医療事務管理士(R)技能認定試験とは?試験対策のポイントも解説!
医療事務は国家資格がなくても仕事に就くことができ、職場の選択肢も豊富なため、医療業界への就職・転職を考える方に人気の高い職種です。とはいえ、医療事務として活躍するには専門的な医療知識や高い実務能力が必要とされます。そのため、医療事務を目指すにあたって、関連資格を取得して自身の知識・スキルを磨こうとする方が多く見られるのも事実です。
医療事務に役立つ資格はいくつかありますが、なかでも医療事務への就職・転職に役立つ資格とされているのが「医療事務管理士(R)」(以下、医療事務管理士)です。
今回は、医療事務管理士の資格が取得できる「医療事務管理士技能認定試験」の概要や、試験に向けた勉強方法、難易度、他の医療事務向け資格との違いをご紹介します。医療事務に興味のある方、医療事務管理士資格の取得を検討されている方は、ぜひお役立てください。
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目次
医療事務管理士とは?
医療事務管理士とは、医療事務管理士技能認定試験の合格者に与えられる民間資格です。試験では、医療や保険制度に関する基礎知識、医療費の算定・請求の知識など、医療事務の現場で必要とされる専門知識や対応力が審査されます。
医療事務管理士は日本で最初の医療事務向け資格で、50年近い歴史を持っています。主催しているのは、医療や介護の場で生かせる資格を幅広く認定している技能認定振興協会(JSMA)です。
なお、医療事務管理士の資格には「医科」「歯科」の2種類ありますが、本記事では医科向けの医科医療事務管理士に絞って解説します。
医療事務管理士の仕事内容
医療事務管理士の代表的な業務内容は、以下の通りです。
【医療事務管理士の主な仕事内容】
病院での 仕事内容 |
・受付業務:来院した患者さまの保険証確認、診察券の交付、カルテの準備 ・病棟クラーク業務:入院患者さまのカルテ管理、看護師のサポート、見舞い客への応対 ・会計業務:診療費の精算、質問への応対 ・カルテ管理業務:カルテの入出庫や整理 ・オペレータ業務:診療内容データや検査データの入力、診療費の計算 ・レセプト業務:診療報酬明細書(レセプト)作成、保険者への費用請求 |
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病院以外の職場と 仕事内容 |
・クリニック:受付窓口業務、会計、保険請求 ・保険調剤薬局:調剤薬局の受付、調剤報酬の計算、保険請求 ・検診センター:健康診断や人間ドックの受付、会計業務 ・健康保険組合:医療機関による請求レセプト、保険証の有効期間の確認 ・保険請求審査代行機関:医療機関が提出したレセプトの審査 ・医事電子機器のシステム会社:医事コンピュータのシステム構築、メンテナンス対応 ・損害保険会社:保険請求された自動車事故などのレセプト内容の審査 |
(出典:技能認定振興協会「医科医療事務管理士(R)のお仕事」/https://www.ginou.co.jp/qualifications/iryojimu.html)
医療事務管理士の資格を取得するメリット
医療事務管理士の資格を取得するメリットは、主に下記の3つです。
●好条件の就職・転職につながる可能性がある
●病院やクリニック以外の職場でも生かしやすい
医療事務管理士の資格を取得すると、医療事務に必要な専門知識や技能を習得していることがアピールできます。試験ではレセプトの作成・点検問題も出題され、診療報酬制度への理解や点数算定の正確さを問われるため、合格すればレセプトを正しく作成・点検できる人材だという証明になるでしょう。
また、初めての就職で実務経験がない方や、異業種から医療事務へ転職する方でも、医療事務管理士を持っていれば好条件での就職や転職につながる可能性があります。医療事務管理士の資格は、病院やクリニックだけでなく薬局、企業など幅広い職場で生かせるため、就職・転職先の選択肢が広がる点も魅力です。
他の医療事務関連資格との違い
医療事務管理士以外にも、医療事務に役立つ民間資格があります。ここでは、そのなかから3つの資格をご紹介しましょう。
日本医療保険事務協会が実施する「診療報酬請求事務能力認定試験」は、診療報酬請求の実務を正しく行うために必要な能力を認定する試験です。診療報酬請求だけでなく、医療保険関連の法律や通知書の読解も出題内容に含まれます。
(出典:公益財団法人 日本医療保険事務協会「試験概要」/ https://www.iryojimu.or.jp/exam/)
日本医療教育財団が主催する「医療事務技能審査試験」は、診療報酬請求業務の技能から患者さまへの対応までを審査する試験です。合格者には「メディカルクラーク(R)」の称号が与えられます。
(出典:一般財団法人 日本医療教育財団「医療事務技能審査試験(メディカル クラーク(R))」/http://www.jme.or.jp/exam/mc/index.html)
全国医療福祉教育協会が毎月開催する「医療事務認定実務者(R)試験」は、医療事務に関する基礎知識とレセプト作成の能力を認定する試験です。試験では、医療事務の基礎知識や接遇マナー、各種の医療制度に関する知識が問われます。
(出典:全国医療福祉教育協会「医療事務認定実務者(R)試験とは?」/ https://iryou-shikaku.jp/exam/certified_practitioners.php)
同じ医療事務向け資格とはいえ、試験によって出題範囲や難易度、開催頻度などが異なります。事前に比較検討して自分に最適な資格を見つけましょう。
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医療事務管理士技能認定試験の概要
医療事務管理士は、「医療事務管理士技能認定試験」の合格者に与えられる資格です。医療事務管理士技能認定試験の試験内容や受験に関する規定は、下記の通りです。
受験資格 | 特になし |
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受験料 | 7,500円(税込) 学科・実技いずれか免除の場合は5,400円(税込) |
試験内容・ 出題範囲 |
【学科試験】 ・法規:医療保険制度などの知識 ・医学一般:臓器・生理機能・傷病などの知識 ・保険請求事務:診療報酬点数の算定、レセプトの作成、医学用語などの知識 【実技試験】 ・レセプトの作成・点検 |
問題数・ 出題形式 |
【在宅試験】 ・学科試験(マークシート択一式):10問 ・実技試験(マークシート択一式):3問 【インターネット試験】 ・実技試験(択一式):60問 ・学科試験(択一式):50問 |
合格基準 |
【在宅試験】 学科と実技とも合格基準を満たした場合のみ合格 ・学科試験:80点以上(100点満点中) ・実技試験:各問題で60%以上、全問合計で80%以上の得点 【インターネット試験】 70%以上の得点 |
合格率 | 72.0%(2023年2月度試験) |
試験日 | 1. 在宅試験:毎月第4土曜日の翌日の日曜日 2. インターネット試験:随時 |
(出典:技能認定振興協会「医療事務管理士(R)技能認定試験」/https://www.ginou.co.jp/qualifications/iryojimu.html)
従来の受験方法は、特定の会場で受験する会場試験と、オンラインで受験するインターネット試験の2つでしたが、現在は会場試験が在宅試験に変更されています。在宅試験とインターネット試験は、出題数や合格基準点だけでなく試験日程、試験結果の発表方法なども異なるため、事前に詳細を確認しておきましょう。
医療事務管理士技能認定試験の勉強方法
医療事務管理士技能認定試験の主な勉強法として、次の3つが挙げられます。
●資格専門学校やセミナー
●独学
通信講座は、用意されたテキストを使って自宅で勉強する形式のため、通学時間を割けない方に向いています。講師による添削が受けられるので、苦手分野の克服もスムーズに行えるでしょう。
医療事務系の資格専門学校やセミナーは、いつでも講師に質問できる点がメリットです。通信講座や独学に比べて費用が高額になるものの、試験合格に必要な知識やノウハウを効率的に学べるでしょう。
費用を抑えたい方は、独学で資格取得を目指す方法もあります。学習には主催協会が発行する試験問題集や市販の医療事務向けテキストなど、さまざまな教材が使えます。自分のペースで試験対策ができる点はメリットですが、その分スケジュール管理やモチベーションの維持が重要になるでしょう。
基本的な待遇や給料を上げる方法も解説
医療事務管理士の取得後におすすめの資格は?
ここでは、医療事務管理士を取得した方へのおすすめ資格を2つご紹介します。
在宅診療報酬事務管理士(R) |
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在宅医療を提供する医療機関での保険請求事務に特化した民間資格です。試験では、在宅医療の現場で求められる介護保険制度や、介護報酬明細書などについての知識を問われます。医療事務管理士と同じく技能認定振興協会が主催しています。 |
(出典:技能認定振興協会「在宅診療報酬事務管理士(R)のお仕事」/https://www.ginou.co.jp/qualifications/iryojimu.html)
医師事務作業補助者(ドクターズオフィスワークアシスト(R)) |
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医師が行う診断書や処方せんなどの文書作成、検査予約といった事務作業を補佐するスタッフ向けの民間資格です。近年、勤務医の負担を軽減するため、医師事務作業補助者の資格を持つスタッフを配置する病院が増加しており、将来性が期待されています。 |
(出典:技能認定振興協会「医師事務作業補助者(ドクターズオフィスワークアシスト®)のお仕事」/https://www.ginou.co.jp/qualifications/doctors-office.html)
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まとめ
医療事務管理士は、医療事務の現場で必要な知識・技能の習得を目的とした、歴史ある民間資格です。資格試験の勉強を通して、医療保険や診療報酬、レセプトの作成・点検方法などの知識を習得できるでしょう。
医療事務管理士の資格は、病院や診療所以外にも検診センターや企業など幅広い場所で活用できます。また、医療事務管理士に加えて関連資格を取得することで、活躍の場をさらに広げられるでしょう。
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※当記事は2023年4月時点の情報をもとに作成しています
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