作業療法ってどんなもの?障害のタイプ別に解説

更新日 2023年11月09日 公開日 2023年11月09日

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リハビリテーションの専門職である作業療法士は、介護施設や医療施設だけでなく、障害者支援施設、保健所、学校、幼稚園、保育園など、さまざまな職場で活躍しています。

作業療法士の専門職団体である日本作業療法士協会は、作業療法の「作業」を「人の日常生活に関わるすべての活動」と位置づけています。つまり、家事、仕事、趣味、遊び、対人交流、休養などのすべてが作業というわけです。そして、「人は作業を通して健康や幸福になる」という基本理念のもと、作業療法士はさまざまな心身の障害に対して作業療法を実施しています。

(出典:一般社団法人 日本作業療法士協会「作業療法の定義」/https://www.jaot.or.jp/about/definition/

当記事では、作業療法や作業療法士の正確な定義を交えながら、作業療法の具体的な内容についてご紹介します。作業療法士を目指している方はもちろん、現在作業療法士として働いている方や、その他の医療介護職の方もぜひご覧ください。

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作業療法ってどんなもの?障害のタイプ別に解説

作業療法って何?作業療法の定義

日本作業療法士協会では、作業療法について次のように定義しています。

作業療法は、人々の健康と幸福を促進するために、医療、保健、福祉、教育、職業などの領域で行われる、作業に焦点を当てた治療、指導、援助である。作業とは、対象となる人々にとって目的や価値を持つ生活行為を指す。

(出典:一般社団法人 日本作業療法士協会「作業療法の定義」/https://www.jaot.or.jp/about/definition/

簡単に説明するなら、病気やけがなどの影響で食事、入浴といった日常的な作業が難しくなった患者さまに対して訓練や指導を実施し、心身機能の維持・改善をサポートする活動が作業療法です。それぞれの患者さまに合わせた心身両面のリハビリや、新たな機能低下を予防するためのケアなども作業療法に含まれています。

(出典:一般社団法人 日本作業療法士協会「作業療法って何?」/https://www.jaot.or.jp/libs/otkun.html

日本作業療法士協会では、1985年に定めた定義を長く使用してきましたが、時代の変化とともに作業療法が求められる場所や領域が広がったことから、作業療法の定義を2018年に改定。現在のものとしました。

(出典:一般社団法人 日本作業療法士協会「「作業療法の定義」を改定しました」/https://www.jaot.or.jp/about/topics/detail/271/4504-f/

作業療法士の定義

作業療法士は国家資格の1つで、厚生労働大臣から免許を受ける医療の専門職です。心身に障害のある患者さまに作業療法を提供することで、心身機能の維持・改善を目指し、日常生活や社会生活への復帰を支援するのが、作業療法士の主な役割となっています。

(出典:e-GOV法令検索「理学療法士及び作業療法士法」/https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=340AC0000000137

患者さまによって抱える課題や必要な訓練はさまざまです。また、作業療法における作業には、食事、入浴、家事といった日常生活動作から、芸術、遊び、スポーツなど、心を豊かにする趣味活動まで幅広く含まれます。

そのため、作業療法士は患者さま個々の症状や生活環境など、多角的な観点から必要な作業を洗い出した上で、訓練の方針決定やプログラムの選定を行う必要があります。また、作業療法の実施状況や障害の改善状況の記録・評価なども作業療法士の大切な業務です。

(出典:厚生労働省 職業情報提供サイト(日本版O-NET)「作業療法士(OT)」/https://shigoto.mhlw.go.jp/User/Occupation/Detail/168

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仕事内容について

身体障害への作業療法

作業療法は、さまざまな問題や障害を抱える患者さまに対して実施されます。そのため、訓練の目的や必要な働きかけは、患者さまが抱える障害の種類によって調整しなければなりません。ここでは、身体障害に対する作業療法について説明します。

身体障害への作業療法の対象となるのは、身体の機能を損なうなどの障害を負い、生活動作に支障をきたしている患者さまです。障害の種類は先天性・後天性を問わず、脳卒中などの病気や事故による脊椎損傷などの後遺症も対象となります。

身体障害の場合、身体機能の維持・改善や身辺活動、家事活動、仕事などへの復帰を目的に訓練を行います。また、訓練とあわせて、患者さま本人と家族のQOL(Quality of Life=生活の質)が向上するように指導・援助することも、作業療法の一環です。

身体障害に対応する作業療法士は、次のような場所に勤務するのが一般的です。

●大学病院を含む病院
●リハビリテーションセンター
●身体障害者福祉センター
●障害者支援施設
●保健所
●保健センター

(出典:公益社団法人愛媛県作業療法士会「こころとからだの作業療法」/https://www.otehime.org/guest/body-mind/

(出典:一般社団法人栃木県作業療法士会「作業療法の定義」/https://www.tochi-ot.com/about-ot/ot-definition/

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精神障害への作業療法

作業療法は、身体的な障害を抱えた患者さまだけに実施するものではありません。ここでは、精神障害に対する作業療法について紹介します。

精神障害への作業療法は、精神疾患によって日常生活に支障をきたしている患者さまが対象です。ちなみに、精神疾患は脳内の神経伝達物質の乱れによって起こるとされており、統合失調症や気分障害(うつ病、双極性障害)などがよく知られています。精神疾患をわずらうと不安を感じやすくなったり、妄想・幻覚などの症状が表れたりすることが多く、日常生活や社会生活に支障をきたしがちです。

精神障害を抱える患者さまのなかには、自信を失っている方も多く見られます。そうしたケースでは、活動体力の向上や基礎的な作業能力改善に向けた訓練を行い、患者さまに自信を取り戻してもらいながら、社会復帰に向けた支援を進めます。

また、精神障害が原因でコミュニケーションに支障をきたしている患者さまも少なくありません。そうした場合は、コミュニケーション能力や社会への適応能力の改善を図る訓練を行い、疾患の再発予防を目指します。

精神障害に対する作業療法士の勤務先は、次のような施設です。

●社会復帰施設
●障害者支援施設
●地域活動支援センター
●精神障害者小規模作業所

(出典:公益社団法人愛媛県作業療法士会「こころとからだの作業療法」/https://www.otehime.org/guest/body-mind/

(出典:一般社団法人栃木県作業療法士会「作業療法の定義」/https://www.tochi-ot.com/about-ot/ot-definition/

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発達障害への作業療法

発達障害に対する作業療法の場合、対象となるのは主に子どもの患者さまであり、作業療法士は先天的な脳の機能障害を抱える患者さまや、自閉症や注意欠陥多動性障害の傾向がある患者さまなどに対して訓練・指導を行います。

対象が未成年であることから、このケースでは「将来の自立」を目的とした訓練が中心となります。具体的には、患者さまの特性や興味などを踏まえながら、身体や道具の使い方を学ぶ訓練、身体から得られる感覚を使いこなす訓練、コミュニケーション能力の向上訓練などを実施します。また、患者さま本人に加えて、患者さまを支える家族や学校、保育園など周囲へのサポートも必要です。

主な勤務先は、次のような施設です。

●小児病院
●リハビリテーションセンター
●児童発達支援センター
●放課後等デイサービス事業所
●特別支援学校
●幼稚園・保育所

(出典:公益社団法人愛媛県作業療法士会「こころとからだの作業療法」/https://www.otehime.org/guest/body-mind/

(出典:一般社団法人栃木県作業療法士会「作業療法の定義」/https://www.tochi-ot.com/about-ot/ot-definition/

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老年期障害への作業療法

老年期障害への作業療法の対象者は、65歳以上で、疾患や加齢によって日常生活に支障をきたしている患者さまです。老年期は脳卒中や心臓病、骨折、変形性関節症といった病気・けがのリスクが高まる傾向にあります。加えて、認知症や生活不活発病など、老年期に起こりやすい症状に悩む患者さまも少なくありません。

老年期障害の場合は、食事、排泄、入浴、外出といった日常生活の自立・安定を目指す訓練を行います。また、他者とのつながりにも注目し、余暇活動を通じていきいきと暮らすための訓練が行われることもあります。

老年期障害に対する作業療法士の勤務先は、次のような施設です。

●一般病院
●リハビリテーションセンター
●ホスピス
●重度認知症患者デイケア
●介護老人保健施設
●特別養護老人ホーム
●通所・訪問リハビリテーション
●デイサービス

老年期障害の作業療法は、老人介護施設や身体障害を扱う医療機関などで行われています。

(出典:公益社団法人愛媛県作業療法士会「あらゆるステージでの作業療法」/https://www.otehime.org/guest/every-stage/

(出典:一般社団法人 日本作業療法士協会「認知症の方への作業療法」/https://www.jaot.or.jp/ot_alzheimer/

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まとめ

日本作業療法士協会によれば、作業療法の対象は「身体、精神、発達、高齢期の障害や、環境への不適応により、日々の作業に困難が生じている、またはそれが予測される人や集団」とされています。このことから、作業療法士の活躍の場は「社会のいたるところにある」と言ってもよいでしょう。

(引用:一般社団法人 日本作業療法士協会「作業療法の定義」/https://www.jaot.or.jp/about/definition/

作業療法士は医師や看護師、介護士、理学療法士、言語聴覚士など、さまざまな職種と連携しながら業務にあたります。職場は多岐にわたり、例えば精神障害に対する作業療法を行う場合は、病院などの医療施設よりも、障害者の活動を支援する施設で働くことが多くなるでしょう。

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※当記事は2022年10月時点の情報をもとに作成しています

監修者プロフィール

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