作業療法士が働く場所は?職場ごとの仕事内容を分かりやすく解説

更新日 2025年12月03日 公開日 2022年05月11日

#情報収集 #転職検討/準備 #応募

作業療法士が働く場所は?職場ごとの仕事内容を分かりやすく解説

文:かな(作業療法士)

作業療法士の働く場所は、病院や施設など多岐にわたり、職場によって仕事内容や対象となる人、求められるスキルには違いがあります。

本記事では、作業療法士の代表的な職場の特徴や仕事内容を紹介します。

作業療法士が働く場所10選

作業療法士が働く場所

作業療法士が働く場所で最も多いのは病院で、日本作業療法士協会の会員のうち約54%が病院に勤務をしています。

次いで、介護老人保健施設やデイケアなどの介護系事業所が約14%を占めており、作業療法士の多くが病院や施設で働いていることが分かります。

ただし、病院や施設といっても分野ごとに特徴が異なります。少数ではありますが、教育機関や一般企業で働く作業療法士もいます。

ここからは、働く場所ごとに異なる仕事内容や役割を紹介します。

病院

作業療法士の職場として代表的な病院は、主に急性期・回復期・慢性期の3つに分かれます。

急性期病院における作業療法士は、脳卒中や骨折などの発症直後から早期リハビリを開始し、身体機能の低下を最小限に抑える役割を担います。

回復期病院における作業療法士は、日常生活動作の再獲得を目指して集中的な訓練を実施し、自宅や社会への復帰を支援します。脳血管疾患は発症から180日、運動器疾患は150日など疾患別にリハビリの対象となる日数は異なります。回復期では365日体制でリハビリを行う病院も多く、シフト制の勤務が一般的です。

慢性期病院における作業療法士は、長期入院が必要な患者さんに対し、生活の質を維持・向上させるための関わりを継続的に行います。

対象となる疾患は多岐にわたり、幅広い臨床経験を積める点が病院勤務の特徴です。

精神科病院

病院で働く作業療法士のうち、約14%は精神科病院に勤務しています。

統合失調症やうつ病、双極性障害などの精神疾患を抱える患者さんに対して、病状の安定化や社会復帰を目指したリハビリを行います。陶芸・木工・園芸などの作業活動は、集中力や達成感を養うだけでなく、対人交流のきっかけにもなります。

また、日常生活リズムの確立、服薬や金銭管理の支援など、退院後の生活に必要なスキルの訓練も実施します。精神科では患者さんの内面的な変化に寄り添いながら、時間をかけて信頼関係を築くことが求められるため、コミュニケーション能力と観察力が特に重要です。

整形外科クリニック

整形外科クリニックでは、骨折や腱断裂、変形性関節症などの運動器疾患を中心にリハビリを担当します。関節可動域の拡大や筋力強化、日常生活で必要な動作の練習が主な業務です。

クリニックによっては、理学療法士との区別なく四肢全体を担当する場合もあれば、作業療法士は上肢のリハビリを中心に行う場合もあります。また、手外科(ハンドセラピー)を専門としているクリニックもあり、専門性を高められる環境です。

外来通院の患者さんが多いため、限られた時間内で効果的なリハビリを提供する工夫や自宅での自主トレーニング指導が重要です。訪問リハビリや健康教室を併設するクリニックもあり、地域密着型の医療に携われる点も魅力といえます。

介護老人保健施設(老健)

介護老人保健施設(老健)は、病院を退院した高齢者が在宅復帰を目指してリハビリを受ける施設です。

作業療法士は、入所者の身体機能や認知機能を維持・向上させるために、食事・更衣・入浴などの基本的な生活動作の練習をサポートします。さらに、調理や掃除といった家事動作の訓練を通して、退所後の生活をより自立して送れるよう支援します。

また、入所者の心身の状態や家族の介護力を総合的に評価し、自宅での生活を続けるために必要な環境整備や福祉用具の提案も行います。老健は医療と介護の中間的な施設として、多職種が連携しながら在宅復帰を支援する点が特徴です。

特別養護老人ホーム(特養)

特別養護老人ホーム(特養)は、要介護度が高く在宅生活が困難な高齢者が入所する施設です。作業療法士は、入所者の残存機能を維持しながら、その人らしい生活の支援を目的にリハビリを提供します。

機能訓練よりも生活の質を重視したアプローチが中心となり、食事や排泄、移乗といった基本動作の維持や、趣味活動を通じた認知機能の刺激などを行います。介護職員と連携して介助方法の提案や福祉用具の選定を行い、入所者の安全で快適な生活環境を整えることも重要な業務です。医療機関とは異なり、「終の棲家」としての生活を支える点も特徴の1つです。

デイサービス・訪問リハビリ

デイサービスでは、在宅で生活する高齢者が通所してリハビリや介護予防プログラムに参加します。作業療法士は個別機能訓練や集団レクリエーションを通じて、身体機能の維持や社会交流の促進を図ります。

訪問リハビリでは、利用者の自宅を訪問して実際の生活環境の中でリハビリを行います。住宅改修のアドバイスや家族への介助指導、生活習慣に合わせた動作練習など、個別性の高い支援が求められます。

どちらも在宅生活を継続するための重要なサービスであり、利用者や家族と密接に関わりながら自宅・地域での暮らしを支える役割を担います。勤務時間が比較的規則的で、ライフスタイルに合わせた働き方がしやすい点も魅力です。

障害者支援施設

障害者支援施設では、身体障害や知的障害、精神障害のある人が入所または通所して生活訓練や就労支援を受けます。

作業療法士は、利用者の自立した生活や社会参加を目指して、日常生活動作の訓練や作業活動を通じた心身機能の向上を支援します。創作活動や軽作業を取り入れながら、手先の巧緻性や集中力、対人コミュニケーション能力を育むことも重要な役割です。

また、就労移行支援では、職業訓練や職場実習の調整を行い、一般就労に向けた準備をサポートします。利用者一人ひとりに合わせた個別プログラムを作成し、長期的な成長を見守れる点が魅力です。

特別支援学校

特別支援学校では、身体障害や知的障害、発達障害のある子どもたちの教育活動を支援します。

作業療法士は、教員や他の専門職と連携しながら、子どもの発達段階に応じた個別支援を行います。鉛筆の持ち方や箸の使い方といった学習や生活に必要な動作の練習、感覚統合療法を用いた発達支援、車椅子や補助具の選定と使用方法の指導などが主な業務です。

また、教室の環境や授業への参加方法について教員にアドバイスを行い、子どもが安心して過ごせる環境を整えます。子どもの成長を長期的に見守り、将来の自立を支援できる点が大きな魅力です。

教育機関

作業療法士養成校(専門学校・大学)で働く作業療法士もいます。学生への講義や実習指導、臨床実習先の訪問などが主な業務です。

大学では、リハビリ分野の学術研究や論文執筆、学会発表なども行われます。臨床との両立を図る人も多く、次世代の作業療法士育成と学術的な発展に携われる仕事です。

一般企業

企業で働く作業療法士は、一般的な臨床とは異なる形で専門知識を活かします。

例えば、福祉用具メーカーでは、利用者に合った製品の開発や提案を行います。一般企業で働く作業療法士は少数ですが、これまでの臨床経験を新たな分野で活かしたい人にとって、有力な選択肢となるでしょう。

自分に合った職場を見つけるポイント

自分に合った職場を見つけるポイント

自分に合った職場を見つけるには、まず自身の価値観や強みを明確にすることが大切です。

「急性期医療で専門性を高めたい」「訪問リハビリで生活支援を通じて長期的に関わりたい」「特別支援学校で子どもの成長をサポートしたい」など、どのような対象者にどのような形で貢献したいかを整理しましょう。

また、給与や勤務形態、休日、研修制度など、ライフスタイルとの相性も重要です。可能であれば、応募前に施設を見学して、実際の雰囲気を確かめるのがおすすめです。筆者も転職前に見学を行い、現場の声を聞いたうえで応募を決めました。

まとめ

作業療法士の主な職場は病院や介護関連施設ですが、教育機関や企業など活躍の場が広がっています。どの職場でも、対象者の生活を支えるという本質は共通しています。

自分に合った環境を選ぶために、興味のある分野や理想の働き方を見つめ直し、気になる職場について積極的に情報収集・見学をしてみましょう。一歩踏み出すことで、より自分らしいキャリアが見えてくるでしょう。

参考

2023 年度日本作業療法士協会会員統計資料
厚生労働省|令和6年度診療報酬改定の概要

【監修者コメント】
作業療法士の働く場所は非常に多様であり、対象となる人や求められるスキルも職場によって異なります。
しかし、どの現場でも共通しているのは「その人が自分らしく生活できるよう支援する」という視点です。
自身の興味や強みを大切にしながら、現場での経験を積み重ねていくことが、作業療法士としての成長につながります。
さまざまな分野に触れる中で、きっと自分に合った働き方が見つかるはずです。

著者プロフィール

かな

作業療法士

作業療法士/呼吸療法認定士・福祉住環境コーディネーター2級・がんのリハビリテーション研修修了
身体障害領域で15年以上勤務。特に維持期の患者さんの作業療法、退院支援に携わってきました。家では3人の子ども達に振り回されながら慌ただしい日々を送っています。趣味は読書とお菓子作り。

監修者プロフィール

酒井 康輔

作業療法士

作業療法士として2016年より勤務開始。訪問看護ステーション・急性期病院を経験。現在も病院で勤務しており、高齢者から小児まで幅広い年齢層のクライエントに対して作業療法を実践している。臨床業務の傍ら、自身の得た知識を一般の方に届けたいという想いから2021年よりWebライターとして活動を開始。ブログも運営している。

作業療法士(OT)の転職ノウハウ 記事一覧

作業療法士(OT)の記事一覧を見る

作業療法士の転職情報

作業療法士(OT)のピックアップ求人

作業療法士(OT)の新着求人2026年1月更新!

人気コラムランキング

直近1ヶ月でよく読まれている記事を
ランキングでご紹介します。

職種・カテゴリから記事を探す

キーワードから記事を探す

著者・監修者から記事を探す

簡単1分無料転職サポートに申し込む