臨床検査センターで働く臨床検査技師の仕事内容|働き方や給与・適性も

更新日 2024年01月31日 公開日 2023年04月19日

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臨床検査技師が活躍できる職場は、病院やクリニックなどの医療機関だけではありません。「臨床検査に特化した機関」である臨床検査センターも、臨床検査技師が知識・スキルを生かして働ける職場です。

この記事では、臨床検査センターで働く臨床検査技師の仕事内容や求人の傾向、臨床検査センター勤務に向いている方の特徴などを詳しくご紹介します。病院と臨床検査センターの働き方の違いについても解説しますので、臨床検査技師を目指している方や、臨床検査センターでの仕事に興味がある方の参考になれば幸いです。

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臨床検査センターで働く臨床検査技師の仕事内容|働き方や給与・適性も

臨床検査センターとは?

臨床検査センターは、医療機関などで採取された検体を受け取って検査を代行する機関です。

設備の整った病院であれば、施設内である程度の検査することも可能ですが、仮に数万人に1人の割合で発症するような病気を調べる場合、病院の医療機関だけで検査を行うのは非常に難しいでしょう。

そのため多くの病院では、外部機関である臨床検査センターに検体検査を依頼するのが一般的になっています。

臨床検査センターは、その名称が示す通り「臨床検査に特化した機関」です。施設内にはさまざまな検査機器や試薬がそろっており、特殊な検査にも対応することができます。そのため、臨床検査センターには、毎日さまざまな医療機関から検体が集まり、一般検査や血液学的検査、微生物学的検査など多くの検査を行っています。

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臨床検査センターにおける臨床検査技師の仕事内容

臨床検査センターで働く臨床検査技師の主な業務は、検体検査です。

前述したように、臨床検査センターにはさまざまな医療機関から検査依頼が集まるため、病院で行われる検体検査よりも検査数が多い傾向にあります。専門性が高い検査項目にも対応しており、臨床検査技師としての検査スキルを磨きやすい環境と言えるでしょう。

(出典:一般社団法人 日本臨床衛生検査技師会「臨床検査技師の紹介」/https://www.jamt.or.jp/target/general/introduction/

なお、臨床検査センターでは検査別に部門が分かれており、部門によって担当する検査項目の分野が決まっています。

臨床検査センターで行う検査

検体検査とは、患者さまから採取した血液や尿などの検体を調べて、健康状態のチェックや病気の診断・治療に役立てる検査です。献体検査は、検査機器類による測定や顕微鏡での目視などの方法で行います。

臨床検査センターで行う検体検査の主な検査項目は、下記の通りです。

・微生物学的検査
感染症の疑いがある患者さまから採取した尿、便、喀痰、咽頭ぬぐい液などの検体を培養し、感染症の原因となる微生物を特定する検査です。あわせて、微生物に対する薬の効き具合も検査します。
・血液学的検査
血液中の赤血球、白血球、血小板の数や形態、機能などを検査し、炎症や貧血、病気がないかを調べる検査です。血液の固まりやすさを調べる凝固検査も血液学的検査に含まれます。
・生化学的検査
凝固させた血液を遠心分離器にかけて血清を分離し、血清中の酵素や脂質、ホルモンなどを化学的に分析する検査です。肝機能検査や腎機能検査、脂質検査などの検査項目があります。
・一般検査
尿、便、体腔液などを調べる検査です。尿検査では腎臓や泌尿器系臓器の状態などについて調べ、便検査では潜血反応や寄生虫の有無を調べます。体腔液の検査は感染症や腫瘍の診断に役立ちます。
・輸血・造血幹細胞移植関連検査
輸血検査には、輸血に必要な血液型検査や交差適合試験(輸血する血液が患者さまの血液と適合するかを確認する検査)などがあります。造血幹細胞移植関連検査では、造血幹細胞移植を行う方やドナーになる方を対象に、HLA検査、血液検査、骨髄検査などを行います。

(出典:一般社団法人 日本臨床衛生検査技師会「私たちは臨床検査技師です」/https://www.jamt.or.jp/kenken/pdf/slide.pdf

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臨床検査センターで働く臨床検査技師の1日

臨床検査センターで働く臨床検査技士は、毎日多くの検体を扱っています。ここでは、日勤・夜勤がある臨床検査センターを例に、1日の流れと主な業務内容についてご紹介しましょう。

【臨床検査センターで働く臨床検査技師の1日】

午前
朝礼 ・夜勤担当者からの引き継ぎ
・担当部署ごとの連絡事項の伝達
業務の準備 ・検査機器の準備
・試薬、検体の準備
検体検査業務の実施、その他 ・回収した検体の検査
・検査機器のメンテナンス
・検査試薬の作成、在庫管理 など
午後
検査結果の報告 ・午前中に行った検体検査の結果確認
・報告書の作成
・データ入力者など関連部署への報告
片付け ・使用した機器の滅菌、消毒
・試薬、検体の片付け
翌日の準備、報告 ・夜勤者への引き継ぎ

これらはあくまでも一例で、就業先によって詳細な勤務スケジュールは異なります。

多くの臨床検査センターに共通するのは、業務のなかで検体検査の占める割合が大きいことです。検査に伴う機器の準備や片付け、整備(精度管理)などの関連業務もあるため、勤務時間の大半を検査業務に費やすことが多いでしょう。

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臨床検査技師の働き方は2パターン

臨床検査技師の資格を生かして臨床検査センターで働く場合、勤務先には「ラボラトリー」と「ブランチラボ」の2つがあります。ここでは、それぞれの特徴について詳しく解説しましょう。

ボラトリー

「ラボラトリー」とは、臨床検査センター内の検査室のことで、医療機関から送られてくる検体を回収し、各種検査を行います。ラボラトリーには、特殊な検査に使用する機器・試薬などがそろっている場合が多く、一般の病院の検査室では行えないような専門的な検査に携わる機会も少なくないでしょう。

規模の大きな臨床検査センターでは検査内容が部門ごとに分かれているので、自身の担当する分野についてより深い知識を身に付けられます。

ブランチラボ

「ブランチラボ」は、病院の臨床検査室を使ったアウトソーシングの一種です。具体的には、臨床検査センターが契約を結んだ医療機関に専用の検査室を設け、そこに臨床検査技師を派遣する形で検査業務を請け負います。

ブランチラボには、臨床検査技師がチームとして常駐し、主に一般検査や血液検査などを担当します。常勤の検査スタッフは少人数体制の場合が多いため、一般検査、血液学的検査、生化学的検査、免疫血清学的検査など、各分野の検査に携わる機会があるでしょう。

派遣先となる契約病院を複数抱えている臨床検査センターでは、自宅からの距離などを考慮して勤務地を決定する場合もあります。

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臨床検査センター勤務の特徴

臨床検査センターにおける臨床検査技師の働き方には、2つの特徴があります。

シフト制で働くことが多い
医療機関から送られてくる検体は、診療が終わった時間帯から集まる傾向にあるため、多くの臨床検査センターは24時間体制で稼働しています。そのため、臨床検査技師は夜勤を含むシフト制で働くことが多くなるでしょう。

ただし、ブランチラボで働く場合は、ラボラトリーと比べて夜勤が少ない傾向にあります。

直接患者さまとかかわることは少ない
臨床検査センターでは、検体検査や検査報告書の作成が主な業務内容となるため、臨床検査技師が直接患者さまとかかわることはほとんどありません。業務で直接かかわる相手は、同じ臨床検査センターで働くスタッフや、検体の回収を行うスタッフなどです。

ブランチラボの場合もアウトソーシングの業務であるため、臨床検査技師が生理機能検査や採血業務を行うことはなく、直接患者さまとかかわる機会が少ない傾向にあります。

病院との働き方の違い

臨床検査技師が病院で働く場合は、業務のなかで医師や看護師、患者さまとコミュニケーションを取る機会が多くあります。一方、臨床検査センターで働く場合は、検査業務の量が膨大なこともあり、周囲とコミュニケーションを取る機会はあまり多くありません。1人で作業に集中する時間のほうが、人と接する時間よりも長いのが一般的です。

また、病院と臨床検査センターでは業務で扱う検査内容にも違いがあります。病院では生理検査(心電図検査、超音波検査など直接患者さんに接して行う検査)を含めた臨床検査業務全般に携わりますが、臨床検査センターでは検体検査を中心とした担当部門の業務のみを行うケースがほとんどです。

そうした点を踏まえるなら、臨床検査センターは特定分野の検査技術を磨いたり知識を深めたりして、臨床検査技師としてのスキルアップを目指せる職場と言えるでしょう。

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臨床検査センターで働く臨床検査技師の給与

厚生労働省が公表している「賃金構造基本統計調査」によると、臨床検査技師全体の平均年収は約509万円でした。同じ医療系国家資格である看護師の年収が約508万円、理学療法士・作業療法士が約431万円、臨床工学技士は約443万円となっていることから、臨床検査技師は高年収を狙いやすい職業だと言えます。

(出典:厚生労働省「令和4年賃金構造基本統計調査 結果の概況」/https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/chingin/kouzou/z2022/index.html

なお、マイナビコメディカルを含む複数の求人サイトを調査したところ、臨床検査センターで働く臨床検査技師の平均的なモデル年収は、約200万~400万円となっていました。

ただし、求人サイトに掲載されているモデル年収は、就職後1~3年間の金額であることが多く、臨床検査技師として経験・キャリアを積めばより高い年収が得られる可能性は十分にあります。就職先の規模によって賞与支給額や手当の内容も異なるため、臨床検査センターへの転職を検討する際は、求人情報を詳細にチェックしましょう。

臨床検査センターの求人情報を見ると、手当には臨床検査技師の有資格者に適用される資格手当や、特定の業務に対して支払われる職務手当などがあり、資格手当の相場は約1万~3万円、職務手当の相場は約5,000~1万円となっています。

通勤手当や住宅手当、家族手当といった一般的な手当も、多くの施設で支給されています。

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臨床検査センター勤務が向いている方の特徴

次のような方は、臨床検査センター勤務の適性があると考えてよいでしょう。

・1つの作業にコツコツと取り組むことが得意な方
臨床検査センターでの勤務は、検体検査をはじめとする専門業務に携わる時間が長い点に特徴があります。細かい作業や反復作業にも集中して取り組める方は、その特性を生かして活躍できるでしょう。
・人とのコミュニケーションが少ないことを苦にしない方
臨床検査センターは、人とかかわる時間よりも検査業務にさく時間のほうが多い職場です。1人で黙々と作業することに抵抗のない方は、臨床検査センターでの勤務に向いていると言えます。
・臨床検査技師として、もっと専門知識を深めたい方
検査数の多い臨床検査センターでは、検査内容ごとに担当を決めて業務に当たるケースがあります。そのため、一般の医療機関に比べて特定分野の知識をより深められるでしょう。

臨床検査センターでは、専門的な臨床検査経験を積むことで、知識や技術の向上が期待できます。臨床検査技師としてスキルアップしたい方は、臨床検査センターでの勤務を検討してみてはいかがでしょうか。

臨床検査センターでの勤務に求められるものは?

臨床検査技師の有資格者であれば、臨床検査センターで働くにあたって特別な技能を求められることはありません。

とはいえ、臨床検査センターではさまざまな検査項目に対応する必要があるため、実務経験があると応募の選択肢が広がり、採用後も即戦力として活躍できるでしょう。経験者を求める求人では、「復職・ブランク可」の条件も多く見られます。

なお、臨床検査センターの求人では、特定の検査部門でのみ募集を行っているケースも少なくありません。募集が行われている検査部門関連の実務経験や専門知識・スキルがある方は、高待遇で働くことが期待できるでしょう。

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臨床検査センター勤務のやりがい

最後に、臨床検査センターにおける臨床検査技師のやりがいを3つ紹介します。

身に付けた知識や技術を生かせる
臨床検査センターで働く臨床検査技師は、今までに学んだ知識や習得した検査技術を使って業務を行います。自分が身に付けた知識や技術を生かして検体検査を行い、病気や異常の早期発見ができたときには、やりがいが感じられるでしょう。
スキルアップが実感できる
臨床検査センターでは、一般の病院では対応できない特殊な検査を行うケースも少なくありません。難しい検査を手順通りに行い、正確な検査報告が作成できると、スキルアップが実感できてやりがいにつながります。また、臨床検査センターは検体検査についての新しい知識や技術を学ぶ機会も多く、スキルアップを目指しやすい環境でもあります。
社会的な貢献ができる
臨床検査センターは病気の予防や健康維持に欠かせない機関であり、臨床検査技師も業務を通して多くの人の健康を支えています。臨床検査センターで働いていると、被害が大きくなりやすい感染症や食中毒の検査を任されることもあるでしょう。業務の責任はけっして小さくありませんが、社会的な貢献ができることは、臨床検査技師として働く上で大きなやりがいになります。

臨床検査技師のやりがいについては、下記のページでも詳しく解説していますので、興味のある方はぜひご覧ください。

【関連リンク】臨床検査技師のやりがいは?働く魅力と向いている人の特徴

まとめ

臨床検査センターは、病院やクリニック、健診センターなどの依頼を受けて検体検査を代行する機関です。臨床検査センターでは、日々数多くの検査を行っているほか、一般の医療機関で行うのが難しい特殊検査にも対応しています。

病院勤務の臨床検査技師は心電図検査や音波検査などの生理機能検査も行いますが、臨床検査センターでは検体検査を中心とした担当業務に専念します。多くの経験を積み、より深い知識・技術を身に付けられる臨床検査センターは、臨床検査技師としてのスキルアップを目指す方に最適な職場と言えるでしょう。

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※当記事は2023年7月時点の情報をもとに作成しています

監修者プロフィール

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