理学療法士(PT)の年収・給料と将来性について

最終更新日:2018年3月8日

医療・介護分野の就業において人気の高まりを見せている理学療法士ですが、現場では活気のある若者達の活躍している姿が目に映ります。主に病院などの所属となるため、給与面での待遇が良さそうなイメージですが、実際どのくらいの給料なのか気になるところです。 今回はなかなか知ることの少ない実情をお伝えしていきます。

1. 理学療法士(PT)って本当に稼げるの? 給料事情を探ろう

理学療法士の平均年収に関して

理学療法士の業界動向(給与水準や雇用状況など)を調査してみると、平均年収は約406万円とされています。(厚生労働省 平成28年賃金構造基本統計調査より)平成27年度の国民生活基礎調査によると日本国民の所得は427万円(中央値)とされているため、理学療法士は、ほぼ平均的な給与が得られることがわかります。

理学療法士の平均年収統計

平均年齢 勤続年数 労働時間 超過時間 月額給与 年間賞与 平均年収
31.8歳 5.3年 163時間 5時間 280,700円 701,200円 4,069,600円

参考:厚生労働省「平成28年度賃金構造基本統計調査」。「きまって支給する現金給与額」、「年間賞与その他特別給与額」を参照に平均年収を算出。

この金額を聞いて高いか安いかの判断は人それぞれの感覚によるかと思いますが、実際に働いている理学療法士は平均年齢が若く(約33歳)、他のコメディカルスタッフに比べると平均年収は低く出やすいことも要因の一つです。基本的には「食べていくことに困ることはない」水準と言えるでしょう。

理学療法士の初任給と相場と傾向について

理学療法士の初任給に関しては、20歳から24歳、25歳から29歳の平均年収を男女別で見ていきます。

男性

20歳から24歳 3,623,700円
25歳から29歳 3,954,900円

女性

20歳から24歳 3,242,900円
25歳から29歳 3,856,300円

平成28年度の大卒初任給の相場が20.5万円(厚生労働省調べ)であることを考えれば、決して低くない金額だということが分かります。また、20歳~24歳から25歳~29歳の年収の推移も上昇傾向にあります。特に女性の場合は大きく年収がアップし、25歳から29歳の男女の平均年収の差は小さくなっていきます。

理学療法士協会の会員数を見てみると、男女比は約6:4であり、女性が活躍しやすい分野ともいえます。現在でもワークライフバランスのとれた働きかたに向けて様々な取り組みがされており、今後の発展に期待したいところです。

今後の傾向に関してですが、平成23年度と平成25年度、平成28年度の理学療法士の平均年収を比べてみることにしましょう。下記を見るかぎり、緩やかではありますが上昇傾向にあることがわかります。高齢化による理学療法士の需要が高まっているのもその要因の一つでしょう。

(平成23年度)理学療法士 平均年収 3,964,000円
(平成25年度)理学療法士 平均年収 3,965,000円
(平成28年度)理学療法士 平均年収 4,069,600円

雇用に関して

日本理学療法士協会による平成28年の調査によると、養成校を卒業した理学療法士の99.2%が就職することが出来ており、雇用も安定している傾向にあります。ちなみに就職先を考える場合に医療・介護分野での平均給与額を比較すると、医療分野が474万円に対し、介護分野は419万円と50万円以上の開きがあります。一般病院や総合病院といった医療機関はスタッフ数が多い事や教育なども盛んである一方、介護分野は十分な人員を確保しづらいという側面があるようです。

医療機関はそれ自体がブランドとして機能しやすいことや、労働組合などの兼ね合いもあり福利厚生面での待遇も比較的充実しやすいことも人気の一つかと考えられます。しかし、団塊の世代が高齢者となる2025年に向けて介護分野への注目も高まっており、今後は待遇の改善などプラス要因の伸びが大きいと予測されます。

ちなみに給与のみに目がいきがちですが、就職後も日々勉強し知識と経験を備えていかなければならないため、研修費の助成などが充実していることなどにも注目するのも一つの考え方です。研修への参加費に加え交通費や宿泊代など、勉強することにもそれなりのお金がかかることも念頭に置く必要があるでしょう。

新人の時は給与が安くても、勉強できる環境を望む理学療法士は少なくありません。長い目で見れば、自身のキャリアアップに繋がりやすく専門分野の技術を望む病院などとマッチングすれば、良い待遇で転職できる可能性もあります。

2. これからの理学療法士に求められるものとは・・・

理学療法士として目指すべき一つの形

高齢社会の到来とともに日本における社会保障制度も年々変化し、当然ながら理学療法士にも強い影響を与えています。高齢社会に対応するため、理学療法士の需要はますます増加しており、医療機関から飛び出し介護保険を中心とした在宅分野にも人気が出てきています。

一方で、爆発的に増えた理学療法士の中には個人レベルでの質の低下や、理療法士業務の核心の薄れ、理学療法士の中にも理学療法士の意義や方向性を見失う者がいることもまた事実です。だからこそ患者を治療し、支えていくという視点を将来にわたり持ち続けることや、理学療法士の原点、そしてリハビリテーションの原点を再確認する必要があります。

理学療法士の存在そのものが希少価値であった時代は過ぎ去り、これからは理学療法士のライセンスをもとにした希少価値を自己研鑽しなければいけない時代になります。その新しい領域は、大項目としては研究領域・教育領域・臨床領域・予防領域・管理運営領域と大別できます。今までは引く手あまたで、贅沢をいわなければ就業も安定していた理学療法士でも、自己研鑽をアピールしていく競争時代がすぐ先まで到来していることを意味します。

競争と聞くと難しく考えてしまいそうですが、各個人が専門性を高め、理学療法士としての質を担保するためには至極当たり前のことであり、日本社会への前進的な影響が多いに期待できます。チャレンジ精神を持ち続けることが、そのまま社会貢献に繋がるということです。

患者のために努力を惜しまず、日々知識を増やそうと前向きに取り組める理学療法士の方々にとってこの流れは大きなチャンスとなっています。超急性期から、回復期、維持期、在宅への訪問やスポーツ分野に至るまで、幅広い分野で専門性を生かせる場が大きく広がっており、自分の得意を生かすことができるからです。

開業権について

海外に目を向けてみると米国では6年間教育と、それを担保とした保障という就労と賃金体系があります。開業権も認められており、これは結果的に就業者の満足感をもたらしているようです。
もちろん、裏を返せば評価、診断、治療という流れを自身で行う総合的な知識と責任を求められているということでもあります。

現在、日本では開業権は認められていませんが、継続的な勉強と努力で知識・技術を深め、患者に還元して喜んでもらえるというのは、日本の理学療法士が目指すべき一つの目標であると言えます。

これをみてもわかるように、高い専門性は就業先の幅を広がる可能性を秘めており、より多くの困っている患者や家族の支援につながることはもちろん、仕事へのやりがいや自信にもつながるとても有意義なものです。また、専門性や就業先の幅を広げることは、今後の課題の一つであるワークライフバランスの可能性を広める要因としてもなりうるでしょう。特に女性の場合、理学療法士の人口数も多く、年収の格差が男女間であまり開きがないからこそ、真剣に取り組んでいきたい点でもあります。

理学療法士としての新たな広がり

現在、日本理学療法士協会では専門理学療法士制度、認定理学療法士制度という専門分野のエキスパートを養成するカリキュラムを実施しています。自らの専門性を高め、理学療法の学問的発展に寄与する研究能力を高めることや、高い専門的臨床技能の維持、社会、職能面における理学療法の専門性(技術・スキル)を高めていくことを目的としています。
高い専門性を高めていくことができれば、プロスポーツ選手やスポーツ団体と専属契約を結んで活動することも出来ますし、教授や講師として書籍の執筆やセミナー講演などによる広がりも考えられます。

また、自己研鑽の一環として他職種への理解を深めるためにケアマネジャーの資格を取得する方や、合同呼吸療法認定士、心臓リハビリテーション指導士、福祉住環境コーディネーターといった資格で専門知識の習得を目指す方々も多くいらっしゃいます。

最近では訪問リハビリテーション分野が比較的間口が広く、多くの収入が見込める分野です。地域や事業所にもよりますが、インセンティブ制度を取り入れている場合も多く、自宅支援を望む高齢者が今後も増えると予測される日本では今後も安定して需要がある分野といえるでしょう。

常に高い意識を持ち続け、他業種とも切磋琢磨することで理学療法士の認知は高まり、患者の笑顔を増やし続けることができる、更に魅力的な仕事になっていくと思われます。

おわりに

理学療法士を取り巻く環境は年々変化しており、国の政策の中における診療報酬、介護報酬の改定などの影響を受けやすいという事実があります。しかし、専門性の高いスキルを日々研究し、自己研鑽を続けていくことで見識を深めることができれば、フィールドの拡大やキャリアアップに繋がります。

※参考URL
厚生労働省 賃金構造基本統計調査 http://www.mhlw.go.jp/toukei/list/chinginkouzou.html
日本理学療法士協会 http://www.japanpt.or.jp/

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