作業療法士がデイケアで果たす役割|デイケアの概要も解説
利用者さまのリハビリを主な目的とするデイケア(通所リハビリテーション)は、作業療法士の方が多く活躍する職場です。当記事では、デイケアの概要やデイサービスとの違い、作業療法士がデイケアで果たす役割、仕事のやりがいや向いている方の特徴を解説します。
デイケアは、在宅で介護支援を受ける方やそのご家族にとって、非常に重要で意義のある施設です。リハビリの専門家として、やりがいのある仕事に就きたい作業療法士の方は、デイケアで働くことを視野に入れてみてはいかがでしょうか。
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目次
デイケアとは?
デイケアとは、日帰りで通う利用者さまに対し、身体機能の維持・回復や日常生活の自立に必要な訓練・支援を行う施設です。利用者さまは主に高齢者であり、要支援または要介護と認定された方たちです。デイケアは「通所リハビリテーション」とも呼ばれ、多くは老人保健施設や病院、診療所などに併設されています。
下記は、厚生労働省による「通所リハビリテーション」の定義です。
- 居宅要介護者について、介護老人保健施設、病院、診療所その他厚生労働省令で定める施設に通わせ、当該施設において、その心身の機能の維持回復を図り、日常生活の自立を助けるために行われる理学療法、作業療法その他必要なリハビリテーション
(引用:厚生労働省「通所リハビリテーション(参考資料)」/https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12601000-Seisakutoukatsukan-Sanjikanshitsu_Shakaihoshoutantou/0000168706.pdf)
デイケアでは作業療法士や理学療法士、言語聴覚士などのリハビリテーション専門職が活躍しています。また、デイケアには専任の医師が常駐することが義務付けられており、専門的なリハビリのほかに、診療などの健康管理も行っています。
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デイケアとデイサービスの違い
デイケアとよく似た名前のサービスに、デイサービスがあります。デイサービスもデイケアと同じく、日帰りで施設へ通う利用者さまを対象としていますが、デイサービスで提供されるのは、日常生活の介助(入浴や食事、排泄など)や機能訓練、レクリエーションといった「介護」が主体のサービスです。
一方のデイケアでも、入浴・排泄などの介助は行いますが、主体となるサービスは専門家による「リハビリ」です。また、デイサービスでは医師が常駐しなくても問題ありませんが、前述の通りデイケアには医師の常駐が必須となります。
以下は、デイケアとデイサービスにおける利用対象者、人員配置基準の違いです。
デイケア | デイサービス | |
---|---|---|
利用対象者 | ●要支援1・2、要介護1~5の認定を受けた方 | ●要介護1~5の認定を受けた方 |
人員配置基準 | ●専任の常勤医師1人以上 ●利用者さま10人に対し1人以上の従事者(リハビリ専門職、看護師、介護職員など) ●利用者さま100人に対し1人以上のリハビリ専門職(短時間のリハビリは特例あり) |
●専従の生活相談員1人以上 ●専従の看護職員1人以上(小規模施設は特例あり) ●単位ごとに定められた人数の介護職員 ●機能訓練指導員1人以上 |
(出典:厚生労働省「通所リハビリテーション(参考資料)」/https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12601000-Seisakutoukatsukan-Sanjikanshitsu_Shakaihoshoutantou/0000168706.pdf)
(出典:厚生労働省「通所介護及び療養通所介護」/https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12601000-Seisakutoukatsukan-Sanjikanshitsu_Shakaihoshoutantou/0000168705.pdf)
デイケアのサービス内容
ここでは、多くのデイケアで行われているサービスの内容をご紹介します。
- ●身体機能、生活機能、認知機能の維持・回復を目指すリハビリ
- ●医師・看護師による健康管理
- ●入浴介助
- ●排泄介助
- ●昼食介助
- ●集団体操
- ●レクリエーション
- ●送迎
- ●家屋調査
- ●住宅改修・福祉用具の提案
(出典:厚生労働省「通所リハビリテーション(参考資料)」/https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12601000-Seisakutoukatsukan-Sanjikanshitsu_Shakaihoshoutantou/0000168706.pdf)
デイケアでは、1人ひとりの状態にあわせたメニューを作成し、運動機能訓練や日常生活動作の訓練、口腔機能訓練などを行う個別リハビリのほか、体操などを活用した集団リハビリも行います。
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デイケアで働く作業療法士の役割
デイケアで働く作業療法士は、主に下記の仕事を担当します。
- ●利用者さまの身体機能・生活機能・認知機能の評価
- ●利用者さまごとのリハビリプログラムの立案・提供
- ●利用者さまの状態に応じた自主トレメニューの作成
- ●集団で行うレクリエーションの立案・提供
- ●自宅の環境調整のアドバイス
- ●機器を使った物理療法の提供
- ●施設内における活動の介助・見守り
- ●事務作業
- ●利用者さまの送迎
作業療法士の主な仕事はリハビリに関連する内容ですが、同時に利用者さまの介助や見守りなども行います。
次に、デイケアで働く作業療法士のスケジュール例を見てみましょう。
デイケアで働く作業療法士のスケジュール(一例)
作業療法士は、以下のようなスケジュールのなかでデイケアの仕事に携わります。
時間 | 介護士の仕事内容 | 作業療法士の仕事内容 |
---|---|---|
8:30~9:00 | ●朝のミーティング参加 ●利用者さまの送迎 |
●朝のミーティング参加 ●リハビリ準備 |
9:00~11:30 | ●利用者さまのバイタルチェック ●入浴介助 ●排泄介助 |
●個別リハビリの実施 ●入浴動作の評価 |
11:30~13:00 | ●食事前の嚥下体操 ●昼食介助 ●服薬指導 |
●リハビリの記録 ●食事動作の評価 ●自助具などの提案 |
13:00~15:30 | ●レクリエーションの実施 ●おやつ介助 |
●個別リハビリの実施 ●レクリエーションの企画・立案・実施 |
15:30~16:00 | ●帰宅準備 ●利用者さまの送迎 |
●リハビリの記録 ●リハビリ室の準備 |
16:00~17:30 | ●後片付け ●ミーティング ●職員による研修・勉強会参加 |
●ミーティング ●職員による研修・勉強会参加 |
なお、作業療法士が何をどこまで担当するかについては、施設ごとに差があります。
デイケアで働く作業療法士が考えるべきこと
利用者さまは普段自宅で生活しているため、デイケアにおけるリハビリでは、利用者さま本人だけでなく自宅生活で介護を担っている方たちにも配慮しながら、プログラムを作成・実施する必要があるでしょう。
そのため、デイケアで働く作業療法士には、下記のようなスキルやアイデアが求められます。
- ●利用者さまに対する観察力・共感力
- ●利用者さまに合わせられる柔軟な発想・根気強さ
- ●あらゆるものをリハビリに取り入れられる旺盛な好奇心・遊び心
- ●利用者さまの意欲や能力を引き出すアイデア
- ●自宅でより生活しやすくなるためのアイデア
- ●自宅で介助・介護する方たちの身体的・精神的負担減につながるアイデア
なお、デイサービスにおいても作業療法士に求められる基本的なスキルは同じです。ただし、デイサービスでは「介護」の提供に重きを置いていることから、身体面に加えて精神面のサポートも重視されます。
仕事内容・役割・給料など一挙紹介
仕事内容について
デイケア勤務の作業療法士が感じるやりがい
デイケアは作業療法士にとって、下記のようなやりがいが期待できる職場です。
- ●利用者さまがリハビリプログラムによって回復・改善していく姿を間近で見られる
- ●利用者さまとリハビリが成功した喜びを分かち合える
- ●利用者さまやそのご家族から直接感謝の言葉をかけてもらえる
- ●利用者さま1人ひとりに対して丁寧に関われる
- ●レクリエーションにも関われるため、さまざまな視点からリハビリのことを考えられる
- ●他職種と連携しながらリハビリに取り組むことで、作業療法士だけでは実現が難しいアプローチを行える
デイケアでは、リハビリによる機能回復や社会復帰が第一の目的となるため、ある程度回復の見込みがある利用者さまも少なくありません。そのため「仕事の結果が目に見えてわかりやすいことがやりがいにつながった」というケースが多く見られます。また、「利用者さまやご家族、連携するスタッフとの絆を感じやすい」という点も働く励みになるでしょう。
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デイケアが向いている作業療法士の特徴
以下のような特徴を持つ作業療法士は、デイケアで活躍しやすいでしょう。
- ●利用者さまが回復することを自分のことのように喜べる方
- ●リハビリにおけるチームワークを大事にできる方
- ●看護師・介護士など他職種の視点や考え方を学び、理解しようと思える方
- ●人と関わることが好きでコミュニケーションに抵抗がない方
- ●利用者さまの事情や状況の変化に応じて柔軟に対応できる方
- ●常に安全面に気を配れる方
もちろん、あてはまらない項目があるからといって、デイケアに向いていないわけではありません。デイケアで働く作業療法士にとって何よりも大切なのは、利用者さまを思いやる気持ちです。利用者さまがリハビリによって回復する姿に喜びを感じられる方は、デイケアで働いてみてはいかがでしょうか。
作業療法士としてデイケアに転職する方法
作業療法士としてデイケアに転職する方法はいくつかありますが、自身に合った職場を探したい場合は転職サイトの利用がおすすめです。
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まとめ
「通所リハビリテーション」とも呼ばれるデイケアは、日帰りで通う利用者さまのリハビリ支援を主な目的とした施設です。デイケアで勤務する作業療法士は、他職種と連携しながら利用者さまの身体機能を維持・回復させる役割を担います。
リハビリを通じて利用者さまを見守るデイケアは、働く喜びややりがいを感じやすい職場です。利用者さまの回復を実感しながら働きたい方は、デイケアでの勤務を検討してみてはいかがでしょうか。デイケアへの転職に興味のある方、自分に合った職場をお探しの方は、キャリアアドバイザーの無料転職サポートが受けられるマイナビコメディカルに、ぜひご相談ください。
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※当記事は2022年9月時点の情報をもとに作成しています
監修者プロフィール
マイナビコメディカル編集部
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