言語聴覚士は海外でも活躍できる?海外の資格やボランティアについて解説
言語聴覚士は、「話す」「聞く」「食べる」といった機能に課題を抱えている方に検査や評価、リハビリテーションを実施し、自分らしい生活ができるように支援する職業です。言語聴覚士が活躍できる職場は、大学病院や総合病院、リハビリテーション専門病院といった医療機関のほか、介護施設、教育機関など多岐にわたります。
また、言語聴覚士のサポートを求める施設は世界各地に存在するため、海外の施設で働くことも不可能ではありません。
この記事では、言語聴覚士が海外で働く方法とメリットを取り上げ、その詳細を解説します。海外に活動の場を広げてみたいと考えている言語聴覚士の方は、ぜひ参考にしてください。
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目次
海外で言語聴覚士の資格を取得して働くには?
言語聴覚士として活躍する方や言語聴覚士を目指す方のなかには、「いつかは海外で働いてみたい」と考えている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
言語聴覚士は海外でも働けますが、日本にいながら求人を探すのは非常に困難です。海外で働きたいと思っている方は、最初から海外の求人を探すのではなく、まずは海外支援や海外研修などに力を入れている国内施設の求人を探してみるのがよいでしょう。
そうした職場に勤務し希望を出すことで、海外に赴任できる可能性はぐんと高まるはずです。
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また、海外で言語聴覚士として働くために確認しておきたいのが、資格に関するルールです。国によって言語聴覚士の資格取得基準は異なりますが、海外で言語聴覚士として働く場合は、働きたい国が定めた受験資格を満たした上で、試験に合格する必要があります。
試験合格を目指すための養成機関は海外にも数多く設置されており、アメリカやイギリスのほか、カナダ、オーストラリアなどにも勉強できる設備が整っています。ただし、養成課程・資格制度は国によってさまざまです。
(出典:一般社団法人 日本言語聴覚士協会「参考資料:海外における言語聴覚士の養成事情」/https://files.japanslht.or.jp/st_app/upload_file/参考資料:海外における言語聴覚士の養成事情.pdf)
なかには言語聴覚学が分野ごとに細かく分けられ、各学科でより専門性の高い教育を行っている国もあります。海外の機関で学ぶことは、言語聴覚士としての考え方の違いや、最新の治療法を知るよいきっかけとなるでしょう。
ただし、海外で取得した言語聴覚士の資格を日本で使うことはできません。海外で資格を取得した方が日本で働く場合は、あらためて日本の国家試験に合格する必要があります。自分が日本の受験資格を満たしているかを確認する際は、必要書類を厚生労働省に提出し、個別に審査してもらうことになります。
(出典:厚生労働省「言語聴覚士国家試験受験資格の認定について」/https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000107778.html)
ここからは海外で取得できる言語聴覚士資格の代表例として、アメリカとオーストラリアの制度を紹介しましょう。
仕事内容や働く場所を解説
アメリカの言語聴覚士資格
世界最大の言語聴覚士職能団体「ASHA」を有するアメリカでは、言語聴覚士の資格試験実施や免許交付のほか、セミナー開催、表彰など人材育成につながる活動もASHAが行っています。
言語聴覚士にあたる資格は、聴覚療法士(Audiologist)と言語療法士(Speech Language Pathologist)に分かれており、日本人がアメリカで言語聴覚士として働く場合は、ASHAが実施する資格試験に合格する必要があります。受験する場合の要件は、「大学院で言語障害学などを学び、ASHAが求める履修科目や実習時間を終えていること」です。
オーストラリアの言語聴覚士資格
オーストラリアで取得を目指せる資格は、言語療法士(Speech Pathology)です。オーストラリアで言語聴覚士として働くためには、認定団体「SPAA」の認可コースを修了する必要があります。
すでに海外で資格を取得している場合、認可コースと同等の学位および英語力、職歴があることを審査してもらう制度が利用できます。ただし、求められる学位の基準は学士号、修士号となっているため、日本で専門学校を卒業して言語聴覚士の資格を取得している場合は、オーストラリアの大学や大学院へ入学して基準を満たすことから始めましょう。
言語聴覚士が海外でボランティアスタッフとして働くには?
ここまで海外で資格を取得する方法について解説してきましたが、言語聴覚士の知識を生かして海外で活動する方法はそれだけではありません。代表的な例として挙げられるのが「ボランティア活動に参加する」という方法で、ボランティアスタッフの名目で参加する場合は、日本で取得した言語聴覚士の国家資格を利用できます。
海外で医療支援を行っている団体は複数あり、「青年海外協力隊」もその1つです。青年海外協力隊とは、派遣先の政府からの要請にもとづいて支援活動を行うボランティア団体で、支援内容は教育や農業など多岐にわたります。医療福祉関係の主な支援には、マラリアの予防啓発活動やリハビリテーション指導などが挙げられ、そこでは医師や看護師だけでなく、作業療法士、理学療法士、言語聴覚士といった専門職の協力も不可欠です。
(出典:JICA海外協力隊「JICA海外協力隊とは」/https://www.jica.go.jp/volunteer/index.html)
活動のなかには聴覚障害児学校へのボランティア派遣もあり、言語聴覚士は言語聴覚障害児に向けた発音練習の指導・支援や、聴覚障害への理解を深めるための啓発活動・研修などを担います。
ただし、現地の課題解決をサポートするためには、言語聴覚療法に関する一定の知識・技術が求められるため、実務経験の年数が指定されることもあります。
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言語聴覚士が海外ボランティアに参加するメリット
言語聴覚士が海外ボランティアに参加する場合、国内ではできない体験ができるなど、多くのメリットがあります。
海外ボランティアを通じて得られる主なメリットは、以下の通りです。
- ●語学力が身に付く
海外でボランティア活動を行うには、現地の患者さまや関係者とのコミュニケーションが必要です。日常生活のなかで自然な言い回しを学べるため、2年程度の派遣で実践的な語学力を身に付けることも可能でしょう。
- ●日本ではできない経験ができる
ボランティアスタッフとして派遣されるのは、開発途上国が中心です。物資や設備が不十分な環境で、医療従事者がどのように働いているかを学ぶことは、通常の留学とは異なる貴重な体験になるでしょう。
- ●人脈が広がる
海外ボランティアのスタッフは、日本のほかにも多くの国や地域から派遣されています。現地の方々に加えて、各国のスタッフ・関係者との人脈を築くことで、言語聴覚士としての視野が広がるでしょう。場合によってはその後の就職先の紹介につながる可能性もあります。
加えて、上記のような貴重な体験が、仕事をしていく上での自信につながることも、海外ボランティアのメリットと言えるでしょう。
言語聴覚士が海外ボランティアに参加するデメリット
言語聴覚士が海外ボランティアに参加することには、いくつかのデメリットもあります。主なデメリットは、下記の通りです。
- ●治安や設備に問題があるケースも見られる
発展途上国が主な派遣先となるため、治安のよくない地域で活動するケースもあります。また、上下水道や医療設備など、日本に比べると必要な設備がそろっていない地域もあるため、活動するためには覚悟と工夫が必要です。
- ●最新の情報や知識を得るのが難しい
海外ボランティアとして活動している間は、日本の学会や講習会、勉強会などに参加することが困難です。たとえ講習がオンラインで行われていたとしても、インターネット環境が整っていなかったり、時差があったりするため参加は難しいでしょう。そのため、「派遣中は言語聴覚士として最新の情報や知識を得られない」と割り切って参加する必要があります。
もちろん実情は国や地域、活動する施設などによって異なります。しかし、日本とは違った常識や文化のなかで活動する以上、何らかのトラブルが起こるリスクを想定しておく必要があるでしょう。
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まとめ
言語聴覚士として海外で働く方法は、「現地で資格を取得する」「海外研修やボランティア活動に参加する」という2通りに大別されます。海外でボランティ活動に参加する場合は、「語学力が身に付く」「日本ではできない経験ができる」「人脈が広がる」などのメリットがあります。また、海外で活躍した実績は、日本で就職・転職活動を行う際にも大きなアピールポイントになるでしょう。
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