緊急臨床検査士とは?合格率・難易度・勉強法を解説

更新日 2022年12月08日 公開日 2022年12月08日

#情報収集 #資格試験

臨床検査技師がスキルアップを目指す場合、選択肢の1つとして「緊急臨床検査士」の資格取得が挙げられます。しかし、一般の書店では試験対策用のテキストが入手できないこともあり、「緊急臨床検査士という資格は知っているけれど、どのように勉強するべきかわからない」という方も多いのではないでしょうか。

当記事では、緊急臨床検査士についての概要や、試験の合格率、難易度、勉強法について解説します。臨床検査技師として、スキルアップやキャリアアップを目指している方は、ぜひご一読ください。

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緊急臨床検査士とは?

緊急臨床検査士とは、日本臨床検査同学院および日本臨床検査医学会が、「緊急臨床検査の業務を正しく行えること」を認定した臨床検査技師です。緊急臨床検査士には、緊急性が必要な場合においても、医師からの要求に応じて迅速かつ適切な検査が行える知識と技術が求められます。

●受験資格
緊急臨床検査士の試験を受けるためには、下記(1)と(2)の両条件を満たす必要があります。

  • (1)臨床検査技師国家試験に合格し、すでに登録を終えて臨床検査技師の資格を有する者
    (2)願書提出時に、その職歴について所属長等の証明書を提出できる者

(引用:公益社団法人 日本臨床検査同学院「緊急臨床検査士試験」/https://clmj.jp/com_stat.html/引用日2022/04/14

つまり、国家試験の合格と登録を済ませ、臨床検査技師の資格を得た上で、技師としての職歴を証明することが求められるわけです。

ただし、条件を満たしていても、日本臨床検査同学院が行う資格認定試験を無断欠席した場合や、1次受付で受験可能となった後に連絡なく願書を提出しなかった場合には、翌年度の試験が受験できなくなります。こうしたペナルティは緊急臨床検査士の試験だけでなく、日本臨床検査同学院が行うすべての認定試験が対象となっているので注意しましょう。試験案内のサイトに「試験を受験できない方一覧」が掲載されているので、心配な場合は試験の申込前に確認しておいてください。

●試験方法
試験は筆記試験と実技試験に分かれており、筆記試験は、臨床検査技師国家試験と同じく、マークシートもしくは回答選択方式となっています。

また、実技試験の概要は次の通りとなります。

  • ・実際の検査業務を通して、緊急検査全般についての技能や知識を評価する
    ・血液細胞や微生物の形態、生理検査データなどの判定・判読および結果解釈の能力を問う問題も含まれる
    ・口頭試問形式で出題される問題もある

●試験範囲
2022年度の試験範囲は、「受付(患者情報の入手含む)から報告(解釈、コメント含む)までについて行う」とされており、その範囲において「一般検査」「臨床化学検査」「血液検査」「輸血検査」「微生物検査」「生理検査」という6分野の基本的知識や手技、検体の採取法、保存法などが試されました。

なお、知識や検査技術だけでなく、被検者や検査に対する態度、過誤防止・感染防止・転倒防止などの安全管理、廃棄処理法なども試験の範囲となっています。

●試験の申込方法
受験希望者は受験資格を満たした上で、日本臨床検査同学院のサイトにあるフォームから「1次受付」を行います。受付人数が受験人数の定員を超えた場合は抽選となり、1次受付の登録後にメールで結果が届きます。

1次受付の結果が「受験可能」となった場合にのみ、願書の提出が可能となりますが、期間内に願書を提出しなかった場合は、1次受付の結果が無効となるので注意しましょう。

1次受付で「受験可能」となった後に受験が難しくなった場合は、日本臨床検査同学院のサイトから受験辞退の連絡を行う必要があります。なお、抽選に漏れた場合でも、辞退者が出た場合は繰上げで受験できる可能性があります。

試験会場は「北海道・東北」「関東」「東海・北陸」「近畿」「九州」の全国5地域から、1次受付時に第1、第2希望の選択が可能です。ただし、「関東」と「近畿」は地域内の複数会場で試験を実施するため、会場の選択はできません。

(出典:公益社団法人日本臨床検査同学院「2022年(第43回)緊急臨床検査士資格認定試験-受験申請の手引き」/https://clmj.jp/uploaded_files/com_kensa_pdf_stat/2022stat_tebiki.pdf

(出典:公益社団法人日本臨床検査同学院「緊急臨床検査士資格認定試験範囲-2022年(第43回)」/https://clmj.jp/uploaded_files/com_kensa_pdf_stat/9_stat_hani.pdf

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緊急臨床検査士の合格率・難易度

ここでは、近年における緊急臨床検査士の合格率を交えながら、試験の難易度を解説します。

試験の合格率については、実施年によってばらつきがあるものの、おおよそ60%前後となっています。ただし、この合格率だけを見て「難易度はさほど高くない」と判断することはできません。

緊急臨床検査士の受験者は、全員が臨床検査技師国家試験の合格者です。つまり、国家資格の保有者のみが受験するため、必然的に受験者全体の知識水準は高くなり、それが60%前後の合格率につながっています。言い換えれば、「国家資格の保有者であっても不合格となる可能性がある試験」でもあり、合格するには実務で知識や経験を蓄えながら、しっかりと試験対策を行う必要があるでしょう。

また、1992年以降の合格率の推移を見ると、かつては合格率が80%を越える年もありましたが、最近は60%前後。合格率は徐々に下がっています。それをふまえれば、試験の難易度は年々高まっていると言って良いでしょう。

(出典:公益社団法人日本臨床検査同学院「緊急臨床検査士試験」/https://clmj.jp/com_stat.html

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緊急臨床検査士の試験に合格するための勉強法3つのポイント

緊急臨床検査士の試験については、今後も極端に出題傾向や難易度が変わることはないと考えられますが、合格のためには入念な試験対策が必要です。

ここでは、試験合格に向けての基本的な勉強方法について解説します。解説を参考に試験対策を行い、合格を目指してください。

テキストを繰り返し読み込む

日本臨床検査同学院の公式サイトでは、緊急臨床検査士の試験範囲に対応したテキストが販売されているので、試験対策の第一歩として入手しましょう。

通常の資格試験であれば、過去問を解いたり、解説を読んだりして勉強するのが一般的ですが、緊急臨床検査士の場合、知識がないまま問題の解説を読んでも理解できない場合があります。まずは、テキストを繰り返し読み込み、問題を解くのに必要な知識をインプットすることから始めましょう。

試験問題集を繰り返し解く

知識を定着させるためには、インプットだけでなくアウトプットも重要です。テキストで知識をインプットした後は、試験問題集に取り組んでみましょう。

緊急臨床検査士の試験問題集は、テキストと同様に日本臨床検査同学院の公式サイトで販売されています。問題集には複数年分の問題が収録されているので、「問題を解いて、解説を読む」というサイクルを繰り返しながら、できるだけ多くの問題に取り組んで、知識の定着を目指してください。

機関誌「通信」を購読する

試験勉強において、より幅広い知識を身に付けたい場合は、日本臨床検査同学院が発刊する機関誌「通信」を購読するのもおすすめです。

「通信」には、直接試験対策に関係ない内容も含まれていますが、試験の講評や問題・解答が掲載されることもあります。また、「通信」には臨時増刊号もあり、そちらでは医学的な基礎知識を分野別にまとめつつ、検査の手順やコツ、注意点などが分かりやすく図解されています。上手に活用して、試験対策や知識の再確認に役立てましょう。

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まとめ

緊急臨床検査士は、「緊急時の検査に迅速かつ的確に対応できる臨床検査技師であること」を認定する資格です。国家試験に合格した技師を対象とした試験であり、受験者の知識水準が高いため、合格するにはしっかりと対策を行う必要があります。学習用テキストや問題集を繰り返し読み込むことで、必要な知識を身に付けましょう。

臨床検査技師として、キャリアアップを目指した転職を検討している方は、ぜひマイナビコメディカルにご相談ください。マイナビコメディカルには、業界に精通したキャリアアドバイザーが在籍しており、将来のキャリアプランを意識した転職をサポートいたします。

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※当記事は2022年4月時点の情報をもとに作成しています

監修者プロフィール

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