言語聴覚士になって後悔してしまう理由は?対処法も解説

更新日 2023年01月18日 公開日 2023年01月18日

#情報収集 #転職検討/準備

言語聴覚士に関心を持つみなさんのなかには、「言語聴覚士になりたいけれど、なった後に後悔しないか」と不安を感じて、キャリアの決断を悩んでいる方もいるのではないでしょうか。また、すでに言語聴覚士として活躍している方であっても、ふとした時に言語聴覚士の仕事に不安に感じ、「転職したほうが良いのではないか」と迷うことがあるかもしれません。

当記事では言語聴覚士になったことを後悔してしまう理由と、転職を成功させるコツを紹介します。言語聴覚士が自分にとっての適職かどうかを見極めたい方や、理想の未来を築くヒントを得たい方は、ぜひ参考にしてくださいね。

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言語聴覚士になって後悔してしまう理由は?対処法も解説

言語聴覚士になったことを後悔してしまう理由は?

言語聴覚士とは、病気やけが、発達上の問題などが原因で、各種機能(認知、言語、発声、聴覚、発音など)が低下し、言葉によるコミュニケーションに問題を抱えた方を支援する専門家です。

言葉によるコミュニケーションの問題は、子どもから高齢者まで幅広い年齢で起こり得ます。その際、検査・評価によって問題の原因を特定し、患者さまが自分らしく生活できるように支援・指導するのが、言語聴覚士の役割です。また、言語聴覚士は支援する方の状態に応じて、食べ物を飲み込む摂食嚥下の障害にも対処することがあります。

(出典:一般社団法人 日本言語聴覚士協会「言語聴覚士とは」/https://www.japanslht.or.jp/what/

言語聴覚士のなかには、高い専門性を発揮し、やりがいを実感しながら働く方が多くいらっしゃいますが、一方で言語聴覚士になったことを後悔する声も聞かれます。以下では、「なぜ言語聴覚士になったことを後悔するのか」について解説しますので、後悔する原因を正しく理解し、言語聴覚士が自身に合う職業かどうかをあらためて検討してみましょう。

希望の分野・職場で働けていないから

言語聴覚士の専門分野は、言語・発達障害、聴覚障害、摂食・嚥下障害、発声発語障害などさまざまです。また、言語聴覚士の職場の選択肢は医療機関、保健福祉機関、教育機関など多岐にわたります。

(出典:一般社団法人 日本言語聴覚士協会「言語聴覚士とは」/https://www.japanslht.or.jp/what/

しかし、言語聴覚士の求人は理学療法士や作業療法士と比較して少ない傾向にあり、必ずしも希望通りの職場で働けるとは限りません。希望と異なる職場で働く場合は、思い描いた社会人生活とのギャップを感じて、言語聴覚士になったことを後悔するケースもあるでしょう。

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労働条件がよくないから

一部の言語聴覚士は労働条件に不満を感じて、キャリアの選択を後悔します。

日本医労連の調査によると、言語聴覚士を含むリハビリ職の69.4%は、就業時間終了後に残業を行っています。さらに、リハビリ職の6.0%は、始業後2時間以上の時間外労働を行っています。にもかかわらず、リハビリ職の23.5%は職場に対して「残業代を請求しにくい雰囲気がある」と感じており、職場によってはサービス残業を余儀なくされることもあるようです。

(出典:日本医療労働組合連合会「日本医労連「2021年秋・退勤時間調査」結果の概要」/http://irouren.or.jp/research/5216e0735789cd27928b7bf3d0092ee88895d574.pdf

また、言語聴覚士として最新のリハビリ技術や知識を習得するために、休日を使って研修や学会に参加したり、勉強会の資料準備を行ったりすることがあります。日々の仕事が忙しすぎる言語聴覚士は、そうした研修・学会などを負担に感じ、働くモチベーションが低下するケースもあるでしょう。

人間関係がうまくいかないから

言葉によるコミュニケーションに問題を抱える患者さまと、会話を通じて良い人間関係を構築し、回復を支援するのは大変な作業です。患者さまの性格・心理状態によってはなかなか心を開いてもらえず、苦労するケースもあります。自分なりに一生懸命患者さまに接しているのに関係の構築がうまくいかない時には、落ち込みから人生の選択を後悔してしまうこともあるでしょう。

また、言語聴覚士は以下の職業と連携し、働くことが多くあります。

  • ・医師や看護師など、医療系専門職
  • ・ケースワーカーや介護福祉士など、保健福祉系専門職
  • ・スクールカウンセラーや臨床心理士など、心理分野の専門職

専門分野が異なれば、患者さまと接する際の視点や治療方針が食い違う状況も起こり得ます。患者さまのことを思って立てた計画や方針に同意を得られない場合は、仕事の難しさを感じるでしょう。

さらに、複数の言語聴覚士が働く職場では、同僚や先輩との意見のすり合わせも要求されます。チーム内に仕事に対する考え方、価値観などが合わない人がいると、人間関係の難しさを実感し、転職を考えてしまう場合もあるでしょう。

やりがいよりもストレスのほうが大きいから

発声・聴覚の訓練や摂食嚥下の訓練など、言語聴覚士の仕事は人間の尊厳や生きがいに深く関わってきます。そのため、自身の支援・指導によって患者さまが社会復帰したり、コミュニケーション力が向上したりした時は、言語聴覚士として大きな喜びを感じることができます。

しかし、患者さまが回復するまでの道のりはスムーズとは限りません。なかなか成果が出ない時には、仕事にプレッシャーを感じることもあるでしょう。責任感が強い方の場合は、成果が出ないことにストレスを感じて、「言語聴覚士にならなければ良かった」と考えてしまう可能性もあります。

また、言語聴覚士が担当する摂食嚥下訓練は、患者さまの生命維持に深く関わる業務です。訓練によってリスクが生じるようなケースでは、「患者さまの食べる楽しみを守りたい」という思いと、起こり得るリスクとの間で判断に迷い、ストレスを感じることもあるでしょう。

(出典:日本臨床倫理学会「摂食嚥下訓練における言語聴覚士の倫理的ジレンマ」/https://www.jstage.jst.go.jp/article/jce/5/0/5_53/_pdf/-char/ja

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言語聴覚士として後悔しないためにできることは?

言語聴覚士になるためには、所定の大学・専門機関などで教育を受けた後に国家試験を受験し、免許を取得する必要があります。そうやって時間と労力を費やして言語聴覚士になったからこそ、キャリアを後悔するような事態は避けたいところです。

ここでは、言語聴覚士になってから後悔しないためにできることを2つ紹介します。

より専門性を高められるようにスキルアップする

専門分野の異なる方や同僚、先輩などと良い人間関係を構築するためには、高度な知識や技能を身に付けて、信頼を勝ち取るのも1つの方法です。専門知識や高度な技能を身に付けた言語聴覚士は、患者さまやご家族からも信頼される可能性が高まります。

言語聴覚士としてのスキルアップを図る際には、日本言語聴覚士協会の生涯学習プログラムを活用すると良いでしょう。生涯学習プログラムは基礎・専門プログラムから構成されており、指定された講座を履修したうえで、研究活動への参加などによって所定のポイントを取得すると、修了証を得られます。

◯基礎プログラム

  • ・臨床のマネージメントと職業倫理
  • ・臨床業務のあり方、進め方
  • ・職種間連携
  • ・言語聴覚療法の動向
  • ・協会の役割と機構
  • ・研究法序論

◯専門プログラム

  • (1)関連科目
  • 言語・認知発達、言語・認知の加齢変化、音声言語聴覚医学、認知科学、心理学、言語学、音声学
  • (2)サービス提供システム
  • (3)成人言語・認知
  • 失語、高次脳機能障害
  • (4)言語発達障害
  • (5)発声発語障害
  • 小児、成人
  • 摂食嚥下障害
  • (6)聴覚障害
  • 小児、成人
  • (7)臨床実習
  • (8)研究法
  • (9)症例研究

(引用:日本福祉教育専門学校「認定言語聴覚士とは」/https://www.nippku.ac.jp/license/st/certification/

専門プログラムを修了すると、認定言語聴覚士講習会への参加が認められます。講習会に参加した後、筆記試験に合格すると、「認定言語聴覚士」になることが可能です。認定言語聴覚士になれば、職場においてリーダー的な役割を果たすキャリアもひらけます。

(出典:一般社団法人 日本言語聴覚士協会「生涯学習プログラムについて」/https://www.japanslht.or.jp/certification/about.html

関心のある専門分野が明確に決まっている方は、その分野に関連する資格を取得するのも一案です。たとえば、子どもの言語・発達障害に関する専門性を高めるために、保育士資格の取得を目指すのも良いでしょう。また、言語聴覚士が食と栄養の専門職である管理栄養士資格を取得すれば、摂食・嚥下障害に関する知識が深まるはずです。

(出典:一般社団法人全国保育士養成協議会「保育士試験とは」/https://www.hoyokyo.or.jp/exam/about/index.html

(出典:公益社団法人 日本栄養士会「管理栄養士・栄養士とは」/https://www.dietitian.or.jp/students/dietitian/

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ストレスのない職場に転職する

ストレスを軽減するために、条件の良い職場への転職を検討してみるのも良いでしょう。以下は、言語聴覚士が労働条件の良い職場を探すために注目したいポイントです。

  • ・各種手当は充実しているか
  • ・残業や休日出勤はどの程度必要か
  • ・有給休暇や長期休暇が取りやすい雰囲気か

言語聴覚士の給料水準は、資格手当や残業手当の金額に応じて変化します。基本給が低い職場でも、各種手当が充実していると総支給額が高くなることもあります。事前によく確認しておきましょう。

有給の取りやすさは、職場の雰囲気や人間関係に左右されます。職場の雰囲気などは求人情報の記載からは分かりにくいため、事前に見学をお願いして、自分の目で確認すると安心です。

労働条件の良い職場に出会うためには、言語聴覚士の転職に精通したキャリアアドバイザーに相談するのもおすすめです。労働条件や職場環境を正しく把握しているキャリアアドバイザーから求人の紹介を受ければ、就職後に後悔する可能性を最小限に抑えられるでしょう。

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まとめ

言語聴覚士になったことを後悔する主な理由は、希望するキャリアや労働条件と現実とのミスマッチです。言語聴覚士としていきいきと働くためには、就職後もスキルアップに努めて高度な専門性を身に付けることや、自身の希望にマッチした職場を探すことが大事でしょう。

言語聴覚士としての就職・転職をご希望の方は、ぜひマイナビコメディカルにご相談ください。マイナビコメディカルでは、言語聴覚士の就職・転職に精通したキャリアアドバイザーがみなさんのご相談に対応し、後悔のないキャリアの選択をサポートいたします。

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※当記事は2022年9月時点の情報をもとに作成しています

監修者プロフィール

マイナビコメディカル編集部

 

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