言語聴覚士の給与は安い?平均給与と「安い」と言われる理由を解説

更新日 2024年02月22日 公開日 2023年08月17日

#年収・給料 #情報収集 #転職検討/準備

言語聴覚士として働くみなさんのなかには、「給与が安く感じる」という方もいるのではないでしょうか。社会にとって重要な役割を果たしている言語聴覚士ですが、周囲から「言語聴覚士の給与は低い」と言われることもあるため、「なぜそう言われるのか」「言語聴覚士の給与は本当に安いのか」と疑問に感じることもあるでしょう。

当記事では、言語聴覚士の給与事情について、平均給与から給与が安いと言われる理由までを解説します。給与を上げる方法もお伝えしますので、言語聴覚士として働いている方はぜひお役立てください。

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言語聴覚士の給与は安い?平均給与と「安い」と言われる理由を解説

言語聴覚士の平均給与は?

言語聴覚士の平均給与については、厚生労働省の調査が参考になります。「令和3年賃金構造基本統計調査」によると、言語聴覚士の平均給与(金額は理学療法士、作業療法士、視能訓練士を含む平均値)は以下の通りです。

男女平均 男性 女性
年収 約427万円 約443万円 約407万円
月収 約29.6万円 約30.7万円 約28.3万円
賞与 約71.3万円 約74.9万円 約67.1万円

(出典:厚生労働省「令和3年賃金構造基本統計調査 結果の概況」/https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/chingin/kouzou/z2021/index.html

男女別に見ると月収や賞与に差はありますが、男女ともに平均年収は400万円を超えています。ただし、約427万円という数字は、言語聴覚士だけの平均給与額ではなく、理学療法士、作業療法士、視能訓練士を含めた平均値だという点に注意が必要です。また、言語聴覚士の給与額は職場によっても異なるので、約427万円より高い職場もあれば、低い職場もあるでしょう。

参考までに、令和2年度に実施された民間給与実態統計についても紹介しておきます。1年を通じて勤務した給与所得者全体の平均給与は約433万円となっており、これは言語聴覚士の平均年収である約427万円とほぼ同じ水準と言えます。

これらのことから、言語聴覚士の給与額が特別低いとは言えず、職場によっては十分な給与を得ることが期待できるでしょう。

(出典:国税庁「令和2年分民間給与実態統計調査結果について」/https://www.nta.go.jp/publication/statistics/kokuzeicho/minkan2020/pdf/001.pdf

以下に、さまざまな求人サイトをもとに算出した、言語聴覚士の職場別の平均給与(2022年9月時点)についてもまとめておきます。

病院 年収:320万~420万円
月収:21万~28万円
賞与:合計3か月分
クリニック 年収:350万~510万円
月収:25万~32万円
賞与:合計3か月分
訪問リハビリ(在宅医療) 年収:410万~480万円
月収:28万~42万円
賞与:合計2か月分
介護福祉施設 年収:340万~420万円
月収:25万~31万円
賞与:合計2か月分

あくまで概算となりますが、働く施設によって言語聴覚士の年収や月収の幅が大きいことはおわかりいただけるでしょう。言語聴覚士として就職・転職を考える際は、それぞれの施設の特徴などを踏まえつつ、求人を比較検討するのがおすすめです。

【関連リンク】【実例あり】言語聴覚士の給料・年収の実情|
現役言語聴覚士にインタビュー

言語聴覚士の給与が安いと言われる理由は?

厚生労働省のデータが示しているように、言語聴覚士の給与は決して低いわけではありません。にもかかわらず、言語聴覚士自身が「給与が低い」と感じたり、周囲から「言語聴覚士の給与は低い」と言われたりするのはなぜでしょう。

ここでは、言語聴覚士の給与が低いと言われる理由を3つご紹介します。

昇給しにくいから

言語聴覚士をはじめとするリハビリ職の給与は、診療報酬制度の影響を受けます。診療報酬制度とは、医療サービスを行った保険医療機関や保険薬局が、国民健康保険などの保険者から決められた額の報酬を受け取る制度です。

(出典:厚生労働省「診療報酬制度について」/https://www.mhlw.go.jp/bunya/iryouhoken/iryouhoken01/dl/01b.pdf

リハビリに対して支払われる診療報酬は、言語聴覚士がベテランでも新人でも同額となります。その影響で、経験年数が長いベテランの言語聴覚士であっても簡単に昇給することができず、それが「言語聴覚士は給与が安い」と言われる理由の1つとなっています。

また、リハビリは1日の上限単位数が決められているので、1日ごとの収入にも上限があります。それもまた、言語聴覚士の給与は思うように上がらないとされる理由でしょう。

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比較的新しい国家資格だから

言語聴覚士は、2022年3月時点で約38,000人が資格を取得しています。しかし、言語聴覚士が国家資格として制定されたのは1997年、初めての国家試験が行われたのは1999年のこと。つまり、言語聴覚士は他の専門職と比べて、比較的新しい国家資格なのです。

(出典:一般社団法人 日本言語聴覚士協会「言語聴覚士とは」/https://www.japanslht.or.jp/what/

そのことから、言語聴覚士は比較的若い方が多い傾向にあります。職種によっては勤続年数を重ねることで、年々給与が上がっていくケースも見られますが、歴史が浅い言語聴覚士の場合は、まだ給与アップの金額に限界があると言えるでしょう。

ただし、今後は待遇の改善などで平均年収が高くなる可能性もあります。そうしたときに給与アップを実現させるには、勤続年数を重ねておくことがポイントとなるでしょう。

サービス残業が行われている職場があるから

言語聴覚士が働く職場の一部では、サービス残業が行われているケースもあるようです。

厚生労働省の資料によると、言語聴覚士を含むリハビリ職の残業時間は月5時間です。月に5時間の残業であれば、「残業が多い」と感じる場面は少ないでしょう。

(出典:厚生労働省「令和3年賃金構造基本統計調査 結果の概況」/https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/chingin/kouzou/z2021/index.html

しかし、日本医療労働組合連合会(医労連)のデータによると、69.4%のリハビリ職が就業時間後に残業をしていることが報告されています。また、始業後の時間外労働が2時間を超えると答えたリハビリ職は6.0%、残業代を請求できない雰囲気を感じているリハビリ職の割合も、23.5%にのぼっています。

(出典:日本医療労働組合連合会「日本医労連「2021年秋・退勤時間調査」結果の概要」/http://irouren.or.jp/research/5216e0735789cd27928b7bf3d0092ee88895d574.pdf

以上のことから、職場によってはサービス残業が行われている可能性があり、それが原因で「仕事量の割に給与が低い」と感じる言語聴覚士がいると考えられます。

【関連リンク】言語聴覚士(ST)を辞めたい
と思ったときに考えるべきこと

言語聴覚士の給与を上げるためには?

言語聴覚士が給与を上げたい場合は、自分で取り組める方法から始めてみましょう。給与を上げる主な方法としては、以下の3つが挙げられます。

  • ・同じ職場で働き続け、管理職を目指す
  • ・ダブルライセンスを取得する
  • ・転職する

ここでは、給与を上げる3つの方法について詳しくご紹介します。

同じ職場で働き続け、管理職を目指す

給与アップを狙うために、同じ職場で長く働いて管理職を目指す方法があります。いきなりの給与アップは難しいものの、同じ職場で長く働けば、少しずつ昇給していくことが期待できます。まずは、勤続年数を重ねることから始めましょう。

経験年数が長くなれば、自分自身のスキルも増えていきます。ある程度のスキルが身についた段階で、管理職にステップアップすることを目指しましょう。管理職になると責任も大きくなりますが、その分給与がアップする可能性は高くなります。

ダブルライセンスを取得する

ダブルライセンスの取得も、給与アップを目指す方法の1つです。言語聴覚士に加えてもう1つの資格を取得すれば、自分のスキルアップにつながります。また、資格手当が用意されている職場であれば、ダブルライセンスによる給与アップも期待できるでしょう。

言語聴覚士としての専門性を高めたい方には、「認定言語聴覚士」の資格取得をおすすめします。認定言語聴覚士は、言語聴覚士としてより高度な知識と技術を有し、高い水準の業務をこなせる証明となる資格です。認定言語聴覚士の資格を取得することで、スキルアップはもちろん昇給審査などにも有利に働く可能性があります。

(出典:一般社団法人 日本言語聴覚士協会「生涯学習プログラムについて」/https://www.japanslht.or.jp/certification/about.html

転職する

勤続年数を重ねたり、ダブルライセンスを取得したりしても給与アップが期待できない場合は、転職を選ぶのも一案です。業務の量や残業時間はもちろん、給与の基準も職場ごとに異なります。現在の給与に不満がある場合は、収入アップを目指した転職を検討してみましょう。

なお、経験年数が長い言語聴覚士の方は、スキル次第で管理職求人に応募することもできます。管理職求人では「モデル年収486万円~」といった好待遇を提示する施設があるなど、十分な給与が期待できます。実際に応募する際は、言語聴覚士の転職に精通した専門のエージェントを活用すると良いでしょう。

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まとめ

言語聴覚士の平均給与は決して低くないものの、昇給しにくいなどの理由で「給与が低い」と感じる方がいます。給与を上げるためには、「同じ職場で長く働く」「ダブルライセンスを取得する」など、実現可能な方法から検討してみるのが良いでしょう。

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※当記事は2022年9月時点の情報をもとに作成しています

監修者プロフィール

マイナビコメディカル編集部

 

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履歴書や職務経歴書の書き方から、マイナビコメディカルサイト内での求人の探し方のコツや、転職時期ごとのアドバイス記事などを掲載。
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