希望する条件や仕事内容を満たしてくれる職場に転職できれば、多くの悩みを解決できるでしょう。筆者は複数回の転職経験がありますが、いずれも給料アップに成功しています。
副業をする
給料面での不安を抱えているのなら、副業を始めてみるのもよいのではないでしょうか。近年は理学療法士に限らず、副業する人が増えており、仕事先の選択肢も広がっています。理学療法士の副業として、非常勤で訪問リハビリやデイサービスに勤めている人も多く見られます。こうした副業は一般的な時給よりも高い傾向にあり、収入アップが見込めます。
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理学療法士以外の仕事もひとつの選択肢
いろいろ検討した結果、やっぱり理学療法士をやめたいという気持ちが変わらない、というのであれば、もちろん違う職に就くこともひとつの選択です。筆者の周りにも、理学療法士からアパレル業界や建築業界に転職した仲間がおり、転職して後悔はしていないという話を耳にします。
また、自身で整体院を開業したり、スポーツトレーナーとして活躍したりしている例もあります。全く違う分野に変更するのではなく、理学療法士のスキルを生かした仕事を探すのもよいかもしれません。
理学療法士をやめる前に環境を変えてみよう
自分の人生を充実させるために、理学療法士の資格に縛られず、他の職を模索することも選択肢のひとつかもしれません。ですが、やめてしまえば、これまで学んできたことが生かせなくなったり、キャリアを失ったりすることもあります。新しい仕事を始めても、また違う悩みが出る可能性もあるでしょう。苦労して取得した国家資格なので、簡単にやめてしまうのではなく、まずは何か対策をとって、環境をかえることから試してはいかがでしょうか。
rana(理学療法士)
総合病院やクリニックを中心に患者さんのリハビリに携わる。現在は整形外科に加え、訪問看護ステーションでも勤務。 腰痛や肩痛、歩行障害などを有する患者さんのリハビリに日々奮闘中。 業務をこなす傍らライターとしても活動し、健康、医療分野を中心に執筆実績多数。
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