訪問リハビリで働く言語聴覚士の仕事内容は?|キャリアアップのヒントも

更新日 2023年12月21日 公開日 2023年12月21日

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言葉によるコミュニケーションが難しい方や、食べたり飲み込んだりすることがうまくいかない方を支援する言語聴覚士は、訪問リハビリにおいても重要な役割を果たします。訪問リハビリは言語聴覚士や理学療法士、作業療法士などが、利用者さまの自宅に出向いて自立した生活を送れるよう支援する介護サービスで、利用者数・事業所数とも年々増え続けています。

(出典:厚生労働省「訪問リハビリテーション」/https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/000679685.pdf

この記事では訪問リハビリにおける言語聴覚士の仕事内容や訪問リハビリの魅力、キャリアアップに役立つ資格などを紹介します。

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訪問リハビリで働く言語聴覚士の仕事内容は?|キャリアアップのヒントも

訪問リハビリとは?

訪問リハビリとは、言語聴覚士や理学療法士、作業療法士といったリハビリ専門職が、利用者さまの居宅に出向いてリハビリの指導などを行うサービスです。

医師の指示のもと、利用者さまの心身機能の維持回復、日常生活の自立を目指して支援を行うのが、訪問リハビリの主な目的となります。

(出典:厚生労働省「訪問リハビリテーション」/https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/000679685.pdf

訪問リハビリを利用できるのは、65歳以上で要介護認定を受けており(要介護認定1以上)、医師が必要性を認めた方です。訪問リハビリを行う事業者は、利用者さまの日常生活に対する不安や負担に合わせて、以下のようなリハビリを提供します。

・歩行や寝返りなどの機能訓練
・着替えや食事など日常の生活動作訓練
・嚥下や言語機能の訓練
・家族への介護指導
・福祉用具の使い方支援
・住宅のバリアフリー改修に関するアドバイス
・日常生活における悩みへの助言
 など

(出典:公益財団法人長寿科学振興財団「訪問リハビリテーションとは」/https://www.tyojyu.or.jp/net/kaigo-seido/kaigo-service/houmon-riha.html

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需要が広がる訪問リハビリの実態とは

訪問リハビリが重要視される理由

訪問リハビリが重要視される理由の1つに、厚生労働省による地域包括ケアシステムの推進が挙げられます。地域包括ケアシステムとは、高齢者が住み慣れた場所で自立した生活ができるように、医療・介護の総合的なサービスを地域で提供する仕組みです。

急速な高齢化が進む日本では、医療や介護サービスを必要とする高齢者が増えている一方で、サービスを提供する現役世代の人口が減少傾向にあります。そのため、厚生労働省は高齢者の健康を守るため、医療・介護・地域行政の連携による包括的なケアシステムの整備を目指しているのです。

在宅で専門家による介護や指導が受けられる訪問リハビリは、地域包括ケアシステムを支える柱の1つと言えるでしょう。

(出典:厚生労働省「地域包括ケアシステム」/https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/kaigo_koureisha/chiiki-houkatsu/

【関連リンク】地域包括ケアってなんだ?
(1)地域包括ケアシステムの目的

訪問リハビリ事業所で働く言語聴覚士の人数は?

病院や診療所、介護施設などが訪問リハビリサービスを提供するためには、厚生労働省の定める人員や設備の基準を満たさなくてはなりません。

事業所ごとの人員配置基準と設備基準は、以下のように定められています。

【訪問リハビリの人員配置基準と設備基準】

人員配置基準 医師 専任の常勤医師1名以上
理学療法士
作業療法士
言語聴覚士
適当数
設備及び備品 ・病院、診療所、介護老人保健施設または介護医療院である
・指定訪問リハビリテーションに必要な設備及び備品などを備えている

訪問リハビリ事業所が配置すべき言語聴覚士の数は「適当数」となっています。なお、181の事業所を対象に行われた2019年の調査では、施設ごとの言語聴覚士の平均人数は常勤換算で0.37名でした。理学療法士(2.91名)や作業療法士(1.18名)ほどではありませんが、少なくとも一部の訪問リハビリ事業所は常勤の言語聴覚士を配置していることになります。この数字は、今後増えていく可能性もあるでしょう。

(出典:厚生労働省「訪問リハビリテーション」/https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/000679685.pdf

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訪問リハビリでの言語聴覚士の仕事内容

訪問リハビリで働く言語聴覚士に求められるのは、利用者さまが住み慣れた場所で自分らしく過ごすためのサポートです。以下では、訪問リハビリで働く言語聴覚士の具体的な業務内容について解説します。

利用者さまのリハビリを行う

言語聴覚士が行うリハビリには大きく分けて2種類あります。

1つめは、言語機能訓練で、けがや病気などによって「話す・聞く・読む・書く」ことが困難な方に対してリハビリを行います。

言語機能の低下は、家族や周囲の方とのコミュニケーションに大きな影響を与えるため、言語機能訓練は利用者さまを支える方たちにとっても、非常に重要だと言えるでしょう。

2つめは、嚥下機能訓練です。これは食べ物を食べたり、飲み込んだりすることに問題がある「嚥下障害」の方に対して、嚥下器官の訓練や口腔ケアなどを行うサポートで、嚥下機能の向上を目的としています。

嚥下機能が低下してしまうと、食べ物が喉に詰まったり、気管に入って誤嚥性肺炎を引き起こしたりするリスクが高まります。食事を自立的に行えるようになれば、利用者さまの健康だけでなくQOLも改善できるでしょう。

介護・医療・行政の連携を行う

訪問リハビリは、言語聴覚士だけで行う活動ではありません。医師や看護師、社会福祉士、自治体職員などと連携して利用者さまを支援することも、言語聴覚士の大事な役割です。

多業種協働をスムーズに進めるため、言語聴覚士は専門職の1人としてサービス担当者会議(ケアプランを作成した介護支援専門員が中心となって、多業種が意見交換を行う会議)や地域ケア会議にも出席します。会議では、他の職種や行政機関と情報を共有しつつ、嚥下やコミュニケーション能力を改善するための支援や訓練の方法を指導します。

(出典:厚生労働省「介護予防・日常生活支援総合事業のガイドライン」/https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/000957652.pdf

計画書・報告書を作成する

訪問リハビリで働く言語聴覚士は、「リハビリテーション計画書」の作成も行います。

ロ リハビリテーション計画の作成
事業所の医師及び理学療法士、作業療法士又は言語聴覚士は別紙様式2-1及び別紙様式2-2「リハビリテーション計画書」を活用し、また、アセスメントに基づき、目標、実施期間、リハビリテーションの具体的な内容、リハビリテーションの提供頻度、提供時間、リハビリテーション提供中の具体的な対応等について検討し、リハビリテーション計画を作成すること。

ハ 指示を行った医師又は指示を受けた理学療法士、作業療法士又は言語聴覚士は当該指示の日時、内容等を記録に留めること。

(引用:日本訪問リハビリテーション協会「リハビリテーションマネジメント加算等に関する基本的な考え方並びにリハビリテーション計画書等の事務処理手順及び様式例の提示について」/https://www.roken.or.jp/wp/wp-content/uploads/2019/10/vol.747.pdf

リハビリテーション計画書とは、リハビリの目的や方法などを記載する書類のことで、利用者さまの心身の状態や家庭環境などを踏まえつつ、課題や解決策を盛り込んで作成します。

訪問リハビリ業務を実施した後は、活動結果や今後の課題などについて記入した報告書を作成し、担当の介護支援専門員や医師などに提出します。

言語聴覚士にとって訪問リハビリはやりがいある仕事?

言語聴覚士は訪問リハビリで働くなかで、以下のようなやりがいや魅力を感じるでしょう。

利用者さまの生活に合わせたリハビリを行える

利用者さまの自宅に訪問し、実際の生活環境や人柄などを理解した上で、日常生活に直結する機能訓練や支援を提供できます。医療機関や介護施設で行うリハビリと比べて、利用者さまと向き合う時間が多いため、本質的な悩みに寄り添ったケアがしやすいでしょう。

利用者さまの家族や地域を巻き込んだリハビリが可能になる

訪問リハビリでは、利用者さまの実生活に応じた支援を提供する必要があるため、利用者さまの家族ともコミュニケーションを取り、意思疎通を図ることが求められます。また、訪問リハビリの現場は、ほかの専門職と協働する経験を積みやすい環境にあります。いろいろな職種と協力しながらリハビリを進めることで、幅広い知見を得られるでしょう。

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「認定訪問療法士」取得でさらなるキャリアアップを

言語聴覚士に加えて「認定訪問療法士」の資格を取得すれば、訪問リハビリ分野でさらなるキャリアアップを目指せるでしょう。認定訪問療法士の詳細は以下のとおりです。

資格概要

訪問リハビリのサービスの質向上と人材育成・確保を目的に、日本訪問リハビリテーション協会が創設した資格です。リハビリを実践する上で必要な知識・技術や現場における対応力などを身につけることで、より良質な訪問リハビリを提供できます。

(出典:一般社団法人日本訪問リハビリテーション協会「「認定訪問療法士」のご案内」/https://www.houmonreha.org/mypage/authorization/

資格取得要件

言語聴覚士・理学療法士・作業療法士いずれかの資格を有し、臨床5年以上、もしくは訪問3年以上の実務経験のある方が対象です。日本訪問リハビリテーション協会が実施する認定技術研修会と認定応用研修会を受講後、審査に合格すれば認定訪問療法士の資格を取得できます。

(出典:一般社団法人日本訪問リハビリテーション協会「認定訪問療法士のご案内」/https://www.houmonreha.org/mypage/authorization/download/download56_20190207.pdf

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仕事内容や働く場所を解説

まとめ

訪問リハビリとは、言語聴覚士や理学療法士、作業療法士といったリハビリ専門職が利用者さまの自宅に出向いてリハビリの指導などを行うサービスです。65歳以上で要介護認定を受けている方が対象となります。

訪問リハビリで働く言語聴覚士は、利用者さまにリハビリを提供するとともに、多業種と協働してリハビリ計画を立てます。利用者さまの生活に寄り添いながらリハビリを行える点や、さまざまな職種と連携しながら知識・技術を磨ける点が、訪問リハビリの魅力と言えるでしょう。

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※当記事は2023年5月時点の情報をもとに作成しています

監修者プロフィール

マイナビコメディカル編集部

 

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