臨床開発モニターの平均年収と特徴|給料を上げるためのポイントも

更新日 2024年02月28日 公開日 2021年05月07日

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臨床開発モニター(CRA)は、医薬品開発の臨床試験をモニタリングしてデータを集め、有効性や安全性を確認することで、医療用新薬を完成に導く仕事です。

臨床開発モニターになるために、必要となる国家資格はありません。しかし、臨床開発モニターの転職シーンでは薬剤師や看護師、MR(医薬情報担当者)など、医療業界の経験・資格を持つ方の応募が多く見られます。

当記事では、臨床開発モニターの平均年収や給料、福利厚生の特徴、年収を上げるポイントなどについて詳しく解説します。

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臨床開発モニターの平均年収と特徴|給料を上げるためのポイントも

臨床開発モニターの平均年収

臨床開発モニター(CRA)の勤務先は、製薬業界と開発業務委託機関(CRO)の2つに大別されます。

臨床開発モニターは、臨床検査技師や看護師と比較して、平均年収が高い傾向にあります。そのため、収入アップを目指して転職を希望する方が多く、医療業界における人気の職種と言えるでしょう。

以下は、臨床開発モニターの平均年収です。

臨床開発モニターの平均年収
約450万~800万円

※マイナビコメディカルをはじめとする求人サイトの募集要項をもとに算出

なお、「未経験可」の求人における平均年収は、最低額が約330万円、最高額が約600万円となっており、約400万~500万円が多く見られました。

参考として、就業先別の臨床開発モニターの平均年収も紹介しておきます。

製薬メーカー勤務 約450万~800万円
CRO勤務 約400万~750万円

※マイナビコメディカルをはじめとする求人サイトの募集要項をもとに算出

このように、臨床開発モニターとして働く場合は、CROよりも製薬業界で働くほうが、やや高給になることがわかります。

他業種における平均年収との比較

臨床開発モニターの平均年収は、臨床検査技師、看護師などの医療系専門職と比較して、やや高めの傾向にあります。

以下は、臨床開発モニターと近しい医療系専門職の平均年収です。なお、MRと製薬研究職は、マイナビコメディカルをはじめとする求人サイトのデータから算出しているため、数値に幅があります。

●他業種の平均年収

臨床検査技師(※) 約509万円
診療放射線技師(※) 約544万円
薬剤師(※) 約583万円
看護師(※) 約508万円
MR 約600万~800万円
製薬研究職 約650万~900万円

(※出典:厚生労働省「令和4年賃金構造基本統計調査」/https://www.e-stat.go.jp/stat-search/files?stat_infid=000040029185

臨床検査技師や看護師から臨床開発モニターへ転職する際は、平均年収アップが期待できます。一方で、診療放射線技師や薬剤師、MRから臨床開発モニターへ転職する場合は、一時的に平均年収が下がる可能性があるため注意してください。

また、臨床開発モニターは人気の職種であるため、求人数がやや少ない傾向にあります。そのため、求人数が比較的安定している治験コーディネーター(CRC)に転職し、治験の臨床経験を積んだのちに、臨床開発モニターに挑戦するのも1つの方法でしょう。

【関連リンク】臨床開発モニターはつらい仕事で激務?CRAの魅力も紹介

臨床開発モニターにおける給料の特徴2つ

臨床開発モニターと治験コーディネーターとでは、給料の特徴が大きく異なります。転職を検討するにあたって、臨床開発モニターと治験コーディネーターの2つを候補にしている場合は、注意しましょう。

ここでは、臨床開発モニターの給料における特徴を解説します。

就業先によって平均年収が大きく異なる

臨床開発モニターの年収は、就業先によって大きく異なる点に特徴があります。

基本的に、製薬会社勤務のほうがCRO勤務よりも平均年収が高い傾向にあり、特に外資系の大手製薬メーカーは、年収が800万円を超えるケースも少なくありません。

一方、治験コーディネーターの勤務先は医療機関と治験施設支援機関(SMO)ですが、国内の医療機関やSMOには一定の規制があるため、外資系が存在しません。

そうしたことも影響して、治験コーディネーターよりも臨床開発モニターのほうが、平均年収が高い傾向にあります。

経験者・管理職は高給傾向となる

一般的に、臨床開発モニターの経験者や管理職の求人は高給傾向にあり、CROであれば年収700万円、製薬メーカーであれば800万を超えるケースも多く見られます。

経験年数を積んでチームを率いた経験がある方は、転職やヘッドハンティングなどによって、平均年収アップを狙いやすいでしょう。

【関連リンク】治験コーディネーターの平均年収|給料の特徴・主な福利厚生も

臨床開発モニターは年収1,000万円を目指せる?

臨床開発モニターとして年収1,000万円を得ることは、けっして不可能ではありません。しかし、年収1,000万円を実現するためには、以下のような特定の条件やスキルが求められます。

●年収1,000万円を得るために必要な条件・スキルの例

・臨床開発モニターとしての経験
だいたい5年以上の経験があると、より高度な知識と技能があると見なされ、年収アップの可能性が高まります。医薬品・医療機器の臨床開発関連業務経験やプロジェクトマネージャーのサポート、モニタリング業務の経験などは、転職活動を行うにあたっての強みとなるでしょう。
・プロジェクトマネージャーとしての経験
マネージャー職に就くことも、年収1,000万円を目指す際の条件の1つです。マネージャーは、プロジェクトに関する横断的なタスク管理や予算管理を行いながら、課題の抽出・解決といった業務を担います。また、経験の浅いCRAやインハウスのCRAに対する教育・指導、各メンバーのマネジメント業務なども求められます。
・英語力
年収1,000万円前後のCRA求人では、一定の英語力が必須となっているケースが少なくありません。外資系製薬メーカーとの取引がある企業では、メールのやりとりはもちろん、オンライン会議でディスカッションを行えるレベルの英語力が求められます。

実際の求人情報を確認すると、臨床開発モニターとして年収1,000万円を得るために必要な経験・スキルがより明確になるので、興味のある方は一度チェックしてみるとよいでしょう。

【関連リンク】臨床開発モニターの転職動向|平均給与・押さえるべきポイントも

臨床開発モニターの福利厚生の特徴は?

臨床開発モニターの就業先の特徴として、多くの企業が在宅勤務やフレックスタイム制を導入している点が挙げられます。なかには、資格手当を支給する企業や、導入研修としてシミュレーション研修・臨床開発における一般知識研修などを行う企業もあります。

また、女性が働きやすい企業も多く、臨床開発モニターの職場は「ワークライフバランスを保ちながら働ける環境が、比較的整備されている」と言えそうです。

具体的には、完全内勤で勤務したり、時短勤務が可能なプロジェクトを紹介したりするなど、育児と両立しやすい企業が多く見られます。

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臨床開発モニターが年収を上げるためのポイント4つ

臨床開発モニターは比較的高収入が得られる職業ですが、給料・職責に応じて忙しくなりやすいことも事実です。そのため、自分自身のワークライフバランスを考えながら、長期的なキャリアプランを考える必要があるでしょう。

以下では、臨床開発モニターが年収を上げるためのポイントを4つ紹介します。

CRA教育研修修了認定を取得する

「CRA教育研修」とは、一般社団法人日本CRO協会が行う研修で、臨床開発モニターにおける実務レベル水準の底上げを目的に実施されています。「CRA教育研修修了認定」を得ることで、キャリアアップが図れるほか、転職時にも有利になるでしょう。

また、臨床開発モニターの約半数が「業務のなかで英語を使用するケースがある」という実情を踏まえて、日本CRO協会では「治験実務英語検定」も実施しています。

(出典:一般社団法人日本CRO協会「治験実務英語検定について」/http://www.jcroa.or.jp/education/en_overview.html

外資系製薬メーカーやCROへの転職を目指す場合は、治験実務英語検定を取得しておくのもおすすめです。

GCPパスポート・GCPエキスパートを取得する

GCPパスポートとGCPエキスパートは、臨床研究に関する倫理指針やJ-GCP(Japan Good Clinical Practice:日本の臨床試験の実施基準)に関する深い理解を証明する認定制度で、日本臨床試験学会(JSCTR)によって運営されています。

●GCPパスポート

目的 GCPパスポートは、臨床研究に関する倫理指針および日本の臨床試験の実施基準であるJ-GCPについて、十分に理解している人材を育成するために設けられた試験です。
内容 臨床試験の基本理念、倫理、臨床試験方法論の基礎など、広範囲にわたる臨床開発の知識が問われます。
受験資格 GCP(臨床試験・臨床研究)関連の業務経験が1年以上 など

(出典:日本臨床試験学会 「認定制度」/https://www.j-sctr.org/nintei/

●GCPエキスパート

目的 GCPエキスパートは、GCPパスポートの上位にあたる認定制度で、臨床試験における指導者的な立場で活動できる人材を認定するものです。そのため、上級モニター、プロジェクトリーダー、監査担当者など、臨床試験の指導的な役割を担う専門家が対象となります。
内容 認定されるためには、ヘルシンキ宣言を含む臨床研究に係る倫理的原則、ICH-GCPおよび関連法規についての深い理解、試験実施の品質管理・品質保証、プロジェクトマネジメント、臨床試験方法論に精通していることが求められます。
受験資格 GCP(臨床試験・臨床研究)関連の業務経験が5年以上 など

(出典:日本臨床試験学会 「認定制度」/https://www.j-sctr.org/nintei/

GCPパスポートやGCPエキスパートを取得すれば、臨床試験の基本的な知識と理解があることを証明できるため、業界内外での信頼性を高められます。

需要の高い疾患領域に関する知識をつける

治験に関する幅広い知識に加えて、需要の高い疾患領域の専門知識を身につければ、臨床開発モニターとしての市場価値がより高まるでしょう。

近年では、悪性腫瘍や中枢神経系疾患などの領域における臨床の需要が高まっており、特に悪性腫瘍に関するプロトコール数は年々増加傾向にあります。

(出典:日本SMO協会「日本SMO協会データ2019(2020年4月実施)」/https://www.jasmo.org/assets/pdf/about/data2020.pdf

そのため年収アップを目指す方は、抗悪性腫瘍薬や中枢神経用薬などの領域に関しての知識を深めておくとよいでしょう。

外資系製薬会社に転職する

臨床開発モニターの勤務先は、国内企業よりも外資系企業のほうが高収入な傾向にあります。臨床開発モニターとして平均年収を上げたい場合は、外資系製薬メーカーへの転職に挑戦するのも1つの方法です。

マイナビコメディカルでは、専門のキャリアアドバイザーが医療機関や企業の情報を徹底的に収集することで、求人の数だけでなく、求人の質にもこだわっています。また、「定着率」が著しく低い医療機関・企業は原則紹介していないこともマイナビコメディカルの特徴です。応募書類の添削や面接の日程調整はもちろん、言い出しにくい年収交渉もキャリアアドバイザーが行いますので、臨床開発モニターとして転職を検討する際は、ぜひマイナビコメディカルにご相談ください。

【関連リンク】マイナビコメディカルで臨床開発モニターの求人を探す

臨床開発モニターになるには

臨床開発モニターには、国家資格や活動の際に必須となる資格がありません。ただし、臨床開発モニターとして活躍するには、医療や薬品に関する深い知識が必要となるため、医療系の資格を持つ方が採用されやすい傾向にあります。

以下では、臨床開発モニターになるための具体的な流れについて説明します。

看護師から目指す場合

臨床開発モニターの業務は、看護職とは異なる専門性が求められるため、看護師から臨床開発モニターへの転職には一定のハードルがあります。

たとえば、薬剤の知識では看護師よりも薬剤師のほうが詳しく、ビジネスマナーや営業力においてはMRのほうが経験値は高いと判断されやすいでしょう。そのため、看護師から臨床開発モニターを目指す場合は、臨床開発モニターの職務内容を深く理解し、必要なスキルや知識を身につけておくことが重要です。

薬剤師から目指す場合

薬剤師の場合、薬局や病院での経験を通じて、臨床開発モニターに求められるスキルが一部身についています。

以下は、薬剤師と臨床開発モニターに共通するスキルの一例です。

  • ・医師とのコミュニケーションスキル
  • ・検査データの収集能力
  • ・スケジュール管理能力
  • ・医薬品の知識
  • など

そのため、薬剤師から臨床開発モニターに転職する方も一定数いらっしゃいます。

特に、CROは医療関連の業種からの中途採用者が多い傾向にあるため、薬剤師からのキャリアチェンジを考える場合は、CROへの応募を検討してみるとよいでしょう。

CRC(治験コーディネーター)から目指す場合

CRCは、臨床開発モニターへの転職がしやすい職種です。CRCは治験に関わる多くの業務を経験しており、そうした経験は臨床開発モニターの仕事にも生かせるため、転職の際には大きな強みとなります。

臨床開発モニターへの転職を目指す場合、治験コーディネーターとして3年程度働けば、実績のある人材と判断してもらえるでしょう

MRから目指す場合

MRから臨床開発モニターに転職する方もいらっしゃいますが、MRは営業職に分類される職種です。そのため、MRから臨床開発モニターに転職する際は、「職種未経験」からのスタートとなります。

臨床開発モニターとして働くにあたっては、特定の医学・薬学に関する知識が重視されるため、MRから臨床開発モニターを目指す場合は、なるべく早く転職して経験を積んだほうがよいでしょう。

臨床検査技師から目指す場合

臨床検査技師から臨床開発モニターへの転職は、やや難易度が高いでしょう。特に、検査センターやクリニックで働く臨床検査技師は、病院での臨床経験がある臨床検査技師に比べて、選考における難易度が上がる場合があります。

臨床開発モニターを目指す臨床検査技師によく見られるのが、CRCに転職して治験の専門知識を身につけた上で、臨床開発モニターに挑戦するパターンです。臨床検査技師からCRCに転職するケースはとても多いため、臨床開発モニターに興味のある臨床検査技師の方は、こちらのルートを検討してみるのもよいでしょう。

ただし、CRCはさまざまな人と接する機会が多いため、一定のコミュニケーション能力が必要とされることを覚えておいてください。

【関連リンク】製薬会社における臨床検査技師の仕事内容は?向いている方の特徴も

まとめ

臨床開発モニターは、医療関連職のなかでも、比較的年収が高い職業です。そのため、看護師や臨床検査技師などから転職した場合は、年収アップが期待できます。

臨床開発モニターの平均年収は、応募先によって大きく異なり、CROよりも製薬企業、国内企業よりも外資系企業のほうが高給な傾向にあります。外資系企業には成果主義を採用しているところも多いため、スキルの高い臨床開発モニター経験者や管理職のなかには、平均年収が800万円を超えるケースも見られます。

また、臨床開発モニターとして年収アップを目指す際は、CRA教育研修修了認定を取得したり、需要の高い疾患領域の知識を身につけたりするのもおすすめです。

臨床開発モニターとして転職を検討している方や、臨床開発モニターに興味のある医療職の方は、ぜひマイナビコメディカルにご相談ください。

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【関連リンク】マイナビコメディカルへのよくあるご質問

※当記事は2023年11月時点の情報をもとに作成しています

監修者プロフィール

マイナビコメディカル編集部

 

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履歴書や職務経歴書の書き方から、マイナビコメディカルサイト内での求人の探し方のコツや、転職時期ごとのアドバイス記事などを掲載。
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