臨床検査技師から治験コーディネーターの転職に必要な基礎知識

最終更新日:2021年12月27日
 公開日:2021年2月15日

転職を考えながら臨床検査技師として働く人の中には、治験コーディネーターの仕事に興味を持っている人もいるでしょう。
治験コーディネーターは臨床検査技師と同じく検査業務に携わるものの、仕事の性質は大きく異なります。

転職を検討する際は、治験コーディネーターへの理解を深めたうえで、今の仕事や待遇と比較することが大切です。

そこで当記事は、治験コーディネーターの仕事内容や給与相場、転職者の傾向について解説します。臨床検査技師から転職する際の注意点も取り上げるため、治験コーディネーターへのキャリアチェンジを考えている人はぜひ参考にしてください。

治験コーディネーター(CRC)とは

治験コーディネーターは、製薬会社が新薬開発の際に行う治験(臨床試験)において、関係各部署との調整を図る役割を担います。
被験者の精神的なケアや各提出書類の作成も、治験コーディネーターの重要な仕事です。

治験コーディネーターは英語表記でClinical Research Coordinatorとなるため、「CRC」とも呼ばれます。

治験コーディネーターの働き方は、SMO企業(治験施設支援機関)に在籍して医療機関に派遣されるケース、または医療機関に直接雇用されるケースが一般的です。

治験コーディネーターの仕事内容

ここでは、治験コーディネーターの仕事内容を業務の流れに沿って解説します。
<治験前>
はじめに製薬会社が作成する治験実施計画書を通読して、概要を理解します。
病院関係者や製薬会社の臨床開発モニター(CRA)を訪ねて情報収集することも少なくありません。

治験前は臨床開発モニターが関係各部署を対象にミーティングを開催するため、治験コーディネーターが資料作成や議事進行を補助します。
そのほか、製薬会社より届く検査キットや検査機器類の管理も、治験コーディネーターの業務の一つです。

<治験時>
治験実施計画書の基準に適した、被験者の募集(スクリーニング)を実施します。
募集方法は、医師の紹介や医療カルテによる選別、インターネット広告などさまざまです。被験者の決定後は、医師が行う事前説明に向けて説明文書や同意書を作成します。

治験期間中は、被験者の診察や検査の立会い、スケジュール管理も必要です。
また、被験者の服薬状況や副作用の有無を随時確認して、異常があれば医師に報告するなどの対応も求められます。カルテや検査結果などを用いた症例報告書の作成も必須です。

<治験後>
被験者の最終観察や追跡調査が終わり、症例報告書の数が製薬会社との契約数に達すると治験が終了となります。治験コーディネーターは治験終了報告書(原案)を作成し、医師に提出します。
治験が早期終了した際は、製薬会社より症例追加を求められることも少なくありません。

治験後は、医療機関に対して監査が行われるため、医師が質疑応答に答える際の資料を作成します。監査当日は、治験コーディネーターの立会いも必要です。

治験コーディネーターの給与相場

以下は、治験コーディネーターとして働く正社員の平均給与と、臨床検査技師の平均給与を比較した表です。

職種 平均給与
治験コーディネーター(※1) 約370万~430万円
臨床検査技師(※2) 約461万円

(※1出典:マイナビコメディカル/https://co-medical.mynavi.jp/

(※2出典:厚生労働省「令和元年賃金構造基本統計調査」
/https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/chingin/kouzou/z2019/index.html

治験コーディネーターの平均給与を臨床検査技師と比較すると、最大で約91万円も低い状況です。ただし、治験コーディネーターの給与はマイナビコメディカルに掲載されている求人情報より算出しているため、一定の開きがあります。

治験コーディネーターの平均年収は地域によって差があり、東京や大阪などの主要エリアほど高水準の状況です。主要エリアを拠点とするSMO企業の中には、年収が500万円を超えるケースもあります。

なお、上記には資格手当や残業手当などの各種手当、経験年数に伴う昇給などが含まれていません。賞与の金額もそれぞれ異なるため、働き方次第では臨床検査技師の平均年収を上回る可能性も十分にあるでしょう。

治験コーディネーターのやりがい

治験コーディネーターは、被験者にとって身近な存在です。被験者に頼りにされることも多く、やりがいを感じられるでしょう。被験者の治験に対する不安な気持ちを軽減することも、治験コーディネーターならではの仕事です。

新薬開発に携わっていることも、大きなやりがいとなります。厚生労働省に承認された新薬は多くの患者さんの役に立つため、社会貢献していることを強く実感できるでしょう。

調整役として医療機関や製薬会社との信頼関係が築けることも、治験コーディネーターのやりがいです。さまざまな人々と接するうえでビジネスマナーも身に付くため、自己成長にもつながります。

臨床検査技師から治験コーディネーターの転職は多い?

日本SMO協会のデータによる転職者の割合は、以下のとおりです。

資格名 割合
臨床検査技師 29.4%
看護師 28.6%
医療資格なし 26.0%
管理栄養士 6.9%
薬剤師 4.7%
栄養士 1.6%
衛生検査技師 0.2%
その他 2.7%

(出典:日本SMO協会「日本SMO協会データ2019」/http://jasmo.org/assets/pdf/about/data2020.pdf

治験コーディネーターは医療従事者が転職している割合が多く、特に臨床検査技師より治験コーディネーターに転職するケースが目立ちます。

治験コーディネーターの募集で資格や免許が必須条件となるとは限りません。
しかし業務の特性上、医療系の国家資格を持っているほうが現場で重宝される傾向にあります。実際に治験経験があると高評価となり、採用の場でも優遇されます。

臨床検査技師が治験コーディネーターを目指す際の注意点

臨床検査技師が治験コーディネーターに転職するケースは多いものの、転職後にイメージと現実のギャップに悩む人もいます。転職で後悔しないためには、治験コーディネーターとして求められる資質やデメリットも理解しておかなくてはなりません。

ここでは、臨床検査技師が転職する際に把握するべき注意点を解説します。

コミュニケーション能力やストレス耐性が求められる

治験コーディネーターはさまざまな人々と接する機会が多いため、コミュニケーション能力が必要です。初対面の被験者と30分~1時間以上話すこともめずらしくありません。業務を遂行するうえで、反対意見をまとめなくてはならない場面にも遭遇します。
臨床検査技師と比較して人間関係が複雑なため、転職してすぐは一定の苦労があるでしょう。

また、治験コーディネーターにはある程度のストレス耐性も必要です。関係各部署への細やかな対応と並行して膨大な事務作業をこなすため、仕事に追われることも多くあります。
SMO企業に所属する場合は、派遣先の医療機関を複数掛け持ちすることもあり、移動の多さに辛さを感じるときもあるでしょう。

臨床検査技師として再び働くことが難しくなる

治験コーディネーターは、医療行為を行うことができません。
そのため、再び臨床検査技師に転職するときは、治験コーディネーターとしての勤続期間がブランクと捉えられる可能性があります。

人手不足の傾向にある看護師や薬剤師とは異なり、臨床検査技師は新規応募者が多く、競争が激しい状況です。一度離職してしまうと、再び臨床検査技師として働くことは難しくなるでしょう。

多少なりとも臨床検査技師に戻りたいと考える人は、治験コーディネーターへの転職を慎重に判断しなくてはなりません。
キャリアプランを立てる際は、長期的な視点で考えることが非常に大切です。

自分に合う仕事や転職先を見つけるためには?

日本SMO協会のデータによれば、新薬開発に伴う治験数は年々減少傾向にあります。比例して、治験コーディネーターを目指す人も2013年を境に減少に転じている状況です。

しかし、治験コーディネーターという職種に将来性が期待できないわけでありません。
近年は、がん治療薬の開発が活発な状況にあり、2012年~2019年の間では治験数が約3倍に増加している状況です。ホルモン剤など、代謝性医薬品の治験数も増加傾向にあります。

(出典:日本SMO協会「日本SMO協会データ2019」/http://jasmo.org/assets/pdf/about/data2020.pdf

特定疾患に対する専門知識を身に付けるなど、時代の変化に対応していくことで、治験コーディネーターとして安定的に働き続けられるでしょう。

臨床検査技師から転職すべきかを悩んでいる場合は、プロに相談してみることも一つの方法です。

マイナビコメディカルでは、医療職種に精通した専門カウンセラーが、転職時の疑問や不安を一括して解決します。
転職時に治験経験者は優遇される傾向があります。転職を考えた際はぜひマイナビコメディカルにご相談ください。

まとめ

治験コーディネーターは、治験の際に製薬会社や医療機関などとの調整役を担います。被験者にとっても身近な存在となるため、頼りにされることも多く、日々やりがいを感じられるでしょう。

臨床検査技師から治験コーディネーターに転職する人は、全体の3割近くに及びます。

自分に合う転職先を見つけるためには、専門のキャリアカウンセラーに相談することが有効です。治験コーディネーターへの転職、治験コーディネーターの経験を活かした転職を検討している人は、マイナビコメディカルの転職支援サービスをご利用ください。

信頼と実績のマイナビが運営する
安心のサービスです

臨床検査技師(MT)の転職ノウハウ

臨床検査技師(MT)の記事一覧を見る