臨床検査技師は病院以外で活躍できる?就職先の例も紹介!
専門性の高い検体検査、生体検査(生理検査)を行える臨床検査技師は、病院やクリニックなど、医療機関における需要が高い職業です。なかでも病院からの求人が常に多いことから、「臨床検査技師の主な職場=病院」と考える方も多くいるでしょう。
しかし、臨床検査技師は病院以外にもさまざまな職場で活躍することが可能です。そこで今回は、臨床検査技師の病院以外の就職先を、病院との働き方の違いも挙げながら詳しく紹介します。病院以外の活躍フィールドを知りたいという臨床検査技師の方は、ぜひ参考にしてください。
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臨床検査技師は病院以外でも活躍できる?
臨床検査技師は、患者さまの血液、尿、細胞などを検査する「検体検査」や、医療機器を使って体を直接検査する「生体検査」を行う国家資格です。検体検査と生体検査は総称して「臨床検査」と呼ばれ、臨床検査技師は医師の指示のもとで必要な臨床検査を行い、患者さまの健康状態や病気を調べます。
臨床検査技師資格を取得した方の多くは、病院で働いています。実際に、関西医療大学の臨床検査学科では8割近くの学生が病院に就職しており(※1)、日本医療学院専門学校の調査(※2)を見ても、臨床検査技師を目指す8割近くの学生が病院への就職を希望していることが分かります。
(※1 参考:関西医療大学「就職・進路データ」/https://www.kansai.ac.jp/job_career/results/career_course/)
(※2 参考:日本歯科学院専門学校・日本医療学院専門学校「進路・就職|臨床検査技師学科」/https://www.jdm.ac.jp/course/medical_technologist/employment.html)
病院にはさまざまな患者さまが訪れるため、携わる症例も多種多様です。幅広いスキルを身に付けられる上に求人数も豊富なことが、病院で働く臨床検査技師が多い理由といえるでしょう。
しかし、臨床検査技師の就職先は病院以外にも数多く存在します。興味のある方は、職場ごとの業務内容の違いや、働くメリットの違いを知ることから始めてみましょう。
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臨床検査技師の病院以外の就職先|病院との違いも
病院は臨床検査技師の主な就職先であり、求人数も豊富で給与面も決して悪くありません。
しかし、夜勤やオンコール勤務を行わなければならない職場も多く、規則正しい生活を送りながら働くのが難しい側面もあります。そのため臨床検査技師のなかには、病院以外の勤務先を希望する方も少なくありません。
ここからは、臨床検査技師の病院以外の就職先について、病院との違いを挙げながら詳しく紹介します。
検査機関
検査機関とは、適切な検査設備のない小さな病院から受注した検査や、検査機関ならではの特殊な検査を行う施設で、具体的には、臨床検査センターや血液センターが挙げられます。なお、血液センターは検体検査のなかでも、特に「血液検査」を行うのが特徴です。
病院では、一般的に患者さまと関わりながら幅広く検体検査や生体検査を行います。しかし、検査機関は病院と違って、患者さまとコミュニケーションを取ったり、直接的に生体検査を行ったりする機会がほとんどありません。
メインの検査業務は検体検査となるため、専門的な検体検査技術は向上します。また、検査機関によっては、病院では身に付けられないスキルを習得できる可能性もあるため、「病院で働いてきて基本的なスキルは身に付いたので、これからは1つの分野に特化した専門スキルを磨きたい」という方にはおすすめです。
8つの就職先の特徴を紹介
健診センター
健診センターは、患者さまの病気を調べるのではなく、対象者の健康状態を検査することに特化した施設です。企業が定期的に行う健康診断などは、基本的にこの健診センターが対応しています。
病院勤務では、体に何らかの問題を抱える患者さまとの関わりが多くなりますが、健診センターの場合は病気の予防や早期発見、健康維持を目的としているため、病院とは「対象者との関わり方」や「検査内容」において大きな違いがあります。
健康診断で異常が見られた対象者に対して、医療機関への精密検査を促すことも、健診センターで働く臨床検査技師の重要な仕事です。企業が健康診断を行う4月などは、繁忙期となって残業も増えやすい傾向にありますが、それ以外の時期は比較的穏やかに働けます。ルーティンワークが得意な方やワークライフバランスを重視する方に向いている就職・転職先といえるでしょう。
保健所
保健所とは、地域住民の保健や衛生、生活環境など、さまざまな分野において専門的なサービスを行う公的機関です。保健所で働く臨床検査技師は公務員として働くこととなるため、臨床検査技師資格に加えて公務員資格も必要となります。
保健所で働く臨床検査技師の主な業務としては、地域住民の検体検査や健康維持に向けた啓発運動などが挙げられます。病院では体に何らかの問題を抱えた患者さまと多く関わりますが、保健所で働く臨床検査技師の場合、若い方から年配の方まで、幅広い地域住民と関わることになります。加えて事務処理を行ったり、調査対象施設に向けて助言・指導したりするなど、保健所で働く臨床検査技師の役割は多岐にわたります。
保健所の開館時間が勤務時間となるため、繁忙期以外は残業が非常に少なく、休日出勤もほとんどありません。地域の健康を守りたい、あるいは社会問題の解決にも携われる臨床検査技師になりたいという方にとっては、最適な職場といえそうです。
治験関連機関
治験関連機関とは、その名の通り治験を実施するにあたって、さまざまな開発・支援業務を行う施設です。治験関連機関には、CRO(医薬品開発業務受託機関)、SMO(治験施設支援機関)、IRB(治験審査委員会)がありますが、臨床検査技師が活躍するのは主にCROとSMOの2つです。
CROで働く場合は臨床開発モニター(CRA)として、SMOで働く場合は治験コーディネーター(CRC)として活躍することになり、いずれも製薬会社が製造した新薬の安全性や有効性を確認する臨床開発試験の進行をサポートしたり、各部署を調整したりすることが主な仕事となります。そのため、病院で働く臨床検査技師とは業務内容が大きく違ってくるでしょう。
治験関連機関で働く臨床検査技師には、臨床検査のスキルと同等に企業やスタッフの間に立って、サポート、調整を行うスキルが求められます。そのため、新薬の開発に携わりたい方やコミュニケーション能力の高い方、人をまとめる能力に自信がある方に向いています。
医療機関・SMO別の平均給与も
一般企業
臨床検査技師は、医療機器メーカーや製薬会社などの一般企業でも活躍できます。一般企業で働く場合、自社で取り扱っている医療機器や医薬品の説明を営業先の医師や医療スタッフに行う、営業サポートが主な役割です。そのため、病院で働く臨床検査技師が行うような臨床検査や患者さまとのコミュニケーションは一切ありません。
また、企業間でやり取りをする機会も多いため、ビジネススキルやコミュニケーション能力が必要になります。勤務先が全国の企業と取引を行っている場合は、遠方に出張することも多いでしょう。臨床検査技師ならではの知識・知見を生かして、新薬や医療機器の販売をサポートしたい方、体力・フットワークの軽さに自信があるという方にぴったりの就職・転職先です。
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研究機関
研究機関とは、大学の研究室や医療機器メーカー、製薬会社などの研究所を指します。研究職員として学生に指導・助言したり、臨床検査結果を分析してさまざまな検査データの作成に役立てたりと、業務内容が多岐にわたるのが特徴です。
病院で働く臨床検査技師のように患者さまとコミュニケーションをとったり、患者さまの症状ごとに臨床検査を行ったりすることはありませんが、研究開発に携わる臨床検査技師の場合は、保有免許や経験・スキルと併せて学歴が重視されるケースもあります。さまざまな研究や人材育成に携わりたい方、理系分野の博士号を取得している方におすすめの職場といえるでしょう。
まとめ
臨床検査技師資格を取得した方の8割近くは病院で働いていますが、臨床検査技師は病院以外にも検査機関、健診センター、保健所、治験関連機関、一般企業、研究機関などさまざまな職場で活躍することが可能です。
とはいえ、職場ごとに仕事内容や役割、求められるスキルが違ってくるため、「病院以外で働きたい」と考えている臨床検査技師の方は、まず「自分に合った職場はどこなのか」を調べた上で、就職先・転職先を決めるとよいでしょう。
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※当記事は2022年5月時点の情報をもとに作成しています
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