言語聴覚士に英語力は必要?業務で役立つ英単語や例文も解説
近年は社会のグローバル化が進み、さまざまな職業で語学力が求められるようになりました。特に英語は、国際共通語としてその重要性が増しています。今後は言語聴覚士の方も、リハビリテーションを行う際に英語力を求められる機会が増えていくでしょう。
この記事では言語聴覚士に英語力が必要な理由3つと、言語聴覚士の業務に関係する英単語・例文をご紹介します。言語聴覚士として英語学習に力を入れるべきかどうか悩んでいる方はぜひご覧ください。
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目次
言語聴覚士に英語力が必要な理由
言語聴覚士が英語力を身につけると、さまざまな場面で活用できます。ここでは、言語聴覚士にとって英語力が必要な理由を3つご紹介します。
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理由① 日本語が話せない患者さまに対応するため
グローバル化が進むなか、医療従事者も日本語が話せない外国の患者さまに対応する機会が増えていくと考えられます。
そうしたなか、2020年に行われた外国人を対象とする調査では、病院でのコミュニケーションについて「日本語がわかるから問題なかった」と答えた割合は半数以下という結果でした。その一方で3人に1人の外国人が、言葉の壁が原因で「自分の症状を正確に伝えられない」「診断結果がわからず、どのような疾患か理解できない」などの悩みを抱えていることがわかっています。
(出典:厚生労働省「外国人患者の受入れのための医療機関向けマニュアル(第4.0版)」/https://www.mhlw.go.jp/content/10800000/000795505.pdf)
特に言語聴覚士は言葉を扱う専門職であるため、日本語が上手に話せない方との言葉の壁を取り除く努力が必要でしょう。
理由② 海外留学やキャリアアップのため
言語聴覚士が海外で学ぶことは、言語聴覚士としての考え方を広げたり、最新の治療法を学んだりすることにつながります。また、「現地で働く」という選択肢を得られることもメリットの1つです。
海外で言語聴覚士として働くには滞在先の国から許可をもらう必要がありますが、その際の条件に一定以上の英語力が含まれている国もあります。英語力を身につけておけば、アメリカやオーストラリアなど英語圏の国に留学しやすいのはもちろん、現地での資格取得や就職活動にも役立ちます。
英語を学ぶことで、日本国内においても英語力を求める求人に応募できるなど、新しいキャリアアップの道が開けるでしょう。
理由③ 英語で書かれた論文を学習に使うため
専門家向けの長文をスムーズに読解できる英語力があれば、外国の研究論文や資料を読み込んで新たな知見を得られます。言語聴覚療法に関する最新の研究結果は英語で書かれていることが多いため、翻訳の手間をかけずに理解できれば大きな強みになるでしょう。
また、高い英語力を有していれば、自分自身の研究結果を海外の学会や雑誌などに発表することも可能になります。
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言語聴覚士が知っておきたい英単語・例文
ここでは、医療や介護の現場で言語聴覚士が口にする可能性の高い英単語・例文をご紹介します。文章として話せなくとも、単語さえ知っていれば、身振り手振りを加えて患者さまに情報を伝えられるようになるので、英語に苦手意識がある方もぜひ覚えておいてください。
英語力を鍛える第一歩としては、以下のように業務に関連性の高い単語から覚えるのがポイントです。
日本語 | 英語 |
---|---|
医師 | Doctor |
栄養士 | Dietitian |
介護支援専門員 | Certified Care Worker |
患者 | Patient |
看護師 | Nurse |
言語聴覚士 | Speech-Language-Hearing Therapist(ST) |
作業療法士 | Occupational Therapist(OT) |
歯科医師 | Dentist |
相談員 | life consultant social worker |
理学療法士 | Physical Therapist(PT) |
(出典:厚生労働省「外国人のための介護福祉専門用語集」/https://www.mhlw.go.jp/content/12000000/000777519.pdf)
(出典:「「介護の日本語」テキスト(英語・インドネシア語・ベトナム語・中国語対応版)」/https://www.jaccw.or.jp/wp-content/uploads/2020/09/kaigono_nihongo_en_201901.pdf)
勤務先が介護福祉施設の場合は、サービスの提供対象を「患者」ではなく、「利用者」と呼ぶケースがほとんどです。そうした施設では「Patient」ではなく「User」を使用しましょう。勤務先が教育機関の場合は、職員の役職や児童、保護者、療育の種類など学校に関連する英単語も業務に役立ちます。
続いては、言語聴覚士が知っておくべき英単語を、「頭頸部の部位」「症状や疾患」「設備や用具」「患者さまへの呼びかけ」「保険・社会」の5分野に分けてご紹介します。
頭頸部の部位
言語聴覚士は、医師の指導にもとづいて患者さまの身体機能の維持・改善につながるリハビリテーションを行います。リハビリテーションの手順や注意点を正しく伝えるためには、体の部位に関する英単語を理解しておく必要があるでしょう。
言語聴覚士の業務で使用する頻度が高い、頭頸部の代表的なパーツについての英単語は下記の通りです。
日本語 | 英語 |
---|---|
顎 | chin |
咽頭 | pharynx |
気管 | trachea |
首 | neck |
喉頭蓋 | epiglottis |
喉 | throat |
食道 | esophagus |
舌 | tongue |
額 | forehead |
頬 | cheek |
(出典:厚生労働省「外国人のための介護福祉専門用語集」/https://www.mhlw.go.jp/content/12000000/000777519.pdf)
(出典:「「介護の日本語」テキスト(英語・インドネシア語・ベトナム語・中国語対応版)」/https://www.jaccw.or.jp/wp-content/uploads/2020/09/kaigono_nihongo_en_201901.pdf)
特に喉は細かな部位ごとに英単語が存在するため、対応する日本語に合わせて正しく覚えましょう。
症状や疾患
外国人の患者さまが抱える体の異常を正確に把握できるように、症状に関連する英単語も覚えておくと便利です。
リハビリテーションの指導時や日常の体調確認などに役立つ英単語には、下記のようなものがあります。
日本語 | 英語 |
---|---|
誤嚥 | aspiration/accidental swallowing |
呼吸 | breath |
原因疾患 | causative disease |
せき | cough |
発熱 | fever |
吐き気 | nausea |
痛み | pain |
体調 | physical condition |
痰 | sputum |
症状 | symptom |
(出典:厚生労働省「外国人のための介護福祉専門用語集」/https://www.mhlw.go.jp/content/12000000/000777519.pdf)
(出典:「「介護の日本語」テキスト(英語・インドネシア語・ベトナム語・中国語対応版)」/https://www.jaccw.or.jp/wp-content/uploads/2020/09/kaigono_nihongo_en_201901.pdf)
嚥下訓練や摂食に関する言葉は、リハビリの現場で使う機会が多いでしょう。吐き気やせき、痰など喉の異常に関する英単語に加えて、患者さまへの説明で使用することが多い「誤嚥」や「原因疾患」も覚えておきたい単語です。
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設備や用具
言語聴覚士として患者さまをサポートするときのために、施設や設備に関係した英単語も覚えておきましょう。言語聴覚士が利用する可能性の高い英単語は、下記の通りです。
日本語 | 英語 |
---|---|
移乗 | transferring |
移動 | moving |
移動用リフト | lift |
居室 | room |
職員の部屋 | staff room |
食堂 | dining room |
バリアフリー | barrier-free |
パルスオキシメーター | pulse oximeter |
ラウンジ | lounge |
車椅子 | wheelchair |
歩行器 | walker |
つえ | cane |
(出典:厚生労働省「外国人のための介護福祉専門用語集」/https://www.mhlw.go.jp/content/12000000/000777519.pdf)
(出典:「「介護の日本語」テキスト(英語・インドネシア語・ベトナム語・中国語対応版)」/https://www.jaccw.or.jp/wp-content/uploads/2020/09/kaigono_nihongo_en_201901.pdf)
例えば、患者さまを食堂へ連れていくときは、“Shall we go to the dining room?”と声掛けします。目的地の名称を入れかえれば、多くの場面で活用できる例文なので、場面に合わせて上手に使いましょう。
患者さまへの呼びかけ
患者さまとコミュニケーションを取る上で、下記のようなフレーズも覚えておくと便利です。
日本語 | 英語 |
---|---|
お湯は熱くありませんか? | Is the water temperature too hot for you? |
今日はわたしが担当します | I am your care provider today. |
体温を測っても良いですか? | May I take your temperature now? |
ご気分はどうですか? | How are you feeling? |
苦しくありませんか? | How is it? Any pain? |
「動きますね」 ※車椅子を押すとき |
Now, I am going to push you. |
終わりにしますか? ※食事を終えるとき |
Have you had enough? |
(出典:厚生労働省「外国人のための介護福祉専門用語集」/https://www.mhlw.go.jp/content/12000000/000777519.pdf)
(出典:「「介護の日本語」テキスト(英語・インドネシア語・ベトナム語・中国語対応版)」/https://www.jaccw.or.jp/wp-content/uploads/2020/09/kaigono_nihongo_en_201901.pdf)
また、介護の場面で役立つ例文の1つとして、“Do you want to walk yourself?”が挙げられます。「ご自分で歩けますか」という意味で、たとえば歩行介助が必要な方への声掛けとして活用できます。
機能の改善や維持を目的とするリハビリテーションでは必要以上に手を貸さないのも重要です。一度「ご自分で歩けますか」と質問してみましょう。
保険・社会
場合によっては、外国人の患者さまに日本の医療制度や保険制度、生活支援制度などについて説明する場面もあるでしょう。円滑な説明をするために、覚えておきたい英単語は下記の通りです。
日本語 | 英語 |
---|---|
介護計画 | care plan |
介護保険 | nursing care insurance |
健康寿命 | healthy life expectancy |
自立支援 | self-independence support |
社会保険 | social insurance |
社会保障 | social security |
身体障害 | disability |
生活機能 | life function |
被保険者 | insured person |
平均寿命 | average life span |
(出典:厚生労働省「外国人のための介護福祉専門用語集」/https://www.mhlw.go.jp/content/12000000/000777519.pdf)
(出典:「「介護の日本語」テキスト(英語・インドネシア語・ベトナム語・中国語対応版)」/https://www.jaccw.or.jp/wp-content/uploads/2020/09/kaigono_nihongo_en_201901.pdf)
今回取り上げた英単語や例文は、厚生労働省や日本介護福祉士会などが配布している資料にもとづいた一例です。勤務先によって頻繁に使用する単語も異なるため、仕事内容を考慮して勉強しましょう。
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まとめ
言語聴覚士が英語力を身につけると、在留外国人や訪日外国人の方に対して評価や訓練を提供しやすくなります。また、外国に留学するときや、英語論文を読む場合などにも英語が役立つことから、英語力を高めるとキャリアアップの可能性も広がるでしょう。
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