作業療法士が働く場所は?4つの領域と主な就職先を紹介

更新日 2022年11月11日 公開日 2022年05月11日

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身体機能に障害がある人を心身の両面から支援し、社会復帰に向けたリハビリテーションを行う作業療法士は、総合病院やリハビリテーションセンターなどさまざまな場所で活躍しています。幅広い就職先があるため、作業療法士を目指している人の中には、「働く場所によって業務内容にどのような違いがあるのか?」が気になる人も多いのではないでしょうか。

当記事では、作業療法士の就職先を4つの領域に分類し、主な職場や対象となる患者、仕事内容などを解説します。進路や就職先に悩んでいる人は、ぜひ参考にしてください。

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作業療法士の就職先|4つの領域別

作業療法士の就職先は、「身体障害領域」と「精神障害領域」、「老年期障害領域」、「発達障害領域」に大別され、職場や対象となる患者、仕事内容、身につけておきたいスキルは領域によって異なります。以下では、4つの領域別に詳細を見ていきましょう。

身体障害領域

身体障害領域は、病気やけが、事故などの後遺症で運動機能が低下したり、体にまひが残ったりして、日常生活・社会生活に支障のある人を対象とした領域です。作業療法士は子どもから高齢者まで、幅広い年齢層の患者の治療を行います。

【身体障害領域の作業療法士】

就職先 ・一般病院、大学病院、総合病院、整形外科病院
・身体障害者福祉センター、リハビリテーションセンター
・保健所、保健センター
対象となる患者 ・事故や病気の後遺症により、運動機能が低下した人
・事故や病気の後遺症により、体にまひがある人
・高次脳機能障害により、記憶障害・注意障害などがある人
主な仕事内容 ・日常生活活動の改善
・運動機能の維持・改善
・本人らしく生活するための生活環境作りのサポート

身体障害領域で働く作業療法士は、患者の日常生活活動や運動機能の維持や改善を目指して、身体リハビリテーション、歩行訓練などを行います。一般病院や総合病院などの医療施設から、リハビリテーションセンターまで多くの就職先があり、作業療法士の需要が特に高い領域です。

また、患者が回復した後の生活支援や環境調整も、作業療法士の重要な業務です。「福祉住環境コーディネーター」や「シーティング・コンサルタント」などの資格を取得すると、より患者の生活に寄り添ったサポートが可能になるでしょう。

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精神障害領域

「精神障害領域」は、統合失調症や認知症などの精神障害により、日常生活に支障のある人を対象とする領域です。身体障害領域と同様に、作業療法士は幅広い年齢層の患者の治療を行います。

【精神障害領域の作業療法士】

就職先 ・精神科病院、精神科デイケア、メンタルクリニック
・精神障害者支援センター、精神保健福祉センター
・精神障害通所授産施設
対象となる患者 ・統合失調症、うつ病の人
・認知症の人
・知的障害、自閉症の人
主な仕事内容 ・コミュニケーションや対人技能の改善
・社会生活適応能力の改善
・自宅での生活や職場復帰に向けたサポート

精神障害領域における主な就職先として、精神科病院や精神障害者支援センターなどが挙げられます。近年はメンタルケアを必要とする人が増加傾向にあるため、今後ますます作業療法士の活躍が求められる領域になるでしょう。

また、精神障害領域では、患者の心の状態に応じたリハビリテーションやサポートが求められ、対人関係に問題を抱える人の場合は、社会性を身に付けるための訓練が必要になります。そのため、「社会生活技能訓練(SST=ソーシャルスキルトレーニング)」などのスキルを習得しておくと、いろいろな場面で役立つでしょう。

老年期障害領域

「老年期障害領域」は、加齢にともなう身体機能・認知機能などの低下により、日常生活や社会参加に支障をきたしている高齢者(65歳以上)を対象とする領域です。

【老年期障害領域の作業療法士】

就職先 ・認知症を診療する一般病院、総合病院
・訪問看護ステーション、在宅介護支援センター
・介護老人保健施設、特別養護老人ホーム
対象となる患者 ・加齢にともない認知機能や身体機能が低下した人
・認知症や脳の損傷により高次脳機能障害を抱える人
・社会参加に支障がある人
主な仕事内容 ・日常生活活動の改善
・病気やけがへの予防的アプローチ
・日常生活の自立や安定を目指した生活環境整備のサポート

老年期障害領域は、高齢化社会が急速に進行する日本において非常に重要な領域。今後も高い需要が見込まれ、安定的な収入が期待できるため、作業療法士からの人気も高い傾向にあります。

なお、老年期障害領域の作業療法士は、認知症患者のケアも行います。「認知症ケア専門士」の資格を取得すると、患者だけでなくその家族のサポートにも役立つでしょう。

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発達障害領域

「発達障害領域」は、自閉症や脳性まひ、知的障害、学習障害、発達障害など、心身の発達を妨げるような障害がある子どもを対象とした領域です。

【発達障害領域の作業療法士】

就職先 ・一般病院や総合病院の小児科
・児童福祉施設、特別支援学校、保育所、母子通園施設
・発達障害児支援センター、障害者更生施設
対象となる患者 ・自閉症の人
・知的障害、学習障害、軽度発達障害の人
・脳性まひの人
主な仕事内容 ・日常生活活動の改善
・運動機能の維持・改善
・コミュニケーションや対人技能の改善

作業療法士は、医療施設の小児科や児童福祉施設、児童デイサービスなど多様な施設で、患者の訓練やサポートを行います。比較的需要の少ない領域ではあるものの、子どもの成長に寄り添う、やりがいのある仕事をしたいという人にはおすすめです。

発達障害領域では、それぞれの障害に応じた訓練やサポートが必要です。そのため、作業療法の知識だけでなく、自閉症や発達障害などの医学的知識も身に付けておくと良いでしょう。

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作業療法士を目指す人が知っておきたいこと

作業療法士を目指す人の中には、「作業療法士になっても、仕事がなかったらどうしよう」「本当に自分に合っている仕事だろうか」など、仕事の環境や内容に不安を抱えている人もいるのではないでしょうか。

ここでは、作業療法士を目指す人が知っておきたい2つの情報、「需要と将来性」「適性」について解説します。

作業療法士の需要と将来性

現在、作業療法士の数は不足しているのが実情です。参考として、厚生労働省が病院や介護保険施設を対象に行った、作業療法士の需要調査に対する施設側の回答を見てみましょう。

【施設での作業療法士の数が充足しているかの調査】

基準上 運営上(※)
施設数 割合 施設数 割合
はい 920 90.6% 435 42.9%
いいえ 57 5.6% 414 40.9%
どちらともいえない 38 3.7% 164 16.2%

※基準上:施設の規模によって定められた人員基準、運営上:患者の状況に応じて必要な人数
(出典:厚生労働省「理学療法士・作業療法士・言語聴覚士需給調査」/https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10801000-Iseikyoku-Soumuka/0000120212_6.pdf

基準上の作業療法士数は、9割以上の施設で充足しているものの、運営上の数が充足している施設は半数以下となっています。つまり、「どちらともいえない」を除く4割以上の施設では、患者の状況に応じた作業療法士の数が足りないと感じているわけです。

ここに、先述した「高齢化による患者数の増加」や「メンタルケアの必要性の高まり」といった社会状況を加味すれば、作業療法士の需要と将来性は今後も継続して高まると考えられます。

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作業療法士に向いている人の特徴

4つの領域において、多様な人たちを支援する作業療法士は、さまざまな分野に興味を持ち、患者の状況に応じた柔軟な対応ができる人に向いている職種です。

また、日常生活の動作訓練やリハビリテーションにおいては、地道な努力や患者とのこまめなコミュニケーションが求められるもの。根気強さや患者に寄り添う気持ちを持ち続けられるかどうかも、作業療法士の大事な資質といえるでしょう。

まとめ

作業療法士の就職先は、主に「身体障害領域」「精神障害領域」「老年障害領域」「発達障害領域」の4つの領域に分かれます。また、それぞれの領域でサポートの対象となる人や仕事の内容、就職先の施設などにも違いがあり、幅広いシーンで活躍できるのが作業療法士の特徴だといえるでしょう。

作業療法士は、高齢化社会の進行やメンタルケア需要の高まりによって、今後ますます需要が高まると予測される職種です。作業療法士を目指す人は、4つの領域の特徴と自分の得意分野、希望する働き方を照らし合わせながら、自分に合った就職先を探してみてください。

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