臨床検査技師の年収は?他職種との比較や収入アップの方法を解説
更新日 2026年01月07日 公開日 2026年01月07日

文:近藤理美(臨床検査技師)
現在の収入が適正なのか、将来どれくらい年収を伸ばせるのかは、臨床検査技師として働く人の多くが気になるところでしょう。
実際、年齢や性別、夜勤の有無などによって給与水準には大きな差があり、働き方やキャリアの積み方次第で将来の収入も変わってきます。
本記事では、最新データをもとに臨床検査技師の平均年収を詳しく解説し、条件別の傾向や年収アップのための具体的な方法、さらにおすすめの転職先も紹介します。
働き方を見直したい人は、ぜひ参考にしてみてください。
目次
臨床検査技師の平均年収はどのくらい?
「令和6年 賃金構造基本統計調査」をもとに計算すると、臨床検査技師の平均年収は約504万円となります。
これは、日本の平均年収である約478万円を上回っており、安定した水準といえます。
条件別にみる臨床検査技師の平均年収

臨床検査技師の平均年収は、次の3つの条件によって異なります。
- ・年齢
- ・性別
- ・職場の規模
それぞれについて詳しくみていきます。
年齢
年齢別の臨床検査技師の平均年収は次の通りです。
| 年齢 | 平均年収 |
|---|---|
| 20~24歳 | 359万円 |
| 25~29歳 | 428万円 |
| 30~34歳 | 476万円 |
| 35~39歳 | 495万円 |
| 40~44歳 | 544万円 |
| 45~49歳 | 582万円 |
| 50~54歳 | 623万円 |
| 55~59歳 | 701万円 |
経験年数によって年収は着実に上がる傾向にあります。勤務先によって昇給率や昇給額は異なりますが、実務経験の長さが収入に直結することは間違いないでしょう。
性別
男女別にみた臨床検査技師の平均年収は次の通りです。
| 性別 | 平均年収 |
|---|---|
| 男性 | 541万円 |
| 女性 | 486万円 |
臨床検査技師は女性の占める割合が高い職種ですが、男性の平均年収が高い理由として、正規雇用者として長く勤務する人が多く、夜勤や当直、管理職に就く割合も高いことが考えられます。
職場の規模
職場の規模別にみた平均年収は次の通りです。
| 職場の規模(従業員数) | 平均年収 |
|---|---|
| 10〜99人 | 469万円 |
| 100〜999人 | 478万円 |
| 1,000人以上 | 532万円 |
従業員数1,000人以上の職場(公立病院や大学病院)は、昇給制度や賞与が安定しており、夜勤・当直手当も支給されるため、給与水準が高い傾向にあると考えられます。
ほかの医療職との年収比較
臨床検査技師とほかの医療職の平均年収を比較すると次のようになります。
| 職種 | 平均年収 |
|---|---|
| 臨床検査技師 | 504万円 |
| 医師 | 1,338万円 |
| 薬剤師 | 599万円 |
| 助産師 | 581万円 |
| 診療放射線技師 | 550万円 |
| 保健師 | 521万円 |
| 看護師 | 520万円 |
| 理学療法士など | 444万円 |
| 栄養士 | 394万円 |
臨床検査技師の平均年収は、看護師や保健師よりやや低い水準です。一方、医師・薬剤師・助産師などの一部の専門職とは差があることがわかります。
臨床検査技師の給料が低いといわれる理由

臨床検査技師は国家資格を持ち、医療の質を支える重要な職種ですが、「給料が低い」と感じる人も少なくありません。
その主な理由は次の3つです。
- ・給与水準が診療報酬に依存している
- ・医療機関では年功序列が根強い
- ・専門性に対する評価が整っていない
それぞれみていきましょう。
給与水準が診療報酬に依存している
臨床検査技師の給与は、医療機関の収益構造に大きく左右されます。
医療機関の主な収入源は、国が定める「診療報酬」であり、検査や治療ごとの単価は制度上固定されています。
つまり、どれだけ質の高い検査を行っても、報酬単価が変わらないため、給与に反映されにくいのです。
近年は、物価や人件費の上昇に対し診療報酬の改定が追いつかず、経営難に陥る医療機関も増えています。
このように、診療報酬に依存している医療機関は、人件費を上げにくい構造になっているのです。
医療機関では年功序列が根強い
大学病院や公立病院では、依然として年功序列の文化が根強く残っています。
スキルを磨いたり新しい検査技術を習得したりしても、給与体系が勤続年数に依存しているため、大幅な収入増が見込めないケースも多くあります。
安定性という点では強みですが、成果主義や能力に応じた報酬を望む人には物足りなく感じられるかもしれません。
筆者の経験でも、総合病院に勤務していた頃は、年齢や勤続年数によって給与や昇進のスピードがある程度決まっている印象がありました。新しい領域の検査技術を習得したり学会発表を重ねたりしても、すぐに収入や評価に反映されることは多くありませんでした。
一方で、職員社宅や育児短時間勤務制度などの福利厚生が手厚く、ライフスタイルに合わせて無理なく働ける環境が整っていたのは大きな魅力でした。職員同士のチームワークも強く、経験を重ねるごとに周囲から信頼され、責任ある業務を任される機会も増えていきました。
実力がすぐに給与に反映されにくい面は確かにありましたが、着実に信頼と実績を積み重ねられる環境だと感じていました。
専門性に対する評価が整っていない
臨床検査技師は、検体検査や生理検査、病理検査など、多岐にわたる分野で高度な知識と技術を求められます。
しかし、専門性を評価する制度が十分に整っていない医療機関も多く、特定の専門分野で高い技術・経験があっても、その違いが給与に十分反映されないのが現状です。
また、検査業務の機械化・自動化が進む中で、専門職としての価値が軽視される懸念もあります。
本来は医療の根幹を支える重要な役割であるにもかかわらず、こうした要因が給与の低さにつながっているといえます。
臨床検査技師が年収を上げる方法
臨床検査技師が年収を上げる主な方法は次の2つです。
- ・資格を取得する
- ・管理職に就く
資格を取得する
昇給や資格手当につながる認定資格は次の通りです。
- ・超音波検査士(日本超音波学会)
- ・細胞検査士(日本臨床細胞学会)
- ・認定輸血検査技師(日本輸血・細胞治療学会)
- ・認定血液検査技師(日本検査血液学会)
- ・認定一般検査技師(日本臨床衛生検査技師会)
- ・日本糖尿病療養指導士(日本糖尿病学会等)など
特に超音波検査士や細胞検査士は需要が高く、昇給・昇進査定の能力評価に用いられるほか、手当がつきやすい資格です。
管理職に就く
主任や科長、技師長などの管理職に就くと、役職手当が支給されるため、収入が上がります。
管理職にはマネジメント力や他部門との調整力、業務改善の提案力などが求められます。こうしたスキルはすぐに身につくものではありませんが、日常業務の中で後輩指導やチーム運営を意識して取り組むことで、着実に評価を高められるでしょう。
現場でリーダーシップを発揮し、組織運営にも貢献できる人材は、どの職場でも重宝される存在といえます。
臨床検査技師の主な転職先
収入アップやキャリアアップを目指す場合、転職も有効です。
主な転職先として、次の5つがあります。
- ・大学病院・総合病院
- ・クリニック
- ・臨床検査センター(衛生検査所)
- ・健診センター
- ・医療機器メーカー
- ・治験施設支援機関
それぞれ解説します。
大学病院・総合病院
大学病院や総合病院の場合、専門職として技術を極めるほか、管理職や病院経営に関わる幹部を目指すなど、多様なキャリアパスがあります。
国公立の医療機関では、公務員やみなし公務員に該当するため、昇給や退職金など、公務員と同様の安定した待遇を得られる可能性もあります。
また、最近では医師のタスク・シフト/シェアが進む中で、医師業務の一部を臨床検査技師が担うことにより、人件費の配分の見直しや待遇改善が期待されています。
ちなみに筆者の経験ですが、総合病院で勤務していた際は、生化学検査や血液検査、一般検査など幅広い分野を担当していました。1日の検査数は800件を超えており、常に正確性とスピードの両立が求められました。その分責任は重いのですが、最新の検査機器や技術に触れながらスキルを磨ける点は大きな魅力でした。
日々緊張感のある現場ではありますが、努力や成果をきちんと評価してくれる制度が整っており、大規模病院ならではの魅力といえました。
学会発表や認定資格の取得を支援するなど、スキルアップを後押しする制度を整えている病院も多く、資格取得費用の補助や資格手当が設けられている場合もあります。こうしたサポート体制が整っている環境であれば、無理なくスキルを磨きながらキャリアアップを目指すことができます。
日々の検査業務を通して専門性を高められ、かつ、チーム医療の一員として医療の最前線を支えていることに、強いやりがいを感じていた日々でした。
クリニック
クリニックは、民間の強みを活かし、睡眠外来や診断に特化したクリニックなど、多様な診療科の中から自分に合った転職先を選択することができます。
特に超音波(エコー)検査は診療報酬が高く設定されているため、経験者や超音波検査士の資格取得者は、職能手当や資格手当の支給が見込めます。
また、短時間労働者(パートタイム)の場合、時給を高く設定している病院・クリニックもあるため、兼業や副業として働き、自分の生活スタイルに合わせて効率よく収入を増やす人もいます。
最近では、自由診療の訪日外国人旅行者を受け入れている病院・クリニックが増えるなど、診療報酬に依存しない働き方も注目されています。
臨床検査センター(衛生検査所)
医療機関から依頼を受けて血液や尿、組織などの検体検査を行う臨床検査センター(衛生検査所)は、大量の検体とデータを取り扱うため、正確性とスピードが求められます。
夜勤や交代勤務のある臨床検査センターでは割増賃金が適用されるほか、生化学・微生物・病理など、担当分野ごとに専門スタッフが配置されるため、経験を積んで認定資格を取ることで、その道のスペシャリストとして手当や昇給のチャンスもあります。
健診センター
健診センターは、病気の予防や健康維持を目的としているため、急変や緊急時の対応が少なく、落ち着いた環境で働けます。
勤務は日勤が中心で、早番を設けている健診センターはあるものの、夜勤はほとんどありません。
予約制の健診センターは、残業することなく定時で退勤できるため、ワーク・ライフ・バランスを重視している人にはおすすめです。
なお、超音波検査に対応している健診センターでは、超音波検査士の資格を持っていると資格手当が付きます。
医療機器メーカー
医療機器メーカーで働く臨床検査技師は、検査機器の営業支援から保守点検までを担う「アプリケーションスペシャリスト」として活躍します。
検査機器や試薬の特性を理解し、医療機関に対して導入支援や操作説明を行うため、現場経験は大きな強みになるでしょう。
営業成果に応じてインセンティブやボーナスが支給される企業もあり、頑張り次第で大幅な収入アップが可能です。
日勤中心・週休2日など、働きやすさを重視した環境も魅力的です。
治験施設支援機関
治験施設支援機関は、製薬会社の依頼を受けて、医療機関との間で各種支援を行う民間の企業です。
臨床検査技師は、医療機関・患者・製薬会社の三者の間に立ち、治験を円滑に進める調整役である「治験コーディネーター(CRC)」として働きます。
関連資格に日本臨床薬理学会の「認定CRC制度」があり、働きながら資格取得を目指します。
民間の企業であるため、日勤中心・週休2日など、安定した働き方が可能で、ワーク・ライフ・バランスを重視する人にも人気です。
臨床検査技師の年収は働き方次第で伸ばせる
臨床検査技師の平均年収は日本の平均年収を上回っていますが、年齢・性別・職場の規模などによって差があります。
一方、専門資格取得や管理職への昇進、高待遇の職場への転職などによって、大幅な年収アップも実現可能です。
専門性の高い職種だからこそ、自分の強みを活かして働き方を工夫すれば、より高収入を目指せます。
自分に合ったキャリアプランを描き、ステップアップを重ねながら理想の働き方を実現しましょう。
参考
令和6年賃金構造基本統計調査
令和6年分 民間給与実態統計調査
CRCの主な業務(JASMO)
男女賃金格差の主な決定要因と格差是正の対策について
臨床検査技師は、診断治療につなげる上での重要な専門職で、特に最近は検査の複雑化や医療技術の向上により、その専門性はこれまで以上に重要視されつつあります。スキルを磨き、得意分野を伸ばし専門分野の資格を取得するなど、より条件の良い職場が見つかる可能性は広がるでしょう。またどのような選択をしても、これまで積み重ねてきたキャリアは強みになります。可能性を信じて、より良い働き方へ一歩踏み出してみてください。
監修者プロフィール

吉川 博昭
医師
大阪府出身。都内の医学部を卒業後、医師免許を取得し、麻酔科およびペインクリニックを専攻。以後、複数の医療機関において臨床業務に従事。記事の執筆や健康に関連した商品の監修には、平易でわかりやすい表現を用い、「健康を通じたハッピーな生活をお手伝いしたい」を日常的にモットーにしています。














