【新制度対応】理学療法士なら知っておきたい3つの認定資格|取得のメリットと取り方も
理学療法士には、「登録理学療法士」「認定理学療法士」「専門理学療法士」の3つの認定資格があります。これらは、いずれも理学療法士としての専門性を高めることを目的とした資格で、日本理学療法士協会が認定しています。
しかし、認定理学療法士と専門理学療法士の取得者数は同協会会員の2割に届かず、また登録理学療法士は2022年度に新設された資格とあって、資格内容や取得方法について詳しく知らない方も多いのではないでしょうか。
(出典:公益社団法人 日本理学療法士協会「各資格の取得状況」/https://www.japanpt.or.jp/pt/lifelonglearning/statistics.html)
この記事では、理学療法士の3つの認定資格について、取得方法や更新方法などを詳しくご紹介します。理学療法士として専門性を高めたい方は、ぜひご活用ください。
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目次
理学療法士の認定資格とは?
理学療法士は、患者さまのリハビリテーションに携わる医療専門職です。病気やけが、加齢、障害などによって運動機能が低下した方に対して、日常動作の回復や悪化防止につながる治療を行います。
仕事内容や作業療法士との違いについて
理学療法士の学術・職能団体である日本理学療法士協会は、会員の理学療法士向けに「生涯学習制度」を設けています。生涯学習制度とは、理学療法士が専門家としての知識やスキルを向上させ続けるためのキャリア開発プログラムであり、そのなかには認定資格も設けてあります。
理学療法士の認定資格として挙げられるのは、「登録理学療法士」と、その上位資格である「認定理学療法士」「専門理学療法士」の3種類です。認定制度では、「5年ごとの更新制」を取り入れることで、生涯にわたって知識や技術の維持・向上を目指せる制度設計を行っています。
認定理学療法士や専門理学療法士になるには、まず登録理学療法士の資格を取得しなければなりません。また、いずれの認定資格も、一般の理学療法士より高い専門性が求められます。
(出典:公益社団法人 日本理学療法士協会「生涯学習制度について」/https://www.japanpt.or.jp/pt/lifelonglearning/new/)
2022年時点で、日本理学療法士協会の総会員数は約13万4千人です。そのうち、認定理学療法士の取得者実数はおよそ10%の約1万5千人、専門理学療法士の取得者実数は約2千人で、わずか1%強の割合となっています。ちなみに、2つの資格の前提となる登録理学療法士は60%以上の方が取得しています。
(出典:公益社団法人 日本理学療法士協会「各資格の取得状況」/https://www.japanpt.or.jp/pt/lifelonglearning/statistics.html)
認定理学療法士や専門理学療法士を取得する最大のメリットは、理学療法士としてより高い専門性を持っていることを証明できる点です。研修などを通して常に新しい知識やスキルを習得できるので、スキルアップにもおすすめの資格と言えるでしょう。
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登録理学療法士になるには?
登録理学療法士とは、理学療法士として多様な障害に対応できる能力を証明する資格です。登録理学療法士は、5年間の研修を経て取得できる資格であり、取得した後も5年ごとに更新が必要になります。
理学療法士は、時代とともに変化・多様化するニーズに応え続ける仕事です。生涯にわたって自己研さんする必要があることから、生涯学習制度では登録理学療法士を「理学療法士の義務教育」と位置付けています。
ここでは、登録理学療法士の取得方法をご紹介します。
制度と取得方法について解説
登録理学療法士の取得方法
登録理学療法士を取得するためには、前期と後期に分かれている研修を受ける必要があり、前期・後期ともに座学と実地研修を受けます。前期研修では初期研修や理学療法の基礎、理学療法の専門性などを学び、後期研修では臨床推論や臨床疫学などを学んだうえで、領域別研修を行います。
登録理学療法士の研修にかかる最短期間は、前期で2年間、後期で3年間です。つまり、登録理学療法士を取得するためには最低5年かかるわけです。
(出典:公益社団法人 日本理学療法士協会「登録理学療法士制度について」/https://www.japanpt.or.jp/pt/lifelonglearning/new/registered/)
登録理学療法士は2022年に始まった制度であり、それ以前に日本理学療法士協会へ入会していた方は、登録理学療法士の取得条件が異なるので、よく確認しておきましょう。
(出典:公益社団法人 日本理学療法士協会「生涯学習制度について」/https://www.japanpt.or.jp/pt/lifelonglearning/new/)
登録理学療法士の更新方法
登録理学療法士の資格は、取得することがゴールではなく、前述したとおり資格を取得してからも、5年ごとに更新が求められます。
登録理学療法士の更新に特別な申請手続きは不要ですが、資格取得または前回更新から5年以内に、2つの要件を満たす必要があります。1つめの要件は、5年目に「更新時研修」を受講することです。そして2つめの要件は、5年目の資格更新時までにポイントを50点(6回目の更新以降は10点)獲得することです。
登録理学療法士は、活動を通してポイントを獲得できます。ポイントを獲得できる活動は大きく2つに分かれており、1つは学習領域ごとに設定されたカリキュラムコードに準じた学習、もう1つは雑誌投稿となっています。
カリキュラムコードに準じた学習の対象は、日本理学療法士協会の機関誌に掲載される問題の解答、日本理学療法士協会によるeラーニングの受講、研修会・講演会の受講などです。雑誌投稿については、日本理学療法士協会などが発行する広報誌への投稿や執筆がポイント獲得の対象となっています。
(出典:公益社団法人 日本理学療法士協会「登録理学療法士更新について」/https://www.japanpt.or.jp/pt/lifelonglearning/asset/pdf/touroku_koushin_20230925.pdf)
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認定理学療法士・専門理学療法士になるには?
認定理学療法士とは、臨床実践分野において、特に優れた理学療法士であることを証明する資格であり、理学療法士としての専門性をさらに高めることを目的としています。
取得方法とメリットも解説
一方、専門理学療法士は、理学療法の発展のために学問的指向性が高い理学療法士を育てる資格です。
認定理学療法士・専門理学療法士はいずれも、自分の専門分野を決め、その分野のスペシャリストを目指す資格です。そのため、取得後は選んだ分野を最初に冠して「スポーツ理学療法専門理学療法士」のように表記されます。
ここからは、認定理学療法士と専門理学療法士の資格の取得方法をご紹介します。
認定理学療法士の取得方法
認定理学療法士を取得するには、自分が専門とする医療分野のカリキュラムを受講し、日本理学療法学術研修大会に参加したうえで、認定試験に合格する必要があります。
認定理学療法士の取得に必要なカリキュラムは、「指定研修カリキュラム」「臨床認定カリキュラム(必須)」「臨床認定カリキュラム(任意)」の3種類です。
指定研修カリキュラムは、日本理学療法士協会主催の研修をeラーニングにて受講します。内容は選んだ分野に関わらず共通です。臨床認定カリキュラムは教育機関による研修で、オンラインあるいは対面によって実施されます。臨床認定カリキュラムの内容は、選んだ専門分野ごとに異なります。
(出典:公益社団法人 日本理学療法士協会「認定理学療法士制度」/https://www.japanpt.or.jp/pt/lifelonglearning/asset/pdf/ninteigaiyou.pdf)
専門理学療法士の取得方法
専門理学療法士を取得するには、指定された研修カリキュラムを受講し、学会に参加したうえで学術大会での発表と論文が必要です。その後、口頭試問を受け、合格すると専門理学療法士の資格を取得できます。
専門理学療法士の取得に必要な研修カリキュラムは、日本理学療法士協会主催のeラーニングによる講習です。
(出典:公益社団法人 日本理学療法士協会「専門理学療法士制度」/https://www.japanpt.or.jp/pt/lifelonglearning/asset/pdf/senmongaiyou_1.pdf)
認定・専門理学療法士の更新方法
認定・専門理学療法士は、5年ごとに更新の必要がある資格です。登録理学療法士も5年ごとに更新が必要な資格ですが、そちらは認定・専門理学療法士の更新とは別に行う必要があります。前提となる登録理学療法士の資格を失効すると、認定・専門理学療法士の更新もできなくなるので、注意しましょう。
認定・専門理学療法士の資格を更新するには、以下の3つの要件をすべて満たす必要があります。
要件1:以下のいずれかの活動を1つ行う |
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・都道府県理学療法士会が発行する学術雑誌への投稿(筆頭著者) ・ブロック主催学会における一般発表(筆頭演者) ・都道府県理学療法士学会での一般発表(筆頭演者) 資格更新までの5年間で上記の活動を2回以上行った場合は、2回目以降を要件2のポイントとして加算できます。 |
要件2:能力の維持・研鑽活動で100点分のポイントを獲得する |
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学会・講習会・研修会への参加、論⽂・著作、学会発表などを通して5年間で100ポイントを獲得します。ただし、1つの活動で、登録理学療法⼠更新のためのポイントを同時に獲得することはできません。 |
要件3:更新時研修を受講する |
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更新時研修はeラーニングによって実施され、共通研修が4コマ、分野別研修が1コマの計5コマです。更新時研修は、認定・専門理学療法士の資格取得または最後の更新から5年目である、更新対象年度に受講する必要がある点に注意しましょう。 |
(出典:公益社団法人 日本理学療法士協会「生涯学習制度 認定・専門理学療法士更新申請マニュアル」/https://www.japanpt.or.jp/pt/lifelonglearning/asset/pdf/ninteisenmonkoushin20221104.pdf)
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まとめ
理学療法士の認定資格には、「登録理学療法士」「認定理学療法士」「専門理学療法士」の3種類があります。認定・専門理学療法士を取得するには、まず登録理学療法士を取得する必要があり、登録理学療法士を取得するには5年間の研修が求められます。
登録理学療法士と認定・専門理学療法士の資格は更新制です。取得や更新の方法は2022年度に刷新されているので、これから手続きをする方は注意しましょう。
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※当記事は2022年7月時点の情報をもとに作成しています
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