【キャリアプラン別】理学療法士のキャリアアップに役立つ資格を解説

更新日 2023年11月14日 公開日 2023年11月14日

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理学療法士の数は年々増加しており、2040年には供給数が需要数の約1.5倍になると推測されています。そうしたなか、ほかの理学療法士との差別化を図り、長く必要とされる人材となるには、何かに特化した「強み」を持つことが有効です。

例えば、資格の取得も1つの方法でしょう。理学療法士のキャリアアップに役立つ資格としては、日本理学療法士協会が認定する資格や特定の症例に対応する医療系の資格、介護現場でニーズの高いケアマネジャー資格、健康運動指導士資格などが挙げられます。

この記事では理学療法士のキャリアプラン別に、キャリアアップに役立つ資格を詳しく解説しますので、「専門性を磨きたい」「活躍の場を広げたい」と考える理学療法士の方は、ぜひ参考にしてください。

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【キャリアプラン別】理学療法士のキャリアアップに役立つ資格を解説

キャリアアップに役立つ日本理学療法士協会資格

先に紹介したように、理学療法士の数は2040年頃に需要数の約1.5倍となると予想されています。

(出典:厚生労働省「医療従事者の需給に関する検討会」/https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000132674_00001.html

そうしたなか、理学療法士が安定して仕事を続けていくには、スキルアップ・キャリアアップを図る必要があります。ここでは、理学療法士のスキルアップ・キャリアアップに役立つ日本理学療法士協会の資格について紹介しましょう。

なお、それぞれの資格に関する解説は、公益社団法人日本理学療法士協会の公式ホームページを参考にしています。

(出典:公益社団法人日本理学療法士協会「生涯学習制度について」/https://www.japanpt.or.jp/pt/lifelonglearning/new/

登録理学療法士

登録理学療法士とは、日本理学療法士協会が定めた理学療法士の質を担保するための資格制度です。

理学療法士養成校の卒業後5年間を義務教育的な位置づけとし、前期研修・後期研修の受講を通して、さまざまな障害に対応できる人材を育成するのが制度の目的となっています。

登録理学療法士
取得メリット ・実践的な知識が増える
・認定・専門理学療法士の資格取得が可能になる
取得要件 ・座学と実地講習を含む前期講習(2年間)を計81時間受講する
・3年間の実地経験を積みながら、座学を中心とした後期講習を計76.5時間受講する
・すでに日本理学療法士協会に所属している方も、入会年数によって研修が必要になる

(出典:公益社団法人日本理学療法士協会「登録理学療法士制度について」/https://www.japanpt.or.jp/pt/lifelonglearning/new/registered/

登録理学療法士の資格を維持するには、5年ごとの更新が必要です。こうした更新制度には、継続的な知識と技術の向上を促し、理学療法士の質を担保する狙いがあります。

登録理学療法士についての詳細を知りたい方は、以下のページもご覧ください。

【関連リンク】登録理学療法士とは?制度と取得方法について解説

認定理学療法士

認定理学療法士は理学療法士の専門性を高め、質の高い理学療法を提供することを目的とした資格です。認定看護師制度をモデルとして、臨床実践分野で専門的な能力を発揮できる理学療法士を育成するために作られました。

認定理学療法士の資格は、脳卒中、神経筋障害、脊髄障害、発達障害など22分野に細かく分けられており、分野ごとに認定制度が設定されています。

認定理学療法士
取得メリット ・臨床実践に役立つ知識を身につけられる
・資格手当や昇給につながる可能性がある
取得要件 ・すでに登録理学療法士になっている
・18時間の指定研修カリキュラムを受講する
・臨床認定カリキュラムの必須科目と選択科目を合計30時間以上受講する
・日本理学療法学術研修大会に12時間参加する(参加とみなされる要件は大会により異なる)

(出典:公益社団法人日本理学療法士協会「認定・専門理学療法士制度について」/https://www.japanpt.or.jp/pt/lifelonglearning/new/certif-specialized/

認定理学療法士資格を取得していれば、特定の臨床実践分野で高度な知識・スキルを持っていることを証明できます。ほかの理学療法士との差別化にもつながるため、就職・転職活動で有利に働く可能性もあるでしょう。

認定理学療法士についての詳細を知りたい方は、以下のページもご覧ください。

【関連リンク】認定理学療法士とはどんな資格?取得方法とメリットも解説

専門理学療法士

専門理学療法士は神経理学療法、小児理学療法、運動器理学療法など13の専門分野から、1つ以上の分野において、高い学術的知識を身につけていることを証明する資格です。専門医制度をモデルとして、学問的指向性の高い理学療法士を育成するために作られました。

専門理学療法士
取得メリット ・高度な専門知識を身につけられる
・取得者が少ないため、ほかの理学療法士との差別化が図れる
取得要件 ・すでに登録理学療法士になっている
・18時間の指定研修カリキュラムを受講する
・合計18時間、ブロック学会・都道府県学会に参加する(参加とみなされる要件は大会により異なる)
・合計7.5時間、日本理学療法士学会連合会員団体主催の学術大会で研究発表を行う
・点数基準を満たす査読つき論文1編の筆頭著者となる
・口頭試問に合格する

(出典:公益社団法人日本理学療法士協会「認定・専門理学療法士制度について」/https://www.japanpt.or.jp/pt/lifelonglearning/new/certif-specialized/

専門理学療法士は専門分野における論文発表が必要となるため、自身の大きなスキルアップにつながります。特定の分野で、スペシャリストを目指している方におすすめの資格と言えるでしょう。

【関連リンク】理学療法士としてキャリアアップするために必要なこととは?|
役立つ資格やスキルアップとの違い

特定の症例に対応するスペシャリスト向けの資格

日本理学療法士協会の資格以外に、特定の症例に対応するスペシャリスト向けの医療系資格を取得するのもおすすめです。自身のキャリアプランとして「何かの分野に特化した強みを持ちたい」と考えている方は、資格取得を目指してみてはいかがでしょうか。

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認知症ケア専門士

認知症ケア専門士とは、認知症ケアに関する高い知識と技術を持った人材を育成するために作られた資格です。2005年に創設され、一般社団法人日本認知症ケア学会が認定を行っています。

認知症ケア専門士
取得メリット ・正しい知識を持ってケアを行える
・資格の認知度が高いため、職場での評価につながる
取得要件 ・試験実施年3月31日から過去10年の間に、認知症ケアに関する施設や団体で3年以上の実務経験を積んでいる
・1次試験(筆記試験)と2次試験(論述・面接)に合格する

(出典:一般社団法人日本認知症ケア学会「認知症専門士 公式サイト」/https://ninchisyoucare.com/senmonsi/Ssenmonsi.htm

認知症ケア専門士の資格を取得することで、認知症ケアに特化した知識・技術を身につけられます。なお、認知症ケア専門士は5年ごとに更新が必要とされる資格で、更新するには認知症ケアスキルアップ研修会や講演会に参加して30単位を取得した上で、必要書類を提出しなければなりません。

上位資格として、認知症ケアにおけるチームリーダーや、地域のアドバイザーとして活躍できる認知症ケア上級専門士資格も用意されているため、取得しがいのある資格と言えるでしょう。

また、介護・医療・福祉業界においては資格の知名度が高いため、就職・転職活動で有利に働く可能性もあります。

心臓リハビリテーション指導士

心臓リハビリテーション指導士とは、包括的な心臓リハビリを行い、循環器疾患の治療や再発防止、QOL向上に貢献することを目的に作られた資格です。2000年に設立され、特定非営利活動法人日本心臓リハビリテーション学会が認定を行っています。

心臓リハビリテーション指導士
取得メリット ・心臓リハビリのスペシャリストとして活動の場が広がる
・循環器疾患に関する包括的な知識が習得できる
取得要件 ・理学療法士や医師、看護師など医療系資格を保有している
・日本心臓リハビリテーション学会に2年以上在籍している
・心臓リハビリテーションの実務経験が1年以上ある、または心臓リハビリテーション研修制度を受講している
・日本心臓リハビリテーション学会主催の講習会を当該年度に受講している
・心臓リハビリについての症例レポートを10例分提出する
・50問の択一式試験に合格する

(出典:日本心臓リハビリテーション学会「心リハ指導士とは?」/https://www.jacr.jp/jacrreha/system/about2/

心臓リハビリテーション指導士の資格合格率は、例年60~70%です。不合格になった場合でも、翌年であれば症例報告の提出なしに再度試験を受けられます。

なお、資格を維持していくためには5年ごとの更新手続きが必要で、「5年間のうちに1回以上日本心臓リハビリテーション学会(全国学会)に参加すること」などが更新要件となっています。

資格取得までに得た知識や技術は、自身のスキルアップにもつながるため、循環器疾患を専門分野にしたい方は、取得を検討してみるとよいでしょう。

3学会合同呼吸療法認定士

3学会合同呼吸療法認定士は、「特定非営利活動法人日本胸部外科学会」「一般社団法人日本呼吸器学会」「公益社団法人日本麻酔科学会」が合同で創設した認定資格であり、呼吸療法に関する専門的な知識・技術を持つ人材の育成を目的としています。

3学会合同呼吸療法認定士
取得メリット ・リスクを最小限に留めながら、効果的なリハビリを実施できる
・人工呼吸サポートチームに参加できるようになる
・リハビリを中心とした介護施設や医療施設で、知識・スキルを役立てられる
取得要件 ・理学療法士、作業療法士、看護師、臨床工学技士のいずれかの資格を2年以上保有しているか、准看護師資格を3年以上保有している
・受験申し込みから過去5年以内に認定委員会が認める学会や講習会などに出席し、12.5点以上取得している
・認定講習会を修了する
・認定試験に合格する

(出典: 公益財団法人医療機器センター「3学会合同呼吸療法認定士」/https://www.jaame.or.jp/iryo/kokyu/

高齢化が進むなか、吸入療法や酸素療法、人工呼吸といった呼吸療法の重要性は年々高まっています。しかし、多くの医療・介護施設では、呼吸療法の臨床技術に精通した人材が不足しているのが現状です。そのため、呼吸療法認定士の需要は今後も増えていくでしょう。

呼吸療法認定士についての詳細を知りたい方は、以下のページもご覧ください。

【関連リンク】呼吸療法認定士とはどんな資格?取得メリットと認定までの流れ

リハビリ・介護人材として活躍したい理学療法士向けの資格

理学療法に加えて、運動指導や介護の知識・技術を身につければ、より多角的なサポートができるようになるでしょう。リハビリ・介護人材として活躍したい理学療法士の方には、以下の3つの専門資格がおすすめです。

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義肢装具士

義肢装具士とは、医師の処方に従って患者さまに合わせた義肢装具を製作し、適合を行う資格です。

義肢装具士
取得メリット ・リハビリの際に義肢装具についてのアドバイスができる
・装具の調整やリハビリの調整がスムーズに行える
取得要件 ・以下のいずれかの方法で国家試験の受験資格を得る

1. 義肢装具士の養成施設に入学し、3年以上専門知識を学ぶ
2. 大学などで1年以上、養成施設で2年以上専門知識を学ぶ
3. 技能検定に合格し、養成施設で1年以上専門知識を学ぶ
4. 海外で義肢装具の製作・適合に関する養成施設を合格している、もしくは海外で義肢装具の製作・適合に関する資格を取得している

・国家試験に合格する

義肢装具士は、「義肢装具士法」に規定された国家資格です。義肢装具士の養成校や専門学校で専門的な知識を身につけた上で受験するため、試験合格率は約85%と高い数字になっています。

理学療法士がダブルライセンスを取得すれば、介護施設や医療施設におけるリハビリの際に、義肢装具についての知識を生かしたアドバイスができるようになるでしょう。

また、義肢装具の制作においては患者さまや、ほかの医療・介護スタッフからの情報収集が欠かせません。そのため、コミュニケーションスキルがより磨かれる点もメリットです。

(出典:公益社団法人 日本義肢装具士協会「義肢装具士とは」/https://www.japo.jp/about-prosthetist/aim-prosthetist.html

健康運動指導士

健康運動指導士とは、健康維持や日常生活の改善を目指して、適切な運動プログラムの作成・指導を担う資格です。

健康運動指導士
取得メリット ・生活習慣病予防や介護予防についての専門知識を身につけられる
・スポーツ施設などでも活躍できるようになる
取得要件 ・以下のいずれかの方法で講習会の受講資格を得る

1. 医療系資格を保有しており、4年制大学を卒業している
2. 4年制体育系大学を卒業しているか、卒業見込みである
3. スポーツ関連の資格を保有している
4. 健康運動指導士養成校で所定のカリキュラムを受講している

・健康運動指導士養成講習会を受講する
・認定試験に合格する

(出典:公益財団法人 健康・体力づくり事業財団「健康運動指導士とは」/https://www.health-net.or.jp/shikaku/shidoushi/index.html

健康運動指導士は、患者さまの心身の状態に応じて、運動プログラムの作成や調整を行います。高齢化が進む現在、生活習慣病の予防や介護予防は社会全体のテーマとなっています。そのため、運動を通じて健康の維持・促進に貢献する健康運動指導士の存在は、今後さらに注目度が高まるでしょう。

介護支援専門員(ケアマネジャー)

介護支援専門員とは、介護が必要な方やそのご家族からの相談を受け、適切な支援や介護サービスを利用できるように調整する資格です。ケアプランの立案や関係機関(行政機関、サービス事業者など)との連絡調整が主な業務になります。

介護支援専門員(ケアマネジャー)
取得メリット ・専門性の高い介護知識やスキルが身につく
・介護系施設での需要が高い
・キャリアアップの要件になっている施設もある
取得要件 ・以下の業務に、通算5年以上かつ900日以上従事している

1. 医師、看護師、理学療法士などの国家資格等にもとづく業務
2. 生活相談員、支援相談員などの相談援助業務

・認定試験に合格する
・介護支援専門員実務研修を受講する

(出典:独立行政法人 福祉医療機構「介護支援専門員(ケアマネジャー)」/https://www.wam.go.jp/content/wamnet/pcpub/top/fukushiworkguide/jobguidejobtype/jobguide_job07.html

(出典:厚生労働省職業情報提供サイト「介護支援専門員/ケアマネジャー」/https://shigoto.mhlw.go.jp/User/Occupation/Detail/132

介護支援専門員の資格試験は難易度が高く、合格率は約10~20%となっています。高齢化が進む日本では、要介護者や介護施設の増加が予想されるため、介護支援専門員の需要は今後も増していくでしょう。

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まとめ

キャリアアップを目指す理学療法士の方におすすめの資格として、日本理学療法士協会が認定する登録理学療法士、認定理学療法士、専門理学療法士の3つの資格が挙げられます。登録理学療法士は、取得することで定期的に知識を更新できる点がメリットです。また、認定理学療法士は臨床実践分野のスペシャリストを、専門理学療法士は専門分野におけるスペシャリストを養成する資格となっています。

加えて、認知症ケアや心臓リハビリ、呼吸療法といったニーズの高い症例に対応する資格や、介護人材としての活躍が見込める資格も、理学療法士としてのキャリアアップにつながるでしょう。

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※当記事は2023年5月時点の情報をもとに作成しています

監修者プロフィール

マイナビコメディカル編集部

 

リハ職・医療技術職・栄養士のみなさまの転職に役立つ情報を発信中!
履歴書や職務経歴書の書き方から、マイナビコメディカルサイト内での求人の探し方のコツや、転職時期ごとのアドバイス記事などを掲載。
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