児童発達支援の広がりや高齢化社会に伴う地域包括的な医療・介護の推進といった社会的な背景もあり、言語聴覚士のニーズは高まりつつあります。言語聴覚士の資格を所持している方の中には「岐阜県で働きたい」という方もいるのではないでしょうか。
当記事では、岐阜県における求人の特徴や、言語聴覚士を取り巻く環境について紹介します。平均給与や求人の多いエリアも併せて確認し、自分のイメージに近い働き方ができる求人を見つけましょう。
1. 岐阜県における言語聴覚士求人の特徴
「出身地である岐阜県で働きたい」「結婚や出産を機に岐阜県に引っ越してきた」などの理由で、岐阜県内で勤務地を探している言語聴覚士の方もいるでしょう。就職活動や転職活動を行う際には、その地域での求人の傾向を知ることも重要なポイントです。では、岐阜県内の言語聴覚士の求人にはどのような特徴があるのでしょうか。
マイナビコメディカルに2019年12月時点で掲載されている求人情報によると、岐阜県内では「経験者優遇」とする求人が多い傾向にあります。岐阜県外で言語聴覚士として働いてきたキャリアをもつ方は、有利に転職活動を進められるでしょう。
さらに、「経験不問」「ブランク可」「資格不問」「学歴不問」といった求人も見られます。言語聴覚士としてのキャリアがほとんどない未経験者でも応募できる求人もあるため、ぜひチャレンジしてみましょう。
パートやアルバイト、契約職員といった雇用形態の募集もありますが、正職員での採用となる求人が多くあります。自分の働き方のイメージに近い雇用形態を考え、応募する求人を選びましょう。
また、訪問リハビリテーションなどでは業務を行ううえで、自動車での移動も必要な場合も多いため「普通自動車運転免許必須」を応募要件に挙げている求人も少なくありません。「車通勤可」「駐車場有」など公共交通機関の利用ではなく自動車を運転することを前提とした求人も多いため、運転免許をもっていない方は注意が必要です。
1-1. 言語聴覚士を取り巻く環境
言語聴覚士は、小さな子どもから高齢者まで幅広い年齢層の方の「話す」「聞く」「食べる(飲み込む)」に関わる障害をサポートを専門とする職業です。
近年では高齢化が進む一方で、児童発達支援の必要性も重視されるようになり、小児領域と高齢者領域との両方で言語聴覚士の需要が増加しつつあります。
さらに2025年には後期高齢者が増加し、在宅医療を中心とした医療や介護のニーズがより一層高まると予測されています。
このようにニーズの高まりを見せている言語聴覚士業界ですが、日本言語聴覚士協会に登録している言語聴覚士は、需要に対して人数が不足しています。特に医療機関ではその傾向が顕著に見られ、利用者の方が本当に必要とする訓練や指導が十分に提供できていないという地域も少なくありません。
岐阜県でも同様の傾向が見られており、地域における医療や介護のネットワーク作りに言語聴覚士として関わっていくことが緊急の課題となっています。
このような課題を解決し、言語聴覚士としての能力やサービスの質を向上させるために岐阜県内で発足した団体が「岐阜県言語聴覚士会」です。
「会員どうしで情報交換を行える」「学術集会や研修活動を通してスキルアップできる」「行政や関連団体とスムーズにつながれる」というメリットがあるため、岐阜県内で就業する場合は、岐阜県言語聴覚士会の取り組みに参加してみることをおすすめします。
2. 【岐阜県】言語聴覚士の平均給与
言語聴覚士の全国平均年収は、約300~400万円です。理学療法士や作業療法士といった同じリハビリテーションの場で働くほかのリハビリ職と比較しても、給与水準はそれほど大きく変わらないとされています。
(出典:厚生労働省「平成30年度介護従事者処遇状況等調査結果」
https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/kaigo/jyujisya/19/index.html)
では、岐阜県における言語聴覚士の平均給与はどのくらいなのでしょうか。
「マイナビ コメディカル」に掲載されている岐阜県内の言語聴覚士求人の募集要件を見ると、300~400万円の年収を提示している職場が多くあります。
資格手当や住宅手当、残業手当といった各種手当や交通費なども支給される職場も多いようです。言語聴覚士としての経験年数が長い方は、さらに高い額の月給も期待できるでしょう。
また、パート勤務や非常勤の言語聴覚士の場合、岐阜県内では時給1,200~1,600円が相場です。託児所などの育児補助があったり残業少なめだったりする職場も多く、子育てや家族のケアをしながら仕事に集中したいという方も安心して効率よく収入を得られると考えられます。
3. 【岐阜県】言語聴覚士の求人が多いエリア
言語聴覚士の主な活躍の場は、病院や診療所(クリニック)といった医療施設、在宅療養を支援する施設など、介護の関連施設が挙げられます。
将来的に岐阜県内の人口が減少していくと予測されていることから、県内の医療需要は現在と同程度となると考えられます。一方で、高齢化により岐阜県内の介護需要は増加すると推測されています。そのため、岐阜県内における言語聴覚士の需要も増加傾向が続くといえるでしょう。
では、岐阜県内の言語聴覚士のニーズはどのエリアで多いのでしょうか。求人が多い上位3つの地域を紹介します。
【岐阜県内で言語聴覚士の求人が多いエリア】
※マイナビコメディカルのサイトに掲載された求人情報より
いずれも人口が10万人を超える都市部であり、生活するうえで大きな不便は感じないと考えられます。岐阜市では経験者が有利な求人や普通自動車免許の取得が必要な求人が多いため、応募の際はよく確認しておきましょう。
多治見市や大垣市は介護施設やデイケア、訪問看護ステーションなど総合病院以外の求人も多く見られます。主に、高齢の利用者を対象としたリハビリテーション業務を行うこととなるでしょう。
まとめ
高齢化により、リハビリ支援の専門家である言語聴覚士のニーズも高まりつつあります。正職員での募集が多く経験者が歓迎される求人もありますが、パート勤務や未経験者・ブランク可といった求人も見られます。自分の働き方のイメージに合った求人を選択して応募しましょう。
岐阜県内の言語聴覚士の求人は岐阜市や多治見市といった都市部に多く見られますが、普通自動車運転免許が必要資格となっている勤務先も多くあります。募集情報の条件や勤務先の場所、業務内容など、採用情報をしっかりと確認し、不明な点があれば問い合わせたり面接時に質問したりするようにしましょう。
※当記事は2019年12月現在の情報を基に作成しています