病理検査を行う臨床検査技師になるには?おすすめの資格も紹介

更新日 2023年09月15日 公開日 2023年09月15日

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臨床検査技師の業務の1つに、病理検査があります。病理検査は、医師が患者さまに確定診断を行う上で重要な検査であるため、携わる臨床検査技師には高度な知識と技術が必要です。「病理検査の知識や技術を磨いて、患者さまにより良い医療を提供したい」と考える臨床検査技師の方は、病理検査の能力を認めるために創設された「認定病理検査技師」の資格取得を目指してみるのも良いでしょう。

この記事では、病理検査の概要と、認定病理検査技師試験の受験資格や出題内容、合格率、病理検査を行う臨床検査技師になるための方法についてご紹介します。病理検査に興味がある方、あるいは病理検査のスキルをさらに向上させたい臨床検査技師の方は、ぜひお役立てください。

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臨床検査技師が行う「病理検査」とは?

臨床検査技師が行う検査は、検体検査と生体検査(生理機能検査)に大別されます。

検体検査とは、尿や血液、細胞など人体から排出または採取された検体を検査し、病気の診断や健康状態の確認を行うことです。一方、生体検査では、脳波検査や腹部・心臓エコー検査、心電図検査といった方法で、患者さまの身体を直接調べます。

これらのなかで、検体検査の1つとして行われているのが「病理・細胞診検査」と呼ばれる検査です。病理・細胞診検査は、病理組織検査(病理検査)と細胞診検査に分けられ、それぞれの詳細は次の通りです。

●病理組織検査(病理検査)
病理組織検査(病理検査)とは、顕微鏡で患者さまの病変組織を観察し、病気を診断する検査です。臨床検査技師は、病理医が観察・診断できるように、患者さまから採取された臓器や組織などの切片をスライドガラスに乗せて染色し、顕微鏡標本を作成します。手術中に行われる病理診断では、組織を急速に凍結し、迅速に標本を作成する必要があるため、臨床検査技師には高い検査技術とチームプレーが求められます。

●細胞診検査
細胞診検査とは、尿、喀痰、子宮頸部、気管支などから細胞診標本を作成し、顕微鏡で観察した上で細胞の状態を診断する検査です。検査では、まず臨床検査技師が標本の作成を行い、悪性の疑いがあれば病理医に報告して、最終診断が下されます。子宮頸がん検診や遺伝子検査、ホルモン状態の判定などに使われることが多く、標本には自然に剥離した細胞のほか、病変部から綿棒やブラシで直接こすり取ったり、臓器に細い針を刺したりして採取した細胞も使用されます。

なお、病理・細胞診検査は、超音波やレントゲンなどの画像検査で異変が見られた際、診断を確定するために行われます。検査は必ずしも1回ではなく、検査方法を変えて数回にわたり実施されることもあります。

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病理検査の資格「認定病理検査技師」の概要・合格率

「認定病理検査技師」とは、高度な技術・知識のもとで精度の高い病理標本を作成し、安全かつ円滑に病理検査が行える人材を指します。この制度は、一般社団法人日本臨床衛生検査技師会が、一般社団法人日本病理学会とともに、国民に対する質の高い医療提供を目指して立ち上げたものです。

認定病理検査技師は、病理検査室などの運営・管理におけるマネジメント能力を示す資格でもあります。そのため、病理検査に携わる臨床検査技師にとっては、ぜひ取得しておきたい資格と言えるでしょう。

ここでは、認定病理検査技師の試験概要について、詳しく解説します。

認定試験の受験方法・受験資格

認定病理検査技師試験は年1回、11月下旬~12月上旬頃に行われます。認定病理検査技師試験を受験するには、次の条件をすべて満たす必要があります。

  • (1)一般社団法人日本臨床衛生検査技師会の会員で、臨床検査技師の国家資格保持者
  • (2)「日臨技生涯教育研修制度」修了者(年度指定あり)
  • (3)認定病理検査技師制度指定講習会の受講者(年度指定あり)
  • (4)一般社団法人日本病理学会会員の医師または施設長からの推薦書がある
  • (5)病理検査業務に5年以上従事していること

(2)と(3)については、修了証書の受領年度と講習会の年度が指定されているため、受験を希望する年の受験要項を必ず確認しましょう。また、(5)の経験年数について虚偽が発覚した場合は、合格が取り消され一定期間は再受験ができなくなります。

受験を申請するには、まず、一般社団法人日本臨床衛生検査技師会の会員専用ページにログインします。その後、画面右側にある「日臨技会員メニュー」の「認定資格申請」をクリックし、各資格申請画面の入力ガイドに沿って、入力・申請を行いましょう。

受験申請を受け付ける期間は約1か月となっており、受験申請料は20,000円、合格後は資格の登録料として5,000円が必要です。

(出典:一般社団法人日本臨床衛生検査技師会「認定病理検査技師制度-第7回認定試験(2021年度)実施要項」/https://www.jamt.or.jp/studysession/center/asset/docs/2021ninnteibyourisikennyoukou0811syuusei.pdf

認定試験の出題内容

認定病理検査技師の認定試験では、マークシートと記述・小論文試験が、午前と午後に分けて実施されます。出題範囲は、認定病理検査技師の職務内容および基本的姿勢のほか、次の4区分となっています。

・2021年度における認定試験の出題範囲の概要

区分A 基礎知識・技術 人体の構造や機能、病態の概要、個人情報の確認から標本作成、病理解剖の介助まで病理検査に関係した幅広い基礎知識を修得する。
区分B 専門知識 コンパニオン診断、分子病理学的検索方法、ゲノム医療といった病理検査にまつわる専門的な知識を修得する。
区分C 専門技術 病理検査での標本作成や検体採取、機器の操作などに関する専門性の高い技術を習得する。
区分D 組織管理 病理検査業務が安全かつ迅速に行えるよう、適切な態度や管理能力を身に付ける。

認定病理検査技師試験では、臨床検査技師としての専門的知識だけでなく、病理解剖の介助や検査体制の構築といった病理検査スタッフとしての能力も総合的に問われます。

(出典:一般社団法人日本臨床衛生検査技師会「認定病理検査技師制度-第7回認定試験(2021年度)実施要項(8月11日付修正版)」/https://www.jamt.or.jp/studysession/center/asset/docs/2021ninnteibyourisikennyoukou0811syuusei.pdf

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認定試験の合格率・難易度

2017年度に行われた認定病理検査技師試験では、受験者数が215人で、うち合格者数は163人。合格率は75.8%でした。

受験資格が臨床検査技師の資格所持者に限定されているため、受験者の知識水準は高い傾向にあります。また、病理検査の実務経験が求められることから、受験者はすでに病理検査についての知識・技術をそなえていると考えて良いでしょう。

認定病理検査技師試験の合格率だけを見ると、比較的合格しやすいように感じますが、見方を変えれば「経験豊富な臨床検査技師であっても25%が不合格となる試験」とも言えます。合格するためには、しっかりと試験対策を行う必要があるでしょう。

(出典:一般社団法人日本臨床衛生検査技師会「JAMT平成30年度定時総会招集ご通知」/https://www.jamt.or.jp/poll/asset/pdf/notification_2018/pageindices/index8.html#page=9

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病理検査を行う臨床検査技師になるには?

臨床検査技師として病理検査に携わりたい方は、病理検査を実施している施設の病理検査室などに勤務する必要があります。院内で病理検査を行っている病院・クリニックのほか、さまざまな医療機関から検体が集まってくる臨床検査センターであれば、数多くの検査業務に携わることができるでしょう。

なお、病理検査を行う臨床検査技師の求人では、経験者を優遇する傾向にあります。しかし、経験者向けの求人ほど数は多くないものの、未経験の方を積極的に募集している施設も一定数見られます。病理検査を行う施設は、地方よりも都市部に多いため、就職活動を行う際は都市部で求人を探すのも1つの方法でしょう。

未経験者の場合は、履歴書や面接で病理検査に対する熱意をしっかり伝えることが大切です。病理検査を希望する理由、目標をできるだけ具体的に伝えましょう。「今後、認定病理検査技師資格の取得を目指したい」など、スキルアップに臨む意欲を伝えるのも効果的です。

転職活動を行う際は、転職エージェントに登録し、業界に精通したキャリアアドバイザーのサポートを受けることで、希望がかなうケースもあります。病理検査を行ったことがない臨床検査技師の方も、諦めずに求人を探してみましょう。

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まとめ

病理検査は、臨床検査技師が行う検査業務の1つです。病理検査において、臨床検査技師は医師が観察・診断を行うための顕微鏡標本を作成します。

病理検査における十分な能力を認める資格に、「認定病理検査技師」があります。病理検査の経験を積んだ後は、ぜひ認定病理検査技師の資格取得に挑戦してみましょう。

マイナビコメディカルでは、経験豊富なキャリアアドバイザーが、臨床検査技師の転職・就職を全面的にサポートします。非公開求人も多数取り扱っておりますので、就職・転職を検討している方は、ぜひマイナビコメディカルにご相談ください。

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※当記事は2022年5月時点の情報をもとに作成しています

監修者プロフィール

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