臨床開発モニターとは|CRCとの違いから一日の流れまで

最終更新日:2021年12月22日
 公開日:2021年5月7日

臨床開発モニターとは、新薬の臨床開発業務におけるスペシャリストです。
治験を行う医療機関の選定や臨床データの収集、プロジェクト全体の管理などを行うため、臨床開発において非常に重要な役割を果たします。

同じく治験に関わる職種である治験コーディネーター(CRA)と混同されやすいため、注意が必要です。

今回は、臨床開発モニターの概要や、治験コーディネーターとの違いを解説します。また、臨床開発モニターの仕事内容や一日の流れ、臨床開発モニターになるための方法も解説しますので、ぜひ参考にしてください。

臨床開発モニター(CRA)とは?

臨床開発モニターとは、製薬会社に所属し、医療機関に依頼した治験がGCPを遵守し正しく行われているかを確認し、進捗状況の管理を行う仕事です。英語表記「Clinical Research Associate」の頭文字を取って「CRA」とも呼ばれます。

治験とは、被験者へ開発中の新薬を投与して安全性や有効性を確認する臨床試験のことです。
GCP(Good Clinical Practice)とは、臨床試験を行う際に守らねばならない規準のことで、厚生労働省によって定められています。

治験コーディネーター(CRC)との違い

臨床開発モニターと混同しやすい職種のひとつが、同じく治験業界のスペシャリストである治験コーディネーターです。いずれも治験業務に関わりますが、仕事内容は大きく異なります。

治験コーディネーターは、新薬の臨床試験の際に医療機関の各部署と連携し、被験者をサポートして治験を円滑に進めます。
製薬会社側に立って治験の管理や運営を行う臨床開発モニターに対して、医療現場や患者(被験者)の側に立って治験を進める職業が治験コーディネーターです。

臨床開発モニターは被験者とは直接関わりません。被験者の名前を知らされることもないため、識別コードで被験者を把握します。
一方で治験コーディネーターは、被験者との関わりが業務の大変を占めることが特徴です。被験者の名前や性格、プライベートな状況を把握し、被験者と深く関わりながら仕事を行います。

臨床開発モニターはスーツを着て医療機関を訪問し、移動範囲は広く全国に及ぶことも珍しくありません。
一方、治験コーディネーターは白衣を着て院内で仕事を行うことが通常です。

臨床開発モニターが行う仕事の詳細

臨床開発モニターの主な仕事は、医療機関での治験の際にデータを収集し、正しく円滑な進行を管理することです。治験が確実に行われることによって、新薬を市場に送り出すことができます。

臨床開発モニターの仕事内容は、おおむね「治験開始前」「治験実施中」「治験終了時」の3つの段階に分けられます。

ここでは、臨床開発モニターの仕事について、各段階における仕事内容の詳細を解説します。

【治験前】医療機関の選定や標準業務手順書の作成

治験前に行う臨床開発モニターの仕事には「治験を実施する医療機関や医師の選定」と「標準業務手順書(SOP)の作成」の2つがあります。

治験を実施する医療機関や医師の選定
最初に治験を行う医療機関や治験における責任者、担当者となる医師の選定を行います。医療機関や医師の選定は、下記の基準を考慮して行われます。

《選定の基準》
・臨床の経験数や実績
・専門知識の有無
・治験薬のルールを遵守した適切な使用が可能か
・業務上、治験を行う余裕があるか

標準業務手順書(SOP)の作成
・治験の際に必ず守らなくてはならない省令業務手順を、体系的にまとめた標準業務手順書(SOP=Standard Operating Procedures)を作成する
・製薬メーカー作成の「治験実施計画書(プロトコル)」をもとに、医療機関に治験内容やスケジュールなどを説明して治験の実施を依頼する(承諾された場合は契約を締結する)

【治験実施中】治験の進捗状況を確認するモニタリング

治験実施医療機関が決定し契約が締結されると、治験が実施されます。実施中に行う臨床開発モニターの主な仕事は「治験が正しく行われているかを確認するモニタリング業務」「症例報告書(CRF)の回収」の2つです。

治験が正しく行われているかを確認するモニタリング業務
治験が治験実施計画書及びGCPに従って適切に実施されているかを確認する作業で、臨床開発モニターの基本となる業務です。
また、治験の安全や品質の管理において、問題点があれば指摘して改善します。
モニタリングされた事項は、すべて「モニタリング報告書」に記載します。

《確認項目の例》
・被験者ごとの同意説明文書やカルテなどが用意されているか
・治験薬の投薬は適切か
・副作用は発生していないか(重篤な副作用が発生した場合は治験審査委員会(IRB)へ報告する)

症例報告書(CRF)の回収
・治験コーディネーターもしくは治験責任医師が作成した症例報告書を回収し、記載漏れや治験基準に該当しているかどうかを確認する(漏れや修正点があれば、作成者である治験コーディネーターや治験責任医師に依頼する)

【治験後】治験の終了手続き

被験者へのすべての投薬が終了したら、標準業務手順書に従って終了手続きを行います。

終了手続き業務
・治験薬を回収し、残薬を適切に破棄する
・紛失した治験薬数を確認する
・症例報告書に記載漏れや間違いがないかを確認する
・すべての確認が完了したら、治験担当医師に終了報告をする

臨床開発モニターの一日の流れ

臨床開発モニターの一日の流れは、内勤がメインの日と外勤がメインの日とで大きく異なります。

内勤がメインの日は、社内会議への参加や電話によるモニタリング業務、モニタリング報告書の作成などを行います。

外勤がメインの日は、治験実施施設に出向いて業務を行います。
担当医療機関は近隣とは限らず、新幹線や飛行機での出張も珍しくありません。外勤日には出社せず直行や直帰となるケースもあります。

《外勤がメインの日の流れ》

09:00 ●勤務先に出社
治験コーディネーターや製薬会社からのメールを確認・返信する
※担当医療機関へ直行するケースもある
10:30 ●担当医療機関に出発
近隣に担当医療機関がない場合は、新幹線などを利用して施設へ向かう
13:00 ●担当医療機関に到着
治験コーディネーターや治験担当医師と面談し、SDVの結果報告と、不備や不明点の問い合わせをする
18:00 ●業務終了
業務が終了次第、直帰

臨床開発モニターになるためには?

臨床開発モニターには、国家資格も応募に必須となる資格も存在しません。
しかし、業務上医師や製薬会社とやり取りすることが多く、幅広い知識やスキルが必要となります。薬学や医学の知識は欠かせないでしょう。

臨床開発モニターの求人においては、薬剤師・MR認定資格・臨床検査技師・看護師など、実務経験者や医療系資格を持つ人が優遇されるケースがほとんどです。特に管理薬剤師やMRなど、薬学系の業務経験や資格があると、転職の際に有利となるでしょう。

英語力に関しては、所属する企業や担当する治験によります。国内の治験のみ担当する場合は、英語力は問われません。
ただし、働き方が狭まる可能性があります。仕事の幅を広げ、給料アップを目指すためには英語力も必要です。

外資系製薬メーカーや日本企業でも、国際共同治験(グローバル治験)を担当する際には、英語で報告書を書く必要があります。基本的な会話力だけでなく、医療の専門的な語学力も問われるでしょう。

独立行政法人医薬品医療機器総合機構によると、2018年度の国際共同治験の割合は約55%です。国際共同治験の割合は年々増しており、今後臨床開発モニターのキャリアアップに英語力が必須となる可能性は高いといえます。

(出典:独立行政法人医薬品医療機器総合機構「平成30年度のこれまでの事業実績と今後の取組みについて<審査・安全対策等業務>」/
https://www.pmda.go.jp/files/000227251.pdf

まとめ

臨床開発モニターとは、治験の際に製薬企業側から派遣されて治験を管理する仕事です。
臨床開発モニターと治験コーディネーターでは、所属や移動範囲、治験被験者との関わり方が異なります。

臨床開発モニターの仕事内容は「治験を行う医療機関・担当医師の選定」と「治験の進捗状況のモニタリング」です。特に法令を遵守して治験が行われているかを確認するモニタリングが、臨床開発モニターの最も重要な仕事となります。

臨床開発モニターには国家資格は存在しません。臨床開発モニターになるためには、薬剤師やMRなどの資格を取得し、スキルアップを目指すことが近道です。

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