【リハビリ職の資格一覧】リハビリを支える専門職と種類を解説
公開日:2021.09.09 更新日:2024.01.11
文:rana(理学療法士)
リハビリとは「身体や精神に障がいを抱えた人が、可能な限りの回復を目指して、再び社会生活を取り戻すための活動」を指します。人の手助けをしたいという思いから、リハビリの仕事や職業に興味を持つ人は多いかもしれません。
病院や介護老人福祉施設でリハビリに携わる仕事のほとんどは資格が必要であり、いくつかの種類に分けられます。この記事では、リハビリに関係する資格について、それぞれの特徴や仕事内容について紹介しましょう。
リハビリ分野で活躍できる資格・種類の一覧(国家資格)
まずは、リハビリに携わる国家資格の種類についてみてみましょう。
国の法律に基づいて定められている国家資格は、知識や技術が一定水準以上であることの証明になります。いずれも、文部科学大臣や厚生労働大臣が指定した学校や養成校で、必要なカリキュラムを修了し、国家試験を受験する資格を得たうえで、国家試験に合格する必要があります。
ここでは代表的な7つの国家資格について詳しく紹介します。
おもな仕事内容 | |
---|---|
理学療法士 | 身体に障がいを抱えている人に対し身体の基本的動作能力向上を目指して、リハビリを行う |
作業療法士 | 身体や精神面に障がいを抱えている人に対し、日常生活における応用動作能力や社会適応能力の向上を行う |
言語聴覚士 | 会話や食事摂取能力が低下した人に対して、訓練や環境調整を行う |
視能訓練士 | 眼科で目の矯正訓練や、視機能検査を行う |
柔道整復師 | 骨折・脱臼・打撲・捻挫・挫傷といった急性の怪我を抱えた人に対して、応急的治療を行う |
あん摩マッサージ指圧師 | 肩こりや腰痛といった症状を持つ人に対して、あん摩・マッサージ・指圧といった手技を用いて施術を行う |
義肢装具士 | 身体の一部やその機能が失われた人に対して、「義肢」や「装具」を作成して提供する |
対応する領域ごとに資格が分かれているため、特徴を理解したうえで選択するとよいでしょう。
理学療法士
理学療法士は、身体に障がいを抱えている人に対し、主に「立つ」「歩く」といった身体の基本的動作能力向上を目指して、リハビリを行う専門家です。
リハビリの方法として、関節の動きや筋力を改善したり、動作訓練を行ったりする「運動療法」や、熱や電気などを利用して組織の回復を促す「物理療法」が主に用いられます。
また、スポーツによる怪我からの復帰や、腰痛・肩痛といった痛みに対してのリハビリを行うのも、理学療法士の特徴です。
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作業療法士
作業療法士は、身体や精神面に障がいを抱えている人に対し、主に「トイレ動作」「着替え」といった日常生活における応用動作能力や社会適応能力の向上を目指してリハビリを行う専門家です。
理学療法士が身体の土台となる部分のリハビリをするのに対し、作業療法士は手芸やレクリエーションなどの作業を通して、細かい動作のリハビリをするのが特徴です。また作業療法士は、精神疾患を抱えた人に対してもリハビリを行います。
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言語聴覚士
言語聴覚士は、障がいや病気によって会話や食事摂取能力が低下した人に対して、訓練や環境調整を行うリハビリの専門家です。
人間にとって生きるうえで重要な「食べる」「話す」「聞く」といった機能への専門的なリハビリを通して、社会復帰や在宅復帰を支援します。
またコミュニケーション能力を向上させる目的で、補聴器や文字盤などの導入や指導も行います。
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視能訓練士
視能訓練士は、眼科で目の矯正訓練や、視機能検査を行う、視機能の専門家です。視力検査や眼底検査をはじめとした各種検査や、小児の斜視・弱視に対して訓練計画を立てて改善を目指すことなどが主な仕事内容です。
目の疾患や障がいによって日常生活に支障をきたしている人に対し、視覚補助具の導入や自立訓練・職業訓練などの幅広い支援(ロービジョンケア)を行います。
柔道整復師
柔道整復師は、骨折・脱臼・打撲・捻挫・挫傷といった急性の怪我を抱えた人に対して、応急的治療を行う治療の専門家です。
基本的に治療は、出血を伴わない非観血的療法で行われ、整復や固定などの手技を用います。また、怪我の後療法として、電気や熱を利用した「物理療法」や、マッサージなどの手技を用いて、患部の回復を促します。
柔道整復師は開業権があるため、自分で独立して接骨院・整骨院を営むことも可能です。
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あん摩マッサージ指圧師
あん摩マッサージ指圧師とは、肩こりや腰痛といった体の不調を訴える人に対して、あん摩・マッサージ・指圧といった手技を用いて、症状の軽減を目的に施術を行う治療の専門家です。
東洋医学の知識を基盤として治療を行うのが特徴で、器具は使用せずに「なでる」「揉む」「圧迫する」「さする」といった方法にて、身体の血行を改善し、不調を和らげます。
義肢装具士
義肢装具士は障がいによって身体の一部やその機能が失われた人に対して、社会復帰や生活動作の改善を目的に「義肢」や「装具」を作成して提供する医療専門職です。
義肢とは手脚を失った身体機能を補うためのもので、腕につけるものを「義手」、脚につけるものを「義足」といいます。装具は、身体の回復を促す目的で装着するもので、足底板やサポーター、コルセットなどが挙げられます。
義肢装具士は、理学療法士や作業療法士のリハビリを円滑に進めるための重要な役割を果たしています。
リハビリ分野で活躍できる資格・種類の一覧(民間資格)
続いて、リハビリに携わる民間資格の種類についてみていきましょう。民間資格とは、民間団体や民間企業が独自に設けた基準を満たすことによって取得できる資格です。
おもな仕事内容 | |
---|---|
アスレチックトレーナー | スポーツを行う選手に対して、コンディション調整や、リハビリ、怪我の予防などの指導、サポートを行う資格 |
音楽療法士 | 音楽を通しておもに障がい者や高齢者の心身のケアやサポートを行う |
健康運動実践指導者 | 健康づくりのために運動を行う人に対して、安全かつ効果的な実践指導を行う資格 |
園芸療法士 | 園芸を通して身体機能の回復や精神面の賦活を支援する |
それぞれの資格の概要と認定機関について詳しく解説していきます。
アスレチックトレーナー
アスレチックトレーナーは、スポーツを行う選手に対して、コンディション調整や、リハビリ、怪我の予防などの指導、サポートを行う資格です。運動面をサポートするスポーツトレーナーと比べ、より医療分野に特化して、メディカル面のサポートを担うのが特徴です。
国内で取得できるアスレチックトレーナーの資格は、日本スポーツ協会認定と、ジャパン・アスレッチック・トレーナーズ協会認定の2つがあります。
音楽療法士
音楽療法士は、音楽を通して障がい者や高齢者の心身のケアやサポートを行います。歌を歌ったり、楽器を演奏したりすることを通して、心身の回復を図るリハビリを行うのが大きな特徴です。
音楽療法士は複数の民間団体によって資格認定制度が設けられていますが、「日本音楽療法士学会」と「全国音楽療法士養成協議会」が代表的な認定機関となっています。
健康運動実践指導者
健康運動実践指導者は、健康づくりのために運動を行う人に対して、安全かつ効果的な実践指導を行う資格です。
公益社団法人健康・体力づくり事業財団が認定する民間資格で、子どもや高齢者など、国民の健康づくりのために運動を普及させる役割を担っています。
園芸療法士
園芸療法士は、心身に障がいを持つ人に対し、園芸(ガーデニング)を通して身体機能の回復や精神面の賦活を支援する園芸療法を行います。
日本園芸療法学会が認定する資格で、自然や植物の心地よい刺激を利用して、ストレスの軽減や意欲回復などを図ります。
リハビリ職・療法士を目指すなら、自分の適性とやりたいことを選んで
リハビリに携わる資格には多くの種類が存在します。それぞれ仕事内容や取得方法が異なるため、自分に合ったものを選ぶとよいでしょう。
ただし、医療機関での就職を検討している場合には、国家資格の取得がオススメです。国家資格は、民間資格と比べて、社会的な信頼性も高いため、給料も高く、就職や転職にも有利になります。
資格ごとの特徴を理解し、自分の適性とやりたいことをよく考えて目指す仕事を選びましょう。
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rana
理学療法士
総合病院やクリニックを中心に患者さんのリハビリに携わる。現在は整形外科に加え、訪問看護ステーションでも勤務。 腰痛や肩痛、歩行障害などを有する患者さんのリハビリに日々奮闘中。 業務をこなす傍らライターとしても活動し、健康、医療分野を中心に執筆実績多数。
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