二級臨床検査士とは?資格の難易度・合格率やステップアップのヒントも
「二級臨床検査士」は、臨床検査技師としての十分な知識と能力を証明する資格です。キャリアアップや転職にも役立つため、病院の臨床検査室や臨床検査センターなどで働く臨床検査技師の方は、二級臨床検査士の資格取得を目指してみてはいかがでしょうか。二級臨床検査士として3年の実務経験を積めば、上位資格である「一級臨床検査士」の取得も可能です。
この記事では、二級臨床検査士試験の受験資格や試験科目を解説した上で、科目別の合格率と難易度を紹介します。「臨床検査技師として、もっとステップアップしたい」と考えている方の参考になれば幸いです。
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二級臨床検査士とは?受験資格や試験科目を紹介
「二級臨床検査士」とは、日本臨床検査同学院が臨床検査技師の育成を目的として設けた、臨床検査技師の上級認定資格です。二級臨床検査士を取得することで、臨床検査における各分野の理論を理解し、日常の検査に必要な基本的知識・技術を有していると証明することができます。
二級臨床検査士の試験では、臨床検査に関する各科目について、検査技術と理解度、基礎知識、適切な精度管理の方法などが問われます。臨床検査技師としての知識・技術の向上はもちろん、客観的な力量の証明としても取得しておきたい資格です。
二級臨床検査士の受験資格および試験の詳細は、以下の通りです。
●受験資格
下記の条件をすべて満たす者。
(1)臨床検査技師国家試験に合格し、登録済みの臨床検査技師資格所持者。
(2)願書提出時に、職歴について勤務先上司の署名・捺印がある証明書を提出できる者。
●試験方法
二級臨床検査士の試験は、筆記試験と実技試験の2種類があります。
筆記試験 | 臨床検査技師国家試験と同様のマークシート方式、あるいは解答選択方式。 |
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実技試験 | 検体採取や患者さまの状態確認といった検査前工程から、検査技術や結果の解釈まで、検査全般について評価を受ける。 細胞や組織の形態、生理検査の波形や画像判定、結果解釈の能力を問う問題、口述やクイズ形式の問題もある。 |
●試験科目
微生物学(寄生虫学を含む)、病理学、臨床化学、血液学、免疫血清学、循環生理学、神経生理学、呼吸生理学
受験できる科目は1年に1科目で、2022年度(第108回)の受験料は27,500円(税込)でした。試験内容は科目によって異なるため、受験科目に応じた対策が求められます。
受験希望者は、1次受付期間中にホームページから申請を行い、応募者多数の場合は抽選となります。提出書類には、写真や返信用封筒などさまざまなものが必要になるので、必ず確認しておきましょう。
なお、前年度の資格認定試験において無断欠席した場合などは、日本臨床検査同学院が主催するすべての試験で受験資格がなくなるので注意が必要です。
(出典:公益社団法人日本臨床検査同学院「二級臨床検査士試験」/https://clmj.jp/com_second.html)
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【科目別】二級臨床検査士試験の合格率・難易度
近年は、二級臨床検査士試験の多くの科目で、合格率が横ばいもしくは上昇の傾向にあります。ちなみに、2021年度の二級臨床検査士試験の平均合格率は、56.9%でした。
循環生理学、神経生理学の合格率は70%を超えていますが、科目によっては50%前後になるものもあります。過去のデータでは、前回の試験から10%ほど合格率が下がったケースも見られるので、どの科目であっても、気を抜かずに試験勉強に取り組む必要があるでしょう。
【全体的な傾向】
二級臨床検査士試験の合格率は、実施年や科目によって上下するものの、だいたい60%前後となっています。
数字自体は決して低くありませんが、見方を変えれば「受験者が臨床検査技師の国家試験合格者に限定されており、知識水準が高い方がそろっているにもかかわらず、40%程度の方は不合格になる試験」とも言えます。実務で知識・経験を積みながら、しっかりと試験対策を行うことで、合格を目指しましょう。
【微生物学の傾向】
細菌学やウイルス学、臨床微生物の診断技術など、感染症や病原体の基礎知識について問われます。受験者数は年々増加傾向にあり、合格率が80%近かった年もあります。
【病理学の傾向】
病理学的検査業務に必要な知識・技術を問う筆記試験と、標本作製試験、判別試験による実技試験が行われます。筆記試験の範囲には、解剖学と組織学の基礎知識も含まれます。合格率は60%前後で、他科目と比較すると上下が少ない傾向です。
【臨床化学の傾向】
臨床検査技師としての総合的な基礎知識やデータ判読力を問う筆記試験と、基質濃度測定、酵素活性測定などの実技試験が行われます。合否判定は総合成績によりますが、実技試験の結果が優先されることもあるとされています。近年の合格率は、安定して60%前後となっています。
【血液学の傾向】
学術的知識を問う筆記試験と、口頭試問を含む実技試験が行われます。実技試験は4部門に分けて行われ、すべての部門で合格基準に達する必要があります。血液学はもっとも受験者数が多い科目であり、ここ数年の合格率は50%台と下降傾向にあります。
【免疫血清学の傾向】
筆記試験と実技試験の両方が重視され、出題範囲外となる最新の知識・技術について問われることもあります。2010年頃からは、合格率は50~60%で推移しています。
【循環生理学の傾向】
実技試験と口答試験により、各種機械の操作や故障対応、患者さまへの対応など循環機能検査に関わるすべての処置能力を判定します。合格率はやや高めで、2000年からはいずれの年も60%を上回っており、80%を超える年も見られます。
【神経生理学の傾向】
筆記試験と、脳波と神経伝導検査の実技試験が行われます。非常事態での医学的対処法や、諸疾患に関する基本的な知識が必要です。受験者数は例年30〜40人前後と少なく、近年の合格率は70%前後となっています。
【呼吸生理学の傾向】
呼吸生理全般の基礎知識と、呼吸機能検査法の原理や方法の理解、検査結果の評価スキルが問われます。筆記試験と口頭試問を含む実技試験が行われ、合否判定において実技試験の成績が優先されることもあるとされています。受験者数が少ない科目の1つであり、合格率は60~80%の間で上下しています。
(出典:公益社団法人日本臨床検査同学院「二級臨床検査士試験」/https://clmj.jp/com_second.html)
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臨床検査技師として活躍し続けるには、常にスキルアップを目指す姿勢が欠かせません。毎日の検査をこなすだけでなく、向上心を持って知識・技術の習得に努めることで、将来のステップアップにつなげましょう。
臨床検査技師がステップアップを図るには、二級臨床検査士などの資格取得に向けた勉強が大いに役立ちます。二級臨床検査士をはじめ、さまざまな資格に求められる確かな知識と技術を身に付ければ、キャリアアップや条件のよい転職につながる可能性もあるでしょう。
下記に、臨床検査技師のステップアップに役立つ、二級臨床検査士以外の資格を紹介します。
- ・一級臨床検査士
- ・超音波検査士
- ・細胞検査士
- ・緊急臨床検査士
- ・認定輸血検査技師
- ・認定臨床微生物検査技師
- ・消化器内視鏡技師
- ・日本糖尿病療養指導士
二級臨床検査士をはじめとする各種資格は、臨床検査技師としての能力を客観的に示すものでもあります。資格保持者であれば、医師や看護師などの他職種から頼られやすくなる上に、患者さまにも安心して検査を受けていただけるでしょう。
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まとめ
二級臨床検査士は、臨床検査の基本的技術・知識を持つことを証明する認定資格です。対象は臨床検査技師の資格所持者で、受験できるのは1年に1科目。合格率は平均約60%となっています。難易度は決して低くありませんが、臨床検査技師としてステップアップを目指す方であれば、ぜひ挑戦したい資格と言えるでしょう。
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※当記事は2022年5月時点の情報をもとに作成しています
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