急性期リハビリでの作業療法とは?目的・やりがいも解説

更新日 2023年02月13日 公開日 2023年02月13日

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急性期とは、「病気になりはじめた時期」のことで、病気やけがの症状が急に現れるため、患者さまの状態が変化しやすい点に特徴があります。患者さまにとっては精神的、身体的な負担が大きい時期でもあるので、メンタルのケアとあわせて、適切なリハビリテーションを行うことが大切です。

当記事では、急性期リハビリテーションの内容や目的、急性期リハビリで行う離床訓練・ADL訓練の概要などを紹介します。作業療法士を目指している方はもちろん、急性期の作業療法にご興味がある方も、ぜひお読みください。

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急性期リハビリでの作業療法とは?目的・やりがいも解説

急性期リハビリテーションとは?

急性期リハビリテーションとは、「病気やけがの治療と並行して実施するリハビリテーション」のことです。以前のリハビリテーションは、病気やけがの治療が終了した後に、リハビリテーション専門の施設で実施されるケースがほとんどでした。しかし近年では、病気、けがによる後遺症の軽減や寝たきりの防止を目的に、発症からできる限り早い段階でリハビリテーションを行うケースが増えています。

急性期リハビリテーションでは、理学療法士、作業療法士といった専門職が、医師、看護師などと連携をとりながら、患者さまの状態に合わせたリハビリテーションを行います。

3段階のリハビリテーション

リハビリテーションには、「急性期」「回復期」「生活期(維持期)」の3段階があります。作業療法士は、リハビリテーションの時期や患者さまの状態に考慮して、リスク管理を行いながらリハビリテーションを実施しましょう。

・急性期
急性期リハビリテーションは、脳卒中、骨折といった急な病気やけがの治療直後、あるいは治療と並行して行われます。急性期リハビリテーションでは、「早い段階でリハビリテーションを行い、患者さまをできるだけ元の状態に戻すこと」や、「早期退院を目指すこと」が主な目的となりますが、あわせて「安静状態によって引き起こされる新たな機能低下(廃用症候群)を防ぐ」という目的も担っています。

具体的な内容としては、ベッドから起き上がったり座ったりする練習や、自助具を使用した食事の練習、トイレの練習などが挙げられます。

・回復期
回復期とは、病気やけがの状態が安定している時期のことです。回復期リハビリテーションでは、退院後の生活を見据えて、現状不足している機能の習得を目指します。具体的には、服や靴の着脱、散歩、調理練習などが挙げられ、日常生活に必要なリハビリテーションを行うことで、身体の機能向上に努めます。

・生活期(維持期)
退院後の患者さまが「その人らしい生活」を送れるように、日々の生活(在宅)のなかでリハビリテーションを行う時期です。買い物の練習や仕事場に通う練習などを実施し、日常生活をスムーズに過ごせるように援助します。

以上のように、患者さまが社会復帰を目指しながら、より充実した生活を送れるように、さまざまな援助を行うのが作業療法士の役割となります。

(出典:一般社団法人 日本作業療法士協会「作業療法」/https://www.jaot.or.jp/files/page/wp-content/uploads/2010/08/informationbook1.pdf

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急性期リハビリテーションの目的は?

前述したように、急性期リハビリテーションの目的には、「早期退院」と「廃用症候群の防止」が挙げられます。

・患者さまが早く退院できるようにする
脳卒中の患者さまを例にとると、従来型病棟に比べて、脳卒中リハビリテーションを実施する専門病棟に入院した患者さまのほうが また、退院後の経過も良好であり、1年後の死亡率、介護依存度、施設入所率が低いことも、データで示されています。

(出典:一般社団法人日本脳卒中学会「1-4.急性期リハビリテーション」/https://www.jsts.gr.jp/guideline/283_286.pdf

・廃用症候群を防ぐ
廃用症候群とは、病気、けがなどによる活動性の低下や過度の安静状態によって、身体にさまざまな悪影響が生じることです。代表的な症状としては、筋萎縮や関節拘縮、心肺機能低下、誤嚥性肺炎、逆流性食道炎などが挙げられます。特に高齢者は、安静状態が長引きやすく、廃用症候群になる危険性が高いため注意が必要です。また、廃用症候群を防止するには、早期からリハビリテーションを開始することが有効だと言われています。

(出典:公益財団法人長寿科学振興財団 健康長寿ネット「廃用症候群」/https://www.tyojyu.or.jp/net/byouki/rounensei/haiyo-shokogun.html

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急性期リハビリで行う作業療法

急性期リハビリテーションでは、主に「離床訓練」「ADL訓練」を中心に、指導やケアを行うのが一般的です。

ただし、身体を無理に動かすようなリハビリテーションを実施することはありません。患者さまの状態によっては、リハビリテーションを行わないほうが望ましいケースもあるため、患者さまの体調や体力を確認し、医師と相談した上で、それぞれの状態に合わせた作業療法を取り入れることが大切です。

(出典:国際医療福祉大学学会誌「急性期作業療法の介入戦略の構築を目指した作業療法事例報告集事例の分析」/https://iuhw.repo.nii.ac.jp/?action=repository_action_common_download&item_id=647&item_no=1&attribute_id=22&file_no=1

離床訓練

離床訓練は、意識障害の改善や褥瘡予防、嚥下障害予防や排泄障害予防などを目的に実施します。また、離床訓練を通じて日常的に身体を動かすことで、身体機能・精神機能やQOLの向上にも良い効果があるとされています。

離床訓練は、医師や看護師、介護職員、作業療法士などの医療スタッフが1つのチームとなり、ご家族とも協力しながら実践します。

離床訓練や移乗訓練の際には、車椅子適合のために身体機能評価を行うことも大切です。身体機能評価は、車椅子に座った際の姿勢を決めるだけでなく、使用する座クッションの素材や車椅子の機能、大きさなどを予測することにもつながります。

(出典:一般社団法人 日本作業療法士協会「活動と参加につなげる離床ガイドブック 実践編」/https://www.jaot.or.jp/files/page/wp-content/uploads/2011/04/guide-jissen.pdf

ADL訓練

ADLとは「日常生活動作」を指す言葉で、作業療法士は「ごはんを食べる」「トイレに行く」など、日常生活に必要な能力を向上させるための訓練や環境調整といった援助を行います。

食事訓練では、自助具などを使用しながら食事動作の向上を目指します。作業療法士は訓練以外にも、食べやすい食器・食具の選定、テーブルや椅子の調整補助、患者さまが安全に食べ物を飲み込めるような食事形態の選定などの役割を担います。

トイレ訓練では、トイレへの移動、便座への乗り降り、ズボンの上げ下ろしなどの練習を行います。また、患者さまがトイレに行きやすいような環境を整備することも作業療法士の大事な仕事です。

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急性期リハビリで働く作業療法士のやりがいは?

急性期リハビリテーションには、「回復期」「生活期」のリハビリテーションとは違ったやりがいがあります。以下に、その一例を紹介しましょう。

・救命の現場に関わることができる
集中治療室における作業療法士の役割は、「重症患者さまに対して早期回復に向けた支援を行うこと」であり、さまざまな臓器の機能を助け、患者さまの活動性を高めるためのリハビリテーションを実施します。適切なリハビリテーションによって、患者さまの状態が次第に安定していく姿は、作業療法士にとって大きな喜びとなるでしょう。

(出典:日本集中治療医学会「理学療法士・作業療法士よりみなさまへ」/https://www.jsicm.org/public/ptot.html

・多くの症例を経験できる
急性期リハビリテーションでは、短期間で多くの症例を担当するため、回復期リハビリテーションでは経験できないような症例に対応するケースもあります。多くの症例を経験することは、やりがいだけでなく作業療法士としてのスキル向上にもつながるでしょう。また、急性期リハビリテーションで得た知識と技術は、回復期や生活期のリハビリテーションでも、十分に生かすことが可能です。

・患者さまの回復を実感できる
患者さまのなかには、病気やけがをする前にはできていたはずの日常生活動作ができなくなる方もいらっしゃるため、急性期リハビリテーションでは「日常生活動作の獲得」を訓練目標とするケースが多く見られます。患者さまそれぞれに合った作業療法を実施し、目標を達成した患者さまの姿を見るのは、作業療法士にとって大きなやりがいとなるでしょう。

このように、急性期リハビリテーションで働く作業療法士は、たくさんのやりがいを感じることができます。

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まとめ

作業療法士は、病気やけがを発症した直後の急性期から、機能が回復する段階の回復期、機能を維持・向上していく段階の生活期まで、さまざまな場面で支援を行います。急性期におけるリハビリテーションは、病気やけがの治療と並行して行い、早期退院や過度な安静状態による機能低下の予防がその目的となります。

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※当記事は2022年10月時点の情報をもとに作成しています

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