言語や摂食・嚥下に関わる機能に障がいを持つ方のリハビリを行うことが、言語聴覚士の仕事です。専門の養成施設による教育や国家試験の合格を必要とする言語聴覚士は、高齢化社会の進展する日本では、高い需要があります。
病院や診療所の他、介護老人保健施設など福祉関連の施設による求人も増えているため、活躍できる場所も多岐にわたる点が、言語聴覚士求人の特徴です。
この記事では、奈良県で募集されている言語聴覚士の求人情報を基に、求人状況や平均給与、求人数の多いエリアについて解説します。
1. 奈良県における言語聴覚士求人の特徴
奈良県内すべての病院や診療所で言語聴覚士が働けるわけではありませんが、言語聴覚士の需要は医療業界に限らず、介護や教育など様々な業界に及びます。
そのため、言語聴覚士としての求人に困ることはなく、複数の選択肢から活躍の場を選択することが可能です。
奈良県では、病院やリハビリセンターの他に介護施設などからの求人もありますが、医療機関による言語聴覚士求人の多い点が特徴となっています。
正社員の募集人数に比べると少数ですが、パートやアルバイトなど非常勤の求人も見つかるため、育児やプライベートとの両立を重視する方も働きやすい地域です。
その他、奈良県の言語聴覚士求人には、以下のような特徴が見られます。
- ・育児休暇など休暇制度が充実している
- ・住宅手当・通勤手当など諸手当が充実している
- ・大阪・京都に優れたアクセスの施設が多い
- ・車通勤が可能な施設が多い
- ・残業時間が少なく休日数が充実している
奈良県は交通網が発達しているため、大阪府や京都府へのアクセスに優れた医療機関や福祉施設が数多く設置されています。
さらに、残業が比較的少なく、終業後に大阪・京都方面へ向かいやすい点も魅力です。
1-1. 柔軟な言語聴覚士の育成を目指した「奈良県言語聴覚士会」とは
「奈良県言語聴覚士会」とは、聞く・話す・食べる・飲み込むことに障がいを抱える方を支援する言語聴覚士の存在を社会に浸透させるために立ち上げられた職能団体です。
様々な理由で言語機能や摂食・嚥下機能に不自由を抱える方が、適切な支援を受けられるようにサポート活動を行っています。
また、奈良県内における言語聴覚士の能力向上や待遇改善にも取り組んでおり、講習会やイベントの開催にも積極的です。
近年は、特に福祉施設からのニーズに対応できるよう、嚥下機能支援のスキルアップに力を入れています。奈良県内で数多くの講習・イベントを開催しているため、ブランクのある方や臨床経験に自信のない方は、団体が行う講習・イベントに参加することがおすすめです。
2. 【奈良県】言語聴覚士の平均給与
厚生労働省が公表した「平成30年度介護従事者処遇状況等調査結果」から算出した言語聴覚士の全国平均年収は、約300~400万円です。
(出典:厚生労働省「平成30年度介護従事者処遇状況等調査結果」/https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/kaigo/jyujisya/19/index.html)
一方、2019年12月現在の奈良県内における言語聴覚士の平均的な月収・年収水準は、以下の金額となっています。
平均月収(賞与・手当なし) |
約20~30万円 |
平均月収(賞与・手当込み) |
約22~35万円 |
平均年収(賞与・手当込み) |
約264~420万円 |
このデータは、奈良県内で募集されている言語聴覚士の求人情報を基に算出した推計値であるため、あくまで参考程度にご覧ください。
奈良県における言語聴覚士の平均年収を見ると全国平均に比べて、ほぼ同じかやや高い水準となっています。
実務経験の少ない方向けの求人では、月収20万円程度/年収300万円未満のものが中心です
。一方で、実務経験者や高いスキルを持った方向けの求人では、月収30~40万円/年収400万円超のものも数多く見られます。このように、奈良県では実務経験やスキルによって収入額が大きく異なる点が特徴です。
3. 【奈良県】言語聴覚士の求人が多いエリア
厚生労働省が公表した2019年9月時点の奈良県に設定されている医療機関数は、1,978ヶ所です。奈良県内にあるすべての医療機関で言語聴覚士が勤務できるというわけではありませんが、これらの施設の多くで言語聴覚士が勤務しています。
(出典:厚生労働省「医療施設動態調査(令和元年9月末概数)」/https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/iryosd/m19/dl/is1909_01.pdf)
さらに、奈良県では医療機関以外に介護施設からの言語聴覚士求人が増加傾向です。
奈良県内で言語聴覚士の求人が特に多いエリアとしては、以下の5つがあげられます。
- ・奈良市
- ・大和郡山市
- ・橿原市
- ・桜井市
- ・葛西市
奈良県内で言語聴覚士の求人が集中するエリアは、奈良市を中心とした県内北部です。奈良県北部は、鉄道網が発達していることにより、大阪府や京都府の中心部へのアクセスに優れています。
そのため、奈良県内における人口の大半は県内北部に集中しており、医療機関や介護施設も多い傾向です。
一方で、奈良県南部に関しては、言語聴覚士の求人数が少なくなっています。
そのため、奈良県南部に在住している場合は、県内北部エリアや隣接する和歌山県・三重県での求人を探すこととなるでしょう。
奈良県では、実務未経験の言語聴覚士を積極的に採用する施設が多くあります。
訪問看護サービスを提供する施設では、運転免許証の所持を求めるケースが多いですが、それ以外の施設では言語聴覚士の国家資格のみで応募できるところが大半です。
まとめ
奈良県における言語聴覚士の平均的な給与額は、全国平均と比べて大差ありません。
基本給が低い施設もありますが、各種手当や賞与が充実しているケースが多く、実務経験を重ねることで収入アップを目指せます。
奈良県は観光地であるため鉄道やバスといった公共交通網が充実しており、職場に通勤しやすい施設の多い点が魅力です。
言語聴覚士の待遇改善やスキルアップに向けた職能団体や行政の取り組みが活発であるため、資格を活かして成長を目指す方に奈良県は向いています。
着実なスキルアップと収入アップを目指す方は、奈良県で言語聴覚士の求人を探してみてはいかがでしょうか。
※当記事は2019年12月現在の情報を基に作成しています