認定言語聴覚士とは?なるには?資格取得方法とメリットを解説

更新日 2023年10月27日 公開日 2023年04月19日

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すでに言語聴覚士として働いている方や、これから言語聴覚士を目指す方のなかには、「認定言語聴覚士」という資格について、見聞きしたことがある方もいるのではないでしょうか。認定言語聴覚士は、言語聴覚士の資質向上と学習の継続を目的として作られたもので、「より専門性の高い言語聴覚士を目指したい」という方におすすめの認定資格です。

当記事では、認定言語聴覚士の概要や資格取得のメリットについて紹介します。あわせて、認定言語聴覚士を目指す方法についても説明するので、認定言語聴覚士に関心のある方は、ぜひお役立てください。

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認定言語聴覚士とは?資格取得方法とメリットを解説

認定言語聴覚士とは?

認定言語聴覚士とは、日本言語聴覚士協会によって2008年につくられた認定資格制度です。

日本言語聴覚士協会は、制度の目的を「高度な知識および熟練した技術を用い高水準の業務を遂行できる言語聴覚士を養成することにより、業務の質の向上を図り社会に寄与すること」としており、認定言語聴覚士の資格は「言語聴覚士として日々勉強し、研さんを積んでいる証」と考えて良いでしょう。

近年、急速に高齢化が進む日本では、摂食嚥下障害に対するリハビリのニーズが高まっており、多くの言語聴覚士が摂食嚥下訓練に携わっています。しかし以前は、養成学校に摂食嚥下についてのカリキュラムがなかったため、摂食嚥下訓練に関わることに不安を持つ言語聴覚士も少なくありませんでした。

認定言語聴覚士は、そうした状況を変え、社会的なニーズに応えるために生まれた制度であり、もともとは摂食嚥下の領域に特化した資格と位置づけられていました。しかし現在は、その領域が少しずつ拡大し、摂食嚥下障害領域、失語・高次能機能障害領域、言語発達障害領域、聴覚障害領域、成人発声発語障害領域、吃音・小児構音障害領域など、多くの専門分野で認定言語聴覚士が活躍しています。

なお、2021年度は、認定言語聴覚士として53名が認定を受けました。一方、言語聴覚士の国家試験は毎年1,500~2,000人ほどが合格しており、2022年4月1日現在では約38,200人が有資格者となっています。1年に合格する人数を比較すると、認定言語聴覚士の合格者数は非常に少ないと言えるでしょう。

そのため、難易度はやや高く映るかもしれませんが、認定言語聴覚士の資格を取得することで、言語聴覚士としての専門性はぐんと高まります。言語聴覚士として長く活躍したい方は、認定言語聴覚士の資格取得を検討してみると良いでしょう。

(出典:一般社団法人 日本言語聴覚士協会「生涯学習プログラムについて」/https://www.japanslht.or.jp/certification/about.html

(出典:一般社団法人 日本言語聴覚士協会「会員動向」/https://www.japanslht.or.jp/about/trend.html

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認定言語聴覚士の資格を取得するメリットは?

認定言語聴覚士の資格を取得することは、自身の専門性を高めるだけでなく、患者さまやそのご家族からの信頼を得ることにもつながります。

とはいえ、「認定言語聴覚士の資格がなければ働けない」という求人はほとんどありません。また職場によっては、資格を取得しても手当がつかない場合もあるでしょう。しかし、難易度の高い資格を取得し、認定言語聴覚士として活動することは、リハビリ職としての大きな自信になるはずです。

また、認定言語聴覚士の資格を取得すると、日本摂食嚥下リハビリテーション学会の認定士の資格を申請・取得することができます。資格取得者には、看護師や介護師などが多いため、他職種とのつながりを持ちたい方は、ぜひ申請してみてください。

摂食嚥下のプロであることを証明できるので、就職の面で有利に働く可能性もあるでしょう。

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認定言語聴覚士になるには

認定言語聴覚士になるには、日本言語聴覚士協会が実施する「生涯学習プログラム」の基礎プログラム・専門プログラムを修了する必要があります。生涯学習プログラムは、言語聴覚士の資質向上、学習の継続を目的に2004年から開始されました。

認定言語聴覚士の資格を取得するまでの流れは、以下の通りです。

・言語聴覚士の基礎プログラムを修了する
・言語聴覚士の専門プログラムを修了する
・言語聴覚士の専門プログラムを修了する
・認定言語聴覚士取得後は更新を行う

ここでは、それぞれの流れについて詳しくご紹介していきます。

【STEP1】言語聴覚士の基礎プログラムを修了する

基礎プログラムを履修・修了するまでの流れを下記にまとめました。

1. 基礎講座の履修

はじめに、生涯学習プログラムの基礎プログラムを履修します。基礎講座は都道府県士会によって全国で開催されているので、通いやすい場所を選んで受講しましょう。

講座の内容は、「職種間連携」「臨床マネージメントと職業倫理」「研究法序論」などの6種です。修了証の授与には、すべての講座を受講する必要があります。

2. ポイント取得(4ポイント)

基礎講座を履修した後は、ポイントの取得が求められます。ポイントは論文や研究発表、学会への参加によって獲得できます。

合計で4ポイントの取得が条件となっているので、どの項目がポイントになるのかについて、あらかじめ確認しておきましょう。

3. 症例検討・発表

「臨床経験6年目以上の本協会正会員2人以上が指導者として参加していること」「1つの症例に関して十分な時間をとって検討すること」など、症例検討・発表にはいくつかの条件があります。症例検討・発表まで終われば、修了証の交付申請・修了証の発行へと進むことができます。

(出典:一般社団法人 日本言語聴覚士協会「生涯学習プログラムについて」/https://www.japanslht.or.jp/certification/about.html

(出典:一般社団法人東京都言語聴覚士会「生涯学習プログラム《基礎講座》開催のご案内」/https://st-toshikai.org/wp4/wp-content/uploads/20220213-2.pdf

【STEP2】言語聴覚士の専門プログラムを修了する

基礎プログラムの次は専門プログラムの履修に移ります。専門プログラムを修了するまでの流れは以下の通りです。

1. 専門講座の履修

はじめに、専門講座を履修します。基礎プログラムでは6講座の履修が必要でしたが、専門講座では4講座を履修します。

専門講座には「臨床実習指導のための教育方法」「小児の摂食嚥下リハビリテーション」などがあり、年度によって開催される講座の内容はさまざまです。

2. ポイント取得(8ポイント)

基礎プログラムと同様に、ポイントの取得が必要です。ただし、基礎プログラムよりも多い8ポイントが求められるので、積極的に論文や研究の発表に取り組みましょう。

なお、専門領域に関する出版活動には1ポイント、職能活動には2ポイントが加算されます。

3. 修了証の発行・講習会の受講

ポイントを取得した後は、必要書類を協会事務所へ郵送し修了証の交付申請を行います。

専門プログラム修了者でかつ臨床経験6年目以上の方は、認定言語聴覚士講習会を受講する資格が得られます。

(出典:一般社団法人 日本言語聴覚士協会「生涯学習プログラムについて」/https://www.japanslht.or.jp/certification/about.html

(出典:一般社団法人 日本言語聴覚士協会「専門講座一覧表」/https://files.japanslht.or.jp/notifications/2022/01/31/Specialized_course(2022).pdf

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【STEP3】認定言語聴覚士の講習を受ける

認定言語聴覚士の資格を取得するためには、講習の受講が必要となります。認定言語聴覚士講習会の目的は、「優れた知識と高い技術を使用し、高い水準で業務に取り組める言語聴覚士を育成すること」です。

前述したように、講習会に参加できるのは、専門プログラムを修了しており、さらに6年目以上の臨床経験がある言語聴覚士に限定されます。この条件から考えても、一定水準以上のスキルが求められていることが分かるでしょう。

講習会の開催領域は、摂食嚥下障害領域、失語・高次能機能障害領域、成人発声発語障害領域など6種です。なお、開催領域は年によって変わります。

(出典:一般社団法人 日本言語聴覚士協会「生涯学習プログラムについて」/https://www.japanslht.or.jp/certification/about.html

【STEP4】認定言語聴覚士取得後は更新を行う

講習会の最終日に行われる試験に合格すれば、認定言語聴覚士の資格が得られます。ただし、資格を取得した後も、5年を1クールとして更新を行わなければいけません。更新は自動ではなく申請が必要です。更新を忘れると認定が取り消されるので、必ず行いましょう。

更新においては、以下3つの要件のうち、2つの要件を満たす必要があります。

・日本言語聴覚学会へ2回以上参加すること。または、日本言語聴覚学会に1回、関連する学会に1回以上参加すること
・取得した領域に関する学会発表(筆頭演者)、あるいは論文発表(筆頭著者)、教育講演、特別講演等のうち最低1つを行うこと
・認定領域に関する社会的貢献活動(当該認定領域に関する活動に限る)を行うこと
※社会的貢献活動を要件にする際は、証明書の提出が必要

更新を申請する際は、日本言語聴覚士協会のサイトから申請書をダウンロードし、必要事項を記入した上で、日本言語聴覚士協会に郵送しましょう。なお、上記要件は変更される可能性もあるため、必要に応じて日本言語聴覚士協会のサイトを確認してください。

(出典:一般社団法人 日本言語聴覚士協会「生涯学習プログラムについて」/https://www.japanslht.or.jp/certification/about.html

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まとめ

言語聴覚士がスキルアップを図る方法として、認定言語聴覚士の資格取得があります。言語聴覚士の合格者数と比べると取得の難易度は高いと言えますが、取得するメリットも多いのため、当記事を参考にしながら資格の取得に挑戦してみましょう。

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※当記事は2022年10月時点の情報をもとに作成しています

監修者プロフィール

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